激烈を極めた日中戦争の戦闘「四行倉庫の戦い」を壮大なスケールで描く!
1937年、第二次上海事変における最後の戦闘「四行倉庫の戦い」を描いた映画『エイト・ハンドレッド 戦場の英雄たち』が、近日公開となります。
2020年の世界興行収入で1位を記録するヒットとなった、名もなき兵士たちによる命懸けの戦いを描いた戦争ドラマ。「X-MEN」シリーズ、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのVFXスーパーバイザーが放つ戦闘場面のリアリズムも注目の、本作の見どころをご紹介します。
CONTENTS
映画『エイト・ハンドレッド 戦場の英雄たち』の作品情報
【日本公開】
近日公開(中国映画)
【原題】
八佰(英題:The Eight Hundred)
【監督・脚本】
グアン・フー
【製作】
ワン・チョンレイ、リャン・ジン、チュー・ウェンジュ
【撮影】
カオ・ユー
【美術】
リン・ムー
【視覚効果アドバイザー】
ティム・クロスビー
【キャスト】
オウ・ハオ、ジャン・ウー、チャン・イー、ワン・チエンユエン、シドゥ・チュン、リー・チェン、タン・イーシン、中泉英雄
【作品概要】
日中戦争下の上海で、中国軍の守備隊が繰り広げた5日間の激戦「四行倉庫の戦い」の実話をもとに描いた戦争ドラマ。
視覚効果(VFX)スーパーバイザーとして、『マトリックス』(1999)、『ロード・オブ・ザ・リング』(2003)のティム・クロスビーが参加。『ロクさん』(2015)のグアン・フー監督が長年熱望していた企画を、構想10年、総製作費80億円をかけて完成させました。
主要キャストは、『空海 KU-KAI 美しき王妃の謎』(2018)のオウ・ハオ、『1911』(2011)のジャン・ウー、『クライマーズ』(2020)のチャン・イー、『ビッグ・ショット』(2020)のワン・チエンユエン、『黒四角』(2014)の中泉英雄など。
本国中国で30億元(約480億円)を稼ぎ、2020年の世界興行収入で1位を記録するヒットとなりました。
映画『エイト・ハンドレッド 戦場の英雄たち』のあらすじ
1937年10月、第二次上海事変の上海。
中国軍第88師第524団の兵士たちは、河沿いに建つ巨大な倉庫「四行倉庫」を防衛拠点とし、日本軍との戦いに備えていました。
しかし、銃撃、爆撃などの激しい攻撃に晒され、目の前で次々と仲間が犠牲になっていきます。
それでも決死の覚悟で激戦を耐え抜く兵士たち。
地獄と化した運命の5日間、その勇姿は戦況を見守る多くの同胞の心を突き動かしていきました……。
映画『エイト・ハンドレッド 戦場の英雄たち』の感想と評価
参考動画:『エイト・ハンドレッド 戦場の英雄たち』特別版
天国と地獄の境界線で繰り広げられた戦争
本作『エイト・ハンドレッド 戦場の英雄たち』は、第二次上海事変の上海で繰り広げられた「四行倉庫の戦い」を映画化したものです。
四行倉庫とは、中国の4つの銀行が共同で上海の蘇州河北岸に建設した倉庫のこと。北岸は日本軍の攻撃により、廃墟と化しています。一方、蘇州河を挟んだ南岸には上海公共租界があり、高級クラブや劇場、カジノといった煌びやかな歓楽街が軒を連ねています。
つまり四行倉庫は、まさに天国と地獄の境界線に位置する、一般市民が暮らす租界を守る砦となったのです。
この倉庫は現在では中国20世紀建築遺産に選ばれており、倉庫の守備隊として活動した兵士たちに関する資料を展示する博物館になっているものの、戦史に関心を寄せる中国民は少なく、学校教育でも取り上げられる機会は少なかったのだとか。
監督のグアン・フーは、そうした現状を憂い、忘れ去られていた兵士たちに光を当てたいとして、10年もの準備期間を経て本作製作に着手。
現実と同じ大きさの四行倉庫や北岸や蘇州河といった当時の街並みを撮影セットで復元しつつ、2度のアカデミー賞最優秀視覚効果賞に輝くティム・クロスビーの協力のもと、阿鼻叫喚の戦闘シーンを生みました。
見敵必殺を叩き込まれる兵士たち
参考動画:『エイト・ハンドレッド 戦場の英雄たち』メイキング
四行倉庫に入った中国軍第88師第524団の400名余り(対外的には800名と発表)の「八百壮士」(800名の勇敢なる兵士)は、1937年10月27日から31日までの5日間、租界を守る激戦に臨みます。しかし、その多くは農民で訓練も終えていないゆえ、発砲するのを躊躇したり、怯えてしまう者もいました。
そこで描かれるのは、一市民を兵士にすべく叩き込まれる“見敵必殺”の覚悟です。
自分が殺される前に敵を殺す……それはデヴィッド・エアー監督作『フューリー』(2014)でも描かれていたように、戦地に赴いた全世界の兵士に共通したもの。その覚悟の矛先は、時に他者のみならず自らの命へと向けられることもあります。
それでも上海を守ることは、愛する者を守ることにもつながる。悪化していく戦況の中、彼らは八百壮士として銃を取り、時には身を挺して日本軍に向かっていきます。
まとめ
最後の砦として倉庫に立て篭もる兵士たちの目的は、“勝つこと”ではなく“守り抜くこと”であり、最後に下された命令も、“生き延びること”でした。
運命に弄ばれながらも、大切なものを守り抜くために、そして自らが生き残るために戦い、命を落としていった兵士たちの悲哀が、迫力ある映像と共にスクリーンに刻まれています。
映画『エイト・ハンドレッド 戦場の英雄たち』は、近日公開予定。