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台湾映画『いつまでも幸せに』あらすじ感想レビュー。ロアン・フォンイー監督作品が描く結婚観に戸惑い抗う姉妹の物語|TIFF東京国際映画祭2026-5

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

長編デビュー作『アメリカから来た少女』(2021)がTIFF2021「アジアの未来」部門で上映され、その後劇場公開となったロアン・フォンイー監督長編第2作『いつまでも幸せに』。

恋人にプロポーズをされ、結婚の準備をする妹と、同性愛者であり、結婚に象徴される慣習に抗おうとする姉。そんななか妹が猫を拾い、猫が姉妹、そして家族の間に波紋をよんでいきます。


(C)Splash Pictures, Inc.

主演を務めたのは、本作が映画初出場となる、台湾出身で韓国のガールズグループ「i-dle」のメンバーであるシュファ。

本作は第51回トロント国際映画祭の特別上映部門に選出されました。

【連載コラム】『TIFF東京国際映画祭2026』記事一覧はこちら

映画『いつまでも幸せに』の作品情報


(C)Splash Pictures, Inc.

【日本上映】
2026年(台湾映画)

【監督、脚本】
ロアン・フォンイー

【キャスト】
シュファ、ヤン・クイメイ、ジャック・カオ、チェン・シュエン

【作品概要】
7歳ごろに台湾からアメリカに渡り、数年後に台湾に帰ってきたという自身の体験や母との関係性を元に描いた『アメリカから来た少女』(2021)で長編デビュー。同作で「台湾のアカデミー賞」こと金馬奨で女性初の最優秀新人監督賞を含む4冠に輝いたロアン・フォンイー監督の長編第2作。

台湾出身で韓国のガールズグループ「i-dle」のメンバーであるシュファが主演を務め、本作が映画初出演&初主演となりました。

映画『いつまでも幸せに』のあらすじ


(C)Splash Pictures, Inc.

化粧品店で働くジアチーは、恋人からプロポーズされます。

喜びながらも「もっとあとだと思った」と戸惑いも感じるジアチー。

一方、作家である姉のジアウェンは、同性愛者であり、編集者のパートナーとの同棲を考えていました。

結婚の準備が進んでいくと同時に不安も感じるジアチーと、結婚にまつわる保守的な価値観や慣習に抗うジアウェン。

ある日、ジアチーが捨て猫を家に連れて帰り、少しずつ姉妹、そして家族の間ですれ違いが大きくなっていき……。

映画『いつまでも幸せに』の感想と評価


(C)Splash Pictures, Inc.

自身の体験を元に描いた長編デビュー作『アメリカから来た少女』(2021)がTIFF2021「アジアの未来」部門で上映され、その後劇場公開となったロアン・フォンイー監督。

『アメリカから来た少女』は、台湾のアカデミー賞とも呼ばれる金馬奨で、10部門にノミネートされ、最優秀新人監督賞、最優秀撮影賞、国際批評家連盟賞や観客賞など5部門で受賞しました。

弱冠32歳にして才能を開花させた注目の若手女性監督ロアン・フォンイーの長編2作目となる本作では、結婚や出産に関する台湾社会の保守的な部分や、結婚とは?幸せとは?という問いかけを観客に突きつけます。

『アメリカから来た少女』においても、長女と母親の衝突を描いていたロアン・フォンイー監督ですが、本作においても、互いに分かってほしくて衝突してしまう姿を描いています。

また、両親と2人姉妹という家族構成においても、前作と重なる部分があり、まさに本作は『アメリカから来た少女』のその後ともいうべき立ち位置なのでしょう。

異性と結婚をすべきと押し付ける母親にジアウェンは反発しますが、同性愛者であることをはっきりは伝えていない様子です。

そんな姉とは異なり、妹のジアチーは、母親の言うことを聞き、母親が思う幸せを自分の幸せだと半ば思い込まされ、自分自身もそう思うことで上手くいくと考えています。

それは、ジアチーなりに家族の輪を保つための選択だったとも言えますし、母親に何もかも世話をしてもらうことに甘えていたとも言えます。

自分は姉のように生きていくことはできないという諦念もあったのかもしれません。

そんなジアチーに対し、ジアウェンは、「結婚を急ぐ必要はない」「婚約者に騙されている」「母親のために結婚する必要はない」とジアチーに幸せになってほしいばかりに、否定的なことを言ってしまいます。

確かに、ジアチーの婚約者は、年老いた母親のためや周りのプレッシャーによって結婚を急いだ印象は否めません。

また、ジアチーの思い描く結婚生活と婚約者が思い描くもので齟齬が出てきているのに、そこにきちんと向き合おうともせず、ジアチーに押し付けます。

ジアチーにとっては大事な問題であるのに蔑ろにされ、次第にジアチーと婚約者はすれ違ってしまいます。

日本において、結婚や出産に関して、それぞれの考えがあり、パートナーと話し合って決めていくもの、という認識は広がりつつあります。

しかし、まだまだ結婚=出産、家庭を持つこと=“普通”の幸せという価値観は見受けられ、そのプレッシャーにさらされる若者という構図もあります。

自分にとっての幸せとは?結婚は何のためにするのか?という本作の問いかけは、日本の観客にとってもハッとさせられるのではないでしょうか。

まとめ

第39回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門で上映された映画『いつまでも幸せに』。

結婚の準備を進める妹と結婚や様々な慣習に抗う姉を通して結婚とは?幸せとは?を問いかけます。

また、台湾は2019年にアジアではじめて、同性婚が合法化されました。しかし、合法化されたからといって、同性愛者に対する偏見がなくなったわけではありません。

ジアチーはジアウェンのパートナーに結婚式の招待状を送りますが、婚約者側が“保守的だから”という理由で、ジアウェンに「欠席してほしいと伝えて」と言います。

ジアウェンは発言に責任が取れないジアチーに怒ります。一方で、パートナーはそのような扱いには慣れているといった様子がうかがえます。

合法化が必ずしもゴールではなく、結婚にまつわる人々の価値観にはグラデーションがあることを感じさせる映画といえます。

【連載コラム】『TIFF東京国際映画祭2026』記事一覧はこちら


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