Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2019/01/24
Update

佐藤健映画『サムライマラソン』あらすじネタバレと感想。“洋の東西の懸け橋”ジェレミー・トーマスに注目!

  • Writer :
  • 村松健太郎

史実に基づく幕末エンタテインメント作品に豪華オールスターキャストと、アカデミー賞スタッフが集結!

映画『サムライマラソン』2019年2月22日(金)全国ロードショー

日本で最初のマラソンと呼ばれる“安中遠足(とおあし)”を、豪華な俳優陣と国際的なスタッフで映画化。

主演に佐藤健を共演の染谷将太、森山未來、長谷川博己、小松菜奈、青木崇高、豊川悦司が支えます。

監督はカルトホラー『キャンディマン』や『不滅の恋ベートーヴェン』『アンナ・カレーニナ』のバーナード・ローズ監督。

本家アカデミー賞に絡んだスタッフが集結した世界に通じるサムライ映画作品となっています。

映画『サムライマラソン』の作品情報


(C)“SAMURAI MARATHON 1855”FILM Partners

【公開】
2019年(日本映画)

【原作】
土橋章宏『幕末マラソン侍』

【企画・プロデュース】
ジェレミー・トーマス、中沢敏明

【脚本】
斎藤ひろし、山岸きくみ

【脚本・監督】
バーナード・ローズ

【キャスト】

【衣装】
ワダエミ

【音楽】
フィリップ・グラス

【作品概要】
日本の“マラソンの発祥”といわれる史実「安政遠足(あんせいとおあし)」を題材に、『超高速!参勤交代』の原作と脚本で知られる土橋章宏が執筆した小説『幕末まらそん侍』を映画化。

主演の佐藤健をはじめ日本を代表する豪華キャスト陣の共演は見どころ。また『ラストエンペラー』で知られるジェレミー・トーマスと、『おくりびと』などで海外でも知られる中沢敏明が企画・プロデュースを手がけた点は要注目。

監督を『キャンディマン』『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』のバーナード・ローズ。

そのほかのスタッフも音楽を『めぐりあう時間たち』のフィリップ・グラス、衣装デザインを『乱』のワダエミが担当する豪華版。


映画『サムライマラソン』のキャラクターとキャスト


(C)“SAMURAI MARATHON 1855”FILM Partners

唐沢甚内(佐藤健)
安中藩の勘定方の藩士。しかしその正体は爆分の隠密。

雪姫(小松菜奈)
絵描きを目指す安中藩藩主の姫。

辻村平九郎(森山未來)
安中藩側用人、雪姫との縁談が持ち上がる。

上杉広之進(染谷将太)
剣客で知られる安中藩足軽。

植木義邦(青木崇高)
唐沢の上司で腰痛持ち。

栗田又衛門(竹中直人)
安中藩の老藩士。

五百鬼裕虎(豊川悦司)
ペリー提督率いる黒船の一団と相対する幕府の大老。

板倉勝明(長谷川博己)
安中藩藩主、藩士の鍛錬のために遠足を企画する。

映画『サムライマラソン』のあらすじとネタバレ


(C)“SAMURAI MARATHON 1855”FILM Partners

江戸幕府が開かれて260年、アメリカ海軍ペリー提督率いる4隻の黒船が襲来して太平の世を大いに揺さぶります。

安中藩板倉勝明は、侍の心身を鍛えるために15里に渡る遠足(とおあし)を開催します。

この名を受けた藩士唐沢甚内は、胸中穏やかではありません。

彼は妻子にも隠していた秘密を抱えていました。彼の一族は代々公儀隠密の身でした。

当初は勝明の企みが謀反につながるのではと考えた甚内は、ひそかに幕府・大老五百鬼(いおき)に密書を送りますが、勝明の狙いはただの鍛錬でしかありませんでした。

以下、『サムライマラソン』ネタバレ・結末の記載がございます。『サムライマラソン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)“SAMURAI MARATHON 1855”FILM Partners

甚内は便りが江戸に届いてしまったことを知ると、遠足に参加しながら、密かに送られてくるであろう幕府方の刺客を何とか抑えることを覚悟します。

遠足には藩主勝明の娘・雪姫との縁談が持ち上がっている側用人の辻村、健脚で知られる足軽の上杉、かつての同僚の息子とともに走る老藩士の栗田も加わっていました。

過酷な遠足が始まります。腰痛を理由に早々に脱落した甚内の上司の植木も実は隠密であったことが分かり甚内はことを収めるために植木と刃を交えます。

関所を破ってきた刺客たちに対して甚内から事情を聴いた辻村、上杉、雪姫たちが立ち向かいます。

勝明に迫る刺客を何とかしのいでいく安中藩士達。その姿を見て勝明はこれから西欧列強に対峙することになる厳しい時代が来ても耐え抜けることを確信するのでした。

映画『サムライマラソン』の感想と評価


(C)“SAMURAI MARATHON 1855”FILM Partners

“洋の東西の懸け橋”ジェレミー・トーマス

本作『サムライマラソン』。主演の佐藤健以下オール日本人キャストの時代劇

その一方で監督は、1992年公開の『キャンディマン』といったカルトホラーから史実まで手広く手掛けるバーナード・ローズ監督。

音楽のフィリップ・グラスは『めぐりあう時間たち』(2003)でアカデミー賞でノミネートを受け、衣装のワダエミは黒澤明監督『乱』(1985)でアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞し、アジア圏を中心に世界レベルで活躍しています。

ハリウッド映画と言われてもおかしくないこのスタッフ陣をまとめ上げたのが、プロデューサーのジェレミー・トーマス

デビッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけし出演の大島渚監督作品『戦場のメリークリスマス』(1983)で国際的な評価を受けます。

その後、キャスト・スタッフ・テーマで洋の東西を縦断させるようになりアカデミー賞9部門ノミネート9部門受賞のベルナルド・ベルトルッチ監督作品『ラスト・エンペラー』(1987/坂本龍一が音楽賞受賞)

北野武監督作品『BROTHER』(2001)など手掛け、近年では三池崇史監督の『十三人の刺客』(2010)『一命』(2011)『無限の住人』(2017)と立て続けにプロデュースしています。


(C)“SAMURAI MARATHON 1855”FILM Partners

本作『サムライマラソン』も、竹中直人の初監督作品『無能の人』のプロデューサーでもある中沢敏明との共同企画であり、共同プロデュースです。

清朝最後の皇帝の物語をイタリア人監督のベルトルッチ監督に描かせ、サムライのマラソンをイギリス出身のバーナード・ローズ監督に撮らせる。

洋の東西の懸け橋役長年勤めてきたジェレミー・トーマスならではの発想の賜物ですね。

まとめ


(C)“SAMURAI MARATHON 1855”FILM Partners

佐藤健いよいよ30代へ

2018年末に公開された『仮面ライダー平成ジェネレーションFOREVER』に10年ぶりに仮面ライダー電王=野上良太郎役で登場して大きな話題を呼んだ佐藤健

彼も今年2019年で30歳になります。

ファニーフェイスということもあってか『バクマン。』(2005)や『いぬやしき』(2018)で高校生を演じたりもしていますが、気が付けば精悍な顔つきと貫録を醸し出す佇まいの持ち主となりました。

『るろうに剣心』三部作以降アクションもいけるという事が証明され、今後の時代劇の担い手になってくれるかもしれない存在になりつつあります。

岡田准一や小栗旬などトップスターもアクションを自分でこなすようになってきた今、その後を継ぐ頼もしい存在になりつつあります

30代の佐藤健にはより一層楽しみが増すばかりです。




関連記事

ヒューマンドラマ映画

映画『赤色彗星倶楽部』あらすじ/キャスト/上映館情報。ポレポレ東中野にて自主映画おすすめ作品公開!

赤い彗星を巡る青春群像劇。 PFFアワード2017で日活賞&映画ファン賞を受賞した、自主制作映画作品をご紹介します。 ポレポレ東中野にて2月10〜16日の連日レイトショーで1週間限定公開です …

ヒューマンドラマ映画

『アウシュヴィッツ・レポート』ネタバレ結末感想と考察。ホロコーストの悲劇と現代のヘイト問題を結ぶ人間ドラマ

ホロコーストの真実を伝えた2人のユダヤ人を描く衝撃の実話 映画『アウシュヴィッツ・レポート』が、2021年7月30日(金)より新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。 ホロコーストから逃れた2人のユダヤ人によ …

ヒューマンドラマ映画

【ネタバレ】生きる(映画リメイク/海外)あらすじ感想評価と結末解説。ラストシーンは黒澤明の“問い”へのカズオ・イシグロの“答え”

巨匠・黒澤明の名作が再び! 愚直な男が最期を知り、人生に輝きを取り戻す物語。 今回ご紹介する映画『生きる LIVING』は、1952年の巨匠・黒澤明監督による名作『生きる』のリメイク作。ノーベル賞作家 …

ヒューマンドラマ映画

【ネタバレ】カラオケ行こ!|あらすじ感想と結末の評価解説。綾野剛演じるヤクザと男子中学生の友情

変声期に悩む男子中学生と歌が上手くなりたいヤクザの友情を描いたハートフルコメディ 和山やまの人気コミックを、『リンダ リンダ リンダ』(2005)の山下敦弘監督が映画化。 『ヤクザと家族 The Fa …

ヒューマンドラマ映画

映画『お茶漬の味』あらすじネタバレと感想。小津安二郎代表作で夫婦のすれ違いを描く

「夫婦とはお茶漬の味のようなものだ」 小津安二郎の1952年の作品『お茶漬の味』(1952)は、1951年の『麦秋』と1953年の『東京物語』の間の作品で、脚本の野田高梧とともに、小津の円熟味が増した …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学