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Entry 2018/07/07
Update

映画『セラヴィ!』あらすじネタバレと感想。ラストの結末も

  • Writer :
  • 福山京子

結婚式はまさに、“現代社会の縮図”のようなものです。

人生は人に泣かされ人と笑う、そんな時間をウェディングプランナー30年の大ベテランのマックスが、17世紀のお城を舞台にして豪華絢爛の結婚式をプロデュースします。

いつも通りの完璧な準備だったはずが、集まったスタッフたちが全員クセが強い⁈

トラブル続出の大惨事のラストは、人々を歓びの渦に包み込み、誰もがいつしかハッピーになれる映画です。

映画『セラヴィ!』の作品情報


(C)2017 QUAD+TEN / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / PANACHE PRODUCTIONS / LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE

【公開】
2018年(フランス映画)

【原題】
Le Sens de la Fête/C’EST LA VIE!

【脚本・監督】
エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ

【キャスト】
ジャン=ピエール・バクリ、ジャン=ポール・ルーヴ、ジル・ルルーシュ、ヴァンサン・マケーニュ、アイ・アイダラ、スザンヌ・クレマン、アルバン・イワノフ、パンジャマン・ラヴァンヌ、ジュディット・シュムラ

【作品概要】
『最強のふたり』のエリック・トレダノとオリビエ・ナカシュ監督が、パリ郊外の古城で行われる結婚式に集まる人々の人生と、各自の思惑を交差させながら描いたコメディ映画。

「社会の欠点に目を向けているときに、笑えて、ただ楽しめることを皆が必要としている」と語ったトレダノ&ナカシュ監督は、主人公マックス役に『みんな誰かの愛しい人』で知られる演技派俳優ジャン=ピエール・バクリを迎えて制作。

共演に『この愛のために撃て』のジル・ルルーシュ、『愛しき人生のつくりかた』のジャン=ポール・ルーブ、『夜明けの祈り』のバンサン・マケーニュが脇を固めます。

映画『セラヴィ!』のあらすじとネタバレ


(C)2017 QUAD+TEN / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / PANACHE PRODUCTIONS / LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE

結婚式の打ち合わせをする若い二人とマックス。彼はウェディングプランナーとして、30年間数え切れないほどの結婚式をプロデュースしてきました。

結婚式の打ち合わせをしているがどうも噛み合わない様子。女性が更に工夫が欲しいと言い出します。
 
マックスにしてみれば、一流のホテルを選んでいるのに低予算で済まそうとする二人に不満だらけのようで、ついに激しい口調になりました。

「デザートは私の姪の手作りで用意させましょう。オードブルは皆さんで持ち寄ればいかかですか?そうそう、いっそメインディッシュも無しにされたら…」

「ーわかりました。また連絡します」目を伏せて男性が女性を連れて帰っていきます。

マックスは、自分の潮時を考えていました。

ある日大きな仕事が入り、電話で仕事の指示をしながら車で移動します。

車内で妻に電話をしますが、いつものように留守番電話。何回もメッセージを残しているのに、連絡がないことをぼやきながら録音が途中で切れます。

そんなある日、17世紀の古城を舞台にした豪華絢爛な結婚式の依頼が舞い込んできました。

依頼主と何度もメールでやりとりし完璧な打ち合わせと準備を整えて、古城に着いたマックスでしたが、いきなりスタッフと雇ったバンドがもめていました。

主任のアデルが叫んでいます。「先に運ぶのがこっちでしょ?なんでエレベーター占領してるわけ?ばかじゃないの⁈」

バンドのヴォーカル、ジェームスも言い返しています。「うるさい!消えろ!」

2人の罵倒がはげしくなり、多くのスタッフが集まっています。

マックスが中に入り、2人をなだめます。

「アデル、君に今日から任すと言っているのに、こんなことじゃ任せられないだろう。落ち着け、暴言もやめて周りを見ろ」

落ち込むアデルを励まして、マックスはお城の中に入っていきます。

マックスが厨房の様子を見に行くと、人が足りない様子。マックスは手配をした筈なのに、アデルにその理由を聞きます。

「昨日のメールで彼を帰すように書かれてありましたよ。私は指示通り家に帰しました」

アデルは昨日のメールを見せました。マックスは自分が言葉を打ち間違えたことに気づきました。

「そうだろうと思って、知り合いで給仕の経験のある奴呼びましたよ」とアデル。

マックスは、ひとまず安心してスタッフの確認に回ります。

そこにカメラマンのギイがやってきます。マックスと古い仕事仲間であるらしく、「マックスだけなんだ、俺を呼んでくれるのは」と嬉しそうに話しています。

横に中学生の男子バスチャンが立っています。
「こいつ中学のインターンで、現場を見せといたほうがいいかなと思って、いいよな」

アデルがお城のバルコニーで、知り合いのサミーと話しています。
「普段着で来てどうすんの?仕事でしょ!白いワイシャツ持って来た?ヒゲも剃って!早く早く!マックスに会ったら、レストランで働いてたっていうのよ。」

シェイバーを持ちながら、不安そうなサミーは聞きます。「どのぐらい質問される?」アデルが微笑んで答えます。
「大丈夫2、3問、バレないよ。100ユーロだよ!」

新郎のピエールがやって来ました。マックスとあいさつもせず、あわてている様子。
「バンドのヴォーカルが違うし、音楽も違う。僕が話したのは、意図なの落ち着いた気品のある結婚式だ。こんなロックみたいな音楽じゃない。」

マックスは笑顔で答えます。「分かっています。彼は喉を温めるだけですよ。ジェームスのももう一度確かめておきます。タオルを振り回すような音楽じゃないぞってね」

ピエールの手元に一冊の本のようなものがありました。それは何かとマックスが聞くと、僕のスピーチ原稿だと自信満々。「あんまりスピーチが得意じゃなくて・・・」マックスは呆れ返っている様子。

南アフリカ系の若い給仕が、話を遮るようにやって来ます。「マックス、口実が…」

マックスは急いで次の仕事場に行くふりをします。「もう少し早く来い。口実も考えて話せ。」

マックスは話が長くならないように、その給仕に何か口実を作って呼びに来るように決めていました。

アデルがマックスを探していました。アデルがひげを剃って着替えたサミーを紹介します。

「君は、どこで給仕してたのか?」レストランでと答えるサミー。

「スズキ(loup仏語)は捌ける?」オオカミ(loup仏語で同じスペル)?

アデルが会話の中に入り、サミーを仕事場へ連れていきます。マックスは急いで次の場所へ。

「ジェームス、素晴らしい声だ。でもちょっと張り切りすぎじゃないのか?大人の雰囲気で落ち着いた気品のある歌でと依頼いたと思うが…」
マックスは、ジェームスに確かめています。

「知ってるよ。喉を温めてただけさ」ジェームスは、おどけて誤魔化します。

新郎のピエールがジェームスに会いにやって来ました。

頼んだヴォーカルではないことを怒り、しかも音楽に文句をつけて来ました。ジェームスは内心快く思っていない様子ですが、穏やかに頷いています。

新郎がさらに注文をつけます。

「人を紹介してほしい、スピーチがあるんだ。我らが最も尊敬し愛する人を紹介しますと…」

ジェームスは、誰のことかを聞きます。

「もちろん僕だよ」とピエール。ー無言になるジェームス。

新郎はイかれてるとスタッフたちは外を見て話しています。

外ではなぜか紐を引っ張られて念入りにダンスをしているピエールの姿。

スタッフのジョジアーヌとマックスは目が合い、「なぜ僕を無視する?」と告げます。

「奥さんにいつ話すの?もう待てないわ、話したくないの。」ジョジアーヌは去っていきます。

妻に電話をしてもやはり留守番電話の繰り返しのマックス。

ホールに全員を集まり、最後の打ち合わせが始まります。マックスは、みんなで1つになって協力すれば、乗り越えられると励まします。

古いお城なので、一番の問題は電源だと繰り返して指示を出します。

一度に電気を使うとヒューズが飛び、停電になるためアデルの指示に従うように話します。

音楽ライブでは、アデルの指示でジェームスが始めるように念を入れます。

スタッフのまとめ役が言いにくそうに口を開き、「このカツラを被るのが…」と言いました。

その一言が皮切りに皆が一斉に不満を言い出します。

この貴族の服装も嫌なのに、カツラが重い、臭い、頭が暑くてフラフラする…。

「給仕の服装を着て仕事をやらないのなら、今すぐ帰れ!」と一喝したマックス。スタッフ全員の気持ちが引き締まり、カツラを被り動き出しました。

いよいよ結婚式の始まりです。

以下、『セラヴィ!』ネタバレ・結末の記載がございます。『セラヴィ!』まだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


 

多くの招待客が集まっています。スタッフは笑顔で接しています。

マックスがあちこちを見回るや否や、いろんなトラブルに遭遇します。

見えないところでワインを飲んだり、つまみ食いをするスタッフたち。

バンドのボーカルのピエールは最初でこそ大人しくクラシックやリクエストされるオールディーズを歌っていましたが、いよいよワンマンショー状態になります。

「テーブルごとに写真を撮ってほしいのよ。」と新郎の母エレーヌに頼まれて写真を撮っていたギイでしたが、周りで多くの携帯電話を持った招待客が取り始めます。

ギイは奥に座り中学生インターンと飲み食いを始め、気の合う女性を探しています。インターンにGPSで携帯電話を使って探し方を教えてもらったからです。

マックスの話をいつでも遮ろうと口実を考えスタンバイだけしている若い給仕。

マックスの義弟ジュリアンは給仕をしている最中、新婦エレナがかつて教師をしていた時の同僚だったことを知り、招待客となって、エレナをくどいています。

そんな中バンドのジェームスが大いに盛り上げて、新郎ピエールを紹介し彼の長〜いスピーチが始まります。

アデルが厨房に来て欲しいとマックスを呼びます。厨房に行くとそこには大量の腐った肉が出されていました。

昨夜冷蔵庫のプラグが抜けていて、メインディッシュの肉が全滅だということでした。

コックの一人がシェイバーを見せました。厨房を手伝っていたサミーの目が一瞬止まりました。彼がアデルに言われてそこでヒゲを剃っていました。

マックスは知り合いに助けてもらうと言って、義弟ジュリアンと駆け出しました。

新郎ピエールの長〜いご自慢のスピーチの中、厨房では大量の冷凍パイと炭酸水で招待客のお腹を満たしています。

知り合いの店で何とか肉を仕入れた帰り、マックスは義弟のジュリアンに妻のことを話します。

夫婦として続けようと思っていたとマックスは胸の内を語ります。

「見ててわかるよ、もう二人は破綻してるよ」 とジュリアンは優しく答えました。

お城に帰ってくると、再びアデルとジェームスがやり合っています。指示が伝わらず停電になっていました。

マックスは仲直りをするように、握手とハグをさせます。いう通りにした2人はいい雰囲気に…。

あちこちで寝ている人やため息をついている人が見られる中、ディッシュが出て来てやっとピエールのスピーチも終わりました。

ホールの中でマックスが倒れました。何も食べず走り回っていたからです。

飲み物を口にして落ち着くマックス。みんなを集めて励まします。

いよいよ最後のイべントを迎えます。

「お母さんがいないんだ。それじゃ始められないよ」と新郎ピエールが困っています。

マックスは自分たちで探すので、準備をするようにピエールに言います。

直前に母のエレーヌが帰って来ます。外で散歩をしていたと話すエレーヌ。

遠くの空から舞い上がる新郎ピエールが現れます。

大きな白いパラシュートを付けて、ピエールは暗闇に浮かび上がり、進んで来ます。両サイドには紐を持って走るジュリアンとアデル。

待ち構える新婦のエレナにピエールの届こうと瞬間、逆方向へジュリアンが引っ張っていきました。

さらにその後紐を持っていたアデルとジェームスが見つめあい、紐から手を放し、抱擁します。

ピエールは白く大きな満月のようなパラシュートのと共に遥か彼方に、花火がマックスの指示を無視して上がり放題。

観客はそれが全てサプライズと思い大喝采、祝宴は夜通し続きます。

スタッフ一同はマックスの説教を静かに聞いていました。

「どいつもこいつも、打ち合わせ通りになぜできない?俺はお前たちの尻拭いばかりだ!」

うなだれて座っているマックスにカメラマンのギイが寄って来ます。

新聞記者になりたかったこと、携帯電話のせいで仕事がなくなってきたこと、それでも雇ってくれるマックスに感謝していることをゆっくりと語ります。

マックスが妻に電話を入れると、やっと繋がりました。

昔の彼と会っていることを聞きマックスは電話を切りました。

アデルがマックスを呼びにきました。

外に前からずっと立っている不審者がいると聞き、見に行くと彼はスーツを着てビジネスバックを持っていました。

スタッフを集めてマックスは、指示をしました。

「最近正規雇用をしているか抜き打ちに税務署から審査にくることがある。不法労働になる奴は今すぐ着替えて、客に混じって飲み食いをしろ。」

マックスは若い給仕とその不審者に会いに行きました。

「今の現状じゃ急に人を集められず、何とか知り合いを頼って必死にスタッフをかき集めているんだ!国がきちんと法律を変えないからこんなことになる。それが悪いのか⁈」

マックスはイキリ立っています。

相手はびっくりした様子で、いえいえ、不動産の件でと話し出します。

マックスは仕事を辞めてスッキリしようと、家のことを相談していました。

「今僕を抱きたいとメールがあって…」

マックスはまたメールを打ち間違えていました。

それをすぐ間違えだと言い返した時に若い給仕が「マックス、急用が…」と話を遮りにやってきました。

お客もスタッフも楽しく盛り上がって1日が過ぎました。アデルとジェームス、ギイとエレーヌの寄り添う姿が見られます。

早朝外でスタッフが帰り間際に集まります。誰もが穏やかな笑顔、抱き合う人々。

マックスはアデルに次の指示を任します。「じゃ、来週の火曜日」

マックスの車にジョジアーヌが乗り去っていきます。皆それぞれ帰途につきます。

映画『セラヴィ!』の感想と評価


(C)2017 QUAD+TEN / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / PANACHE PRODUCTIONS / LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE

底抜けに面白い!

どこから切り取っても、お腹を抱えて笑い飛ばすことができます。
その要素とは一体何なのか。

それは何と言っても今やフランスのエンターテイメント界を代表する名優たちの演じる、
個性溢れる魅力的なキャラクターです。

大ベテラン30年のウェディングプランナーのマックス

主人公マックスはウェディングプランナーとして30年、完璧なプランを実行する筈の社長。

なのに意外に隙が垣間見えて妻とは離婚すれすれでスタッフと不倫中です。

本人自身歳も感じており、メールを時々打ち間違えて失敗するし、体力がなくて倒れるし、でもスタッフ全員をまとめようと一生懸命な愛情深き人物です。

ユニークでパワフルなバンドボーカルのジェームス

気品のある音楽をと言われて最初は猫をかぶって言われた通りに歌っていましたが、後半は完全にライブ会場。あのタオル回しも満場一致でやってのけます。

主任にアベル

激しい口調で感情をあらわにする女性ですが、ジェームスに心惹かれると、本当に美しい笑顔になります。

まさか新郎の紐を話してキスしてしまうなんて、何度もマックスに叱られても付いていきます。

新郎のピエール

出てきたところから頭でっかちで自信満々な様子が思わず吹き出してしまいますが、あの長〜いスピーチは流石に周りのムードを感じ取っているようで、そこが何とも憎めません。

ましてやあのパラシュートダンスのため、外を飛び跳ねて練習を重ねていたのに、最後、遠く彼方500m先まで飛んで行っていたとのこと。

飛んでいく瞬間、彼の表情を見逃さないでください!

このほかにも口実を何回も言いにいく、あの若き給仕や新婦を口説く義弟ジュリアン。

グラスを間違えてフルート(仏語Flût:同じ意味)を取りに行くサミーなど、見どころ一杯のキャラクター勢揃いです

まとめ


(C)2017 QUAD+TEN / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / PANACHE PRODUCTIONS / LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE

本作品『セラヴィ!』の素晴らしいところは、ただの破茶滅茶ドタバタ喜劇ではないところです。

2人の監督エリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュの深く強い思いがあります。

2015年のパリ同時多発テロが発生しその暗闇が広がる中、移民問題を抱え多民族国家フランスを受け入れ、「こんな世の中だからこそ、お祭り騒ぎのような雰囲気の映画を作りたい」という、光を照らしたい一心でこの映画が作られました。 

映画の中で今の時代を象徴するような豪華な結婚式、予算や不法労働、着飾るスタッフ、冷凍パイ、iPhoneのカメラやGPS。

シニカルな視線で眺めながら、それを受け入れながらも一生懸命に生きる人々に愛情を注いでいます。

仕事を放ったらかしてGPSで新郎の母エレーヌと出会い、夜のデートをしたのはカメラマンのギイでした。

ラストシーンでマックスに彼はこう呟きます。

「新聞記者になろうと思ってる。ー嘘だよ!」

現実を受けとめながらも、笑いながらも未来に希望を持って生きていく。

この映画はすべての人に贈る人間讃歌です。

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