連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第38回
夏が近づくに連れて恋しくなるのは爽やかでありながらもどこかジメジメとした「ホラー映画」。そこに「田舎町」と「青春」の要素が加われば、夏の風物詩として完璧な作品と言えます。
映画『ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密』はマルティナ・ヴィルトナーによる児童小説を原作にしたサスペンスをダニエル・プロチャスカが手掛けた作品です。
あっさりと鑑賞することの出来る夏の風物詩の要素を兼ね揃えたホラーミステリ映画『ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密』(2021)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
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CONTENTS
映画『ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密』の作品情報
【原題】
Das schaurige Haus
【配信日】
2021年5月14日(オーストリア、ドイツ合作映画)
【監督】
ダニエル・プロチャスカ
【キャスト】
レオン・オーランディアニ、ベンノ・ロスコフ、ユリア・コーシッツ、マリ・ヴァイヒスラー、ラース・ビッテルリッヒ、ミヒャエル・ピンク
【作品概要】
マルティナ・ヴィルトナーによる児童小説を原作に製作されたオーストリアとドイツによる合作映画。
監督を務めたダニエル・プロチャスカは本作で長編映画監督デビューを果たしました。レオン・オーランディアニ、マリ・ヴァイヒスラーらが出演するヤングアダルト向けサスペンス。
映画『ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密』のあらすじとネタバレ
国境沿いの田舎町「パート・アイゼンカッペル」に越して来たサビネ一家。
紹介時の画像と異なりかなり寂れた家には、オーナーの私物があるため開けてはいけない屋根裏部屋がありました。
長男のヘンドリックは、母親の都合で都会から田舎町へと引っ越すことになり、友達やSNSでのバズりとは無縁の生活になったことを恨んでいました。
その夜、屋根裏部屋へと続くドアに巻かれた塩を取っ払ってしまった次男のエディーが、壁に絵を書き始める不思議な行動を見せます。
翌日、隣家に挨拶に行くサビネでしたが、隣家のドアの前には塩が巻かれており、隣人の婦人は「どうせすぐ居なくなる」と名前すら教えてはくれませんでした。
ヘンドリックは街で知り合った青年フリッツから、サビネ一家が越して来た家が、数十年前に毒キノコを使って一家の母であるアマリアが一家心中を行ったとされるポルツマン一家の住居であったことを聞かされます。
その日の夜、エディーが意識を失った状態で再び壁に絵を描き始め、ヘンドリックはその様子を動画に記録します。
フリッツに動画を見せると、フリッツはエディーが呟いている言葉がスロバニア語であることを分析し、スロバニア語を翻訳できる少女イダに翻訳してもらうことになります。
イダはエディーが「ママは無実」と呟いていると翻訳し、フリッツはその言葉から一家心中事件で死亡したポルツマン一家の息子の霊がエディーに取り憑いたと推測。
翌日、ヘンドリックの家を訪れたイダとフリッツは、フリッツの主導によって降霊の儀式を行います。
するとエディーにポルツマン一家の息子ローランドが取り憑き3人を屋根裏部屋へと案内します。
ポルツマン一家の次男ローランドと長男ラルフの部屋であったその部屋から、フィルムと日記の隠された本を見つけた3人。
フリッツの持っている再生機器を使いフィルムを再生すると、そこには隣人のシーロス婦人がポルツマン一家の家政婦として働いている映像が映し出されます。
映像には事件を起こしたとされるアマリア夫人に対し夫が愛情を注いでいる様子はなく、むしろ夫はシーロスにプレゼントを渡していました。
フリッツはエディーに取り憑いたローランドの言葉を信じるならば、真の毒殺犯はシーロスではないかと考え、シーロスの家へと3人で侵入しますが、シーロスにその現場を咎められてしまいます。
シーロスに直接事件のことを言及すると、彼女はアマリアの様子がおかしくなった時期に家政婦を辞めたとだけ話し3人を追い払います。
その日の夜以降、ヘンドリックは悪夢を見始めイダも彼の姿が別人に見える時があると言い始めます。
フリッツはポルツマン一家の長男ラルフがヘンドリックに取り憑いたと考え、ヘンドリックが寝ることでラルフの人格に切り替わることを証明するため実験を行います。
フリッツの想像通り寝ることでラルフに人格が切り替わり、フリッツとイダはラルフから望みを聞き出します。
ラルフは「復讐」「殺人」「母親」と話し、我に帰ったヘンドリックとフリッツとイダは、ラルフとローランドが母親のアマリアも何者かに殺されたと考えており、その復讐を望んでいると考えました。
映画『ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密』の感想と評価
青春ホラーの定番を詰め込んだ安定の作品
映画における「田舎町」といえばホラーやミステリとの相性が良く、スティーヴン・キングの小説を映画化した「IT」シリーズや、連続殺人犯を追う少年たちの奮闘を描いた『サマー・オブ・84』(2019)などさまざまな名作が「田舎町」を舞台として来ました。
日本ではNetflix独占配信作となる映画『ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密』も、主人公のヘンドリックが「田舎町」に引っ越して来るシーンから物語が始まります。
引越し先の古びた家で起きる怪奇現象と、取り憑かれた弟が見せ始める不審な行動。
やがてその現象がその家で発生した一家心中事件に繋がっていく本作は、ヘンドリックを始めとしたティーンの活躍も目覚しく、前述した作品同様に「青春ホラー」としての魅力が光る作品になっていました。
心霊とミステリを組み合わせたジュブナイルミステリの魅力
本作は単なる心霊ミステリの枠には収まらず、家で発生する心霊現象の謎が一家心中事件の本当の真犯人の謎へと繋がっていくミステリ要素が見所の「心霊ミステリー」映画となっています。
ヘンドリックの弟エディーに取り憑いた霊が見せる奇妙な行動を紐解くうちに、明らかになる「ポルツマン一家心中事件」に残された不審点。
しかし、その謎を追う内にヘンドリック自身もエディーに取り憑いた霊とは別の霊に取り憑かれ始め、自身の思惑とは違った行動を取り始める恐怖に苛まれ始めます。
霊の目的とポルツマン一家心中事件の真犯人、双方を追うヘンドリックたちの活躍を描いたジュブナイルミステリの行方があっさりとしながらも晴れやかで暖かな余韻を残す作品でした。
まとめ
心霊現象に立ち向かいながらも現実で発生した事件の謎も追う作品は、邦画にも中条あやみ主演作『劇場版 零 ゼロ』(2014)と言った作品が存在します。
同じティーンの活躍を描いた作品ながら2つの作品には国や文化と言う圧倒的な差を生む大きな要素があり、似た展開でありながらも恐怖感の描き方にそれぞれの国のホラー映画の特徴がはっきりと現れています。
ホラー映画に多い嫌な余韻を残すことなく、ホラーの定番要素をたっぷりと楽しむことのできる映画『ストレンジ・ハウス:呪われた家の秘密』はNetflixで独占配信中。
ぜひぜひ、類似作品と共に本作を楽しみ、各国の映画の描き方の違いを家で検証してみてください。
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