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映画『デトロイト』あらすじとキャスト。キャスリン・ビグロー紹介も

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

映画『デトロイト』は、2018年1月26日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開!

本作の演出を務めたのは、第82回アカデミー監督賞を受賞した『ハート・ロッカー』や、ボストン、シカゴ、ニューヨーク映画批評家協会の監督賞受賞作『ゼロ・ダーク・サーティ』で知られるキャスリン・ビグロー監督です。

1967年7月のアメリカ史上最大級の人種暴動の最中で起きた、白人警官が強制尋問「アルジェ・モーテル事件」を描く真実の問題作…。

1.映画『デトロイト』の作品情報


(C)2017 SHEPARD DOG, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

【公開】
2018年(アメリカ映画)

【原題】
Detroit

【監督】
キャスリン・ビグロー

【キャスト】
ジョン・ボヤーガ、ウィル・ポールター、アルジー・スミス、ジェイコブ・ラティモア、ジェイソン・ミッチェル、ハンナ・マリー、ケイトリン・デバー、ジャック・レイナー、ベン・オトゥール、ネイサン・デイビス・Jr.、ペイトン・アレックス・スミス、マルコム・デビッド・ケリー、ジョセフ・デビッド=ジョーンズ、ラズ・アロンソ、イフラム・サイクス、レオン・トマス3世、ベンガ・アキナベ、クリス・チョーク、ジェレミー・ストロング、オースティン・エベール、ミゲル・ピメンテル、ジョン・クラシンスキー、アンソニー・マッキー

【作品概要】
『ハート・ロッカー』や『ゼロ・ダーク・サーティ』で知られるキャスリン・ビグロー監督が、黒人たちの不満が爆発して起こった1967年のデトロイト暴動と、その暴動の最中に殺人にまで発展した白人警官による黒人たちへの不当な尋問の様子をリアリティを追求して描いた社会派実録ドラマ。

キャストは『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』のジョン・ボヤーガ、『レヴェナント 蘇えりし者』のウィル・ポールター、『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』のアンソニー・マッキーほか。

脚本は『ハート・ロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』のマーク・ボール。

2.キャスリン・ビグロー監督のプロフィール

資料映像:アカデミー監督賞の『ハート・ロッカー』


キャスリン・アン・ビグロー(Kathryn Ann Bigelow)は、1951年11月27日にアメリカ・カリフォルニア州生まれます。

サンフランシスコ美術大学卒業後、コロンビア大学院芸術大学院で映画の研究します。

1983年に『ラブレス』を共同監督した後、1987年に『ニア・ダーク/月夜の出来事』で単独監督デビューを果たします。

1989年に『ブルースチール』、1991年に『ハートブルー』、1995年に『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』を手がけました。

2008年にはイラク戦争のアメリカ軍爆発物処理班の兵士たちを描いた『ハート・ロッカー』で、米アカデミー賞では初の女性での監督賞を含め作品賞など6部門を獲得します。

2012年には『ゼロ・ダーク・サーティ』を発表、ビンラディン捜索に執念を燃やすCIA女性分析官を描き、ボストンはじめ、シカゴ、ニューヨーク映画批評家協会の監督賞を受賞します。

フィルモグラフィー

資料映像:『ゼロ・ダーク・サーティ』

【映画】
『ラブレス』(1981) *モンティ・モンゴメリーとの共同監督作品
『ニア・ダーク/月夜の出来事』(1987)
『ブルースチール』(1989) 監督・脚本
『ハートブルー Point Break (1991) 監督
『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』(1995)
『悪魔の呼ぶ海へ』 (2000)
『K-19』(2002)
『Karen Sisco』season1:エピソード10(2004)
『ハート・ロッカー』(2008)
『ゼロ・ダーク・サーティ』(2012)
『Last Days』(2014)*短編
『カルテル・ランド』(2015)*ドキュメンタリー:製作総指揮
『デトロイト』(2017)

【テレビドラマ】
『ワイルドパームス』*テレビドラマ・エピソード3「Wild Palms」(1993)
『ホミサイド/殺人捜査課』*テレビドラマseason6:エピソード22・23(1998)
『ホミサイド/殺人捜査課』*テレビドラマseason7:エピソード20(1999)

3.映画『デトロイト』のキャスト

ジョン・ボヤーガ(ディスミュークス役)


(C)2017 SHEPARD DOG, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

1992年にイギリス・ロンドン生まれ。アイデンティティ・スクール・オブ・アクティングで演技を学びます。

ジョー・コーニッシュ監督の『アタック・ザ・ブロック』(2011)で注目されるようになり、2014年のテレビドラマ『24:リブ・アナザー・デイ』などで俳優としての経験を積みます。

転機となった作品は、2015年に公開された『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のフィン役に大抜擢され、世界中にその名を知られる存在になりました。

続編にあたる2017年12月公開『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』にも出演を果たしています。

そのほか、2017年『ザ・サークル』、2018年に『パシフィック・リム:アップライジング』などにも出演。

ウィル・ポールター(クラウス)


(C)2017 SHEPARD DOG, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
1993年にイギリス・ロンドンに生まれます。

2007年に『リトル・ランボーズ』で映画デビューを果たし、2013年に『なんちゃって家族』で、MTVムービーアワードのブレイクスルー演技賞を受賞すると、一躍脚光を浴びるようになります。

その後、アカデミー賞3部門を制したアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督『レヴェナント 蘇えりし者』(2015)で、レオナルド・ディカプリオと共演を務めます。

その他の主な出演作に『ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島』(2010)や、ブラッド・ピット製作・主演のNetflixオリジナル映画『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』にも出演しています。

アルジー・スミス(ラリー)


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8歳の頃に家族とともにアトランタへ移住し、俳優としてのキャリアをスタートさせ、11歳で曲を書き始め、ミュージシャンとしても活躍してます。

2012年から数多くのテレビドラマやテレビ映画に出演しており、主な作品は2012年に『レット・イット・シャイン』、2015年に「銃弾の副作用」などがあります。

アンソニー・マッキー(グリーン)


(C)2017 SHEPARD DOG, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

1978年にアメリカ・ルイジアナ州生まれます。

2002年に『8 Mile』で映画デビューを果たすと、キャスリン・ビグロー監督『ハート・ロッカー』(2008)でインディペンデント・スピリット賞助演男優賞にノミネートされます。

「アベンジャーズ」シリーズのサム・ウィルソン/ファルコン役でも知られ、ほかの主な出演作に2013年に『ランナーランナー』、2015年に『トリプル9 裏切りのコード』があります。

3.映画『デトロイト』のあらすじ


(C)2017 SHEPARD DOG, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

1967年、夏のミシガン州デトロイト。

権力や社会に対する黒人たちの不満が噴出し、アメリカ史上最大級の暴動が発生…。

勃発から3日目となる夜、若い黒人客たちで賑わうアルジェ・モーテルの部屋から銃声が響き渡ります。

通報を受けたデトロイト市警をはじめ、ミシガン州警察、ミシガン陸軍州兵、地元警備隊たちが殺到します。

彼らはピストルの捜索、その押収のためモーテルに押しかけますが、数名の白人警官が捜査手順を無視し、偶然モーテルに居合わせた宿泊客に暴力的な尋問で脅迫を開始します。

それは、やがて異常な“死のゲーム”の惨劇を呼び起こす…。

3.映画『デトロイト』の見どころ


(C)2017 SHEPARD DOG, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

キャスリン・ビグロー監督の演出の手腕は、すでに米アカデミー賞の監督賞を受賞した『ハート・ロッカー』でお墨付きですね。

また、『ゼロ・ダーク・サーティ』は、映画制作の準備にあたり、事実をリサーチした際には、当時大統領であったバラク・オバマから国家機密情報にアクセスしたと報じられるほど、実話の検証に余念のないキャスリン監督。

本作『デトロイト』も前作に引き続き実話であることから、キャスリン監督は次のように実話に関して語っています。

「今回のように現実のストーリーを語る場合には、語り手として歴史とそれに関わった人々―、生存者にも亡くなった人たちにも―、自ら責任を持つ心構えが必要です」

今のアメリカにとっても根深い人種差別というデリーケートな問題を含み、深い責任感の覚悟を背負っている彼女の意志を感じさせてくれる言葉ですね。

またキャスリン監督は実績も、これまで完成させてき作品の出来栄えも素晴らしいキャスリン監督ですが、映画の内容が社会派な作品だけあり、予算を集めるのに今回も苦労をしたようです。

それでも単なるアクション映画ではなく、社会派映画として政治に絡む作品を描き続ける彼女は、本作『デトロイト』の“映画としての可能性”について次のような見解を持っています。

「芸術そして映画の目的が変化を求めて闘うことなら、そして人々がアメリカの人種問題に声を上げる用意があるなら、私たちは映画を作る者として、喜んでそれに応えていきます。この映画が、少しでも人種に関する対話を促すための役に立つこと、そしてこの国で長きにわたって根強く残っている傷を癒すことができることを願ってやみません」

やはりキャスリン監督は、社会的な話題性のあるテーマを映画に取り組むことに、大きな切実さを抱いているようです。

娯楽作品ではなく、“映画を作る者としての責任”を喜びに変えて大切にしているようです。

「特別映像:衝撃の実話」

まとめ

本作『デトロイト』は、キャスリン・ビグロー監督の制作としての姿勢からも、娯楽的なエンターテイメント作品でないことを理由に、見ないと目を逸らしていい作品ではないように思います。

この作品には確かに見る者に辛い場面も存在します。

凶悪な差別主義者の警官クラウス役を演じた俳優ウィル・ポールターは、現場で泣きながら演技を続け、精神的にも相当に苦しみ演技に挑んだようです。

この作品に描かれたことは、何か得体の知れない悪魔や怪物が起こした事実ではなく、実際に普通の人間が起こした真実の出来事です。

映画『デトロイト』は、2018年1月26日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開。

あなたも目を逸らさずに、真実の目撃者になりませんか。

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