親子の愛情の形はそれぞれ。お弁当に込められたメッセージに涙する。
シングルマザーの母親と反抗期の娘。母親がとった愛情表現に感服です。
実際にAmebaブログで「デイリー総合ランキング」1位となった「Kaori(ttkk)の嫌がらせのためのお弁当ブログ」をもとに書籍化されたエッセイを、篠原涼子と芳根京子の共演で映画化。
アイデア満載のキャラ弁。手間暇かけた手作りのお弁当には見た目とは反対に愛情がいっぱい詰まっていました。伝えたいメッセージをお弁当に詰める発想の面白さ。
反抗期の娘に手を焼いているお母さん、お父さん。子供とどう向き合うべきか、映画『今日も嫌がらせ弁当』にはそんなヒントが満載です。
映画『今日も嫌がらせ弁当』の作品情報
【日本公開】
2019年(日本)
【原作】
Kaori(ttkk)
【監督】
塚本連平
【キャスト】
篠原涼子、芳根京子、松井玲奈、佐藤寛太、岡田義徳、村上知子、佐藤隆太、ダンディ坂野、小島よしお、スギちゃん、橋本小雪、中野聡子
【作品概要】
人気ブログ「Kaori(ttkk)の嫌がらせのためだけのお弁当ブログ」の書籍化を受け、今回映画化もされた『今日も嫌がらせ弁当』。
監督は、『僕たちと駐在さんの700日戦争』『レオン』の塚本連平監督。自ら脚本も手掛けました。
母親・かおり役に篠原涼子。反抗期の娘・双葉役に芳根京子。また姉の若葉役に元AKB48の松井玲奈が登場。3人の仲良し家族ぶりにも注目です。
映画『今日も嫌がらせ弁当』のあらすじとネタバレ
ここは、自然豊かな八丈島。母親かおりと、まだ幼い若葉と双葉の姉妹は、楽しそうに海沿いを歩いています。
妹の双葉は「大きくなったら、一緒にレストランをやるの」と、本当にお母さんのことが大好きです。
なんてことを言っていたのも、12年前。夫の島次郎が事故で亡くなり、かおりは女手一つで姉妹を育ててきました。
長女の若葉は高校を卒業後、家を出て地元のお菓子工場で働いています。次女・双葉は反抗期の真っただ中。
毎朝、寝起きの悪い双葉との攻防戦を繰り広げ、お弁当を持たせるも、お礼の一言も言わない双葉。かおりの一方的な喋りにも、ラインで答える始末です。
かおりの一日は忙しく過ぎます。朝早くからお弁当を作り、双葉を送り出した後、仕事へ。夕ご飯を作りに家に戻り、夜は居酒屋でアルバイト。家では内職もしています。
2人の子供を育てることに一生懸命だったかおりは、姉妹に寂しい思いをさせてきたことを申し訳なく思っていました。
2人の姉妹もそんな母親の姿に寂しさを覚えながらも、愛情いっぱい育ててくれた母親のことが大好きです。
しかし、反抗期の双葉は素直になれず、かおりの言葉を聞こうともしません。そんな双葉に手を焼くかおり。
双葉は高校生になりました。高校へもお弁当を持って行きます。ある夜、かおりが内職をしていると、台所のお弁当箱が光り輝いて見えました。かおりは、良いことを思いつきました。
双葉は、相変わらず朝が苦手で、持たされたお弁当のお礼も言わず高校へと向かいます。
お昼の時間、お弁当を開けるとそこには、可愛らしい赤ずきんちゃんがいました。キャラ弁です。周りの友達に冷やかされ恥ずかしい思いをする双葉。
かおりは、高校生になった双葉に宣戦布告をします。「あなたが態度を改めるまで、嫌がることをします」。
「どうゆうこと」。怒鳴りながら帰ってくる双葉。そんな双葉の態度に「しゃべったな。しかも、完食だし」と、にやけるかおり。作戦は成功です。
それ以降、親子の弁当バトルは加速していきます。時間がない中で、弁当のネタに悩むかおりは、お笑い芸人のスギちゃんや小島よしお、恐怖の貞子弁当と暴走気味です。
完食しないと負けた気がすると、双葉も負けじと食べ続けます。
もともと料理の得意なかおりのキャラ弁は、見た目も味も評判になります。学校ではお昼の時間にキャラ弁を見に来る生徒でいっぱいです。
双葉の幼なじみ、達雄もそのひとりです。密かに達雄に思いを寄せる双葉はそのたびにドキドキ、母のキャラ弁が2人の距離を近づけてくれました。
キャラ弁攻撃は次の段階に移ります。それは、「皿は片せや!」などメッセージが書かれたお弁当へ進化します。
お弁当に書かれたメッセージはたちまち島中に知れ渡たり、帰り道では「双葉ちゃん、皿は片付けたほうがいいよ」と、皆に声を掛けられます。しぶしぶ、皿の片づけを始める双葉。どうやら、効果ありのようです。
かおりは、嫌がらせ弁当をネタにブログを開設します。嫌がらせ弁当だけど、手作りの愛情弁当は、面白いと話題になります。
東京では、シングルファーザーの岡野が、かおりのキャラ弁をまねて、息子の健太郎へのお弁当作りに奮闘していました。
映画『今日も嫌がらせ弁当』の感想と評価
手作りのお弁当は、日本人には特に馴染み深いものです。かく言う私も、中・高と母から毎日、お弁当を作ってもらっていました。
基本的に和食中心の我が家では、魚料理が多く、なんとも渋いお弁当でした。友達のお母さんが作ったお弁当は、彩りも良く美味しそうに見え、正直うらやましいと思っていたものです。
しかし、大人になって気付いたことは、母は母なりに配色や栄養のバランスを考え、お弁当を作ってくれていたということです。
自営業で毎日忙しく働く母が、いつ時間を作りお弁当を作っていたのか。当時の私は、気にすることもありませんでした。文句を言ったこともあるかもしれません。
それでも母は、いつも変わらずお弁当を作ってくれました。母からの無償の愛に甘えていたのです。
映画では、娘の双葉は反抗期真っ只中です。自分のことばかりで、母親のかおりのことを思いやる余裕もありません。それはやはり甘えからくるものでした。
そんな反抗期の娘に、会話を諦めることなく、果敢に話しかけて行く母・かおり。うざがられても、無視されても、世話を焼きます。
娘とのコミュニケーションを取るために、かおりはキャラ弁を作ることを思いつきます。そのメッセージの伝え方が素敵です。
見た目も派手で面白いお弁当は、年頃の娘にとって恥ずかしいものでしたが、いつしかお弁当に込められた母からのメッセージに気付きます。
高校卒業の日のお弁当は、かおりの思いと、双葉の思いが通じ合う傑作となりました。お弁当の蓋を開けた瞬間。涙があふれて止まりませんでした。
お弁当の中には、たっぷりの愛情が詰まっていました。
映画で親子役を演じた篠原涼子と芳根京子は、本気で怒鳴り合ったり、笑い合ったりする姿が本当の親子のように見えました。
篠原涼子は、時には意味不明なダンスを踊り、時には変顔で笑わせたり、天真爛漫な母親かおりを魅力的に演じています。忙しくて髪の毛ボサボサでも可愛らしい母親姿にほっこり。
また、姉の若葉役には元AKB48グループの松井玲奈が登場。素直になれない親子の中を取り持つ重要な役柄です。松井玲奈が本来持つ、ふんわりとした癒し系の存在感が全体を温かい雰囲気にしています。
まとめ
人気ブログ「Kaori(ttkk)の嫌がらせのためだけのお弁当ブログ」をもとに書籍化されたエッセイを、篠原涼子と芳根京子の共演で映画化した『今日も嫌がらせ弁当』を紹介しました。
まさに今、親にお弁当を作ってもらっている学生の皆さん、そして、毎日お弁当作りを頑張っているお母さん、お父さんには必見です。
どんなに、ぶつかっても、すれ違っても、お互いを思う愛情があればきっと大丈夫。どんな形であれ、その思いを伝えることを諦めない限り、親子は分かり合えるのではないでしょうか。
反抗期の娘とのユーモア溢れるバトルと、驚きのキャラ弁の数々をお楽しみ下さい。