Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2019/02/13
Update

映画『仮面ライダーW』ネタバレ感想と内容解説。坂本浩一監督が描いた入魂のアクション演出【仮面ライダーW FOEVER AtoZ/運命のガイアメモリ】邦画特撮大全34

  • Writer :
  • 森谷秀

連載コラム「邦画特撮大全」第34章

先月末、〈平成仮面ライダー映画・あの名作をもう一度!キャンペーン〉という企画が展開されました。

現在も人気公開中の『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』を除いた平成仮面ライダー映画40作の中から、「もう一度スクリーンで観たい映画」「みんなで応援したい映画」をそれぞれ投票。

投票数No.1に輝いた作品をリバイバル上映するというものです。

結果「もう一度スクリーンで観たい映画」には『仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』(2003)が、「みんなで応援したい映画」には『仮面ライダーW FOEVER AtoZ/運命のガイアメモリ』(2010)が見事選出されました。

2019年の今月2月16日に『仮面ライダーW FOEVER AtoZ/運命のガイアメモリ』の応援上映、翌日2月17日に『仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』の上映がともに渋谷TOEIで行われます。

この機会に今回は『仮面ライダーW FOEVER AtoZ/運命のガイアメモリ』(2010)を特集します。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

映画『仮面ライダーW FOEVER AtoZ/運命のガイアメモリ』の作品情報


劇場版「W・ゴセイジャー」製作委員会 (C)2009石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映 (C)2010テレビ朝日・東映AG・東映

【公開】
2010年(日本映画)

【原作】
石ノ森章太郎

【脚本】
三条陸

【監督】
坂本浩一

【キャスト】
桐山漣、菅田将暉、山本ひかる、木ノ本嶺浩、杉本彩、須藤元気、八代みなせ、出合正幸、中村浩二、渡部秀、なだぎ武、寺田農、松岡充

【作品概要】
桐山漣と菅田将暉のW主演で人気を博したテレビシリーズ『仮面ライダーW』(2009~2010)の劇場版。

公開当時の同時上映は千葉雄大・主演『天装戦隊ゴセイジャー エピックON THEムービー』(2010)でした。

映画『仮面ライダーW FOEVER AtoZ/運命のガイアメモリ』のあらすじ

探偵の左翔太郎とフィリップは2人で仮面ライダーWに変身し、日夜“ガイアメモリ”を開発・流通させる裏組織“ミュージアム”、ガイアメモリによって変身する怪人“ドーパント”と戦っています。

ある日、不死身の傭兵集団NEVERは死の商人財団Xのヘリを襲撃!! 財団Xが輸送していたAからZまでの26個存在する次世代ガイアメモリ“T2メモリ”が街中にばらまかれてしまいます。

さらに飛び散ったメモリによって、一般市民がドーパントに変身する事件が頻発していました。

翔太郎とフィリップ、照井竜/仮面ライダーアクセル、鳴海亜樹子は、国際捜査官マリア・S・クランベリーと出会います。彼女からNEVERについて聞いた4人はT2メモリの捜索を開始。

一方、フィリップはマリアを自分の母親なのではと思い込んでいきます。

25個のT2メモリを集めた翔太郎たちはマリアに呼び出されました。

しかしそこへNEVERの隊長である大道克己が現れます。克己はT2メモリを使用し、仮面ライダーエターナルへと変身!!

翔太郎とフィリップは仮面ライダーWに変身し応戦するも、敗北してしまいます。

克己によってガイアメモリを無力化され、翔太郎とフィリップ、竜の3人は仮面ライダーに変身できなくなってしまいます。

さらに集めたT2メモリはマリアに奪われ、NEVERの元に渡ってしまいます。

マリアは初めからNEVERの一員だったのです。NEVERは化学薬品とクローニング技術によって死体を蘇生させた存在で、マリアはその技術開発者でした。

そしてNEVERは街のシンボルである風都タワーを占拠するのでした……。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『仮面ライダーW FOEVER AtoZ/運命のガイアメモリ』ネタバレ・結末の記載がございます。『仮面ライダーW FOEVER AtoZ/運命のガイアメモリ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
マリアが敵だと分かった今もなお、フィリップは彼女のことを母親だと思っています。

フィリップはひとり彼女の元へと向かいますが、克己によって捕縛されてしまうのでした。

実はマリアは克己の母親で、彼女は16歳の時に交通事故死した克己を蘇生させるためNEVERの技術を開発したのです。

一方の翔太郎は最後のT2メモリ“ジョーカー”を手に入れ、仮面ライダージョーカーへと変身!! 竜と共にNEVERが占拠する風都タワーへ。

NEVERのメンバーが変身するドーパントと戦いながら、翔太郎は風都タワーの頂上へと辿りつきました。

そこには捕縛され特殊光線兵器“エクスビッカー”と繋がれたフィリップ、そして克己とマリアがいます。

克己の目的はエクスビッカーから特殊な光線を発射し、人々を自分たちと同じNEVERへと変えることだったのです。

克己は翔太郎からメモリを奪いエクスビッカーを起動させようとするも、プログラムをフィリップによって書き換えられていました。

さらにマリアは克己の凶行を止めようと、彼に細胞分解酵素を注入します。

フィリップがマリアに母性を求めたように、マリアはフィリップに少年時代の克己を見出していたのでした。しかしマリアは克己の発砲によって落命してしまいます。

翔太郎とフィリップは仮面ライダーWサイクロンジョーカーエクストリームに変身し、克己が変身する仮面ライダーエターナルと激闘を繰り広げます。しかしWエクストリームは風都タワーの頂上から落下……。

そこへ亜樹子たち風都市民が街中からWへと声援を送るのです。

人々の祈りが奇跡的に強風を吹かせ、Wはサイクロンジョーカーゴールドエクストリームへとパワーアップ!!

翔太郎とフィリップは克己に勝利し、風都をNEVERの手から守ったのでした。

映画『仮面ライダーW FOEVER AtoZ/運命のガイアメモリ』の感想と評価


劇場版「W・ゴセイジャー」製作委員会 (C)2009石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映 (C)2010テレビ朝日・東映AG・東映

坂本浩一監督・入魂のアクション演出

本作の監督を務めたのは坂本浩一です。

坂本浩一はジャッキー・チェンに憧れ、16歳で“和製ドラゴン”こと国際的アクションスターの倉田保昭に弟子入り。1994年に渡米し15年間、スーパー戦隊シリーズのローカライズ作品『パワーレンジャー』シリーズに参加していました。

そんな坂本監督の手により、本作はいつも以上にアクションに力が入った作品となっています。

仮面ライダーWとヒートドーパントが繰り広げるバイクチェイス。Wと仮面ライダーエターナルの肉弾戦。強敵であるエターナルと生身の翔太郎・フィリップが戦うなど、見せ場となるアクションが目白押しです。

また敵であるNEVERのメンバーに扮するのは『片腕マシンガール』(2007)の八代みなせ。坂本と同じ倉田プロモーション出身の中村浩二と出合正幸。

中村は『ウルトラマンティガ』(1996~1997)をはじめとする“平成ウルトラ三部作”でスーツアクターを担当していました。

一方、出合正幸はかつて『轟轟戦隊ボウケンジャー』(2006~2007)で高丘映士/ボウケンシルバーを好演していました。さらに格闘家・須藤元気も登場。迫力のあるアクションを披露できるキャスティングとなっています。

またNEVERが不死身の傭兵集団であるという設定は、ジャン・クロード・ヴァンダム主演の映画『ユニバーサル・ソルジャー』(1992)から。

翔太郎が風都タワーを駆け上がりながら敵と戦うアクションは、ブルース・リー主演の『死亡遊戯』(1978)を参考にしています。

まとめ

本作はテレビシリーズ終盤の時期に公開されました。

そのためアクションのみならず、テレビシリーズに出演したゲストが一挙登場したり、人気キャラクターとなった仮面ライダースカルがわずかながらも登場したりするなど、ファンサービスも満載の作品となっています。

次回の邦画特撮大全は…

次回の邦画特撮大全は、劇場版『仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』(2003)を特集します。

お楽しみに。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

関連記事

連載コラム

ネタバレ鬼滅の刃|最終章名言/名シーン感想考察。最終回まで炭治郎/無惨の因縁の決着を解説【鬼滅の刃全集中の考察30】

連載コラム『鬼滅の刃全集中の考察』第30回 大人気コミック『鬼滅の刃』の今後のアニメ化/映像化について様々な視点から考察・解説していく連載コラム「鬼滅の刃全集中の考察」。 今回は第24回に引き続き、漫 …

連載コラム

映画『悪霊館(2019)』ネタバレ感想と評価解説。新たなエクソシストの登場|未体験ゾーンの映画たち2019見破録45

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2019見破録」第45回 ヒューマントラストシネマ渋谷で開催中の“劇場発の映画祭”「未体験ゾーンの映画たち2019」。今回は悪魔との対決を描いた映画が登場します。 ウ …

連載コラム

【感想】ペルシャン・レッスン 戦場の教室|あらすじと評価解説。映画から伝わる生死をかけた‟偽りのペルシャ語レッスン”が示すもの|映画という星空を知るひとよ123

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第123回 ナチス・ドイツの強制収容所を舞台に、ユダヤ人の青年がペルシャ人になりすまし、ナチスの軍人に<架空のペルシャ語>を教えることで生き延びようとする衝撃作 …

連載コラム

『イット・カムズ・アット・ナイト』感想と評価。「何か」によって極限の状況に追い込まれた映画的サスペンス手法の考察|サスペンスの神様の 鼓動3

こんにちは、映画ライターの金田まこちゃです。 このコラムでは、毎回サスペンス映画を1本取り上げて、作品の面白さや手法について考察していきます。 今回ピックアップする作品は、極限の状況下で、一緒に暮らす …

連載コラム

『大巨獣ガッパ』あらすじと感想評価。日活唯一の怪獣映画にして“怪獣の親子”の先駆的作品|邦画特撮大全61

連載コラム「邦画特撮大全」第61章 今年2019年11月22日から24日までの3日間にかけて開催される、第2回熱海怪獣映画祭。 そのプレイベントとして、今月9月29日(日)に熱海が登場する怪獣映画『大 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学