ユーモラス、かつソリッド!しりあがり寿、岡田利規ら各方面の表現者たちから絶賛をされる唯一無二の映像ワールド。
知られざる奇才といわれる大力拓哉と三浦崇志コンビ監督の代表作である、映画『二コトコ島』&『石と歌とペタ』が遂に、10月14日(土)より、イメージフォーラムにて劇場公開されます!
CONTENTS
1.大力拓哉&三浦崇志監督の作品とは
2007年に映画『タネ』にてデビューして以来、コンビを組みながら作品を発表し続けてきた大力拓哉と三浦崇志監督。
イメージフォーラムフィルムフェスティバル2009で大賞を受賞や、第62回ロカルノ国際映画祭コンペティション部門に招待された『ニコトコ島』は、細緻で大胆な構図によるモノクロームのビジュアルが印象的な作品です。
監督ら自身が出演も果たし、大阪弁の不可思議なモノローグが続く中、3人の男がフェリーに乗って謎の島を旅するという物語です。
予告編では登場人物たちが、「山とは何なのか?」などの詩的で奇妙な掛け合いの会話は、一見、他愛の無い言葉のやり取りをした後に「僕ら、もしかして何にも分かってないんちゃうん」という台詞が映画全体を貫く通奏低音のように印象的です。
また続いて流れる映画『石と歌とペタ』は、第7回ローマ国際映画祭で招待上映された作品。『ニコトコ島』とは打って変わり、軽快な音楽とビビッドなカラー作品でセンスを見せいます。
物語は「石」と「歌」、そして全く正体不明の「ペタ」と名乗る者たちが“どこかへ向かう”ロードムービー。
「石」「歌」「ペタ」と名乗ってはいるものの、やはり監督自身らがそのまま登場しています。
森に行き、草原を走り、まるで子どものように遊び続ける彼らは、どこに向かっていくのか? 「死ぬときは死ぬもんなあ。もっと遊ばななあ」という劇中の台詞からも分かる通り、今作は彼らの見せる青春映画なのかもしれません。
海外の高い評価にもかかわらず、国内では映画祭以外ほとんど上映されてこなかった2作品が遂に一般公開されるのです。
世界でも類を見ないオリジナリティを発揮し続けている大力拓哉&三浦崇志監督の作品特徴は、引き延ばしたような無為の時間に遊びながら、「ひとはなぜ生きるのか」「死とは何か」という根源的な問いを軽やかに問い続けます。
2.大力拓哉&三浦崇志監督のプロフィール
大力拓哉(左) / 三浦崇志(右)
ともに1980年大阪府出身で、2人は小学校からの幼なじみです。
2007年に『タネ』がイメージフォーラム・フェスティバルにて入賞。
2008年に第4回シネアストオーガニゼーション大阪 (CO2)助成作品として、中編『僕達は死んでしまった』を製作します。
また同年に自主製作した中編『ニコトコ島』は、イメージフォーラム・フェスティバル2009にてグランプリの大賞を受賞、第62回ロカルノ国際映画祭のコンペティション部門「Filmmakers of the Present」に選出されます。
2009年に制作をはじめた『コロ石』(2010)は、パリのポンピドゥー・センター(国立美術文化センター)で上映されます。
『石と歌とペタ』(2012)は、第7回ローマ国際映画祭「CINEMAXXI」コンペティション部門で上映されました。
その後も毎年新作を製作しながら、唯一無二の世界を常に発信し続けています。
大力拓哉&三浦崇志フィルモグラフィー (全て共同監督)
映画『コロ石』予告編
『僕の心の中には、いつも雨が降っている』 (2005/34 分/カラー/DV)
『タネ』 (2007/50 分/モノクロ/DV)
『僕達は死んでしまった』 (2008/55 分/モノクロ/DV)
『ニコトコ島』 (2008/47 分/モノクロ/DV)
『コロ石』 (2010/61 分/モノクロ/DV)
『石と歌とペタ』 (2012/60 分/カラー/DCP)
『Road Movie』 (2014/61 分/モノクロ/DV)
『今日も順調』 (2015/116 分/カラー/DV)
『ほなね』 (2016/72 分/カラー/DV)
『Monologues』 (2016/34 分/カラー・モノクロ/DV)
3.映画『ニコトコ島』の作品情報
【公開】
2008年(日本映画)
【脚本・監督】
大力拓哉、三浦崇志
【キャスト】
松田圭輔、大力拓哉、三浦崇志
【あらすじ】
大力・松田・三浦の3人は船に乗ります。彼らは“どこか”へ向かいます。
ある島に到着した3人は、どこへ向かうでもなく、おしゃべりしながら岩山や森を歩き続けます。
誰か1人が死んでも彼らは歩き続けます…。
映画『ニコトコ島』予告編
4.映画『石と歌とペタ』の作品情報
【公開】
2012年(日本・フランス合作映画)
【脚本・監督】
大力拓哉、三浦崇志
【キャスト】
松田圭輔、大力拓哉、三浦崇志、中尾広道
【あらすじ】
石と歌とペタの3人は、出会い、一緒に旅をします。
“目的地があるから迷う”ということに気付いた3人は、目的を「いろんなところへ行く」に変更します。
話したり、遊んだり、歌ったり、夢を見たりしながら、3人の現実と非現実の狭間の旅は、終わることを知らない…。
映画『石と歌とペタ』予告編
5.映画『二コトコ島』&『石と歌とペタ』の感想レビュー
漫画家のしりあがり寿は『ニコトコ島』を観た際に次のような感想をコメントで語っています。
「「デジタル」とか「パソコン」の時代に、すごく手作り感あふれる映像で、一つの画面の中にちっちゃーな事から、大きな事まで、くだらなーい事から、大切な深ーい事まで入っていて、それがユーモラスに語られて長い時間飽きさせない。素晴らしいとおもいましたね。新鮮なスタイルの作品で、「オレもああいうの作ってみたい」と思う人がこれからどんどんでてきそうな、新しい可能性を感じました。」
演劇作家で小説家でもあるチェルフィッチュ代表の岡田利規は、『二コトコ島』と『石と歌とペタ』を併せた感想を、次のようにコメントとして語っています。
「『ニコトコ島』も『石と歌とペタ』も、出てくる三人組は生半可なこどもみたい。もしくは、生半可な原始人。退屈さとたわ むれる、ということだけをしている。それだけをして生きているような、夢を造形した映画。わたしが彼らから目が離せ なかったのは、たぶん羨ましかったからなんだろう。
意味の無い、目的の無い、価値の無い、その自由。
彼らの生半可さは挑発的で、かつ魅惑的だ。」
しりあがり寿と岡田利規の2人とも、この映画についての感想を的確に述べているように感じます。
大力拓哉と三浦崇志のコンビ監督が制作した『ニコトコ島』と『石と歌とペタ』が、それだけ観る者に想像を促すような一般的とは“異なるズレ”があるからでしょう。
それは予告編からも観てとれる独特な雰囲気や間合いのリズムを映画全体に引き延ばされているからです。
そこで観客はこの“異なるズレ”を自分なりに静かに共感としていくからです。
挑発的で魅惑的、可能性という自由があるのかもしれませんね。
まとめ
大力拓哉と三浦崇志のコンビ監督が制作した『ニコトコ島』と『石と歌とペタ』を劇場で見られる貴重な機会です。
また、漫画家のしりあがり寿、演劇作家の岡田利規も絶賛する唯一無二の映像ワールド!
ぜひ、10月14日(土)より劇場公開されます。お見逃しなく!