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『予兆 散歩する侵略者 劇場版』第68回ベルリン国際映画祭に正式出品決定!

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  • Cinemarche編集部

黒沢清監督ファンのあなたに吉報です!映画『予兆 散歩する侵略者 劇場版』が、2018年2月15日から25日まで開催される第68回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門に正式出品に決まりました。

映画『散歩する侵略者』の第70回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門正式出品に加え、同作から派生した本作『予兆 散歩する侵略者 劇場版』の関連作品が揃って歴史ある三大国際映画祭へ招待されるという快挙。

これは極めて稀な出来事を成し遂げました!

1.映画『予兆 散歩する侵略者 劇場版』


(C)2017「散歩する侵略者」スピンオフ プロジェクト パートナーズ

本作はWOWOWFILMSの『散歩する侵略者』のスピンオフ作品で、2017年9月にWOWOWのオリジナル番組として制作された各話30分、全5話のドラマを劇場公開用に再編集!

また、音声をドルビーデジタル5.1にアップグレードして11月11日に全国公開した作品です。

映画『散歩する侵略者』は、劇作家・前川知大率いる劇団「イキウメ」の人気舞台を、国内のみならず、海外で注目を集める黒沢清監督が映画化した作品です。

そのスピンオフ作品の『予兆 散歩する侵略者 劇場版』は、同じく黒沢清監督の演出のもと、映画の世界観を活かしながらも新たな設定・キャストによる、より侵略の恐怖にフォーカスした物語が本家以上の黒沢清ワールドが展開されています。

2.映画『予兆 散歩する侵略者』作品情報


(C)2017「散歩する侵略者」スピンオフ プロジェクト パートナーズ

【公開】
2017年(日本映画)

【監督】
黒沢清

【キャスト】
夏帆、染谷将太、東出昌大、中村映里子、岸井ゆきの、安井順平、石橋けい、吉岡睦雄、大塚ヒロタ、千葉哲也、諏訪太朗、渡辺真起子、中村まこと、大杉漣

【作品概要】
黒沢清監督が劇団「イキウメ」の舞台を映画化した『散歩する侵略者』(17)のスピンオフとして制作され、WOWOWで放送&ネット配信された全5話のドラマ『予兆 散歩する侵略者』の劇場版。

悦子のところに後輩が訪ねてくるが、彼女の家には幽霊がいるという。彼女はどうやら「家族」の概念を失ってしまったらしい。そんな折、夫が勤める病院で、悦子は真壁という奇妙な医師と出会う。

3.映画『予兆 散歩する侵略者』のあらすじ


(C)2017「散歩する侵略者」スピンオフ プロジェクト パートナーズ

山際悦子が仕事から帰宅すると、先に帰宅していた夫の辰雄がベランダでぼんやりとたたずんでいました。いつもと何か様子が違うように見えましたが、辰雄はなんでもないと否定します。

それはほんのちょっとした違和感から始まったのです。

悦子は職場の工場で同僚の葉子に何見てるの?と声をかけられます。悦子は空を見ていました。「ちょっと気になって」。

工場長の粕谷がやってきましたが、右手に持った帳簿を二度も落とし、葉子は呆れたような目を悦子に送ってきました。

悦子が倉庫で探し物をしていると、非番のはずの浅川みゆきがそばに立っていました。「今晩泊めてもらっていいですか?」

その理由を聞くと「怖いんです」と彼女は答えました。「何が?」「幽霊が。」

彼女は話し出しました。今家にいるのはそうとしか考えられないと。見た目は普通の人なのに、誰だかわからない。なのに、当たり前のようにそばにいる。これって見てはいけないものを見ているっていうことですよね?

悦子は自宅にみゆきを連れ帰りました。辰雄が帰ってきたのを見て、みゆきは恐怖の表情を浮かべました。「悦子さんは平気なんですか? 今の男の人みたいなああいうの、ここにもいるんですね」

翌日、悦子はみゆきに連れられてみゆきの家にやってきました。インターホンを押すと、彼女の父親らしき人が出てきましたが、みゆきは隠れてしまい、悦子だけが家にあがりました。

男はれっきとしたみゆきの父親のようでした。急によそよそしくなり、最近では見るのもいやだという態度を取る、母親が死んで10年になるが、手塩にかけて育ててきたつもりです、なんでこんなことにと父親は嘆くのでした。

その時、庭の方で音がするので、父親がカーテンを開けると、そこにいたみゆきが激しく悲鳴をあげました…

つづきの詳細なあらすじと映画解説は以下のバナーをクリックしてお読みください!

4.ベルリン国際映画祭に正式出品決定の黒沢清監督とキャストコメント!


(C)2017「散歩する侵略者」スピンオフ プロジェクト パートナーズ
本作『予兆 散歩する侵略者』の演出を務めた黒沢清監督は、この快挙の喜びを次のように語っています。

この会心の一作をベルリンの観客に披露するのが今から楽しみです。彼らはまず、日本映画にこんなものがあるのだということに驚き、そして登場人物たちにのめり込み、最後は震え上がることでしょう。 黒沢清監督

また、この作品に出演したキャストは喜びを次のように語ります。

映画『散歩する侵略者』のスピンオフドラマとして作られたこの作品が、この秋には一本化して劇場公開になり、さらにはベルリン国際映画祭への出品が決まったと聞いて、この作品の持つ力を感じています。じわじわと日常を侵略されていく恐怖、大切なものを守りたいという想いは、国境関係なく伝わるのではないかと思います。黒沢組に参加できたこと、この作品に関わるすべての人に感謝です! 夏帆

黒沢監督のこの静かで強烈な作品がベルリン国際映画祭を侵略するのを楽しみにしています。インターナショナルな場でさらに栄える作品だと思いますのでとても意義のある出品だと感激しております。ベルリンのお客さん方が凍え上がるのを期待しています。 染谷将太

栄誉ある映画祭で上映できることを、 大変嬉しく思います。ホラーなのか、SFなのか、人間ドラマなのか、ジャンル分けが難しい様に思いますが、不穏な空気の奥底にある一種の痛快さを、海外のお客様に楽しんで頂けたら幸いです。 東出昌大

黒沢組に参加された全てのスタッフとキャストの皆さんに、「ベルリン正式出品おめでとうございます!」。

まとめ


(C)2017「散歩する侵略者」スピンオフ プロジェクト パートナーズ

2017年9月9日公開『散歩する侵略者』のアナザー・ストーリーとして、WOWOWで放送&ネット配信された全5話のドラマを、映画『予兆 散歩する侵略者 劇場版』としてまとめ、待望の劇場公開されています。

黒沢清監督やキャスト、また黒沢組スタッフとともに喜びをわかち合うためにも、本作『予兆 散歩する侵略者 劇場版』をご覧になりませんか。

WOWOWの連続ドラマの方も観たあなたも、続けて劇場で映画としての形で観る方が断然面白いはずですよ。

ぜひ、劇場に足を運びませんか?オススメの作品です!

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