世界の映画祭で堂々十冠を獲得した金子雅和監督の『アルビノの木』。
本作の凱旋を記念して、劇場初となる処女作を含み、金子監督の短長編9作品を「金子雅和監督特集」と銘打って、4月14日(土)より池袋シネマ・ロサ、岡山シネマ・クレール、木曽ペインティングスほかで上映が行われます。
CONTENTS
1.金子雅和監督特集上映とは
『アルビノの木』の撮影現場の金子雅和監督
4月14日(土)〜4月20日(金)の期間に、池袋シネマ・ロサにて開催される「金子雅和監督特集」。
今回の劇場上映にあたっては、金子監督自らのこだわりを持って編成された内容で開催されるようで、劇場初上映の処女作『AURA』と、初期作『ショウタロウの涙』を含む全9作品(映画美学校卒業制作『すみれ人形』、WEB配信『こなごな』『失はれる物語』、また自主製作)となっています。
また上映企画を主催するは、多くの新人監督を輩出し、2018年3月からは「indies film show」プロジェクトを開始した池袋シネマ・ロサ。
そして、イタリアをはじめとする海外でも多くのファンを持つ塚本晋也監督や、『ぼくらの亡命』で知られる内田伸輝作品をはじめとする世界的なインディーズ監督の作品を配給してきたマコトヤとのコラボレーション企画となっています。
参考映像:塚本晋也監督『KOTOKO』(2012)
参考映像:内田伸輝監督『ぼくらの亡命』(2017)
世界が注目する金子雅和監督の『アルビノの木』
これらの作品や映像作家に並び、金子監督が大きく世界から評価された話題の映画『アルビノ木』。
金子監督が海外の映画祭に飛びだして、十冠を受賞までの軌跡といえる作品を一挙上映するもので、今回上映される「金子雅和監督特集」では、貴重な未公開作品を含む作品の上映と、『アルビノの木』の凱旋上映となる金子作品ファンなら楽しみな上映会となるものです。
2.『アルビノの木』の金子雅和監督とは
『アルビノの木』で海外から評価された金子雅和監督は、1978年1月24日に東京に生まれます。
高校時代に文化祭で映画作りに興味を持って以来、古道具屋で見つけた8ミリカメラを手に自主映画作りに没頭。
2004年より映画美学校にて映画作りを本格的に習得しています。
【フィルモグラフィ】
2008年:『すみれ人形』(瀬々敬久監修)、同年に短編映画『鏡の娘』
2009年:短編映画『こなごな』、短編映画『失はれる物語』
2010年:短編映画『復元師』
2013年:短編映画『水の足跡』、短編映画『逢瀬』
2016年:長編映画『アルビノの木』
自然豊かな長野・須坂がロケ地になった『アビルノの木』
金子監督の『アルビノの木』は、2017年にポルトガルで開催された、フィゲイラ・フィルム・アート2017において、最優秀長編劇映画、最優秀監督、最優秀撮影の日本映画初である三冠受賞の快挙なし遂げました。
その勢いは今だ留まることを知らず、『アルビノの木』は4月に開催される2つの映画祭でも正式上映され、2018年4月18日〜22日の期間にドイツで開催される、第20回カールスルーエ・インディペンデントデイズ映画祭・インディアワードに出品。
また、4月6日〜8日にスペインで開催される第2回バルセロナ・クラフト・フィルムフェストにも出品されます。
金子監督の『アルビノの木』は、2016年の公開から2年経ちますが、国内で息長く話題を呼ぶ作品となっています。
3.映画『アルビノの木』のあらすじ
害獣駆除会社に勤務するユクのもとに、多額の報酬の仕事依頼が舞い込みます。
それは鉱山として栄えた山間の村で“白鹿様”と敬われてきた珍しい鹿を秘密裏に撃つことでした。
一般的な鹿と異なる存在が世間から悪い噂になることを危惧して、過疎化する村とともに切り捨てようとする町の役人の苦肉の策の以来でした。
害のない動物を殺傷することに仄かな疑問を抱えつつもユクは村に向かいます。
山中で出会った故郷に対し複雑な心境を抱く村に住む女性ナギ、彼女の婚約者で木食器職人の羊市…
山小屋に住みながら不本意であるものの仕事を続ける昔気質の罠猟師、そして山の集落で穏やかに暮らす人々…
連なる山々青々と生い茂る樹々、ときに赤く色を変える川、飛沫を白く舞いあげる滝壺…
これら山とともにある時を背負いながら静かに佇む白鹿。病床の母のために、人々が大切に思っている命を奪うという事は…。
4.池袋シネマ・ロサで開催される
金子監督の凱旋&特集上映のプログラムは
金子雅和監督自身も上映企画に関わり、組み合わせる作品構成や上映の順番を意識した編成になっており、金子監督ファンのみならず、映画ファンの楽しみを刺激するプログラムになっているようです。
金子雅和監督特集上映:Aプログラム
「自然と美の探求・初期衝動作品」
・『AURA』(劇場初/1998年/11分)
・『すみれ人形』(2007年/63分)
・『こなごな』(2009年/10分)
金子雅和監督特集上映:Bプログラム
「美と恐怖・黒い寓話集」
・『逢瀬』(都内劇場初/2013年/36分)
・『復元師』(2010年/29分)
・『鏡の娘』(2008年/18分)
金子雅和監督特集上映:Cプログラム
「自然と人間・水と光と風たち」
・『ショウタロウの涙』(劇場初/2000年/30分)
・『失はれる物語』(2009年/34分)
・『水の足跡』(2013年/30分/きりゅう映画祭助成作品)
『アルビノの木』凱旋上映
・4月21日(土)より上映されます。
また、今回の上映では、初公開時には行わなかった特別鑑賞券を劇場窓口と、メイジャー公式サイト特設ページでは特典付で一般販売を開始されます。
さらにお得な情報としては、この前売券提示で「金子雅和監督特集」を割引で鑑賞することができるようです。
5.各地で上映される『アビルノの木』のスケジュールは
海外の映画祭で十冠を達成した『アルビノの木』の凱旋上映は、以下のようなスケジュールで開催される予定です。
・4月21日(土)〜 東京:池袋シネマ・ロサ *凱旋上映および金子特集
劇場住所:東京都豊島区西池袋1丁目37−12
・4月21日(土)〜 岡山:シネマ・クレール *『アルビノの木』のみ上映
劇場住所:岡山県岡山市北区丸の内1丁目5−1
・6月10日(日) 長野:木曽ペインティングス *『アルビノの木』のみ上映および監督トーク付
住所:木曽町文化交流センター・多目的ホール(長野県木曽郡木曽町福島5129)
若手監督に注目したい映画ファンのあなたは、少し足を伸ばしてでも、映画『アルビノの木』を劇場やイベント会場でご覧いただく価値があるのではないでしょうか。
世界各国の映画祭では、日本の長野県にある自然豊かな須坂で撮影された『アルビノの木』に何を感じたのか?
主人公ユクが慕う病床の母親や村人が敬う“白鹿様”に、どのように心を揺さぶれられたのか?
国を超えて高い評価を得たことで、人間の普遍的なテーマが描かれていることは、観る者の目に明らかはずです。
金子監督の渾身の作品『アビルノの木』に要注目です。
まとめ
今回は『アルビノの木』の凱旋上映&「金子雅和監督特集」の情報と、『アルビノの木』のあらすじをご紹介しました。
金子雅和監督に関する情報は追って、当サイトでご紹介いたします。