連載コラム『鬼滅の刃全集中の考察』第35回
大人気コミック『鬼滅の刃』の今後のアニメ化/映像化について様々な視点から考察・解説していく連載コラム「鬼滅の刃全集中の考察」。
2022年4月16日のアニメ化3周年記念イベント「鬼滅祭」にて、テレビアニメの製作決定が告知されていた「刀鍛冶の里編」の第1弾PVがついに解禁。今回はそのアニメ放送に先立ち、「刀鍛冶の里編」を原作漫画のネタバレあらすじと共にその魅力や見どころをご紹介します。
公開された「刀鍛冶の里編」第1弾PVでは、里を訪れた炭治郎の姿、物憂げな無一郎、頬を染め駆ける蜜璃の姿が描かれており、日本はおろか世界中のファンの期待が高まりつつあります。
そんな「刀鍛冶の里編」とは果たしてどのような物語であり、どのような魅力・見どころを溢れているのかを改めて探っていきます。
漫画『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』のあらすじとネタバレ
十二鬼月の“上弦の参”猗窩座は、鬼たちの首魁・鬼舞辻無惨が本拠地としている無限城に知らぬ間に転移されていることに気付きます。
無限城には“上弦の壱”黒死牟、“上弦の弐”童磨、“上弦の肆”半天狗、“上弦の伍”玉壺も集められ、姿を見せた無惨は“上弦の陸”の妓夫太郎と堕姫の兄妹が鬼殺隊に倒されたことを明かします。
無惨は自身が捜索を命じた「青い彼岸花」と鬼殺隊を束ねる産屋敷輝哉の居所をつかめず、あまつさえ人間にも負けてしまう“上弦”の鬼の存在意義を疑問に思っていました。
しかし玉壺は、現状における鬼殺隊士の日光以外の鬼への対抗手段「日輪刀」を日夜作り続けている「刀鍛冶の里」の所在を掴めそうだと報告。無惨は玉壺に里の所在を早急につかみ、同じく“上弦”の半天狗とともに襲撃するよう命じました。
その頃、竈門炭治郎は蝶屋敷で目を覚まします。
妓夫太郎・堕姫兄妹との戦いの後、2ヶ月間も眠っていた炭治郎が意識を取り戻したことに喜ぶ蝶屋敷の住人。しかし炭治郎は、先の戦いで刃こぼれした刀の代わりができていないこと、そして担当の刀鍛冶師である鋼鐵塚蛍から「お前にやる刀はない」と書かれた手紙が届いていることも知ります。
炭治郎は鋼鐵塚と直接話すため、刀鍛冶の里を訪ねます。
そこで里の長・鉄地河原鉄珍と対面し、事情を説明。鉄珍は鋼鐵塚を探すことを請け負い、その間に炭治郎は里に湧く温泉で療養することにします。
温泉に向かう道すがら、炭治郎は“恋柱”の甘露寺蜜璃と出会います。また向かった温泉では、同期隊士である不死川玄弥に出会い話しかけますが、邪険にされてしまいます。
その後の蜜璃との会話の中で、玄弥が“風柱”不死川実弥の弟であることを知る炭治郎。また別れ際、里の中に「強くなるための秘密の武器」が隠されていることを聞かされた彼は翌日、その武器を探そうと里を探索します。
その時、誰かが言い争う声を耳にした炭治郎。向かった先では、“風柱”の時透無一郎が里の少年・小鉄に「鍵」を渡すよう迫っていました。
強引な無一郎の態度が癇に障り割って入る炭治郎ですが、無一郎に気絶させられてしまいます。
目を覚ますと、そばには自身を介抱してくれていた小鉄がいました。小鉄は無一郎が求めていたものこそが蜜璃の語った「武器」であり、炭治郎が気絶した後に鍵を奪われてしまったことを話します。
無一郎の様子を見に向かった二人は、そこで無一郎と戦う人形を目にします。
漫画『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』の感想と評価
「遊郭編」で“上弦の陸”妓夫太郎と堕姫を倒し、終わりなき鬼と人間の戦いに終結の兆しが見えた中、本作「刀鍛冶の里編」では、“上弦の肆”半天狗と“上弦の伍”玉壺が同時に襲撃するというかつてない危機が炭治郎を襲います。
物語において刀鍛冶の里は鬼殺隊にとって戦略的にも重要な拠点であり、本作は戦況全体にも影響を及ぼす重大な局面でした。それ故に上弦二体の同時襲撃が行われたほか、鬼殺隊も期せずして柱二人が防衛にあたったことで激闘を繰り広げることになります。
また物語上での重要な戦いであるのもさることながら、「刀鍛冶の里編」の最大の魅力はこれまで深く語られることのなかったキャラクターにスポットを当て、その人物像を掘り下げていることにあります。
中でも、“霞柱”時透無一郎が思い出す過去の物語は鮮烈でした。初登場時から何事にも興味を示さず、些末なことのようにふるまう無一郎は悪意こそないものの、他者への気遣いができず、本エピソードの冒頭でも炭治郎と衝突することになります。
しかし無一郎が過去の記憶を失っているという事実は、その飄々とした性格からは察することができず、驚いたファンも多かったのではないでしょうか。炭治郎の言葉を機に他者への思いやりの心を意識し始めた無一郎は、それをきっかけに過去の記憶を思い出すことになります。
中でも双子の兄・有一郎の存在は印象的であり、両親亡き後も有一郎なりに無一郎を守って生きていこうという想いが空回りしたせいで無一郎と衝突することになり、関係が崩れてしまいます。
しかし鬼に襲われ死期を悟った有一郎は、神仏に無一郎の無事を願っており、不器用ながらも無一郎に対する有一郎の強い思いが感じられ、炭治郎と禰豆子の兄妹とはまた異なる“兄弟の絆”が感じられ、涙を誘われました。
また、炭治郎の担当鍛冶師・鐵鋼塚蛍の想いも忘れてはいけません。初登場時から個性的なキャラクターで事あるごとにコミカルな発言、行動で読者の笑いを誘う鐵鋼塚でしたが、何度も刀を破損する炭治郎に対する恨み節の裏にはある破損してしまう刀を製作した自身の技量への悔しさ、破損せず炭治郎が安心して使える刀を作るために密かな修練に励む努力が明かされます。
極めつけは玉壺の襲撃に際しても微動だにせず、刀を研ぎ続ける鐵鋼塚の姿は前述の姿も相まって、鐵鋼塚の鍛冶師としてのプライドの高さが感じられるエピソードとなっています。
「刀鍛冶の里編」ではそうした各キャラクターのエピソードが炭治郎からの影響、あるいは炭治郎に影響を及ぼし共に成長していく様子も必見です。
: Incorrect URL specification.テレビアニメ『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』の作品情報
【原作】
吾峠呼世晴
【監督】
外崎春雄
【キャスト】
花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、河西健吾、花澤香菜
【作品概要】
「週刊少年ジャンプ」で連載された吾峠呼世晴による大人気漫画『鬼滅の刃』を原作とするテレビアニメシリーズ第三期。第一期の『竈門炭治郎 立志編』、劇場版『無限列車編』、第二期のテレビアニメ版『無限列車編』、『遊郭編』に引き続き監督を外崎春雄、アニメーション制作をufotableが担当します。
主人公・竈門炭治郎役の花江夏樹、竈門禰豆子役の鬼頭明里、我妻善逸役の下野紘、嘴平伊之助役の松岡禎丞、おなじみのキャストに加え、“霞柱”時透無一郎役の河西健吾と“恋柱”甘露寺蜜璃役の花澤香菜が本格参戦する『刀鍛冶の里編』。本作で激闘を繰り広げる上弦の鬼・半天狗と玉壺を誰が演じるのかも注目です。
まとめ
上弦の鬼、二体が同時襲撃するという未曽有の事態が襲った『刀鍛冶の里編』。かつてない危機的状況の中、炭治郎は新たな仲間との絆で切り抜けることに成功します。
そして「禰豆子が太陽を克服する」という驚愕の展開がドラマティックに描かれる結末は、ファンたちの中でも最も感動的な場面との呼び声が高いようです。しかし、この出来事が鬼舞辻無惨の知るところとなり、やがて訪れる最終決戦のきっかけとなります。
対する鬼殺隊も戦力強化を急ぎ、“柱稽古”を行うこととなり、事態は風雲急を告げる事となっていきます。
次回の『鬼滅の刃全集中の考察』もお楽しみに!
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