妻を亡くしたおじいさんと偶然居合わせた少年、そして不思議な犬ダグと共に、約束を果たす冒険が始まる。
人生の素晴らしさを教えてくれる、そんな心温まる作品『カールじいさんの空飛ぶ家』のご紹介です。
映画『カールじいさんの空飛ぶ家』の作品情報
【公開】
2009年
【原題】
Up
【監督】
ピート・ドクター
【キャスト】
声英語版/日本語版
エドワード・アズナー/飯塚昭三(カール・フレドリクセン)
ジョーダン・ナガイ/立川大樹(ラッセル・キム)
ボブ・ピーターソン/松本保典、大塚芳忠(ダグ、アルファ)
クリストファー・プラマー/大木民夫(チャールズ・マンツ)
【作品概要】
監督はあの『モンスターズ・インク』のピート・ドクター。
ディズニーが贈る、ピクサースタジオ10作目の話題作です。
第82回 アカデミー賞(2010年)
長編アニメーション賞、作曲賞受賞
第67回 ゴールデングローブ賞(2010年)
最優秀作曲賞、最優秀長編アニメーション映画賞受賞
映画『カールじいさんの空飛ぶ家』のあらすじとネタバレ
冒険家チャールズ・マンツは飛行船アドベンチャー号で前人未到の地、南アメリカの秘境パラダイスの滝から怪物の骨を持ち帰ってきます。
しかし世間から骨が偽物だと非難され、マンツは怪物を生きたまま捕まえるため再び旅に出たのでした。
少年カール・フレドリクセンはそんなマンツの大ファンです。
廃墟で偶然にも、冒険が大好きでとても活発な少女エリーと出会います。
エリーとカールはお互いがマンツの大ファンである事からとても仲良くなり、一緒にパラダイスの滝へ冒険しに行く事を約束するのでした。
時は流れ、青年となったカールはエリーと結婚します。
出会いの場である廃墟をリフォームし2人はそこで仲良く暮らし始めます。
幸せな中、エリーはカールとの子供を授かりますが、産む事ができませんでした。
悲しみにくれるエリーを見たカールは少年の頃に約束したパラダイスの滝への冒険を思い出し、再び夢を叶える為2人で貯金を始めます。
しかし、事故や家の修理などで貯めては使うを繰り返すうちに2人は歳をとり、だんだんと冒険の話も忘れていきます。
おじいさんになったカールは部屋の掃除をしている最中、ふと冒険の事を思い出し、エリーを喜ばせてあげようと旅行の計画をたてました。
そんな矢先エリーは病に倒れて亡くなってしまいます。
1人となったカールは、もともと物静かだった性格もあり、すっかり頑固で寂しい老人へとなってしまいました。
家の周りではすっかり開発が進み、残るはもうカールの家しかありません。
開発業者はカールの家を買い取る為に彼を老人ホームへと入れたがっていますが、なかなか応じてくれません。
そんなある日、自然探検隊と名乗るボーイスカウトの少年、ラッセル・キムが現れバッチを集めるためにカール宅を訪れました。バッチをコンプリートし上級隊員になるには、老人の手伝いをしたというバッチが必要な為、カールの元へ来たのです。
カールはなかなか帰らずしつこいキムに、お願いと称した変な用を押し付けその場から追っ払います。
やっとひと段落したと思ったカールですが、その場にいた開発工事員の1人と揉めてしまい相手にケガをさせてしまいます。
悪気のない事故でしたが、その一件がきっかけでカールは危険人物とみなされてしまい老人ホームへの入居がきまってしまいます。
エリーとの思い出が沢山つまった家をどうしても手放したくなかったカールは、エリーとの冒険の約束を今度こそ果たそう決意し、なんと家に大量のバルーンを取り付け、空飛ぶ家としてそのまま冒険の旅へと出かけてしまうのでした。
家が雲の上まで上がりのんびりとしていたカールは、追っ払ったはずだったキムが家に張り付いていた事に気づきます。
仕方なく家に招き入れたカールですが、運の悪い事に積乱雲の中につっこんでしまいそのまま家は流されてしまいました。
嵐が過ぎ去った頃に目がさめると、なんと家はパラダイスの滝の近くまで来ていました。
しかし、バルーンがいくつか割れてしまい高度が急激に下がっている家は不安定になり、2人は外へ落ちてしまいます。
浮いている家に戻れない2人は、家と繋がっているホースを引っ張りながら、徒歩でパラダイスの滝まで家を運ぶ事にしました。
歩いている途中で、キムとカールは人間よりも大きな鳥と、翻訳機を付けた喋る犬に出会います。
キムは大きな鳥にケビンと名付けるとそのまま懐いてしまい、カール達に着いてくるようになります。
喋る犬ダグも、どうやらこの大きな鳥を追っていたようで、彼までこの旅について来てしましました。
翌朝、ケビンが自分の子供達の元へ行ってしまった為突然いなくなった事に悲しむキムでしたが、ケビンを追っていた他の喋る犬達に遭遇し、彼らに侵入者だと誤解されご主人様の元へ連行されてしまいます。
映画『カールじいさんの空飛ぶ家』の感想と評価
最初の導入部分10分程度でカールじいさんの人生をほぼ描いていくのですが、そのお陰でその後の展開全てをカールじいさんと同じ視点で見る事が出来るので、彼のちょっとした表情の動きや行動一つ一つに心が大きく動かされます。
同監督作品『モンスターズ・インク』でも小さな少女との出会いがサリーとマイクの心を動かしていきますが、今作でも少年との出会いが頑なで寂しい老人の人生を変えていく姿にはとても感動しました。
またカールじいさんの少年時代から老後を描いている事もあり、敵側にあたるマンツにも同じだけの時間が流れています。
その分彼が傷つき、苦しみもがき、狂気の沙汰に出てしまった事も充分に想像できるところに、なんとも言えない悲しさが湧き上がってきます。
そしてヒューマンドラマの側面がある一方、実は大部分が冒険活劇でもある作品な為、非常にテンポがいいです。
おじいさんのエリーへの想いに感動したり、喋る犬ダグやその仲間の犬のやりとりに笑ったり、マンツとの最後の戦いにはハラハラするほどの臨場感があったり、きちんとメリハリのある作りになっています。
何と言っても映像のスケール感がすごく、無数のバルーンが家と共に空に飛び立つ姿や雲の上で静かに浮いている姿は息を呑むほど美しい映像でした。
まとめ
観終わったあとは心温まる気持ちになります。
ディズニーではお馴染みの他作品のキャラクターが隠れミッキーのごとく出てくるので、それを探すのも楽しいですね。
子供から大人まで楽しめる作品ではありますが、大切な人がいる大人の方へ、ほっこりとした気持ちになりたい方へ、そんな人にオススメな映画です。