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『カブール・ビューティー』あらすじ感想と評価考察。アフガニスタンのタリバン政権下で生きる女性美容師たちの選択を追う|いま届けたい難民映画祭2025vol.9

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

連載コラム『いま届けたい難民映画祭2025』第9回

難民映画祭は、難民をテーマとした映画を通じて、日本社会で共感と支援の輪を広げていくことを目的とした映画祭で、世界各地で今まさに起きている難民問題、1人ひとりの物語を届けています。

今年で20回目を迎える難民映画祭。それは、「節目」であると同時に、「続いてしまった現実」を映す鏡でもあります。

2025年11月6日(木)〜12月7日(日)開催の第20回難民映画祭では、困難を生き抜く難民の力強さに光をあてた作品をオンラインと劇場で公開。公開される9作品をCinemarcheのシネマダイバー菅浪瑛子が紹介します。

今回紹介するのは、タリバン政権下を生きる美容師のソフィアとニギナを追ったドキュメンタリー『カブール・ビューティー』。

誰もがブルカやヒジャブを脱いで思う存分おしゃべりに花を咲かせる美容室。しかし、そのような息抜きの場であるサロンもいつまで続くか分からない状況で2人は国外に逃れることを決意する……。

【連載コラム】『いま届けたい難民映画祭2025』一覧はこちら

映画『カブール・ビューティー』の作品情報


(C)Kraken Films

【日本上映】
2025年上映(フランス映画)

【原題】
Kabul Beauty

【監督】
Margaux Benn&Solène Chalvon Fioriti

【作品概要】
アフガニスタンでは、2021年にアメリカ軍が撤退し、タリバンがアフガニスタンを掌握しました。以来、女性への抑圧が強まり危険視されています。そんなタリバン政権下で、美容師をしているソフィアとニギナがいました。

しかし2023年には1万軒の美容サロンにも、閉鎖命令が出ます。本作は、それでも抑圧に負けず、生き抜く女性たちを映し出したドキュメンタリーです。

映画『カブール・ビューティー』のあらすじ


(C)Kraken Films

親友同士のソフィアとニギナは、アフガニスタンのカブール中心部で美容師として仲間と働いています。

ニギナは、美容師として働く合間に勉強をしています。以前は大学に通っていましたが、2021年のアメリカ軍撤退によりタリバンが掌握してからは、女性の大学教育が禁止され、大学に通えなくなりました。

女性しかいない美容サロンでは、誰もがブルカやヒジャブを脱いで思う存分おしゃれを楽しみ、おしゃべりに花を咲かせています。そこはタリバンを気にすることなく、彼女たちが自由に振る舞える唯一の場所でした。

しかし、そのサロンもいつまで続けられるか分からない状況で、ソフィアとニギナは、パスポートを取得してアフガニスタンを離れる決意をします。

共に国を出る予定でしたが、事情がありニギナが先に出国し、2人はそれぞれ別の国に逃れることになってしまい……。

映画『カブール・ビューティー』の感想と評価


(C)Kraken Films

アフガニスタンでは2021年にアメリカ軍が撤退し、タリバンが国内を掌握。タリバンの台頭による抑圧を恐れ、多くの人々がアフガニスタンを離れました。

タリバンは女性が働くことを禁じ、大学に通うことも禁じます。抑圧が強まる中、女性たちにとって美容サロンは唯一ともいうべき、タリバンの監視から逃れ自由に振る舞える場でした。

気軽におしゃべりをすることも、好きな音楽を聴くことも、アフガニスタンで生きる女性たちには許されていません。

そのような現状は映画『ガザの美容室』(2015)でも映し出されていました。何気ない美容室の風景のようで、それが彼女たちにとっては美容室だからこそ許された自由であり、抵抗でした。

ソフィアとニギナは国を出る決意をしますが、それは国を出ないと生きていくことができないからです。もし、アフガニスタンで自由に学び、働くことができるのであれば、ソフィアとニギナは母国を離れようとは思わなかったでしょう。

国を離れた後、ニギナが「カブールが恋しい」と泣いたのは、そのような思いがあったからこそです。ソフィアと離れることなく、共にカブールで暮らしいたい、それが一番の願いでしょう。

しかし、今のアフガニスタンではそれは叶わない夢です。それだけでなく、いつ拘束されるか、いつサロンを封鎖されるか分からない状況なのです。

ドキュメンタリーの中で女性の活動家たちがデモを行っていました。その多くは連行されていきます。解放されるか否かは、もはや運のようなものです。

ソフィアとニギナはパスポートを取得し、国外に逃れることができましたが、皆が皆国外に脱出できるわけではないのです。逃れたくても叶わず、アフガニスタンに取り残されている女性もいるのです。

自分の身に危険が及ぶ可能性は、ない方が良いに決まっています。だからこそ、抵抗せず従う女性も出てきます。誰だって連行され拷問されることは怖いのです。

そんな状況の中でも抗い生き抜こうとする女性たち。そこには、時代が逆行しようとも闘い続ける強さが感じられます。

まとめ


(C)Kraken Films

タリバン政権下を生きる美容師のソフィアとニギナを追ったドキュメンタリー『カブール・ビューティー』。

2021年にタリバンがアフガニスタンを掌握してから4年が経とうとしています。女性が働くことも、大学に通うことも禁じられ、抑圧は強まっています。

それでも忘れてはいけないのは、ソフィアやニギナのように、国を逃れ自由を手にした人もいる一方で、今もなおアフガニスタンで生き抜いている女性たちがいることです。

第20回難民映画祭は2025年11月6日(木)〜12月7日(日)までオンラインにて開催されます。

難民映画祭詳細はHPにて

【連載コラム】『いま届けたい難民映画祭2025』一覧はこちら



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