2018年8月24日(金)よりロードショーされる映画『検察側の罪人』。
『犯人に告ぐ』『火の粉』の雫井修介原作同名小説がついに映画化。
元SMAPの木村拓哉と嵐の二宮和也の共演が話題となった作品がついに完成!
悪人は裁かなければならないという正義感の強い最上と冷静に物事を判断する沖野。ぶつかり合う、異なる正義の行きつく先とは…
CONTENTS
映画『検察側の罪人』の作品情報
【公開】
2018年(日本映画)
【原作】
雫井脩介『検察側の罪人』(文藝春秋)
【監督】
原田眞人
【キャスト】
木村拓哉、二宮和也、吉高由里子、平岳大、大倉孝二、谷田歩、八嶋智人、矢島健一、酒向芳、キムラ緑子
【作品概要】
犯罪心理や法律の矛盾など、日本の犯罪の裁き方にメスを入れ続けてきた雫井修介原作の「検察側」で巻き起こる葛藤・人間ドラマ。
ジャニーズの中でも演技派として評価されている木村拓哉と二宮和也の共演も話題の作品ですが、名脇役俳優として活躍している酒向芳の怪演も注目の作品です。
原田眞人監督のプロフィール
『関ヶ原』(2017)
原田眞人は、1949年7月3日生まれ、静岡県出身の映画監督。
高校卒業後、東京写真専門学校、ペパーダイン大学に入学すのも中退。
1972年に語学留学としてロンドンに渡ります。
その後、ロサンゼルスで6年間映画監督修行を積み、1979年に一時帰国。
この時に映画『さらば映画の友よ インディアンサマー』で監督デビューを果たします。
1984年には完全に帰国。その後はテレビ映画やオリジナルビデオ、プロモーション・ビデオなどの監督のほかに執筆業などマルチな活躍をみせました。
映画の代表作には、2002年に『突入せよ! あさま山荘事件』、2008年の『クライマーズ・ハイ』、2015年の『駆込み女と駆出し男』『日本のいちばん長い日』、2017年の『関ヶ原』があります。
映画監督・評論家のほかにも語学留学の経験を活かし、『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』の日本語吹き替え版の演出と翻訳監修を務め、1988年には完璧主義で日本語字幕にも厳しかった、スタンリー・キューブリック監督作品『フルメタル・ジャケット』では字幕翻訳家デビューも果たします。
2003年には『ラストサムライ』で俳優デビューも果たしました。
映画『検察側の罪人』の主なキャスト
木村拓哉(最上毅役)のプロフィール
木村拓哉は、1972年11月13日生まれ、東京出身の男性アイドル、俳優、タレント。
1987年ジャニーズ事務所に入り、男性アイドルSMAPのメンバーとなり、1991年にCDデビューします。
ジャニーズに所属してからドラマの脇役などをこなし、1994年には人気サッカー漫画を映画化した『シュート』で映画デビューを果たします。
1996年には高視聴率を記録し、社会現象とまでなったテレビドラマ『ロングバケーション』に出演したことで俳優としての知名度が急上昇します。
俳優業としてはテレビドラマを中心に活躍していましたが2000年以降は徐々に映画の仕事も増えていきます。
2004年には『恋する惑星』などで知られる中国映画の巨匠、ウォン・カーウァイ監督映画『2046』のメインキャラクターに抜擢されます。
2006年には山田洋二監督の「時代劇3部作」の完結編となる『武士の一分』の主役に抜擢されるなど映画俳優としても活躍するようになります。
次回作は東野圭吾原作の小説を映画化した『マスカレード・ホテル』が2019年に公開予定です。
二宮和也(沖野啓一郎役)のプロフィール
二宮和也は、1983年6月17日生まれ、東京出身の男性アイドル、タレント、俳優。
ジャニーズに所属後、1997年に舞台デビューを果たし、1998年にスペシャルドラマ『天城越え』でドラマデビューを果たします。
1999年に「嵐」としてグループでの活動がスタートし、音楽番組やバラエテイなどにも出演するようになります。
2002年の『ピカ☆ンチ』で映画デビュー、2003年には『青い炎』で映画初主演を果たします。
『青い炎』での演技が評価され、2006年のクリント・イーストウッド監督映画『硫黄島からの手紙』に出演するきっかけとなります。
『硫黄島からの手紙』は海外からも高い評価を受け、数々の賞を受賞しました。
テレビドラマにも積極的に出演し、アイドルとしてだけではなく、俳優としての知名度も上げていきました。
2015年には吉永小百合と共演した『母と暮らせば』では日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞しました。
吉高由里子(橘沙穂役)のプロフィール
吉高由里子は、1988年7月22日生まれ、東京出身の女優。
高校生のときに原宿でスカウトされたことがきっかけで、芸能界に入ります。
2006年に『紀子の食卓』で映画デビューを果たし、ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞しました。
2007年に『蛇にピアス』の主演に抜擢され、劇中でヌードを披露したことが話題となりました。その体当たり演技が認められ、日本アカデミー賞新人俳優賞など数々の賞を受賞しました。
映画だけではなく、CMやテレビドラマにも積極的に出演し、『ガリレオ』『花子とアン』などのヒットドラマにも恵まれたことで知名度を上げていきました。
2017年には映画『ユリゴコロ』では殺人犯でありながら、愛されること、母としての喜びを知るとこで変わろう奮闘する異色のヒロインを演じ、高い評価を受けました。
映画『検察側の罪人』のあらすじ
東京都内で発生した犯人不明の殺人事件。
その事件を担当することになった、東京地検刑事部のエリート検事・最上とかつての最上の教え子で駆け出しの検事・沖野。
事件の被疑者として浮上してきたのは、過去に時効を迎えてしまった未解決事件の容疑者・松倉でした。
最上と沖野は松倉を追い詰めていきますが、松倉は否認を続け、全く手ごたえが感じられません。
それでも追求の手を休めない最上に対し、沖野は次第に最上が松倉を犯人に仕立て上げようとしているのではないかと、最上の方針に疑問を抱きはじめます。
次第に対立することになる最上と沖野。
異なる正義の行きつく先とは…。
映画『検察側の罪人』の感想と評価
新たに起こった事件では証拠不十分な男の松倉が、時効を迎えた未解決殺人事件の重要参考人という状況下で物語は展開されていきます。
時効になっていることを逆手にとり、挑発する様な態度をみせる松倉に観ている側も挑発。
過去の事件では裁けなくても、今の事件では裁くことができるという状況で、冷静さを保ちながら正しい判断ができるのかという人間の感情や正義感をえぐられるかのような、原作である雫井作品らしい演出は今回も健在です。
本作では最上と沖野という、異なる正義感を持つ2人の主人公が登場させることで、どちら側の意見に感情移入するかによって全く違う観方のできる二面性をもった映画だと言っていいと思います。
正義感があるからこそ、許せない。
しかし、証拠不十分な事件で犯人に仕立て上げ、裁くことが正義なのか…。
正義とは何なのか、時効とは何なのか、日本の法律における問題点・不条理な壁の数々…。
更には弁護士・ブローカー・暴力団なども巻き込み事態は思わぬ方向に向かっていき、終始油断できません。
現代の人間に与えられた、答えのない問題集のような映画で、いい意味で気持ち悪さMAXな映画に仕上がっていると言っていいと思います.
テレビドラマ『HERO』でも検事を演じた木村拓哉ですか、今回は『HERO』の役柄とは真逆ともいえる、エリート検事という設定も木村拓哉の役の幅広さを感じさせます。
まとめ
雫井作品で近年、映像化された作品としては、東海テレビ製作・フジテレビ系列放送のテレビドラマ『火の粉』がありました。
このドラマでは、ユースケ・サンタマリアが狂気的でユーモラスなキャラクターが「怖すぎる」と言われ、話題となりました。
雫井作品でなくてはならないのが、「怖すぎる」キャラクターなのです。
人間の感情を揺さぶり、表面上だけではなく、感覚的にも「怖い」と観ている側に思わせる。また、ユーモラスというものを狂気に転換させるキャラクター作りが得意な作家だと思います。
映像化するにあたっては、この狂気的かつユーモラスなキャラクターを演じる人物が見つかるのかという問題的がありました。
それほど難しい役どころなのです。
しかし、今作では見事と言うことしかできない、酒向芳の怪演によって、それが実現できたと言っていいと思います。
過去の作品に負けず劣らずの「怖すぎる」キャラクターとなっています。
酒向芳には、悪いのですが、興行的には他のジャニーズだったり、有名俳優を使うという手もあったはずですが、そこをこの俳優のチョイスというのが興行以上に作品の本質を観客に伝えたいという製作側の作品に対する想いも感じとることができます。