イルミネーション・スタジオによる長編アニメーション『SING/シング』。
“それは、人生を変えるステージ…”
『ミニオンズ』『ペット』のスタッフが手掛けたアニメ『SING/シング』。
マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、セス・マクファーレン、スカーレット・ヨハンソン、ジョン・C・ライリー、タロン・エガートン、トリー・ケリーら豪華キャストが声優として出演。
また、レディー・ガガ、ビートルズ、フランク・シナトラなど、誰もが知る新旧ヒット曲を劇中で披露。
『銀河ヒッチハイク・ガイド』のガース・ジェニングス監督が演出を務めています。
CONTENTS
映画『SING/シング』の作品情報
【公開】
2016年(アメリカ)
【原題】
Sing
【監督】
ガース・ジェニングス
【キャスト】
マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、セス・マクファーレン、スカーレット・ヨハンソン、ジョン・C・ライリー、トリー・ケリー、タロン・エガートン
【作品概要】
『ミニオンズ』や『ペット』でおなじみのイルミネーション・エンターテインメント制作、様々なアーティストのPVを手掛け、映画『銀河ヒッチハイク・ガイド』や『リトル・ランボーズ』でも知られるガース・ジェニングスが監督・脚本を務めたアニメーション映画。
声優にマシュー・マコノヒーやスカーレット・ヨハンソン、グラミー賞ノミネート歌手のトリー・ケリーら豪華キャストが顔を揃えた。
映画『SING/シング』のキャスト一覧
バスター・ムーン / マシュー・マコノヒー
1996年公開の映画『評決のとき』で主演を務めたことで、評価を勝ち得たマシュー・マコノヒー。
翌年もロバート・ゼメキス監督の『コンタクト』(1997)やスティーブン・スピルバーグ監督の『アミスタッド』(1997)に出演し、若手ながら実力派俳優としての地位を確立します。
その後しばらくは低迷することになるのですが、2011年に『リンカーン弁護士』で主演を務めたことを皮切りに、再び評価を受けるように。
ウィリアム・フリードキンの遺作『キラー・スナイパー』(2011)のジョー役での怪演や、2012年には『ペーパーボーイ 真夏の引力』、『MUD -マッド-』、『マジック・マイク』と立て続けに凄まじいその演技力を見せつけてくれましたね。
さらに翌年の『ダラス・バイヤーズ・クラブ』での熱演で見事にオスカーを獲得したマシュー・マコノヒーが今回挑むのは声優。
彼が演じるのは、もはや倒産寸前のオンボロ劇場の支配人バスター・ムーン(コアラ)。『ウォーキング・オン・ザ・ムーン 3D』(2005)という作品(アニメーションではない)で一応ながらアフレコ経験はあるようですが、こういった類のキャラクターを演じるほぼ初となっています。
果たして…あの「最もセクシーな男」がどう演じているのか…非常に楽しみです!
ロジータ / リース・ウィザースプーン
1991年に『マン・イン・ザ・ムーン/あこがれの人』で子役としてデビューを飾ったリース・ウィザースプーン。
その後も『カラー・オブ・ハート』(1998)や『『ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!』でゴールデングローブ賞主演女優賞ミュージカル・コメディ部門にノミネートされるなど、どちらかと言えばロマンティックコメディへの出演イメージが強い女優さんですね。
2005年にはこれまでのイメージにないような『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』でジューン・キャッシュ役を演じ、見事アカデミー主演女優賞を獲得。
それからしばらく低迷期を迎えるものの、マシュー・マコノヒーと共演した『MUD -マッド-』、2014年の『わたしに会うまでの1600キロ』(再びオスカーノミネート)でも素晴らしい演技を披露し、演技の幅の広さを見せつけることになりました。
今回『SING/シング』で彼女が演じるのは、家事と25匹もの子ブタたちの世話に追われる専業主婦ロジータ。
『シンプソンズ』や『白鳥ルイの夢みるトランペット』(2001)というアニメーションで声優経験のあるリース・ウィザースプーンにはむしろお得意の分野なのかもしれませんね。
彼女のコミカルな演技が再び見れる(聴ける?)ことに感謝です!
マイク / セス・マクファーレン
監督や脚本家、アニメーターでコメディアンで声優…などなど。様々な顔を持ち合わせているのがセス・マクファーレンですね。
彼を一躍有名にしたのは2012年の『テッド』でしょう。この作品で監督・脚本・製作・声優・出演(モーションキャプチャーによる)と、全ての要素をこなしてみせ、大ヒットを記録しました。
元々テレビアニメ『ファミリー・ガイ』や『アメリカン・ダッド』の作者兼声優として知られるセス・マクファーレンには今回の『SING/シング』への出演はまさに打ってつけといった所でしょう。
彼が演じるのは欲張りで自己中心的なジャズ・ミュージシャンのマイク(ネズミ)。フランク・シナトラのように歌うのが特技だというマイクを、セス・マクファーレンならきっと面白おかしく演じてくれるはずですね!
アッシュ / スカーレット・ヨハンソン
いまだ30代前半ながらも大女優の風格漂うスカーレット・ヨハンソンがデビューしたのは、ロブ・ライナー監督の『ノース 小さな旅人』(1994)。
その後『のら猫の日記』(1996)、コーエン兄弟の『バーバー』(2001)、『ロスト・イン・フラストレーション』(2003)、『真珠の耳飾りの少女』(2003)などで着実に評価を高めます。
ウディ・アレン監督の『マッチポイント』では妖艶な魅力を振りまき、『アベンジャーズ』シリーズのブラック・ウィドウ役やリュック・ベッソン監督作の『LUCY/ルーシー』など、数々の話題作に出演し、実力派女優としての地位を確かなものに。
本作『SING/シング』では、失恋したてのヤマアラシでパンクロックをこよなく愛する少女アッシュを演じているスカーレット・ヨハンソン。
声での出演と言えば…非常に印象的だったのは、スパイク・ジョーンズ監督の『her/世界でひとつの彼女』でAIのサマンサを演じたことでしょう。
他にも『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ ザ・ムービー』(2004)や『ジャングル・ブック』(2016)といったアニメーション作品での声優経験もあるため、今回もバッチリ決めてくれるはずです。
少しだけハスキーなボイスが魅力的なスカーレット・ヨハンソンが、パンク少女アッシュをどう演じているのかに注目ですね!
エディ / ジョン・C・ライリー
幼い頃から舞台に立っていたジョン・C・ライリーはブライアン・デ・パルマ監督の戦争映画『カジュアリティーズ』でデビュー。
ポール・トーマス・アンダーソン監督作品には欠かせない存在で、『ハードエイト』(1996)、『ブギーナイツ』(1997)、『マグノリア』(1999)など、脇役ではあるものの常に彼の存在感は際立っています。
声優経験としては、『9 〜9番目の奇妙な人形〜』(2009)『シュガー・ラッシュ』(2016)などでアニメーション映画を経験済。
アカデミー助演男優賞にノミネートされた『シカゴ』のエイモス・ハート役では歌声も披露しており、まさに本作『SING/シング』にピッタリの俳優といった感じでしょう。
そんなジョン・C・ライリーが演じるのは、裕福な家庭で過保護に育てられてきたヒツジのエディ。
彼のことですから完璧に、そしてさりげなく、なおかつ絶妙な存在感を放つ声の演技をみせてくれるはずです!
ミーナ / トリー・ケリー
大人気の若きシンガーソングライター、トリー・ケリー。
2004年に「America’s Most Talented Kid」で優勝したことをきっかけに契約を勝ち取ると、その後はYouTubeでさらに人気に火が付くことに。
2013年には“Capitol Records”と契約し、2015年にリリースしたアルバム『Unbreakable Smile』は、ビルボード・チャート2位を獲得するなど大成功を収めました。
そんな彼女が演じるのは、内気であがり症のゾウの女の子ミーナ。しかし実はパワフルな歌声を秘めているという設定なので、トリー・ケリーに白羽の矢が立ったのでしょう。
声優どころか演技経験もないため未知な部分は多いですが、その歌声で観客を魅了してくれることは間違いありませんね!
ジョニー / タロン・エガートン
マシュー・ヴォ―ン監督の『キングスマン』(2015)で一躍その名を世に知らしめたイギリス人俳優タロン・エガートン。
同年の『レジェンド 狂気の美学』や『イーグル・ジャンプ』にも出演し、2017年には『キングスマン」の続編『Kingsman: The Golden Circle』が全米公開予定(日本公開は現時点で未定)となっており、着々とステップアップしているといった印象ですね。
そんな注目の若手俳優タロン・エガートンが演じるのは、ロンドンの下町出身のゴリラ、ジョニー。
ギャングのボスである父親にシンガーになりたいという夢を言えずにいるジョニーを、一体どう演じているのか?そしてどんな歌声を披露してくれるのかに注目です!
映画『SING/シング』の監督紹介
映画『SING/シング』の監督・脚本を務めるのはガース・ジェニングスです。
カルト的な人気を誇る『銀河ヒッチハイク・ガイド』(2005)が彼にとっての映画初監督作品。
その後『リトル・ランボーズ』(2010)でロカルノ国際映画祭で観客賞を受賞した他、英国アカデミー賞新人賞や英国インディペンデント映画賞の監督賞・脚本賞にノミネートされるなど、映画監督して世界的な評価を得ることになりました。
しかし、ここで一つの疑問が浮かぶはずです。「アニメーション映画未経験でなおかつ作品数自体少ない監督がなぜ本作を手掛けるのか?」という疑問が。
実はなぜなら、ガース・ジェニングスは映画監督である前に、ミュージックビデオの世界でその地位を確立していた人物なのです。
既にファットボーイ・スリムやR.E.M、さらにはベック、レディオヘッドなどのミュージックビデオでその名を知られる存在だったガース・ジェニングスだからこそ、音楽を題材にしたこの『SING/シング』という作品の監督として白羽の矢が立ったに違いありません。
それでいてなおかつ『銀河ヒッチハイク・ガイド』や『リトル・ランボーズ』のような独特な世界観も創り出せる訳ですから、ガース・ジェニングス以上に本作に打ってつけの人物はいないといえるでしょう。
『SING/シング』の特徴の一つが誰もが聴いたことのある名曲が60曲以上も登場するということですので、それらひとつひとつの曲の魅力を最大限に引き出し、なおかつ最高のストーリーを紡ぎ出すといったことをガース・ジェニングスならやってのけるはず。
何より、『ミニオンズ』シリーズや『ペット』でおなじみのイルミネーション・エンターテインメントという最高の制作スタッフが周りを固めているので、初のアニメーションに挑むガース・ジェニングスとどういった調和を見せるのか…非常に楽しみです!
映画『SING/シング』のあらすじとネタバレ
舞台は動物たちが暮らすとある大都市…。
この街の劇場の支配人であるバスター・ムーン(コアラ)は、父親が財産をはたいて手に入れたムーン劇場(かつては栄えていた)を手放さなければいけないほど、経営の危機に直面していました。
この事態を何とか乗り越えようと、バスターはとある賭けに打って出ます。
それは劇場に動物たちを集め、世界最高の歌唱コンテストを開催しようというもの。しかし、賞金として出せるのはせいぜい1000ドルぽっち。
彼はムーン劇場の従業員のミス・クローリー(トカゲ)に頼み、早速チラシを準備してもらいますが、おっちょこちょいなミス・クローリーが誤ってゼロを加えてしまい、“賞金10万ドル”との謳い文句のチラシが配布されてしまいます。
すると瞬く間にこのチラシに釣られて、劇場はオーディション参加者で埋め尽くされることに。
やって来たのは個性豊かな動物たち。欲張りで自己中なジャズマンのマイク(ネズミ)や内気なミーナ(ゾウ)、専業主婦のロジータ(ブタ)、父親がギャングのボスだというジョニー(ゴリラ)、パンク少女のアッシュ(ヤマアラシ)…などなど。
様々な参加者が集まる中、5つの候補枠を争い、熾烈なオーディションが始まります!
それぞれが自らの生き方や人生そのものを変えるため、真剣にこのチャンスを掴もうと必死になって歌やダンスを披露します。
果たしてその先に待っているものとは一体…?!
映画『SING/シング』感想と評価
字幕版
英語の楽曲をそのまま使用した字幕版を鑑賞しました。
大ヒット作『ミニオンズ』を生み出したイルミネーション・エンターテインメント。今最も勢いのあるアニメーション制作会社であり、日本における期待度も非常に高いでしょう。
その期待通りやはり素晴らしく、まず冒頭のそれぞれの日常を描くカメラワークのダイナミズム。この始まりだけでもうワクワクしてしまいます!
そして、劇中を彩るヒット曲の数々。洋楽に疎い私でも思わず体を揺らしてしまう楽曲の力があります。そして、各キャラを説得力たっぷりに演じるキャストの面々。アカデミー俳優のマシュー・マコノヒー(a.k.aマコ様)。冷静に考えたらバスターってなかなか酷いことしてるんですが、あの素晴らしい低音ボイスで言われたら別にいいかなってな具合になります。スカヨハ嬢のかすれ声、セス・マクファーレンの芸達者ぶり、『キングスマン』のイメージしかありませんでしたがタロン・エガートンって歌うまいのね。
そしてなんといっても、ミーナ役のトリー・ケリーでしょう。彼女の歌声に説得力がなかったらこの映画の全てが台無しになるくらい重要な役ですが、圧倒的な歌声で本当に劇場内の空気を持って行ってしまいます。まさにタイトルの『SING』を体現している本当に素晴らしすぎるパフォーマンスでした。
動物たちが暮らす街(正確には虫など色々いますが)で思い出すのは、やはり昨年公開のディズニーの傑作アニメ『ズートピア』ではないでしょうか。あちらは、さすがディズニーというべき圧倒的な映像表現とストーリーテリングの巧みさで、アメリカという国の核となる部分を見事に描いていました。トランプ政権が蔓延る現在に対する痛烈なメッセージとしても本当に素晴らしいものがあります。
話は逸れましたが、『SING』は一言で言うとエモいんです!
つまり、脚本家を10人くらい使って会議で練りまくる全く隙のないディズニーとは違い感情的な部分を優先させる。嫌な言い方をしてしまうと、ツイスト(脚本におけるひねりのこと)があまりありません。王道直球一本勝負といった感じでしょうか。
しかし、私はそれがディズニーにはない、イルミネーション・エンターテインメントの良さだと思っています。『SING』は、完璧すぎないちょっと危ういところも含めて、とってもチャーミングな作品なんです。それが劇中で描かれる決してプロではないメンバーたちと重なり、ラストのショーの大きな感動と幸福感を生み出しています。
予告で期待した通り、本当に笑顔で劇場を後にできる最高の一本です。家族でも、友達でも、恋人でも、もちろん一人でも。
夢を見ることの素晴らしさを教えてくれる、こんな素敵な作品を見逃すなんてもったいないですよ。
まとめ
ザ・ビートルズの『ゴールデン・スランバー』や、ビヨンセの『クレイジー・イン・ラブ』、レディ・ガガの『バッド・ロマンス』など、数々の名曲が披露されるという映画『SING/シング』。
日本人としてはきゃりーぱみゅぱみゅの曲(『きらきらキラー』、『にんじゃりばんばん』、『こいこいこい』)が入ってるという所が嬉しい限りですね。
他にもフランク・シナトラの『マイ・ウェイ』や、ビング・クロスビーの『ペニーズ・フロム・ヘヴン』など往年の名曲もしっかり押さえていますので、大人も子供も男女問わず楽しめる内容になっています。
誰もが知るヒットソングの数々に彩られた愛とユーモアたっぷりのストーリーを、ぜひご鑑賞でご覧ください!