Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2019/03/04
Update

『オッズ』ネタバレ感想。アメリカ版ご当地映画はソリッドシチュエーションだ⁈|未体験ゾーンの映画たち2019見破録32

  • Writer :
  • 20231113

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2019見破録」第32回

今年もヒューマントラストシネマ渋谷で開催中の“劇場発の映画祭”「未体験ゾーンの映画たち2019」。様々な58本の映画が公開中ですが、危険な賭けを題材にした密室スリラーが登場します。

人生の敗者が大金を得て一発逆転を目論み、命がけのゲームに挑戦する物語。「未体験ゾーンの映画たち2019」では、同じテーマの作品『カイジ 動物世界』が上映されています。

巨額の製作費でスケールの大きな映画『カイジ 動物世界』と異なり、密室という限られた空間で、極限状態の駆け引きを繰り広げる2人の男女の姿を描いた作品が登場します。

第32回は大金と命を賭けた拷問ゲームを描く、シチュエーションスリラー映画『オッズ』を紹介いたします。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2019見破録』記事一覧はこちら

映画『オッズ』の作品情報


(C)2018 THE ODDS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

【公開】
2019年(アメリカ映画)

【原題】
The Odds

【監督】
ボブ・ジョルダーノ

【キャスト】
アビー・バトラー、ジェームズ・J・フェルテス

【作品概要】
映画製作の様々な仕事に携わった後、80年代に移り住んだテネシー州のナッシュビルで、長年映画製作や脚本の指導してきたボブ・ジョルダーノ。

その彼が監督・脚本を務め、ニューヨーク・シティ国際映画祭2018で最優秀長編ホラー映画賞を獲得した作品です。

痛みと人間性の崩壊を狙った拷問ゲームを舞台に、“マンツーマン”の対決で描くサイコスリラー映画です。

ヒューマントラストシネマ渋谷とシネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2019」上映作品。

映画『オッズ』のあらすじとネタバレ


(C)2018 THE ODDS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

閉ざされた一室に、覆面を被された一人の女がいます。現れた男が心の準備は出来たかと、彼女に尋ね覆面を外します。

部屋の中央に置かれた机を挟んで、女と男は向き合います。

男は机の上にウェブカメラを設置し、これから行わるゲームの準備を進めます。ゲームの参加者である女=“プレイヤー”(アビー・バトラー)は、男に名前を尋ねます。

男=“ゲームマスター”(ジェームズ・J・フェルテス)は名乗らず、これから行われるゲームのルールを説明します。

設置されたカメラが、ゲームの主催者や顧客、そして”プレイヤー”を含めた世界中にいる20名のゲーム参加者をつないで、危険なゲームが行われようとしていました。

これから参加者に対して5回の予選が行われ、残った者で決勝に進み、最後に勝ち残った1人が賞金100万ドルを手に入れるのです。

これから予選で行われるゲームの内容は明かされていません。“プレイヤー”は銃じゃないのと尋ねますが、“ゲームマスター”はまだ早いと、答えます。

この部屋にはプレイヤーとマスターの2人だけ、他に部屋の外に指示に従ってゲームの準備をする男が2人います。

“ゲームマスター”は“プレイヤー”に血液検査の結果はOKと告げます。“ゲームマスター”は彼女に、自分に秘密を話していいよ、このゲームは人を明るく照らすと告げました。

“プレイヤー”は私に秘密は無いと、答えます。ゲームの準備が整いました。“ゲームマスター”は身に付けたマイク付きイヤホンで、オーナーから指示を受けてゲームを進行します。

第1回戦。机の上のロウソクに火が点けられます。“ゲームマスター”は、今回プレイヤーはロウソクの炎に自ら手のひらをかざして炙り、3人が脱落した時点で終了と説明します。

“ゲームマスター”の男は、彼女に何故ゲームに参加したか尋ねますが、“プレイヤー”は行き場は無く、家にも帰れないからと答えます。

彼女は自分の娘と暮らすためにゲームに参加しました。“ゲームマスター”は僕には金より命が大事だと、彼女に告げます。

彼は“プレイヤー”にゲームは心理戦だと説明します。彼女は“ゲームマスター”に、今まで参加したプレイヤー全員に同じ話をするのか尋ねますが、彼は必要な人物だけだと答えます。

“プレイヤー”からゲームに参加した経験があるかを尋ねられた彼は、第1回戦の終了後に答えると告げます。主催者からの指示で、ゲームは開始されました。

“プレイヤー”はロウソクの火で手のひらを炙ります。“ゲームマスター”は2人脱落した、あと1人だと、彼女を励まします。

“プレイヤー”は“ゲームマスター”の言葉でしか、ゲームの進行を知ることができません。

苦悶する“プレイヤー”に、“ゲームマスター”は3人目の脱落を告げます。良くやったと喜ぶと、彼は“プレイヤー”の火傷を優しく手当てします。

自分は14回ゲームを行ったが、プレイヤーとして参加したことは無いと“ゲームマスター”は語ります。その中に勝者はいたかを“プレイヤー”は尋ねます。

返答は勝者はいないが大半は予選で脱落する。しかし、最終戦で男女5人の頭が吹き飛ぶのを見たと、“ゲームマスター”は答えます。皆金目当てで参加していました。

2回戦以降のゲームの内容を決めるのは主催者だと、“ゲームマスター”は説明します。“プレイヤー”はなぜ彼がマスターとしてゲームに参加しているのか尋ねます。

それがこのゲームの問題だと“ゲームマスター”は意味ありげに答え、このゲームは君を変えてしまうと、彼女に伝えます。

“ゲームマスター”に、以前会ったことがあるのではと、“プレイヤー”は問います。しかし返事はありません。

2回戦に使う、穴の開いた木箱が用意されます。“ゲームマスター”は“プレイヤー”の右足を素足にさせると、彼女に合図があったら木箱の中に入れろと指示します。

何が入っているか尋ねる彼女に、“ゲームマスター”は知らないと答えます。箱の中身は毎回変わると彼は説明します。

躊躇する“プレイヤー”に、彼はカメラを通して見ている主催者や観客に判らぬように、耳元でネズミが入っているとささやきます。

ゲーム開始前に1人が脱落しました。まだ迷う彼女に“ゲームマスター”は子供のためだろうと告げ、励まします。彼は、君を手助けすると言うのです。

“プレイヤー”が右足を穴に入れると、“ゲームマスター”は箱の仕切りを外します。動揺する“プレイヤー”に、彼は別の事を考えろとアドバイスします。

ネズミが噛んだと彼女は叫びますが、“ゲームマスター”はまた1人脱落したと告げます。これは君のためで、僕のためでもあると言い聞かせます。

彼は“プレイヤー”に、これはあなたのためだと言わせます。彼女がその言葉を言い続ける内に、3人目の脱落者が出ました。

“ゲームマスター”は彼女の足に丁重に包帯を巻き、その上から足にやさしくキスをします。

前に会っているはずと告げる“プレイヤー”の問いかけには答えず、彼は君は棄権しないと告げます。

大金を獲得し娘と、そして父親と一緒に暮らせばいいと“ゲームマスター”は語りかけますが、彼女は運命の人とは会っていないと答えます。

すると彼は“プレイヤー”に結婚しようと言い出します。付き合い始めたばかりと笑う彼女は、求婚の返事は3回戦の後に返事をする、と告げます。

3回戦も同じ穴の開いた木箱が用意されました。しかし今回の木箱には、9本のネジが突き立っており、電動ドライバーが用意されています。

“ゲームマスター”は君なら出来ると励まします。以前も行ったかを問う“プレイヤー”に、これは初めてだと彼は答えます。

今度は左足を素足にすると、2回戦のように箱に足を入れます。主催者からの指示で、ネジは一本ずつ箱の中へ締めるのです。

“ゲームマスター”の手で1本目のネジが締められ、“プレイヤー”は悲鳴を上げます。まだ脱落者はいません。2本目のネジがも締められ箱の中へと沈んでいき、木箱から血がにじみ出ます。

“ゲームマスター”は彼女に、これは僕のためだと告げ3本目、4本目のネジを締めます。“プレイヤー”の意識は朦朧としてゆきます。

“ゲームマスター”が3人目が脱落を彼女に告た時には、すべてのネジが締められていました。彼はネジを抜き始めます。これで20人の参加者の内、9人が脱落しました。

“プレイヤー”に左足に優しく包帯を巻きながら、彼はプロポーズの返事をもらっていないと告げまず。彼女は、いいわと答えました。

“ゲームマスター”は彼女に婚約のキスをしますが、それを利用してカメラで見ている者に悟られぬよう、密かに鎮痛剤を渡します。

“プレイヤー”は彼の協力的な姿勢に気を許し、結婚後のハネムーンや彼女の故郷について2人で会話します。

ところが獲得した賞金であなたも暮らせると、彼女が告げると“ゲームマスター”は見下されたと怒り出します。彼女は馬鹿にしたつもりは無いと謝ります。

“プレイヤー”は、このゲームであなたがたった1人の友達だと告げ、彼にゲームの主催者に会ったかを尋ねます。

“ゲームマスター”は主催者を人間行動学の研究者と説明します。彼らにとってゲームの参加者は駒扱い。しかし彼女にこのチャンスを与えてくれた存在だと告げます。

ゲームが無ければ、君はクスリの目当てに路上に立ち、娘はグループホームに預ける生活だと“ゲームマスター”は高圧的な姿勢で告げ、彼女に感謝しろと言い放ちます。

4回戦のために、部屋に水を満たした水槽が持ち込まれます。今回は“ゲームマスター”が“プレイヤー”の体を押さえつけ、3人が脱落するまで頭を水に漬けるのです。

3人が脱落すれば“ゲームマスター”が頭を引き上げます。手に銃弾を握り、耐えられなくなったらそれを落すことで中止の意志表示が出来ます。

中止の意志を示せば、当然水に漬けたままにはしないと説明する“ゲームマスター”。彼は挑発的に、彼女に愛していると言わせます。開始前に2人の参加者が脱落しました。

4回戦が開始されます。水に漬けられた“プレイヤー”は、幻覚で芝生の上で娘と戯れる光景を目撃します。彼女と娘は1組になったペンダントを下げています。

突然、君を愛しているとの声をかけられた彼女が振り返ると、娘の姿はありません。池に大きな波紋が広がっています。彼女は池に入り娘の姿を探します。

必死に池で娘を探す“プレイヤー”。水槽に漬けられた彼女は意識を失います。

突然彼女は“ゲームマスター”に引き上げられます。意識を取り戻した彼女は、ゲームから脱落しないために、渡された銃弾は握らず飲み込んでいました。

君は少しの努力で魅力的な女性になれた、と告げる“ゲームマスター”。いぶかしがる彼女に男は褒めたつもりだと告げます。

彼は“プレイヤー”に今までの男性経験を尋ね、彼女はそれに挑発的に答えます。“ゲームマスター”は本当に嫌なら出て行くはず、僕のために続けるのだろうと迫ります。

君は自分で残ると決めた、僕らは運命の2人だと語る“ゲームマスター”。彼女はその姿に病的なものを感じていました。彼はここが君の居場所だと告げます。

机の上にまな板、包丁、ひもが用意されます。5回戦は左手の小指から、1関節ずつ自らの手で指を切り落します。ひもで縛って止血し、3人の脱落者が出るまで切り落とし続けます。

“ゲームマスター”は鎮痛剤を渡そうかと告げますが、“プレイヤー”は怒りに満ちた表情でそれを突き返します。

ゲームの予選の最終戦である、5回戦が開始されました。

以下、『オッズ』ネタバレ・結末の記載がございます。『オッズ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2018 THE ODDS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

5回戦が開始され、既に“プレイヤー”の左手の小指、薬指、中指が失われていました。もう中指は立てられないと、“ゲームマスター”は彼女を嘲笑します。

次のは人差し指の第1関節までを切り落とします。出来ないと言って部屋を出ようとする“プレイヤー”に、諦めればすべて失うと冷酷に告げます。

その最中に3人目のプレイヤーの脱落が告げられ、彼女は決勝に残ることが決まりました。

トイレで涙を流す“プレイヤー”。しかし娘とセットになったペンダントに手をやり、鏡を見つめて決意を新たにします。

彼女が切り落とした指の入ったビンをもてあそびながら、“ゲームマスター”は2人の時間の想い出に指をもらって良いか尋ね、ビンをポケットに入れます。

最初から君は決勝まで残ると思っていたと、語る“ゲームマスター”。心に傷を負った人間は強いと彼は語ります。

参加した全員を苛めるのかと尋ねる“プレイヤー”に、“ゲームマスター”は君はお気に入りと告げます。

“プレイヤー”は、やはり“ゲームマスター”に以前会っている、酔って女に暴力をふるう男だと皮肉を続けます。男は最初が良い関係だったのにと、“プレイヤー”に尋ねます。

彼女は“ゲームマスター”に、あなたはここで天職を見つけたと嘲ります。その言葉に彼は“プレイヤー”の頬を打ちます。

争いになる2人。“ゲームマスター”はウェブカメラを倒し“プレイヤー”に銃を突きつけます。

ゲームを止めると言ったらどうするのと、挑発的に尋ねる彼女に、“ゲームマスター”はここで棄権すれば仲間が撃ち殺すと脅します。

ゲームに残った5人によって、決勝戦が行われます。5発入る回転式拳銃に1発銃弾を込め、ロシアンルーレットを行い、最後の1人になるまで続けるのです。

長く続くと死ぬ前に精神が崩壊すると“ゲームマスター”が告げる中、1回目のゲームが開始されます。彼女の銃は発射されず、1人目が脱落しました。

“ゲームマスター”は改めてシリンダーを回し、ここで死んでも誰も気付かないと告げて拳銃を渡しますが、“プレイヤー”は死ねばそんなことは関係ないと言い放ちます。

彼女が2回目の引き金を引き時、「バン」といって笑う“ゲームマスター”。銃弾は発射されませんでしたが彼は笑いながら、また1人ハエが死んだと告げます。

“ゲームマスター”は“プレイヤー”に、確率(オッズ)が君を捕まえると告げます。

“プレイヤー”の3回目のプレイでも、銃弾は発射されませんでした。“ゲームマスター”は今回は誰も脱落しなかったと告げます。

再度シリンダーを回し、これは当たりだと告げ、銃を“プレイヤー”に渡す“ゲームマスター”。さようならと言えと挑発する彼に、くたばれと言って彼女は引き金を引きます。

4回目のプレイでも脱落者は出ませんでした。“ゲームマスター”は一度に全員が脱落することもあると言いますが、彼女はそれでは賭けが成立しなくなると言い返します。

5回目、6回目、7回目…回数を重ねても、銃弾は発射されません。決着がつかない展開に、主催者からシリンダーにもう一発銃弾を込めるよう、ルール変更が指示されます。

次のプレイが行われまた1人脱落しました。残るは2人です。

しかしここで“ゲームマスター”は、実はもう残るは“プレイヤー”1人だけかも、と問いかけてきました。

それでは賭けが成立しないと答える“プレイヤー”に、賭けは君が何発目で死ぬかかもと、“ゲームマスター”は告げました。

何が事実か判らない以上、ここでの君は僕を信用するしかないと“ゲームマスター”は語り、主催者の指示で、シリンダーにもう1発銃弾が追加されます。

ゲームが存在しなければ、最初から“プレイヤー”と“ゲームマスター”の2人だけだったのではと、告げる“ゲームマスター”に対し、彼女は早く銃を渡すよう告げます。

銃を手にした“プレイヤー”は、逆に“ゲームマスター”に問いかけます。既に私の勝ちでは、そして今の賭けの対象は、誰が生きて帰るかではと告げて、彼に銃を向けます。

“プレイヤー”は“ゲームマスター”に、ミスを犯したわね、あなたは自分が主役と思っていたのかと言い放ち、彼に銃を向け引き金を引きます。

銃弾は出ず逃れる“ゲームマスター”。“プレイヤー”は入ってきた男を撃ち殺し、外にいたもう1人の男も射殺します。

隙をつき突進してきた“ゲームマスター”は、“プレイヤー”を抑え込みその首を絞めます。

彼女は“ゲームマスター”がポケットに入れ持っていた、5回戦で切り落とした指を入れたビンを掴むと、それを彼の頭に叩き下ろします。

ビンの破片で彼の首が切られ、激しく出血します。自分には息子がいる、助けてくれと訴える“ゲームマスター”に、彼女は息子にはあなたがいない方が幸せだと告げます。

彼は絶命し1人残った“プレイヤー”は、“ゲームマスター”が付けていた、マイク付きイヤホンを自分の身に付けます。

イヤホンからは、君の勝ちだと、告げる声が流れてきました。

映画『オッズ』の感想と評価


(C)2018 THE ODDS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

限られた空間を舞台に作られた低予算劇映画

ほぼ全編密室を舞台に“プレイヤー”と“ゲームマスター”の2人で描く映画。あとは室外に待機する男2人いるだけ。密室以外で描かれる場面は“プレイヤー”と娘のシーンのみ。

出演者計5名。ちなみに最初に撮影されたのは明らかに別取りの、“プレイヤー”と娘の野外シーン。2017年の2月という寒い時期に、主演女優は池に入って撮影したそうです。

なるほど低予算映画だと実感できる裏話です。製作費はおおよそ25万ドル(約2800万円)と発表されています。

この金額を映画としては安い、インディペンデント作品としては高いと感じるかは、人それぞれですが、この映画はアマチュア的な雰囲気の作品ではありません。

本作をご覧頂くと作品は小さいながらも、技術を持ったスタッフが、本格的な機材を使用して製作された作品だと実感できるでしょう。

ナッシュビルで誕生した映画


(C)2018 THE ODDS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

この映画はボブ・ジョルダーノの初監督作品ですが、決して若い方ではありません。

若き日に短編映画、独立系作品に様々なスタッフとして活躍したこの人物は、80年代にテネシー州ナッシュビルに移り、この地で脚本と映画製作について指導してきました。

テネシー脚本協会の元会長、現役員でもある彼が脚本を書いたと知れば、この映画が何にこだわって製作されたかは明白です。

ナッシュビルで撮影されたこの作品、ボブ・ジョルダーノが育てた、あるいは彼の周囲にある人物と共に製作された、地方発の映画です。

地方から育つ映画人

仲間たちと共にピッツバーグで映画を作ったジョージ・A・ロメロ、ボルチモアで映画を作ったジョン・ウォーターズ。

リチャード・リンクレイターも、ヒューストンで仲間と作った映画で監督デビューしました。

参考映像:リチャード・リンクレイター 職業:映画監督(2018)

その姿はドキュメンタリー映画『リチャード・リンクレイター 職業:映画監督』にて紹介されています。

アメリカには昔から地方にも劇団や楽団、様々な芸術の教育機関が活動し、多くの才能を排出ています。それが映画業界の人材育成の場にもなっています。

技術・機材の発達で、より低予算で映画が製作できるようになった現在。地方で仲間たちと映画を作ろうと志している人には、この映画は何かヒントとなるでしょう。

まとめ


(C)2018 THE ODDS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

この映画で行われているのは拷問ゲーム。そのシーンは直接的には描かれていません。そのような描写を期待していた方は、失望するかもしれません。

そういった描写が無いのも低予算映画ゆえでしょう。しかし同時にそういったシーンが無くとも緊張感を維持させる、丁寧な作品になっています。

『オッズ』の危険なゲーム、本当に公平に行われているのか確認出来ない状況ですから、当然誰にも参加することはお薦め出来ません。

それでも人生を変える可能性を託しゲームに参加する主人公。彼女はそこまで追い詰められた人物です。

その彼女がゲームを信じていいのか、また実際の賭けの対象は何なのか、そこまで含めた状況を心理戦として描いた、ソリッドシチュエーション・サスペンス映画です。

次回の「未体験ゾーンの映画たち2019見破録」は…


(C)2018 YAR PRODUCTIONS INC

次回の第33回は美しい主婦を襲う恐怖は現実か、妄想か。“マインドコントロール”を題材にしたサスペンススリラー映画『コントロール 洗脳殺人』を紹介いたします。

お楽しみに。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2019見破録』記事一覧はこちら

関連記事

連載コラム

映画『隔たる世界の2人』ネタバレ感想解説とあらすじ結末の考察。アカデミー賞最優秀短編賞は実話事件をタイムループで描く|Netflix映画おすすめ34

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第34回 2020年にミネアポリス近郊で発生した白人警官デレク・ショービンによるジョージ・フロイドさん殺人事件に端を発するBLM運動の影響下 …

連載コラム

映画『ヒットマン エージェント:ジュン』感想と考察解説。韓国人俳優クォンサンウ演じるキャラを魅力的にする為に脚本を熟考|コリアンムービーおすすめ指南19

売れない漫画家の正体は、対テロ保安局“猛攻隊”の元エージェントだった! 韓国映画『ヒットマン エージェント:ジュン』が2020年9月25日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋他にて全国順次公開さ …

連載コラム

映画『パトレイバー劇場版2』ネタバレ考察とあらすじ感想解説。現場と組織上層部の温度差を描き“真の正義”を問う|SF恐怖映画という名の観覧車140

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile140 激動の世の中となり、政府や各企業の動向に注目がより集まるようになりました。 全体を俯瞰した方針の決定を求められる上層部と、目の前の事態に …

連載コラム

NETFLIX『返校シーズン1』ネタバレ感想と評価考察。ラスト結末も【ホラーゲームの物語に“救い”を加えた補完作】SF恐怖映画という名の観覧車134

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile134 年月を重ねるごとに映画やドラマなどのオリジナル脚本の不足は深刻になったと言う闇の面と、特殊効果の進化と言う光の面から漫画やゲームの映像化 …

連載コラム

都市伝説の怖い真相をSF映画から考察。トトロからスピルバーグやディズニー作品まで | SF恐怖映画という名の観覧車22

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile022 「これは私の友達の友達から聞いた話しなんだけど……」。 そんな言葉から始まる「都市伝説」を、皆さんも人生の中で何回か聞いたことがあるはず …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学