天孫降臨の地より日本の千年を撃つ!美しくパンクな幻想世界!片嶋一貴監督の4時間を超える大作は衝撃の連続の4章構成!
2017年まさに大作の名に相応しい『いぬむこいり』のクロニクルを有森也実が女優人生をかけて生きる!!
1.映画『いぬむこいり』の作品情報
【公開】
2017年(日本映画)
【監督】
片嶋一貴
【キャスト】
有森也実、武藤昭平、江口のりこ、尚玄ユリナ、笠井薫明、山根和馬、韓英恵、ベンガル、PANTA、緑魔子、石橋蓮司、柄本明
【作品概要】
『アジアの純真』『TAP 完全なる飼育』の片嶋一貴監督が、民間伝承の「犬婿入り」をモチーフに手がけたオリジナルストーリー。
何事も上手くいかない小学校教師の主人公・梓が、神のお告げによって訪れた島で、さまざまな煩悶と挫折を繰り返しながらも前に進んでいく姿を、シニカルかつ、エロスを交えながら全4章を構成した4時間を超える大作。
2.主演女優の有森也実のプロフィール
有森也実(ありもりなりみ)は、1967年12月10日生まれの神奈川県横浜市出身の日本の女優。スペースクラフト・エンタテインメント所属。
明治大学付属中野高等学校定時制卒業。中学3年生の頃にファッション雑誌の専属モデルとなり、芸能界デビュー。
1985年に小中和哉監督の『星空のむこうの国』にヒロインとしてスクリーンデビュー。
1986年に山田洋次監督の『キネマの天地』でもヒロイン役を演じ、第29回ブルーリボン賞新人賞、第10回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。
有森也実の出世作、山田洋次監督の『キネマの天地』
1989年に長谷部日出雄監督の『夢の祭り』や五社英雄監督の『226』に出演を果たします。1991年に放映されたテレビドラマ『東京ラブストーリー』に出演すると一躍注目をされます。
その後も森光子主演の『放浪記』などで舞台女優も務めている。
2002年に出版された写真集ではセミヌードを披露や、『新・仁義の墓場』でも大胆な濡れ場を演じました。
有森也実は新人女優としてスクリーンデビューした際に、あまりに当時は大型新人であったこと誰もが知ることです。
山田洋次監督の『キネマの天地』は松竹映画あげての渾身一昨でした。その主演を新人ながらに彼女は見事に勤め上げました。
その彼女が長いこと、女優業として大きなヒット作がなかったことは、ある意味で仕方のない事実かもしれません。
しかし、今回『いぬむこいり』に出演するにあたり、有森は演じることに相当悩んだそうです。しかも、それは自身の精神状態に深く関わるようなことでもあったようです。
しかし、今作は片嶋一貴監督にとっても大きな勝負をかけた4時間にも及ぶ大作。
有森はポスプロの編集作業の現場を訪れ、スタッフの姿勢を見て、自分はもっと頑張らなくてはいけないと強く感じたようです。それほどに彼女に取ってこの作品は、これまでのどの作品より女優として大きな意味を持った作品なのです。
『いぬむこいり』の有森也美の全身全霊の演技に注目しましょう。
3.片嶋一貴監督のプロフィール
片嶋一貴は栃木県宇都宮市出身で早稲田大学政経学部卒業した映画監督とプロデューサーも兼任するアーティスト。
大学在学中の8ミリ映画製作をきっかけに映画を志します。
1990年に若松孝二監督『我に撃つ用意あり』から若松プロに参加。
1995年に『クレィジー・コップ 捜査はせん!』にて初監督デビュー。1996年からプロデューサーとしての仕事を広げてていきます。
サブ監督『ポストマン・ブルース』、鈴木清順監督『ピストルオペラ』『オペレッタ狸御殿』など、オリジナリティ溢れる作品を次々に製作担当していきます。
一方で『鉄甲機ミカヅキ』『魔弾戦記リュウケンドー』など、テレビシリーズも積極的に手がけ特撮作品でも手腕を見せました。
2003年に映像企画制作会社ドッグシュガーを設立。自らの監督作品『ハーケンクロイツの翼』を製作。2008年に『小森生活向上クラブ』にて自身のスタイル確立する新境地を開拓します。
片嶋一貴監督『たとえば檸檬』(2012)
2011年に『アジアの純真』、2012年に『たとえば檸檬』2013年に『TAP 完全なる飼育』を監督。して、そのエッジの効いた映画感覚でファンを魅了しています。
片嶋監督は『いぬむこいり』に関して、初めから長尺の作品を作りたいという思いがあったそうです。
編集段階でカットして縮めた方が良いという判断に至ればそうしたが、『これはこれでいい』と判断したそうです。
また、4時間という時間にいろんな思いを込められたので監督としては良かったと語ったようです。
映画『いぬむこいり』のあらすじ
東京にある小学校で教師をつとめる梓(あずさ)には、実家に先祖代々伝わる物語がありました。
お姫様と軍功を上げた家来の犬が結婚するという不思議な犬婿伝説です…。
ある日、梓は学校で問題を起こしてしまい、長年にわたり交際をしていたフィアンセからも別れを告げられてしまいます。
しかもその際には大喧嘩となり警察沙汰にまでなっていまいます。何もかもが上手くいかない梓は落ち込んでフラフラと街に出ます。
その時、ふと、空からお告げの声が聞こえたのです。
「イモレ島へ行け。そこには、おまえが本当に望んでいる宝物がある」と…。
それを聞いた梓はすべてを捨て宝探しの旅に出ることにします。しかし、行く先々に厄介な苦難にあってしまうのです。
だが、梓はそれこそが、実家に代々伝わる伝説と関係があることに、少しず気が付き始めます。
オフビートなペテン師、ゴロツキ革命家、引きこもりの元ギタリスト、犬に変身する亡命王子など、どこか気のふれたような人物との出会うなかで梓にも新居の変化が現れるのです。
その人物たちとの別れの中で、それぞれの人生にも、また、固有の訳がある情熱と悲哀を見出した梓。
それは社会の抑圧そのものであり、梓自身も繰り返される絶望にそのことを目の当たりにして行くのです。
イモレ島の謎とは何か、 犬婿伝説とは、 なぜ梓にお告げがあったのか、また、望んでいる宝物とは何か。
沖之大島から無人島を経て悲劇のイモレ島へと向かう梓は、数々の煩悶と挫折を繰り返しながら、辿り着けない宝物を見つけに行く…。
しかし、その果てに愛と希望の光を見い出すことができるのか…。
映画『いぬむこいり』の見どころは?
梓が体験することとなる4つの場所にある4つの試練。
「犬婿伝説」をモチーフにシニカルな風刺とエロスが入り乱れる現代絵巻物を作り上げたことは、何よりものは見どころです。
このような作風は、リアルに描くことが現実に近いと思われる節がある今の時代には珍しい作風です。
片嶋一貴監督自身が、プロデューサーとして映画『ピストルオペラ』『オペレッタ狸御殿』にて、21世紀にも、あの鈴木清順ワールドを世に出した功績があります。
そのような今は亡き清順ワールドを彷彿させる強烈なメッセージ性は、何が真のリアルであり、事実であるか、現実性に強く問いかける作品となっています。
撮影には青山真治監督『EUREKA(ユリイカ)』や、河瀬直美監督『萌の朱雀』で知られる、たむらまさきを起用。彼の美しい映像美が見る者を魅了します。その日本映画に深く根着いた映像の豊かさにも注目してください。
主演を務めた有森也実は、片嶋の前々作『たとえば檸檬』にて、依存症である女性の苦悩や絶望を見事に演じました。
片嶋作品には4本目の出演となる今作では、犬男との異種恋愛という奇妙な関係を全身で受け止めての熱演は、ファンならずとも息を飲むことでしょう。
彼女の大胆となった新たな女優への新境地は、これまでの清純派のイメージを一切払拭させてくれました。まさに日本人女優の避ける修羅場を越えた有森には大きな拍手とエールを送りたいです。
その他、一種異様な存在感を放つ出演者には、緑魔子、PANTA、石橋蓮司、柄本明など、ひとクセ、ふたクセある個性派ぞろいです。
これこそが「犬婿入り」の民話伝承を神話にまで昇華させた俳優陣のキャラクターであり、神話スペクタクルとも言えるでしょう。
片嶋一貴監督ワールドを、決して見逃してはなりません!
まとめ
『いぬむこいり』は、2017年5月13日より、東京の新宿K’s cinemaをスタートに全国順次公開です。
ぜひ、何がリアルなのか?なぜ神話なのか?
劇場にて4時間となる片嶋一貴監督の渾身の大作を、ぜひ、ぜひ、お見逃しなく!