連載コラム「邦画特撮大全」第102章
今回の邦画特撮大全は、映画『仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー』(2015)を紹介します。
2021年12月25日(土)から2022年1月3日(月)まで、東映特撮YouTube Officialにて期間限定で無料配信される映画『仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー』。
本作は2014年から2015年にかけて放送された平成仮面ライダー16作目『仮面ライダードライブ』の劇場版です。
『仮面ライダードライブ』は主演の竹内涼真、ヒロイン役の内田理央のふたりの出世作であり、劇場版ゲストにはブレイク前の新田真剣佑(当時は真剣佑)が出演。
未来を変えるため現代に肉親がやって来るという展開は、現在公開中の映画最新作『仮面ライダー ビヨンドジェネレーションズ』(2021)とも共通しています。
CONTENTS
映画『仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー』の作品情報
【公開】
2015年(日本映画)
【原作】
石ノ森章太郎
【監督】
柴崎貴行
【脚本】
三条陸
【キャスト】
竹内涼真、内田理央、稲葉友、上遠野太洸、吉井怜、浜野謙太、井俣太良、蕨野友也、松島庄汰、馬場ふみか、クリス・ペプラー、真剣佑(現:新田真剣佑)、筧美和子、小山力也、柳沢慎吾、片岡鶴太郎
【作品概要】
平成仮面ライダー16作目『仮面ライダードライブ』(2014~2015)の劇場版。竹内涼真、内田理央ほかTVシリーズのメインキャストが集結。その他ゲストには真剣佑(現:新田真剣佑)、筧美和子、柳沢慎吾が出演。
監督は現在公開中の新作映画『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』(2021)を手がける柴崎貴行。脚本は『仮面ライダードライブ』のメイン脚本で、現在アニメ版が放送中の漫画『DRAGON QUEST ダイの大冒険』の原作者として知られる三条陸。
映画『仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー』のあらすじとネタバレ
2015年8月6日。
警視庁特状課(特殊状況事件捜査課)に所属する刑事の泊進ノ介/仮面ライダードライブは、敵である機械生命体ロイミュードの出現の報せを受け現場へ急行します。その車内で進ノ介は8月8日まで開いてはいけないという手紙をもらっていました。
現場についた進ノ介は、ロイミュードを攻撃しよう銃を構えます。進ノ介の相棒であり、科学者クリム・スタインベルトの意識がダウンロードされた変身ベルト“ベルトさん”は被害が最小限になるよう威力を調整していました。
しかし、そこへひとりの青年が止めに入ります。攻撃は想定以上の被害を出し、ベルトさんも時折暴走し自我を失うなど異常な様子を見せました。
混乱する事態の中、未来から来た仮面ライダーダークドライブが進ノ介を襲います。反撃をしようとする進ノ介でしたが、ベルトさんの内部に制御できない部分があり、このまま戦えば再び暴走する可能性があるのです。
青年の助けを借りてひとまず進ノ介は脱出。青年の名前は泊エイジ、2035年の未来からやって来た進ノ介の息子だと言います。
エイジの話によれば、ベルトさん=クリム・スタインベルトがロイミュード側へ寝返り、未来の世界はロイミュードによって支配されたというのです。その未来を変えるため、エイジは現代へやって来ました。
一方、警視庁は進ノ介をエネルギー施設破壊の被疑者として全国指名手配。進ノ介のもう一人の相棒・詩島霧子ら特状課の面々は上層部の捜査方針へ反発しますが、古葉参事官に一蹴されてしまいます。
映画『仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー』の感想と評価
『仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー』はタイトル通り、驚きに満ちた未来が描かれる作品です。
主人公の泊進ノ介/仮面ライダードライブの相棒であるベルトさん(クリム・スタインベルト)が敵側につき、敵怪人ロイミュードによって支配された未来世界。
進ノ介の息子と名乗る泊エイジと未来の仮面ライダー“ダークドライブ”、未来のスーパーカー“ネクストトライドロン”の登場。
また登場した未来世界や未来からやって来たもの以外にも、数々のサプライズ要素が登場し公開当時ファンの度肝を抜きました。
未来を変えるために登場人物の肉親がやって来るという作品の導入部分や、未来からやって来た新ライダーという要素は現在公開中の『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』とも共通しています。
ただ泊エイジはあくまでゲストキャラクターという扱いであり、本作は『ビヨンド・ジェネレーションズ』より親子のドラマはそこまで中心に据えられてはいません。
本作が公開されたのは2015年8月8日。すでにTVシリーズが佳境に入っていた時期の公開ということもあり、モチーフとなった要素やコンセプトを最大限に活かした、TVシリーズの総決算といえるものとなっています。
まずその1つが「相棒」です。物語の主軸は泊進ノ介と未来から来た息子・泊エイジとの関係性よりも、進之介とベルトさん(クリム)、進ノ介とヒロインである詩島霧子、進ノ介とふたりの「相棒」を主軸とした物語が展開されました。
TVシリーズで築かれた彼らの関係性を再認識させる物語となっています。
そして『仮面ライダードライブ』のモチーフは、「刑事」と「車」。
刑事である泊進ノ介が指名手配犯として追われるという刑事ドラマの定番のひとつである展開が繰り広げられ、この展開と劇場版というスケールに合わせて、多くの警察官たちの姿が画面に並びます。
そして「車」の要素ですが、本作にはとにかくさまざまな車が登場します。
「トラック野郎」シリーズへのオマージュとも言えるデコトラ、CGを効果的に利用して暴れ回る大型双腕建機ASTACO、そして未来からやって来たスーパーカー“ネクストトライドロン”です。
仮面ライダードライブの乗るトライドロンとネクストトライドロンのカーチェイスの場面も、ふんだんに取り入れられていました。
ネクストトライドロンは、メルセデス・ベンツとのコラボレーションで当時の新型スポーツカー“メルセデスAMG GT”をベースにしています。
このように本作『仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー』は車にこだわった作品となっています。
ちなみに本作は「未来から来た車」というコンセプトから、製作側は当初『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と同じくデロリアンを登場させるつもりでいたと言います。
まとめ
作品のモチーフである「刑事」と「車」、そして「相棒」。基本コンセプトに要素を最大限に活かした映画『仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー』。
東映特撮YouTube Officialでの無料配信は、2021年12月25日(土)から2022年1月3日(月)までの期間限定です。この機会にぜひチェックしましょう。
また本作と近い要素を持つシリーズ最新作『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』も、2021年12月28日より劇場公開中です。こちらも併せてチェックしてはいかがでしょうか。