大塚祐吉監督の映画『レディinホワイト』。
社会があたしを必要としてるの♪と、猛毒新卒モンスターが、ゲス上司と社畜を巻き込んで大騒動!
すべてのフレッシャーズに贈る“真っ黒”サクセスストーリー『レディinホワイト』をご紹介します。
映画『レディinホワイト』の作品情報
【公開】
2018年
【監督】
大塚祐吉
【キャスト】
吉本実憂、波岡一喜、矢本悠馬、笛木優子、宮川浩明、國本鍾建、中島広稀、久住小春、小山田サユリ、いとうまい子、利重剛、吹越満
【作品概要】
『国民的美少女』優勝者であり、演技力にも定評のある吉本実憂が破天荒な新卒社員を熱演します。
資産家の令嬢として何不自由なく育ってきた主人公・彩花は、就職先の上司と衝突してばかり。
とうとうクビを宣告されると同時に実家が破産し…?
監督は『スープ 生まれ変わりの物語』『罪の余白』などの大塚祐吉。
俳優陣は波岡一喜、吹越満、矢本悠馬など、ブラックコメディにふさわしいクセのある実力派が揃っています。
映画『レディinホワイト』のあらすじとネタバレ
名古屋随一のプラスチック製品会社に就職した如月彩花(吉本実憂)は、自由奔放な資産家のお嬢様。
服はいかなる時でも白、敬語は適当、自分が正しいと思った事は押し通すという独特の感性の持ち主です。
入社面接でもその傍若無人ぶりを発揮し不合格かと思われましたが、何故か部長・酒田(吹越満)の強い押しで採用されました。
彼女は企画部の浪岡(松山翔平)のアシスタントとして配属されます。
浪岡は企画部のエースである一方、部下にはパワハラめいた恫喝をする暴君として君臨していました。
前任のアシスタントである猪瀬(矢本悠馬)も毎日なじられ、胃の痛い日々を送っています。
猪瀬は如月の教育係となりますが、サポートも甲斐無く、如月が浪岡の命令を拒否した事で初日から大げんかしてしまいました。
企画部には大口のコンペが迫っていましたが、浪岡と製造部の板挟みになり精神も体力も追い詰められた猪瀬の代わりに、如月がプレゼンに参加する事となりました。
如月は浪岡の理不尽さに憤りながらも、自分の才能には絶大な自信を持っており、プレゼン参加に大喜びします。
コンペの前日、猪瀬は「黒いスーツを着てこい」と指示しますが、如月はやはり無視し白いドレスでプレゼンに臨みました。
映画『レディinホワイト』の感想と評価
本作品『レディinホワイト』は、まるで子供のように、むしろ子供よりも気ままで純真に振る舞う如月を、見事に演じきった吉本実憂が印象的でした。
とぼけた感じの吹越満、吉本実憂と松山翔平の凸凹コンビなど、配役も絶妙で小気味よく楽しめます。
集団の規則や慣習に溶け込まない如月のような人物は、能力の欠けた人物として扱われがちなのが社会の実情です。ただ、本当にそうなのでしょうか。
社会の枠に押し込める事は正しい育成につながるのか。そんな疑問を本作は投げかけてきます。
作中に「どんなものでも売り込むのが企画の仕事だ」という浪岡の言葉がありますが、如月はまさにその力に長けた人物と言えるでしょう。
他人が何と言おうとも、自分の信じたものを堂々とアピールしゴールさせる才能は、本作の中で一際輝いて見えます。
社会性と個性が対立するのではなく、個性の上に積み上がっていく信頼や実績こそがその人の財産になり、やがて社会性につながっていくのかもしれません。
浪岡もやはり強い個性を持っていますが、すでに実績を出しているがゆえに典型的なトップダウンとして部下の個性を潰しかねない存在となっています。
これも会社という組織では避けられない問題です。
どんなに能力が高くてもたった一人の個人に過ぎないのに、上にさえ立てばその人の意見が絶対に正しいという空気ができあがってしまいます。
その空気にNOと言える勇気を持てば、仕事は少しずつ面白くなっていくのかもしれない。そんな希望を感じさせてくれる映画でした。
まとめ
社会のジレンマを軽快に描写し、如月唯花という破天荒なヒロインを生み出した作品『レディinホワイト』。
如月はただ身勝手ではなく「私にはこの生き方しかできない」という覚悟を持った一面もありました。
どんな人生を歩むにしろ、覚悟と信念こそが道を切り開いてくれるのかもしれません。
吉本実憂は如月役をとても楽しんだとの事ですが、またこのような演技を再び見たいものです。