Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2019/02/15
Update

大坂なおみも絶賛の魅力!アカデミー賞ノミネート『スパイダーマン:スパイダーバース』とは?|最強アメコミ番付評25

  • Writer :
  • 野洲川亮

連載コラム「最強アメコミ番付評」第25回戦

こんにちは、野洲川亮です。

今回はアカデミー賞にノミネートされた、3月8日公開のCGアニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』の作品情報を、公開前に解説していきます。

すでに全米で公開され、各所で好評を得る本作はいったいどんな作品かに迫っていきます。

【連載コラム】『最強アメコミ番付評』記事一覧はこちら

『スパイダーマン:スパイダーバース』のあらすじ

「スパイダーマンが死んだ」。スパイダーマンことピーター・パーカーの訃報に、ニューヨーク中、そしてピーターの意志を継ぐ、新スパイダーマンの中学生マイルス・モラレスも悲しみに暮れていました。

裏社会に君臨するキングピンが、時空を歪めたことにより発生したこの事態は、さらに別次元同士をも繋げてしまいます。

これにより様々な次元=ユニバースから、それぞれの世界のスパイダーマンたちが出現、力を合わせてキングピンに挑んでいくことになります。

異世界で存在していたスパイダーマンたちが同じ世界に集結するアニメーション映画で、『LEGOムービー』、『くもりときどきミートボール』などの監督・脚本コンビ、フィル・ロードとクリス・ミラーが、脚本と製作総指揮を務めています。

全米での好評!あの大坂なおみも絶賛

本作は日本に先駆けて、全米では2018年12月14日に公開されました。

そして公開されるや否や、評論家、観客が次々とに好評の声を挙げていて、いわゆる玄人受け、一般受けの両方の評価を獲得しています。

ゴールデングローブ賞、英アカデミー賞、アニー賞などを軒並み受賞し、2019年、第91回米アカデミー賞でも長編アニメーション部門にノミネートされています。

好評は各界にも広がっていて、プロテニスプレーヤーの大坂なおみ選手はツイッターで“『スパイダーマン:スパイダーバース』は最近観た映画で、最も良かった1作。映画を通してこんなにハッピーな気分になれたことはないです”と、本作を絶賛しました。

日米のハーフであり、度々自身の国籍についての報道がされている大坂選手にとって、黒人系のマイルス・モラレスという主人公から浮かび上がるアイデンティティを巡る本作のキャラクター設定。

そして成長していく過程は、自身を鏡写しにしたように共感を呼ぶものだったのかもしれません。

この大坂選手のツイートに、製作総指揮を務めるフィル・ロードは“あなたのプレーにこそ感動した。感動のお返しです”と粋な返信をしています。

今なぜ、マイルスを主人公に描くのか、時代性とのフィット感を感じますね。

また、アメコミ翻訳家の光岡三ツ子さんも“スパイダーバース、革新的な手法を使ったアニメも素晴らしいし、多様性を尊重した作品作りも素晴らしい”と、これまた絶賛評をツイートしています。

素晴らしいスパイダーマン映画であり、史上最高のスパイダーマン映画です

現在最高のスパイダーマン映画の一本でした

温かさとヒロイズム、ユーモアが詰まっていて、スタン・リーも誇りに思うでしょう

ユーモアが駆け抜けていく、まぎれもない(すべての年代にぴったりの)スパイダーマン映画で、アクションは激しくぶっ飛んでいて、この形式でしかできないものとなっています

こうして絶賛評を並べていくだけで、本作への期待感は限界まで高まっていきます。

レンタル移籍中!スパイダーマンの不在から生まれたSUMC

2019年現在では、トム・ホランドが演じる実写版スパイダーマンは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)を皮切りに、「アベンジャーズ」などのMCUシリーズに登場しています。

しかし、本来スパイダーマンの映画化権を持っているのはマーベル及び、親会社ディズニーではなく、ソニーピクチャーズです。

両社の思惑が一致し、スパイダーマンのMCU参戦が決定しますが、その結果ソニーは一定期間スパイダーマン抜きで独自のシリーズ、「SUMC」ソニーズ・ユニバース・オブ・マーベル・キャラクターを進めていくことになります。

その第1弾となったのが、スパイダーマンの宿敵ヴィランを描いた『ヴェノム』でした。

そして『ヴェノム』エンドロール後に、「また別の世界」と紹介される形で本作の特別映像が流されました。

“レンタル移籍中”で、実写映画では登場させられないスパイダーマンの不在を埋めるため、ヴィランやアニメーション作品など、スピンオフ作品の製作へと舵を切ったわけです。

製作に名を連ねるフィル・ロード&クリス・ミラーのコンビは、監督・脚本を務めた『LEGO ムービー』内で、バットマンなどのコミックヒーローを多数登場させ、その原作やキャラクター、エピソードを活かし、パロディとして上手く劇中に落とし込むことに成功していました。

その手腕は、製作に回った続編『レゴバットマン ザ・ムービー』でも発揮されており、『レゴバットマン ザ・ムービー』はどの実写版バットマンよりも、“正しく面白いバットマン像”を作りだし、「全てのバットマン映画の中で最高傑作!」と言われるほどの評価を受けます。

別次元のスパイダーマンたちが集結するという設定は、原作コミック「スパイダーバース」を反映したものになっていますが、この原作をどのような形でフィル・ロード&クリス・ミラーら製作陣が活かしているかも、コミックファンにとっても楽しみの一つになるでしょう。

次回の「最強アメコミ番付評」は…

(C)Marvel Studios 2019

いかがでしたか。

次回の第26回戦は、3月15日公開のMCUシリーズ最新作『キャプテン・マーベル』の公開前情報を解説していきます。

お楽しみに!

【連載コラム】『最強アメコミ番付評』記事一覧はこちら

関連記事

連載コラム

『マローボーン家の掟』感想と解説。ラストまでホラー映画と青春ファンタジーが融合した秘密とは⁈|サスペンスの神様の鼓動16

サスペンスの神様の鼓動16 こんにちは、映画ライターの金田まこちゃです。 このコラムでは、毎回サスペンス映画を1本取り上げて、作品の面白さや手法について考察していきます。 今回取り上げる作品は、201 …

連載コラム

映画『私たちの青春、台湾』感想評価レビューとドキュメンタリー解説。傅楡監督が台湾民主化の道のりを描く|銀幕の月光遊戯 70

連載コラム「銀幕の月光遊戯」第70回 2014年に台湾で起きた学生たちによる社会運動「ひまわり運動」のリーダーと、中国人留学生の人気ブロガーの活動を追ったドキュメンタリー映画『私たちの青春、台湾』が全 …

連載コラム

韓国映画『ザ・バッド・ガイズ』感想評価と解説レビュー。マ・ドンソクの正拳が悪人VS悪人を打ちのめす痛快ムービー|すべての映画はアクションから始まる24

連載コラム『すべての映画はアクションから始まる』第24回 日本公開を控える新作から、カルト的に評価された知る人ぞ知る旧作といったアクション映画を網羅してピックアップする連載コラム、『すべての映画はアク …

連載コラム

映画『隔たる世界の2人』ネタバレ感想解説とあらすじ結末の考察。アカデミー賞最優秀短編賞は実話事件をタイムループで描く|Netflix映画おすすめ34

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第34回 2020年にミネアポリス近郊で発生した白人警官デレク・ショービンによるジョージ・フロイドさん殺人事件に端を発するBLM運動の影響下 …

連載コラム

映画『オールド・オーク』あらすじ感想と結末の評価解説。ケン・ローチ監督が‟分断と排斥の世界”へ放つメッセージ|映画という星空を知るひとよ287

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第287回 映画『オールド・オーク』は、イギリスのケン・ローチ監督が、『わたしは、ダニエル・ブレイク』(2016)『家族を想うとき』(2019)に続く「イギリス …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学