誰もが知っているバレエの演目『くるみ割り人形』。
あのディズニーがついにクラシック中のクラシックのファンタジーを完全実写化しました。
実力派のキャストスタッフが集まり、全力で作り上げた、クリスマスシーズンにぴったりのファンタジー大作です。
一度は聞いたことがあるクラシックの名曲に乗せて、今まで見たこともないようなめくるめく映像世界が繰り広げられます。
CONTENTS
映画『くるみ割り人形と秘密の王国』の作品情報
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【原題】
The Nutcracker and the Four Realms
【監督】
ラッセ・ハルストレム、ジョー・ジョンストン
【キャスト】
マッケンジー・フォイ、キーラ・ナイトレイ、エウヘニオ・デルベス、マシュー・マクファディン、リチャード・E・グラント、ミスティ・コープランド、ヘレン・ミレン、モーガン・フリーマン、セルゲイ・ポルーニン
【作品概要】
ピョートル・チャイコフスキーの超有名バレエ作品「くるみ割り人形」の原作絵本「くるみ割り人形とねずみの王様」がディズニー製作、一流スタッフとキャストたちによって完全実写化されました。
主演は『インターステラー』で注目を浴びた新鋭女優マッケンジー・フォイ、『はじまりのうた』『イミテーションゲーム」』など名作に出続け30代前半で既に大女優の風格を漂わせるキーラ・ナイトレイ。
またオスカー俳優モーガン・フリーマン、ヘレン・ミレンも脇を固めます。
そして黒人女性初のプリマドンナになったミスティ・コープランド、昨年自身のドキュメンタリーが話題になり『オリエント急行殺人事件』や『レッドスパロー』など映画出演も相次ぐ天才バレエダンサー、セルゲイ・ポルーニンも出演し劇中で見事な踊りを披露してくれます。
映画『くるみ割り人形と秘密の王国』のあらすじとネタバレ
ヴィクトリア朝時代、クリスマスの日のロンドン。
発明好きの少女クララ・シュタールバームは弟のフリッツと工作や実験を繰り返していました。
しかし彼女は母親マリーを亡くしたばかりで悲しんでもいたんです。
父親は亡き妻の遺言に従って、長女のルイーズ、次女クララ、長男フリッツにプレゼントを渡します。
クララは卵型の箱を渡されますが、鍵が掛かっていて開けられません。
母親からのメモがついており「ここにはあなたが必要とする全てが入ってるわ」と書かれています。
その日はちょうどゴッドファーザー(名付け親)のドロッセルマイヤーおじさん主催のパーティがあり、シュタールバーム一家で出席します。
父親は世間体を気にして、一緒に舞踏会で踊ってくれと言いますが、クララは踊りにもご馳走にも興味はなく、優秀な発明家でもあるドロッセルマイヤーの研究室に行って箱を見せます。
彼は「この箱は私が君のお母さんにあげたものだ。君にあげたがっていた」といいました。
ドロッセルマイヤーが子供たちにプレゼントを渡す時間がやってきます。
クララはプレゼントに繋がっているという糸を辿り、廊下をずっと歩いていくと、いつの間にか全面雪景色の別世界に出ていました。
糸の先には卵箱の鍵がありましたが、その世界にいた妙なネズミに奪われてしまいます。
クララがネズミを追いかけていくと、ネズミは凍った川を渡って反対側の土地へ逃げてしまいます。
川を渡るための橋には見張小屋があり、中でくるみ割り人形と同じ格好をした黒人の兵士が眠っていました。
クララが声をかけると彼は目を覚まし、自分はフィリップ大尉だと名乗ります。
クララがシュタールバームと名乗った瞬間、フィリップはひれ伏して彼女を「王女様」と呼びます。
昔、母親マリーはこの世界の女王だったことがあるようです。
クララはフィリップに一緒にネズミを追ってと頼みますが、橋の向こうは「第四の王国」と呼ばれる場所で他の3つの国と戦争中なので行けないと答えるフィリップ。
しかしクララがそれを聞かず橋を渡ってしまったためフィリップも渋々ついてきます。
追いかけられたネズミは仲間を呼び寄せてクララたちを翻弄します。
さらに「第四の王国」の支配者“マザー・ジンジャー”がやってきて鍵を回収されてしまいます。
第四の王国から逃げ出したクララは、フィリップの案内で彼が仕える王国の城に入ります。
そこには氷の王国と花の王国の宰相と、お菓子の国の宰相“シュガープラム”がいました。
彼らはクララを見てマリーとそっくりだと喜び、彼女の死をひどく悲しみます。
シュガープラムは、かつて宰相の一人だったマザー・ジンジャーがマリーや自分たちを裏切って、かつて「遊びの国」と呼ばれていた第四の王国を牛耳って戦争を仕掛けようとしていると話します。
彼女はクララを連れて巨大な機械がある部屋に行きます。
2人はそこにある大きな歯車に乗ります。
歯車が回って部屋の反対側に行くと、そこにはさっきまでクララがいたパーティ会場がありました。
クララは小さくなってドロッセルマイヤーが作った鳩時計の回る歯車の上に乗っていたんです。
クララが入り込んだ世界は、ドロッセルマイヤーが作ったおもちゃの世界でした。
元の世界に戻る方法を聞くと、シュガープラムはその部屋にある機械を起動させれば戻れるが、それにはクララが持っている箱を開けるための鍵が必要だといいます。
マザー・ジンジャーから鍵を取り戻す必要があるため、クララはフィリップの指揮する軍隊と一緒に「第四の王国」に出発します。
第四の王国はあちこちに落とし穴がある上に、大量のねずみも襲ってきて軍は散り散りになってしまいます。
クララとフィリップはなんとかマザージンジャーの根城にたどり着きますが、そこには彼女の護衛のたくさんの道化がいて彼らを翻弄します。
クララは道化を撃退し鍵を取ろうとしますが、マザー・ジンジャーは「ダメだ!お前は真実を知らない」と止めようとします。
しかしクララは鍵を奪い、フィリップと第四の王国を脱出しました。
背後からマザー・ジンジャーの「クララ!戻ってきて!」という叫び声が聞こえます。
クララは鍵で卵の箱を開けて中を見ます。
それはただのオルゴールでした。
映画『くるみ割り人形と秘密の王国』の感想と評価
驚異的な映像美
本作の魅力は何よりも『くるみ割り人形』の世界観を再現した、色彩豊かな美術ときめ細かい映像です。
ファンタジーの総本家ディズニーが本気で作ったおとぎの国の映像はスクリーンで見ないともったいないと言えます。
この映像美を構築している監督の一人、ジョー・ジョンストンは「スターウォーズ」シリーズから特殊効果をしている大ベテランでディズニーの実写特撮の元祖『ミクロキッズ』の監督でもあります。
また撮影監督は『ラ・ラ・ランド』でオスカーを獲ったリヌス・サンドグレンが担当しており、夢のような映像美が実現されています。
また、カクカク動くブリキの兵隊やねずみが集合体になって巨大な一匹のネズミになったり、マトリョーシカのように体が割れて次々と現れる道化など面白いビジュアルイメージも山ほど出てきて飽きません。
大胆かつハマリ役のキャスティング
王道のファンタジーですが、物語の重要な鍵を握るドロッセルマイヤーをモーガン・フリーマン、くるみ割り人形の格好をした兵隊フィリップをジェイデン・F・ナイトと黒人キャストが演じているのが独特なポイント。
多様性を重んじる近年のディズニーらしいキャスティングですが、たんなるポリティカルコレクトネスによる気遣いではなくベテランのモーガン・フリーマンも新鋭のジェイデン・F・ナイトも素晴らしい演技を見せています。
もう一人の監督、ラッセ・ハルストレムは『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』や『ギルバート・グレイプ』で知られる人間ドラマの名手で、今回もしっかりと実在感のある人物像を作り上げています。
キーラ・ナイトレイは今までのクールな女性像や苦難を乗り越えるヒロイン像とは違うエキセントリックな悪役を喜々として演じており必見です。
そして最も本作の価値を高めているのは主演のマッケンジー・フォイ。
若干17歳の彼女の今しか出せない可憐な魅力を振りまいており、一人の女優の貴重な瞬間を切り取ったアイドル映画としても素晴らしいものになっています。
主人公クララが冒険とともに心の傷を乗り越え、アイデンティティを確立して成長していく様は女優として発展途上のマッケンジー本人とも重なり、とても魅力的なキャラクターになっています。
彼女は今後もっと飛躍していくでしょうから、今の彼女の輝きをリアルタイムで見ておくのは重要なことです。
まとめ
本作のエンドロールではミスティ・コープライドとセルゲイ・ポルーニンによる非常に美しいバレエが披露されます。
最後の最後まで『くるみ割り人形』の世界観を作ることに余念がなく、大満足で劇場をでられること間違いなしです。
本作を見たあとはバレエの『くるみ割り人形』も見たくなってきます。
原作のパワーを何倍にも増幅させた、これぞディズニーと言える一作でした。