映画『プラスチックの海』はアップリンク渋谷・吉祥寺にて2020年11月13日(金)より上映中!
ジャーナリストのクレイグ・リーソンが監督を務め、海洋プラスチック問題に焦点をあてたドキュメンタリー。年間800万トンものプラスチックが海に捨てられ、その大半は海底に沈み、その他は海面を漂い、分解されることもありません。
海に年間800万トンものプラスチックゴミが捨てられていることを知り、海洋学者、環境活動家やジャーナリスト達と共に世界の海でプラスチックゴミが海洋系に及ぼす影響、世界の取り組みを撮影していくドキュメンタリー。
映画『プラスチックの海』の作品情報
【日本公開】
2020年(イギリス・香港合作)
【監督】
クレイグ・リーソン
【脚本】
クレイグ・リーソン、ミンディ・エリオット
【製作】
ジョー・ラクストン、アダム・リープツィグ
【キャスト】
クレイグ・リーソン、デビッド・アッテンボロー、バラク・オバマ、シルビア・アール、タニヤ・ストリーター、リンジー・ポルター、ジョー・ラクストン、ダグ・アラン、ベン・フォーグル、マイケル・ゴンジオール
【作品概要】
ニュースレポーターや司会者としても活動しているジャーナリストのクレイグ・リーソンはシロナガスクジラに魅せられ撮影に訪れたスリランカで海面に漂うプラスチックゴミの現状を知り、真実を伝える映画の制作をはじめました。バラク・オバマ前アメリカ大統領も出演しています。
映画『プラスチックの海』のあらすじ
ジャーナリストのクレイグ・リーソンは子供の頃見たシロナガスクジラに魅せられ、撮影のためスリランカに向かいます。そして、見事子供のピグミーシロナガスクジラを海中で捉えます。そんなスリランカの海で目にしたのは大量のプラスチックゴミでした。
スリランカでは内戦があり、30年間漁業が出来ずにいました。しかし、そこに広がっていたのは手付かずの青い海ではなく、海水と混ざった油やプラスチックが浮かんでいます。クジラは大量の水と共に餌のオキアミを食べ、餌とプラスチックの区別はつけられません。大量にプラスチックを飲み込んだクジラは消化出来ず、栄養失調や消化器の異常を起こし死んでしまいます。
ダイバーであり、環境活動家のタニヤ・ストリーターさんがスピーチをしています。現在、20世紀より多くのプラスチックを製造し、その多くは使い捨てにされ、リサイクルされるのはほんの一部だそうです。分解できないプラスチックは地球上に残り続け、生態系を壊しているのです。
潜水艦で海底に潜ってみると、大量のペットボトルが沈殿しているのが分かります。中には網のようなものもあります。潜水艦に絡まると浮上できなくなります。今回の調査では不発弾とパラシュートまで見つかりました。
海底に沈殿せず、浮遊しているプラスチックは海水にさらわれ、紫外線を浴びるうちに細かくなっていきます。それをプランクトンや稚魚が食べることにより、食物連鎖の中にプラスチックが組み込まれていきます。プラスチックは分解されることなく、魚の中に毒素として沈殿し、稚魚やプランクトンを食べた魚、そしてそれを食べる他の生態系へとプラスチックは摂取され続けていきます。人間も無関係ではないのです。
映画『プラスチックの海』の感想と評価
美しい海、そして悠々と泳ぐイルカ。そんな美しい映像と共に映し出されるゴミに絡まったアザラシやウミガメの姿。更には体内に分解されずに残ったプラスチックが原因で命を落としてしまう海洋生物たち。ショッキングな映像と共にこれが今地球上で起こっている出来事だと言うことに唖然とします。
アメリカのスーパーの映像が流れ、どれもプラスチックで包装されプラスチックを使っていない製品は殆どと言っていいほどありませんでした。これはアメリカだけの話ではないでしょう。日本のスーパーに陳列された商品を思い返してみてください。プラスチックを使っていない製品はあるでしょうか。
日本では2020年7月からレジ袋が有料化になりました。レジ袋を買わずにマイバックを使う人も増えたと思います。しかし依然として様々な所にプラスチックは使われています。日本ではペットボトルの再利用率は80%を越え、他の先進国よりかなり高い数値だと言えます。しかし、ペットボトルの生産量は多いままです。
世界各国に溢れかえるゴミの問題。多くの先進国はその問題にあまり目を向けず、多くの生活ゴミを排出し続けています。レジ袋が有料化され、様々なメディアや日常で“サステナブル”“SDGs”というワードを目にするようになりました。そんな今だからこそこのドキュメンタリーを見て、今世界中で何が起こっているのか。自分に何ができるのか考えてみましょう。
まとめ
海洋プラスチック問題に焦点をあてた本作は、世界各国で起こっている海洋プラスチック問題を、海洋生物が受けている被害について浮き彫りにし、それが海洋生物だけでなく、人間も含めた地球全体の問題であることを強調しています。そしてプラスチックにより、健康被害にあっている地域の人々を映し出していきます。
最後に先進国であるアメリカの現状、それぞれの国や地域で解決のために取り組んでいることを取り上げています。本作のラストにも言っているように海洋プラスチック問題は社会全体で解決策を考えていくべき問題です。使い捨てではなく、再利用を。解決のための試みに参加することが大事なのです。