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今週公開のおすすめ映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』独白の88分とは

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

ドキュメンタリー映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』は、本日1月27日(土)より、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほかにて全国順次公開

デヴィッド・リンチ監督が紡ぐ“あの悪夢”は、彼がどのようことを経て生まれるのか?

悪夢のような映像による難解さと不可解な世界感を産み落とした、カルト映画のカリスマとなったデヴィッドの人生と頭の中を窃視する…。

1.映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』の作品情報


©Duck Diver Films & Kong Gulerod Film 2016

【公開】
2018年(アメリカ・デンマーク映画合作)

【原題】
David Lynch: The Art Life

【監督】
ジョン・グエン、リック・バーンズ、オリヴィア・ネールガード=ホルム

【キャスト】
デヴィッド・リンチ

【作品概要】
カルト映画のカリスマ監督として唯一無二な存在であるデヴィッド・リンチ。彼自らインタビューに答え、自身の“闇”に迫るドキュメンタリー映画。

2.映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』のあらすじ


©Duck Diver Films & Kong Gulerod Film 2016

奇才デヴィッド・リンチ監督の映像作品だけではなく、絵画、写真、音楽など、あらゆる方法で表現活動に精力的な彼に焦点を当てていきます。

美術学生時代の退屈と憂鬱、悪夢のような街フィラデルフィアの暮らし…。

そして1976年に自主制作映画『イレイザーヘッド』で、監督・製作・脚本を務め長編デビューに至るまでを、デヴィッド・リンチ自ら語りつくしています。

3.映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』の見どころ


©Duck Diver Films & Kong Gulerod Film 2016

本作の演出を務めたジョン・グエン監督はインタビュー取材のなかで、「この映画を撮ることで、若い頃のデヴィッドの不安を知った」と答えています。

そのことはデヴィッドが自身の“アートライフ”を、家族との暮らしや友人との付き合いとは分けていたからです。

デヴィッドは家族や友人を彼のアトリエには寄せつけなかったそうです。

そんなデヴィッド・リンチとドキュメンタリー映画制作のために向き合うジョン監督は、既に書籍として発行されている『デイヴィッド・リンチ』を読まずに本作の取材したそうです。

『デイヴィッド・リンチ』は買ってきたんだけど、読もうとしてふと考えた。“やめておこう。読まずに、まっさらなままアプローチしよう。デヴィッドは同じ話をするかもしれないけど、どの話を選ぶかは僕が決めるんだから” とね。読んでいたら、ためらいが生じたと思う。全部、新しい話でなきゃと思ったはずだ。そんなわけで、あの本は読まないことにした。いろんなエピソードに対して、新しいアプローチをするためにね。

本作『デヴィッド・リンチ:アートライフ』の映像のなかには、リンチファンであれば知っている内容も含まれています。

しかし、ジョン監督の述べるように、書籍を読むことデヴィッドについての何かを整理された状態で挑むことは、彼との関係性が上手くいかなかったのかもしれません。

デヴィッド自身も同じ事柄について語るにしても、さらに深い真実や彼自身もアーティストであることから、より適切に興味深いことを話したいとしたのではないでしょうか。


©Duck Diver Films & Kong Gulerod Film 2016

また、ジョン監督は本作のなかでは、デヴィッド・リンチのみのインタビューを採用しています。

「彼の友達にはインタビューしたよ。でもデヴィッドは、人は時々話を作り替えてしまうと嘆いていたし、僕らはデヴィッドに対して特別な形で アクセスしていることで、物語を正しく語ってもらっているという意識があった。とても親密な状態でインタビューしたから、デヴィッドの声 だけで伝えるほうがいいと思ったんだ。他の声を割り込ませるよりもね」

“本人が本人について語る”

まるでデヴィッド・リンチが人生を自白、あるいは人生をジョン監督によってある種の自供する形は、より真実に近い“真実”なのかもしれません。

この興味深い映画に、デヴィッドの映画を好んで観続けているファンも、これから何か観たいと考えているあなたも、この作品を通して、まっさらままでデヴィッド・リンチと向き合ってみてはいかがでしょう。


©Duck Diver Films & Kong Gulerod Film 2016

本編88分という上映時間は、ジョン監督がデヴィッドに25時間に及ぶインタビュー取材と、その補足に2年半を費やしたものの凝縮されたものです。

ぜひ、劇場でご覧になってくださいね。

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