Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ドキュメンタリー映画

Entry 2018/02/16
Update

ドキュメンタリー映画おすすめ『ラジオ・コバニ』監督ラベー・ドスキー紹介も

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

ドキュメンタリー映画『ラジオ・コバニ』は、5月12日(土)より、アップリンク渋谷、ポレポレ東中野ほか全国順次公開!

大学生ディロバンはISとの戦闘の激化で廃墟となったシリア北部の街で、お手製のラジオ局を開局。

ラジオから聞こえるディロバンの「おはよう」。彼女の声が復興の息吹の始まりを届けるます。

1.映画『ラジオ・コバニ』の作品情報

【公開】
2018年(オランダ映画)

【原題】
Radio Koban

【脚本・監督】
ラベー・ドスキー

【キャスト】
ディロバン・キコ

【作品概要】
自身もクルド人であるラベー・ドスキー監督がクルド人兵士の姉に捧げていた、大学生ディロバンの手作りのラジオ局を始めたことから、シリアとクルド人の復興の兆しを描いたドキュメンタリー作品。

マドリード・ドキュメンタリー映画祭やフロントドック国際ドキュメンタリー映画祭で、観客賞受賞を獲得しています。

2.映画『ラジオ・コバニ』とは

トルコとの国境に近いシリア北部クルド人街コバニ。

2014年9月から過激派組織ISの占領下となるが、クルド人民防衛隊(YPG)による激しい迎撃とともに連合軍の空爆もあって、2015年1月に解放されます。

コバニに人々は戻って来ますが、数カ月に及ぶ戦闘で大半が瓦礫となってしまった街並み。

そこで20歳の大学生の女の子ディロバンは、友人とラジオ局をお手製で立ち上げます。

ラジオ番組のタイトルは「おはよう コバニ」。

放送をはじめたのは、生き残った人々や戦士、詩人などの声を届けるものでした。

ディロバンの番組は、誰しもが願う街を再建と、未来を築こうとする人々の希望となって連帯感をもたらします。

3.映画『ラジオ・コバニ』のラベー・ドスキー監督とは


*画像は場面写真です

監督を務めたラベー・ドスキー自身もクルド人。地雷や戦車を越えコバニに赴き戦地での撮影を敢行しました。

彼はクルド人兵士によるIS兵士の尋問にも立ち会ったそうで、本作『ラジオ・コバニ』を戦死したクルド人兵士の姉に捧げているようです。

ラベー監督は次のように語っています。

「死体や戦闘の映像なくしてコバニの物語は完成できない」

それが日常に起きていた真実として避けられないのでしょう。

また監督自身が姉や知人を多く失っているだろうだけに、監督という表現者として描かないことは不誠実だからかもしれませんね。

ラベー・ドスキー(Reber Dosky)は、1975年生まれ。イラク北部のクルディスタン自治区ドホーク県出身です。

1998年からはオランダに在住して、オランダ映画アカデミーで映画制作について学びます。

2013年に卒業制作として撮った『The Call』は、戦争と移住が父親と息子の関係に与えた影響を描いて見せました。

いくつかの国際映画祭で賞を獲得した実績を持ちます。

2015年の短編映画『スナイパー・オブ・コバニ』は、世界的にブレイクして、2016年の札幌短編国際映画祭の最優秀賞ドキュメンタリー賞などを受賞しました。

また本作『ラジオ・コバニ』はそれにも増して、以下のように数多くの映画賞を受賞しました。

2017年 コペンハーゲン国際ドキュメンタリー映画祭(CPH:DOX)F:ACT賞受賞
2016年 アムステルダム国際 ドキュメンタリー映画祭(IDFA)オランダ・ドキュメンタリー部門 サウンド&ヴィジョン賞受賞
2017年 マドリード・ドキュメンタリー映画祭 観客賞受賞
2017年 イスマイリア国際ドキュメンタリー映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞受賞
2017年 ティラナ国際映画祭 ドキュメンタリー部門 最優秀長編ヨーロッパ作品賞受賞
2017年 イスタンブール・ドキュメンタリー・デイズ 国際批評家連盟賞受賞
2017年 ドホーク国際映画祭 クルド・ドキュメンタリー部門 最優秀作品賞受賞
2017年 ベルゲン国際映画祭 チェックポインツ・コンペティション部門 最優秀作品賞受賞
2017年 オランダ映画祭 長編ドキュメンタリー部門ノミネート
2017年 フロントドック国際ドキュメンタリー映画祭 観客賞受賞
2017年 カメライメージ映画祭 ドキュメンタリー部門 最優秀作品賞受賞

3.映画『ラジオ・コバニ』の見どころ

トルコとの国境に近いシリア北部のクルド人街コバニは、2014年9月から過激派組織ISの占領下となります。

しかしクルド人民防衛隊(YPG)による激しい迎撃と、連合軍の空爆により、2015年1月に違法な占領から解放されます。

人々はコバニに戻って来ましたが、数カ月に及ぶ戦闘で街並みは瓦礫となっていました。

本作『ラジオ・コバニ』に出演した20歳の大学生のディロバン。

彼女はこのように述べます。

「わが子へ。戦争に勝者などいません。どちらも敗者です」

こう語るディロバンは、いつか生まれるであろう自身の子ども、そして、今後生まれてくる“コバニで何が起きたか知りたい全ての子どもたち”に向けて言葉を残す姿が映像に収められています。

2014年の戦闘真っ只中のからコバニに復興の光が見え始めた激動の3年間を追ったドキュメンタリーのキャメラは、やがてささやかな日常生活の喜びや恋愛を享受するまでを追いかけています。

まとめ

ラベー・ドスキー監督は、20歳の大学生ディロバンの姿を通して、深く傷ついてきた誰も希望を与える光をドキュメントして見せます。

映画『ラジオ・コバニ』は、5月12日(土)より、アップリンク渋谷、ポレポレ東中野ほか全国順次公開!

誰しもにある日常を振り返り、そして立ち上がる人の姿を見つけることで、あなたにも何かが見えてくるはずです。

ぜひ、お見逃しなく!

関連記事

ドキュメンタリー映画

映画『ティーンエイジ』あらすじと感想レビュー【マット・ウルフ監督】

2017年12月16日より、下北沢トリウッドにて「歳末青春大セール!ティーンムービー傑作選」という特集上映が行われます!  日本未公開映画の紹介、上映を企画・運営するGucchi’s Free Sch …

ドキュメンタリー映画

映画『つつんで、ひらいて』感想とネタバレ考察。菊地信義と本を作る人たちのドキュメンタリー

誰かのために作るということ、こしらえる。 この本を手にしたまだ見ぬあなたのために。 1万5千冊をデザインした装幀者・菊地信義と、本をつくる人々のドキュメンタリー『つつんで、ひらいて』。 「ならべる」「 …

ドキュメンタリー映画

映画『DARKSTAR / H・R・ギーガーの世界』感想レビューと評価

リドリー・スコット監督の代表作である『エイリアン』のデザイン造形でも知られるH・R・ギーガー。 彼のアーティストとしての創作の秘密に迫ったドキュメンタリー映画『DARK STAR/H・R・ギーガーの世 …

ドキュメンタリー映画

映画『作兵衛さんと日本を掘る』感想と内容解説。炭鉱で働く人々を通じて見るドキュメンタリー日本近代史

炭坑画家・山本作兵衛さんの残した画集を軸に、日本の近現代史を描く作品 明治・大正・昭和と、日本の発展を支えてきた石炭産業。その中心である、福岡県の筑豊炭田で幼い頃から炭坑夫として働いた人物である、故・ …

ドキュメンタリー映画

映画『ラジオ・コバニ』あらすじネタバレと感想。ディロバンの言葉と詩の強さとは

IS(過激派組織ISILの別名)との戦闘により、瓦礫と化したシリア北部の街コバニで、手作りのラジオ局を始める大学生のディバロン。 自身も同じクルド人であるラベー・ドスキー監督が彼女の存在を知り、地雷や …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学