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Entry 2021/03/17
Update

鬼滅の刃遊郭編名シーン/名言3|堕姫・妓夫太郎感動の名場面を漫画ネタバレで復習【鬼滅の刃全集中の考察10】

  • Writer :
  • 薬師寺源次郎

連載コラム『鬼滅の刃全集中の考察』第10回

大人気コミック『鬼滅の刃』の今後のアニメ化・映像化について様々な視点から考察・解説していく連載コラム「鬼滅の刃全集中の考察」。

前回前々回記事に引き続き、本記事でも2021年3月時点で最も注目を集めているであろう「遊郭編」の名言・名シーンをご紹介。

多くのファンに笑いと感動をもたらしてくれた名言・名シーンを振り返りながら、2021年のテレビアニメ放送を控える「遊郭編」のストーリーを予習・復習していきます。

【連載コラム】『鬼滅の刃全集中の考察』記事一覧はこちら

「考えろ考えろ 自分にできる最大のこと」

雛鶴を殺めようとする妓夫太郎を前に、炭治郎は彼女を助けるべく思考を巡らせますが妙案が浮かびません。しかしこのセリフを胸中で叫んだ直後、炭治郎は水の呼吸とヒノカミ神楽を組み合わせた技を思いつき、雛鶴の救出に成功します。

刻一刻と雛鶴に迫る凶刃に、かつて煉獄を失った過去を持つ炭治郎の焦りと必死さが強く伝わって来るこのセリフ。そして雛鶴の救出を起点に、炭治郎たちは徐々に形勢を逆転していく事となったため、そのきっかけを象徴するセリフでもあります。

「幸せかどうかは自分で決める 大切なの“今”なんだよ 前を向こう 一緒に頑張ろうよ 戦おう」

戦いの最中、僅かな時間気を失った炭治郎が過去の出来事を夢の中で回想します。その中で、禰豆子が炭治郎が放った言葉です。

責任感が強く、優しい炭治郎は父・炭十郎の亡き後、家族に楽な生活をさせてやれないことを後ろめたく感じていました。しかし、禰豆子はある日、涙をにじませながらもこの言葉を兄・炭治郎に告げたのです。

家族でありながら一人で抱え込み、苦労を共有させてくれない炭治郎にある種の怒りとそれ以上の淋しさを感じていた禰豆子。彼女からの思いもよらない言葉は、炭治郎にとって衝撃的だったことと思います。

この回想場面によって、危機的状況でも無意識に「自分が何とかしなければ」と感じていた炭治郎は、仲間たちと共に立ち向かう事ができるのだと気が付きます。その後の堕姫・妓夫太郎の撃破に向けて、炭治郎の心境の変化を表す重要なセリフとなっています。

「「譜面」が完成した!!! 勝ちにいくぞ!!!」

堕姫・妓夫太郎に対し、最後の攻勢をかける炭治郎達を鼓舞するように叫んだ宇髄の名言です。

「譜面」とは、超人的な聴力によって相手の攻撃動作の律動を分析し、脳内で「音」に変換することで敵の戦闘時のクセや死角を読み取るという宇髄独自の戦闘計算式を表した言葉であり、その「完成」はすなわち“勝利の目前”を意味しています。

この時の宇髄は左手を失い、妓夫太郎が操る毒が体中に廻り視界も定かではなくなっており、自らの死が近いことを悟っています。

それでも炭治郎を庇いつつも髪を振り見出し、血を吐きながらも笑みを浮かべ高らかに叫ぶ姿は宇髄の最高に“派手”でカッコいい名言ではないでしょうか。

このセリフと宇髄の姿に感化され、炭治郎たちはとうに限界を超えた肉体にさらに鞭打ち、堕姫・妓夫太郎との最後の攻防へと突入していきます。

「嘘だろ? 何も言い残せず死ぬのか俺…」

堕姫・妓夫太郎を倒した後、毒により死期が近づく宇髄が妻たちに言葉を残そうとするも、泣きわめく須磨に妨害されてしまい、薄れゆく意識の中その内でつぶやいたセリフです。

この場面の前には、禰豆子の血気術「爆血」により妓夫太郎の毒が浄化できると判明していたため、非常にコミカルな場面となっています。

“ド派手”を信条とする宇髄が“地味”に生涯を終えようとしている事に対する絶望が感じられ、どこまでも宇髄らしさが感じられるセリフとなっています。

「本当はそんなこと思ってないよ 全部嘘だよ」

首を斬られ、死期が近づく堕姫と妓夫太郎は責任を押し付け合って口論に。心無い言葉を言い合う中、二人の間に割って入った炭治郎が優しく語りかけた言葉です。

鬼ではあるものの、堕姫と妓夫太郎の兄妹が強い絆で結ばれていることを知っている炭治郎は、自身も兄として妹・禰豆子を想っているだけに、他の鬼にはない感情をこの二人に抱いていたのではないでしょうか。

人に仇なす鬼であっても、互いを想い合う兄妹の最期が、悲しく寂しい別れであってはならないと感じた炭治郎。それは彼にとってごく当たり前の事だったのかもしれませんが、この言葉によって堕姫と妓夫太郎は、互いがかけがえのない兄妹であったことを思い出す事になります。

「何回生まれ変わってもアタシはお兄ちゃんの妹になる絶対に!!」

死の間際、一人で地獄へ向かおうとする妓夫太郎に拒絶されながらも、後を追う堕姫……梅が、妓夫太郎に縋りつきながら叫んだ言葉です。

死後の世界へ向かう途中、堕姫と再会した妓夫太郎。しかし、堕姫が鬼になる以前の少女・梅の姿であることに気が付き、自身が向かう地獄ではなく、“光さす場所”(極楽と推定されるが原作では明言されていない)へ行かせようと兄妹の縁を切ろうとします。

妓夫太郎は人間であった時、自身の影響で粗暴な性格に育った梅には、良い環境でさえ生まれていたらもっと別の未来があったのではと感じていました。そして、人としての梅の姿を目にしたことで、妹は良い環境、つまり“光さす場所”で生まれ変われると考えたのです。

しかしそんな彼の想いを察するべくもなく、後を追い泣きじゃくる梅の姿に、妓夫太郎は人であった頃の「ずっと一緒にいる」という妹との約束を思い出し、梅を連れ地獄へ向かう事にしたのです。

この二人の運命は、多くの人の命を貪ってきた鬼として当然の結末なのかもしれませんが、互いを想い合う兄妹として、炭治郎と禰豆子にも劣らない兄弟愛が感じられる場面であり、「遊郭編」において最も感動的な場面でもあります。

「褒めてやってもいい」

激闘を終えた宇髄に対し、遅れてやってきた“蛇柱”伊黒小芭内が言う言葉です。

上弦の鬼を倒したと言う快挙を成し遂げたにも拘らず、ネチネチと小言を言い募った挙句、上から目線でこのセリフを放ちますが、表情は一切褒めていないという、まさに迷言です。

流石の宇髄も呆れており、宇髄の妻たちからの非難がさらに笑いを誘うコミカルな場面となっています。

「私が嫌いなものは“変化”だ」

“上弦の陸”堕姫・妓夫太郎が倒されたことにより、鬼の始祖にして首魁の鬼舞辻無惨は残りの“上弦”の鬼達を招集。その際に放った一言です。

“上弦”の鬼が倒されるという「変化」を不快に感じる無惨は、自身が命じた産屋敷耀哉の居場所と「青い彼岸花」の存在の探索が進んでいないことへの苛立ちも相まって、“上弦”の鬼達の存在意義にも疑問を持っていることを告げます。

氷のように冷酷な無惨らしい言葉ではありますが、裏を返すと堕姫・妓夫太郎を倒され、これまで拮抗していたバランスが崩れ始めている事、そして自身の目的に未だ到達する兆しがない事に焦りを感じていると見ることもできます。

「目が覚めて良かった」/「炭治郎寝たから静かにして!」

いずれも栗花落カナヲのセリフであり、堕姫・妓夫太郎との戦いの後、二か月間眠り続けた炭治郎が目覚めた所に居合わせた時の言葉。そして続々と集まる仲間たちが騒ぐ中、眠りについた炭治郎を気遣って叫んだ言葉です。

幼少期の経験から感情が乏しく、口数も少ないカナヲが意識を取り戻した炭治郎を見て、僅かばかり笑顔を見せる姿と気遣いから声を荒げ叫ぶ姿が印象的です。

かつて「自分の心に従う」という炭治郎の言葉に感化され、少しずつ年頃の少女らしさを見せ始めたカナヲの成長が感じられると共に、これまで見られなかったカナヲの魅力が発見でき、可愛らしく感じられる場面となっています。

まとめ/次回の『鬼滅の刃全集中の考察』は……


(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

『鬼滅の刃』の「遊郭編」名言・名シーン集その3、いかがだったでしょうか。

激闘の中で放たれる力強く、カッコいい名言はもちろん、思わず涙誘われる感動的な名言の数々に心揺さぶられた事と思います。

特に「遊郭編」は胸に響く名言が多く、この名言・名シーンたちがどのようにアニメ化されるのか、今から楽しみです。

次回記事からはメガヒットを記録し多くの名言を残した「無限列車編」から名言・名シーンをピックアップしていきます。

激闘の中で炭治郎が見せる覚悟と決意、そして「300億の男」と称された“炎柱”煉獄杏寿郎の熱い名言・名シーンの数々をご紹介します!

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