400年の時を超えて繰り広げられる壮大なラブストーリー『マガディーラ 勇者転生』。
日本でも大ヒットした『バーフバリー』2部作のS・S・ラージャマウリ監督とスタッフによる『バーフバリー』の原点とも呼べる本作をご紹介します。
映画『マガディーラ 勇者転生』の作品情報
【公開】
2018年(インド映画)
【原題】
Magadheera
【監督・脚本】
S・S・ラージャマウリ
【キャスト】
ラーム・チャラン、カージャル・アグルワール、デブ・ギル、スリハリ、サラット・バーブ
【作品概要】
ウダイガル王国の勇者と姫、対峙する将軍の運命を輪廻転生を絡めて描くアクション・アドベンチャー。
『バーフバリー』2部作のS・S・ラージャマウリが監督と脚本を担当し、本国インドではロングランを記録した大ヒット作。
主演は南インド映画界の「メガスター」と呼ばれる、チランジーヴィの息子でインドではトップスターのラーム・チャラン。
映画『マガディーラ 勇者転生』のあらすじ
400年前のウダイガル王国。
ウダイガル王国のミトラ姫と、勇者バイラヴァは戦いに破れ、ミトラ姫は「あなたの妻として死にたかった」と言葉を残し、崖から落ちていきます。
バイラヴァはミトラ姫を追いかけて、崖から飛び降りミトラ姫に手を伸ばしますが、両者が触れ合う事はありませんでした。
400年後のハイデラバード、勇者バイラヴァの生まれ変わりで、バイクレーサーのハルシャは、仲間たちと賭けレースなどに興じ、楽しい毎日を送っていました。
ある日、オートリキシャ(三輪タクシー)に乗っていたハルシャは、偶然歩道に立っていた白い服を着た女性の手に触れた事で、バイラヴァであった過去を一瞬だけ思い出します。
ハルシャはオートリキシャを停めて、白い服を着た女性を探しに行きます。
白い服を着た女性、インドゥは寒くなってきた事から黒いジャケットを身に着けます。
そこへ、ハルシャが現れ「白い服を着た女性を探している」とインドゥに告げます。
インドゥは、すぐに自分の事だと勘付きますが、ハルシャの必死の様子がおかしく、からかう為に「自分はインドゥの友人だ」と嘘をつき「今度インドゥと会わせる」とハルシャに約束をします。
約束の日、ハルシャにランチを奢らせたインドゥは、複数の友人を連れてきますが「インドゥは来れなくなった」と、また嘘をつき、今度は映画に連れて行く約束をさせます。
インドゥの友人が帰った後に、1人だけになってもインドゥを待っているハルシャの一途な優しさに、インドゥは少し心を動かされます。
インドの権力者の息子ラグヴィールは「欲しい物は必ず手に入れる」という思想の持ち主で、目的の為なら殺人も平気で行う危険な人物です。
ラグヴィールの父親は、インドゥの家族と親戚にあたり、一族の資産問題で揉めていました。
ラグヴィールは、インドゥの家族を訪れた際に、インドゥに一目惚れし、恋路に邪魔となる父親をその場で殺害、インドゥの父親に「一族の資産は全て渡す」と伝えて近づきます。
インドゥは友人を連れて、ハルシャとの待ち合わせ場所に向かっていましたが、若者の集団に絡まれ嫌な思いをします。
その後、合流したハルシャに「嫌な思いをしたインドゥが帰った」と伝えた事で、ハルシャは激怒、若者達に制裁を加えます。
インドゥはハルシャの強さに、恋心を抱くようになります。
ラグヴィールの提案で、インドゥの家族は宮殿のような邸宅に住むようになります。
その夜、寝室で眠るインドゥに、ラグヴィールは夜這いを仕掛けますが、バイラヴァの幻影が現れ、ラグヴィールは斬りつけられた幻覚を見ます。
不審に感じたラグヴィールは、祈祷師に相談をします。
そこでラグヴィールは、自分の前世がウダイガル王国の将軍ラナデーヴで、ウダイガル王国の姫だったミトラに、愛を受け入れらなかった憎しみで輪廻転生した事を知らされます。
そして、ミトラの生まれ変わりがインドゥで、前世で愛し合っていた勇者バイラヴァの生まれ変わりが近くにいると教えられます。
そして、バイラヴァの生まれ変わりが存在する限り、ラグヴィールはインドゥに触れられないと告げられます。
ラグヴィールは、自分の部下を使い、バイラヴァの生まれ変わりを捜索、途中で立ち寄ったカフェでハルシャに遭遇します。
貴族の衣服を着用していたラグヴィールは、ハルシャに馬鹿にされます。
そこへ、インドゥの通話履歴を入手した部下が現れ、ラグヴィールは直近の通話記録がある電話番号に連絡します。
電話が鳴ったのは、ハルシャがカフェに忘れて行った携帯電話から、ラグヴィールは勇者バイラヴァの生まれ変わりがハルシャであると確信します。
映画『マガディーラ 勇者転生』の感想と評価
400年越しのラブストーリーを描いた本作は、壮大なスケールの物語となっています。
特に演出が素晴らしく、現代でハルシャがインドゥを特定する為に使われたストールが、実は過去でも物語を進行させる重要なアイテムとなっていたり、ハルシャがインドゥに触れて、バイラヴァとしての記憶を取り戻す時だけ、触れ合った2人の間に電流が流れたりと、非常に芸が細かいです。
中でも、映画序盤でミトラが絶命し崖から落ちていくシーンでは、周囲の風景がアニメ風のCGで描かれており、他のシーンと明らかに違う印象を与えています。
これは映画中盤以降で、前世と現世が交わる重要で神聖な場所である事を観客に知らせる為の、非常に上手い演出だと思います。
作品全体としては、巧みな演出と同時に、インド映画特有の過剰過ぎる演出の数々で、かなり振り切った娯楽作となっています。
映画序盤で、20分近くのダンスシーンがあり、ここで女性の胸から発せられたフェロモンで、男性が石化するというVFX技術が使われた謎のシーンがあるのですが、この時点で、この映画がエンターテインメント作品である事が分かり、ニヤニヤしていました。
私は日曜日の夜の回に行ったのですが、劇場はほぼ満席で、上映終了後は拍手も起こっていました。
日本で大ヒットした『バーフバリ』が好きな方なら、必ず気にいる作品ですよ。
まとめ
『マガディーラ 勇者転生』は、日本人に受け入れられる要素が盛り込まれている作品です。
バイラヴァとミトラ姫の、身分違いの叶わぬ恋は、時代劇などで描かれる事が多く、輪廻転生を絡めたストーリーは、アニメなどのSF作品でお馴染みですね。
この2つの様子を合わせて、派手なアクション満載で見せる今作は、日本人の感性に直撃する娯楽作品として最高の映画です。
『バーフバリ』の大ヒットに加え、1998年に日本へインド映画ブームをもたらした『ムトゥ 踊るマハラジャ』も2018年11月にリバイバル公開が決まっています。
インド映画好きの方はもちろん、まだ未見の方も、この機会に触れてみてはいかがでしょうか?