『夜のスカート』は2022年12月2日(金)シモキタエキマエシネマ『K2』公開、他全国順次公開
俳優の小沢まゆが企画・プロデュース・主演を務めるヒューマンドラマ『夜のスカート』が2022年12月2日(金)シモキタエキマエシネマ『K2』にて公開、他全国順次公開されます。
演出を担当したのは『たまらん坂』(2022)の小谷忠典。
母親を亡くした主人公の実佳が、30年ぶりに再会した小学校時代の同級生・秋生との心の交流を通して心癒されていく姿を描きます。
映画『夜のスカート』の作品情報
【公開】
2022年(日本映画)
【企画・プロデュース】
小沢まゆ
【脚本】
小谷忠典、堤健介
【監督・編集】
小谷忠典
【出演】
小沢まゆ、木村知貴、新井葵来、南久松真奈、岩原柊、新井麻木
【作品概要】
『少女 an adolescent』(2001)『左様なら』(2019などに出演する俳優・小沢まゆが初プロデュースと主演を務めるヒューマン映画。
『たまらん坂』(2022)、『フリーダ・カーロの遺品 石内都、織るように』(2015)の小谷忠典が監督を務めます。
ある心残りを抱えるヒロインが小学校時代の同級生と再会し、心を通わせていくさまが描かれます。
共演は『マニアック・ドライバー』(2022)の木村知貴。
映画『夜のスカート』のあらすじ
美容師をしているアラフォーの独身女性・実佳は、ガンで亡くなった母の遺品整理をしている時に母のスカートを見つけて手に取ります。
ある日、実佳の勤め先の美容院に、子連れの男性が来店しました。彼女はすぐに彼が小学校時代の同級生の秋生であることに気づきます。
娘の文奈は実佳に髪を切ってもらいながら、自分の母親が出ていったきり帰ってきていないことを話しました。
その日は実佳に気づかないまま秋生は帰って行きましたが、後日彼が一人で来店します。
30年ぶりに再会したふたりは一緒にお茶を飲みながら思い出話に花を咲かせ、連絡先を交換しました。
その夜、帰宅途中に見知らぬ男に襲われ金を奪われた実佳は秋生に電話で助けを求めますが、駆けつけてきた彼はなぜかスカートをはいており……。
映画『夜のスカート』の感想と評価
母を象徴するスカートという存在
じんわりと静かな感動がさざなみのように押し寄せ、心に染み入るドラマです。37分という短い作品ですが、ヒロインの心の移り変わりが鮮やかに丁寧に描かれます。
主人公の実佳はガン闘病中だった母を亡くし、ひとりきりになったばかりのアラフォーの独身女性です。母を失った喪失感、とらわれてきた緊張からの解放感、そして長年闘病を支えてきたために婚期を逃した現実など、演じる小沢まゆの瞳には実佳の抱くいろいろな思いが映し出されます。
遺品整理でみつけた母のスカートや、古いアルバムを見て寂しさを噛みしめる実佳。幼い子どもはいつも母親のスカートの裾を持って歩いたり、なにかに怯えた時にはスカートの陰に隠れたりするものです。スカートは母の象徴であり、自分を守ってくれる存在だったに違いありません。
実佳が働く美容室に、偶然小学校時代の同級生だった秋生がやって来ます。彼は妻と別れてひとりで幼い娘を育てていました。
母親との昔の思い出に、秋生と過ごしていた頃の小学校時代の記憶が重なる実佳。教室での席順や給食時のエピソードなど、郷愁を感じるシーンがよみがえり、実佳の心が一気に過去に帰って行く様子が伝わってきます。
そんな秋生がスカートをはいて実佳の前に現れたことから、物語は思いがけない方へと展開していきます。
心に傷を持っていながらも変わらず陽気で心やさしい秋生を木村知貴が好演。彼が醸し出すなんともいえないおかしみが、実佳の心の痛みを癒していきます。
人はこうして思いもかけない人やモノによって救われていくのかもしれないと教えられる作品です。
まとめ
長年母の闘病生活を支えてきた末に母を失くしたヒロインが、深い喪失感から少しずつ再生していくさまを描く『夜のスカート』。
母を象徴する存在であるスカートを通して、彼女の心の変遷を鮮やかに描き出します。
シリアスな中にどことなく漂うユーモラスな空気感が心地よく、観終えた後はあたたかな思いに包まれる一作です。
ヒューマンドラマ『夜のスカート』は2022年12月2日(金)シモキタエキマエシネマ『K2』にて公開、他全国順次公開予定です。