『天才たちの頭の中 世界を面白くする107のヒント』は2019年10月12日(土)より、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー!
ドイツのドキュメンタリー作家、ハーマン・ヴァスケは長年“クリエイティブ”とは何かを、研究し続けていました。
しかし彼の謎は深まるばかり。そこで彼は世界各地で活躍する、クリエイティブな人々に、実に素朴な質問を投げかけます。
“Why are you creative?”「あなたはなぜ、クリエイティブなのですか?」
時にアポなし、時にぶら下がり取材でアタックした人物は1000名以上。その膨大なインタビューから、厳選された107名の発言が、映画『天才たちの頭の中 世界を面白くする107のヒント』で紹介されます。
素朴な疑問から始まった取材は、世界の裏側や人間の本質を描き、きっとあなたに、幸せな人生のヒントを与えてくれます。
CONTENTS
映画『天才たちの頭の中 世界を面白くする107のヒント』の作品情報
【日本公開】
2019年10月12日(土)(ドイツ映画)
【原題】
Why Are We Creative?
【監督・製作】
ハーマン・ヴァスケ
【出演】
デヴィッド・ボウイ、クエンティン・タランティーノ、ジム・ジャームッシュ、ペドロ・アルモドバル、ビョーク、イザベル・ユペール、スティーヴン・ホーキング、マリーナ・アブラモヴィッチ、ヤーセル・アラファト、ボノ、ジョージ・ブッシュ、ウィレム・デフォー、ウンベルト・エーコ、ミハイル・ゴルバチョフ、ミヒャエル・ハネケ、ヴェルナー・ヘルツォーク、サミュエル・L・ジャクソン、アンジェリーナ・ジョリー、北野武、ジェフ・クーンズ、ダイアン・クルーガー、スパイク・リー、ネルソン・マンデラ、オノ・ヨーコ、プッシー・ライオット、その他大勢
【作品概要】
様々な分野で創造的に活躍する人々に、“クリエイティブ”とは何かを訊ねて回り、貴重な証言の数々を集めたドキュメンタリー映画。
製作・監督のハーマン・ヴァスケは、ロンドンの名門広告代理店に入社。“BMW”“フォルクスワーゲン”などの一流企業のコマーシャル製作に携わり、現在ドキュメンタリー作家として活躍している人物です。
大学時代に“クリエイティビティ”の意味を研究し始め、広告代理店では“クリエイティブ・ディレクター”の下、“クリエイティブな案件”を産み出す“クリエイティブ部門”で働いたヴァスケ監督。
しかし彼の“クリエイティブ”のへ謎は、ますます深まるばかりでした。
そして監督は、この疑問を解明するヒントを得ようと、世界の様々な“クリエイティブ”な人々を尋ね歩きます。
映画『天才たちの頭の中 世界を面白くする107のヒント』のあらすじ
敬愛するデヴィッド・ボウイにインタビューする、本作の監督ハーマン・ヴァスケ。彼はボウイにこう尋ねます。「なぜあなたは、クリエイティブなのですか?」。
ドイツに生まれ、ルールありきの世界に生きていたヴァスケ監督は、ロンドンの広告代理店に入社し、自由な発想で創作する職場の同僚たちに、大きな刺激を受けます。
ある日同僚たちと語り合った際、「なぜ我々はクリエイティブなのか」という疑問を口にしたヴァスケ監督。上司のポール・アーデンは「それだよ、メモしとけ」と彼に答えます。
疑問の答えを知る為に、ヴァスケ監督がとったのは単純明快で、誰にも真似できない事でした。世界で活躍する“クリエイティブな人物”に、カメラとスケッチブックを手に訪ね歩く事でした。
直接取材するだけでなく、カンヌ国際映画祭やダボス会議に乗り込み、参加した著名な人物に次々と、“Why are you creative?”の問いを投げかけるヴァスケ監督。
映画で紹介される107名の回答は千差万別。育ちや過去の経験を語る者、抑圧や秩序への反発、情熱や不安や衝動、遺伝や霊感や性的欲求、様々な言葉が紡ぎ出され、各々の自説が表明されます。
クリエイティブな活動を、自己の承認欲求と考える者もいれば、脅迫概念に追われて行う行為と考える者もいます。それを芸術として表現する者もいれば、政治活動として行う者もいます。
そして人がクリエイティブである事は、どんな意味を持つのか。シンプルな1つの問いかけは、創造性の持つあらゆる側面を探る旅となり、人間の本質を描くだけでなく、あなたが幸せな人生を送るための、ヒントやアドバイスを与えてくれます。
自分の人生を、自分らしくクリエイトする方法が、きっと見つかる映画です。
映画『天才たちの頭の中 世界を面白くする107のヒント』の感想と評価
インタビューを試みた人物1000名以上、多くの知性に問いかける
このドキュメンタリー映画は、ハーマン・ヴァスケ監督が1980年代末から現在にかけて、あらゆる場所、あらゆる機会に、様々な人物にインタビューした映像で構成されています。
よって映像の質もバラバラ、答えを得る環境も様々。同時に物故した人物の言葉を聞いたり、インタビュー当時頂点を極めた人物の、貴重な肉声が聞ける場でもあります。
ヴァスケ監督の問いかけがシンプルな故に、その返答は様々です。いきなりの質問に深く悩む者もいれば、瞬発的に言葉を発する者もいます。個人的体験を語る者もいれば、人間の本質について、思索した上で語る者もいます。
ライブ感覚で行われた膨大な数のインタビュー1つ1つが、それぞれ貴重な体験を見る者にもたらすでしょう。
クリエイティブかつ充実した人生を語る作品
広告クリエーター、映画監督、作家だけでなく、コミュニケーション学の教授としても活躍するヴァスケ監督。
彼は、“Why Are We Creative?”の問いかけを始め、2002年にカンヌ国際映画祭の連動企画として、「Why Are We Creative?」コレクションを開催します。
その様子は映画の中でも紹介されており、その時点までの成果は著作として記され、2005年に日本でも出版されています。
その後も“Why Are We Creative?”の問いかけは続けられ、2018年に30周年記念として、故郷ドイツのベルリンとフランクフルトで、改めて「Why Are We Creative?」コレクションが発表されました。
その際に誕生したのがこの映画、『天才たちの頭の中 世界を面白くする107のヒント』です。
この映画、そして“Why Are We Creative?”の問いかけが産まれるきっかけとなった、彼の上司ポール・アーデンもまた、広告クリエイターそして作家として有名です。
“トヨタ”や“フジカラー”など多数の広告を手掛け、天才クリエイターとして名を馳せた彼は、創造性を鍵に、人生をより良く生きる事をアドバイスする、自己啓発本を記しています。
ヴァスケ監督と同じ分野で活躍し、同じように人の創造性について深く思索していたポール・アーデン。彼の言葉に従って、監督は“Why Are We Creative?”と問い続けました。
映画の冒頭に、ポール・アーデンとその父のインタビューが登場する理由が、実に良く理解できます。彼は2008年に亡くなっています。
世界の知性の中に数多くの映画人が登場
映画には様々な人物が登場します。芸術家、建築家、科学者に哲学者、宗教指導者に、どう見ても創造性に乏しい政治家まで。
しかし我々が一番気になるのは、映画人たちでないでしょうか。映画の冒頭からざっと紹介していくと、マルチな才人として評価されるデヴィッド・ボウイ、ジョン・クリーズ、エミール・クストリッツァ、マルジャン・サトラピと続いて行きます。
ビョーク、ショーン・ペン、ダイアン・クルーガー、ペドロ・アルモドバル、イザベラ・ロッセリーニ、ウィレム・デフォーはサービス精神もたっぷりに自身を語ります。
ジム・ジャームッシュ、ピーター・ユスティノフ、クエンティン・タランティーノはプレミア上映の際にインタビューされたのでしょうか。
自らの詩人の一面を語るマイケル・マドセン、イザベル・コイシェ、「ゲーム・オブ・スローンズ」の著者・ジョージ・R・R・マーティンも創作について語ります。
天才写真家・アラーキーこと荒木経惟に続いて、“クリェイティブ”と人間の持つ、ある欲求の関係を問われる北野武。
ここまで107人には程遠く、まだまだ多くの人物が語ります。これら映画人の言葉を聞くだけでも実に楽しい作品です。
まとめ
この映画は、自己啓発をテーマにした固いドキュメンタリー映画ではありません。
“Why are you creative?”という、シンプルな質問に対し自由に語らせる事で、創造性の持つ様々な側面について探る作品です。
ハーマン・ヴァスケ監督は時に皮肉の効いた人物にも、同じ問いかけを試み、その反応を引き出す事にも成功しています。
映画は最後に、現代を代表する知の巨人に語らせます。その言葉は深いものですが、映画を見た者は107人の発言から、自分に相応しい言葉を見つける事ができるでしょう。
あまり固い話にならない様、映画に関わるクリエイティブな人物の証言をもう少しだけ。
彼の作品のミューズ、キトゥン・ナティビダッドに続いて現れたラス・メイヤーは、さも当然の表情で、実にシンプルな答えを語ります。
発言以上に私生活が謎だらけのデヴィッド・リンチ、やはり深い発言をするヴェルナー・ヘルツォーク。
どうです、やはり映画ファンには見逃す事の出来ないドキュメンタリー映画です。
映画『天才たちの頭の中』は2019年10月12日(土)より、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー!