ドキュメンタリー映画『ラジオ・コバニ』は、5月12日(土)より、アップリンク渋谷、ポレポレ東中野ほか全国順次公開!
大学生ディロバンはISとの戦闘の激化で廃墟となったシリア北部の街で、お手製のラジオ局を開局。
ラジオから聞こえるディロバンの「おはよう」。彼女の声が復興の息吹の始まりを届けるます。
1.映画『ラジオ・コバニ』の作品情報
【公開】
2018年(オランダ映画)
【原題】
Radio Koban
【脚本・監督】
ラベー・ドスキー
【キャスト】
ディロバン・キコ
【作品概要】
自身もクルド人であるラベー・ドスキー監督がクルド人兵士の姉に捧げていた、大学生ディロバンの手作りのラジオ局を始めたことから、シリアとクルド人の復興の兆しを描いたドキュメンタリー作品。
マドリード・ドキュメンタリー映画祭やフロントドック国際ドキュメンタリー映画祭で、観客賞受賞を獲得しています。
2.映画『ラジオ・コバニ』とは
トルコとの国境に近いシリア北部クルド人街コバニ。
2014年9月から過激派組織ISの占領下となるが、クルド人民防衛隊(YPG)による激しい迎撃とともに連合軍の空爆もあって、2015年1月に解放されます。
コバニに人々は戻って来ますが、数カ月に及ぶ戦闘で大半が瓦礫となってしまった街並み。
そこで20歳の大学生の女の子ディロバンは、友人とラジオ局をお手製で立ち上げます。
ラジオ番組のタイトルは「おはよう コバニ」。
放送をはじめたのは、生き残った人々や戦士、詩人などの声を届けるものでした。
ディロバンの番組は、誰しもが願う街を再建と、未来を築こうとする人々の希望となって連帯感をもたらします。
3.映画『ラジオ・コバニ』のラベー・ドスキー監督とは
監督を務めたラベー・ドスキー自身もクルド人。地雷や戦車を越えコバニに赴き戦地での撮影を敢行しました。
彼はクルド人兵士によるIS兵士の尋問にも立ち会ったそうで、本作『ラジオ・コバニ』を戦死したクルド人兵士の姉に捧げているようです。
ラベー監督は次のように語っています。
「死体や戦闘の映像なくしてコバニの物語は完成できない」
それが日常に起きていた真実として避けられないのでしょう。
また監督自身が姉や知人を多く失っているだろうだけに、監督という表現者として描かないことは不誠実だからかもしれませんね。
ラベー・ドスキー(Reber Dosky)は、1975年生まれ。イラク北部のクルディスタン自治区ドホーク県出身です。
1998年からはオランダに在住して、オランダ映画アカデミーで映画制作について学びます。
2013年に卒業制作として撮った『The Call』は、戦争と移住が父親と息子の関係に与えた影響を描いて見せました。
いくつかの国際映画祭で賞を獲得した実績を持ちます。
2015年の短編映画『スナイパー・オブ・コバニ』は、世界的にブレイクして、2016年の札幌短編国際映画祭の最優秀賞ドキュメンタリー賞などを受賞しました。
また本作『ラジオ・コバニ』はそれにも増して、以下のように数多くの映画賞を受賞しました。
2017年 コペンハーゲン国際ドキュメンタリー映画祭(CPH:DOX)F:ACT賞受賞
2016年 アムステルダム国際 ドキュメンタリー映画祭(IDFA)オランダ・ドキュメンタリー部門 サウンド&ヴィジョン賞受賞
2017年 マドリード・ドキュメンタリー映画祭 観客賞受賞
2017年 イスマイリア国際ドキュメンタリー映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞受賞
2017年 ティラナ国際映画祭 ドキュメンタリー部門 最優秀長編ヨーロッパ作品賞受賞
2017年 イスタンブール・ドキュメンタリー・デイズ 国際批評家連盟賞受賞
2017年 ドホーク国際映画祭 クルド・ドキュメンタリー部門 最優秀作品賞受賞
2017年 ベルゲン国際映画祭 チェックポインツ・コンペティション部門 最優秀作品賞受賞
2017年 オランダ映画祭 長編ドキュメンタリー部門ノミネート
2017年 フロントドック国際ドキュメンタリー映画祭 観客賞受賞
2017年 カメライメージ映画祭 ドキュメンタリー部門 最優秀作品賞受賞
3.映画『ラジオ・コバニ』の見どころ
トルコとの国境に近いシリア北部のクルド人街コバニは、2014年9月から過激派組織ISの占領下となります。
しかしクルド人民防衛隊(YPG)による激しい迎撃と、連合軍の空爆により、2015年1月に違法な占領から解放されます。
人々はコバニに戻って来ましたが、数カ月に及ぶ戦闘で街並みは瓦礫となっていました。
本作『ラジオ・コバニ』に出演した20歳の大学生のディロバン。
彼女はこのように述べます。
「わが子へ。戦争に勝者などいません。どちらも敗者です」
こう語るディロバンは、いつか生まれるであろう自身の子ども、そして、今後生まれてくる“コバニで何が起きたか知りたい全ての子どもたち”に向けて言葉を残す姿が映像に収められています。
2014年の戦闘真っ只中のからコバニに復興の光が見え始めた激動の3年間を追ったドキュメンタリーのキャメラは、やがてささやかな日常生活の喜びや恋愛を享受するまでを追いかけています。
まとめ
ラベー・ドスキー監督は、20歳の大学生ディロバンの姿を通して、深く傷ついてきた誰も希望を与える光をドキュメントして見せます。
映画『ラジオ・コバニ』は、5月12日(土)より、アップリンク渋谷、ポレポレ東中野ほか全国順次公開!
誰しもにある日常を振り返り、そして立ち上がる人の姿を見つけることで、あなたにも何かが見えてくるはずです。
ぜひ、お見逃しなく!