『ライオン・キング』は2019年8月9日(金)から全国ロードショー公開中!
『美女と野獣』(2017)や『アラジン』(2019)など、ディズニーによる名作アニメーションの数々が実写化され、興行的にも批評的にも高い評価を受けることになりました。
そして2019年夏、単なる実写化ではなく「超実写版」と銘打たれ、全編をフルCGで映像化した『ライオン・キング』(2019)の詳細なあらすじと4DX吹替版の感想レビューを紹介いたします。
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映画『ライオン・キング』の作品情報
【公開】
2019年(アメリカ映画)
【原題】
The Lion King
【監督】
ジョン・ファヴロー
【キャスト】
ドナルド・グローヴァー、ビヨンセ・ノウルズ=カーター、ジェームズ・アール・ジョーンズ、キウェテル・イジョフォー、ビリー・アイクナー、セス・ローゲン
【日本語吹替版キャスト】
賀来賢人、門山葉子、大和田伸也、江口洋介、亜生、佐藤二朗
【作品概要】
1994年のアニメーション映画『ライオン・キング』(1994)をフルCGでリメイクしたディズニー映画。
監督を務めたのは『アイアンマン』(2008)を製作しシリーズを軌道に乗せたと共に、自身もシリーズに出演しているジョン・ファヴロー。
映画『ライオン・キング』のあらすじとネタバレ
ライオンのムファサが統べる動物たちの王国プライドランド。
ムファサとその妻サラビの息子シンバが誕生し、動物たちへのお披露目の式典が開かれ動物たちは大熱狂となります。
ムファサに仕える鳥のザズーは、式典に参加しなかったムファサの弟スカーに理由を尋ねますが、スカーはザズーに襲い掛かろうとします。
その場に現れたムファサがそれを止めると、スカーは力では勝てないが頭ではムファサに勝っていると冗談めいた口調で語りその場を離れて行きます。
王の座をムファサに取られたことに鬱憤を溜めるスカーをプライドランドから追い出すべきだとザズーは提言しますが、自身の家族である以上見捨てることは出来ないとムファサは断ります。
朝、物心つく歳になったシンバがムファサと共にパトロールに出かけると、ムファサはシンバに日が照らす場所全てが「王」が統べる土地であり、自分たちが守らなければいけない場所であると言い聞かせます。
肉食動物が草食動物を捕食し、肉食動物の死骸に生えた草木を草食動物が食べるように生命は輪のように循環しているとムファサは語り、共存の大切さをシンバに伝えました。
パトロールが終わり、シンバが1人で虫を追いかけ遊んでいるとスカーの寝床に辿り着きます。
自身が王になりスカーに命令できる日が来る、と自信満々に話すシンバを見たスカーは、シンバに「子供は絶対に行ってはいけない場所」についてを語ります。
その場所に興味を示し、自身が子供ではないと証明するためにシンバは幼馴染であり許嫁でもあるナラを誘いザズーの監視をくぐりその土地へ踏み入れてしまいます。
そこはムファサの威光の届かないハイエナのシェンジが支配する土地であり、取り囲まれたシンバはハイエナたちによって絶体絶命の危機に陥りますが、シンバのピンチに駆け付けたムファサがハイエナを蹴散らしシンバとナラを救出しました。
無謀な行動にナラを巻き込んだことを諭すムファサはシンバに勇気の使いどころと、死んだ先祖たちが空に浮かぶ星としていつも見守っていることを教えます。
シェンジたちの縄張りに乗り込んだスカーは、シェンジたちにムファサとシンバを亡きものにして自身が王座を継ぐ計画を語り、協力を求めます。
スカーが王座を継いだ見返りとしてプライドランド全体を狩場とする条件をシェンジは承諾しました。
快晴の日、崖に囲まれた谷にシンバを呼び寄せたスカーは、シンバにムファサと仲直りするためにこの場所で吠え方の練習をするようにとアドバイスをします。
スカーの言いつけ通り谷で吠え方の練習をしていると、シェンジたちによって暴走したヌーの大群が谷に押し寄せシンバは谷を逃げまどいます。
シンバの危機をスカーから聞いたムファサは急いでその場に駆け付け、ヌーの大群を掻い潜りシンバを安全な場所に移動させ、自身も崖上へと避難しようとしますが、そこにはスカーが立ちふさがっていました。
全てはスカーの策略であり、スカーは崖につかまったムファサを突き落とします。
落ちたムファサを見たシンバは、ヌーの大群が去った後ムファサに駆け寄りますが、既にムファサはこと切れていました。
ムファサに寄り添うシンバのもとに現れたスカーは、シンバの行動によってムファサが死んだとなじり国から出ていくように言います。
絶望に暮れるシンバが去ったことを確認したスカーはシェンジたちにシンバの殺害を命令。
全速力でシェンジたちから逃げるシンバは絶壁から転落していきました。
シェンジは部下の2匹にシンバの死体の確認を命令しますが、部下の2匹は確認を面倒くさがりシェンジに死体は食べたと報告。
こうして、プライドランドはスカーとシェンジたちが統べる弱肉強食の世界へと変わり果ててしまいました。
映画『ライオン・キング』の感想と評価
実写と見紛うようなクオリティで描かれるCG映画として「超実写版」と銘打たれた本作。
本作はそんな宣伝文句に一切恥じない驚くべきクオリティのCGで動物たちや自然が描写されており、作中に混ぜ込まれたとされる実写のシーンに気がつかないほどでした。
物語はオリジナルのストーリーから一切脱線せず、「サークル・オブ・ライフ」や「ハクナ・マタタ」、「愛を感じて」などの名曲と共に、「命の環」を題材とした王座の奪還劇が繰り広げられます。
触りたくなるようなシンバやムファサの毛並みや、おどろおどろしく描かれながらもどこか愛おしいハイエナたちの描写など、原作が好きな人にも「ライオン・キング」が初めてな人にも自信を持ってオススメ出来ます。
4DX吹替版感想!各動物の動きの違いに注力した映像体験
ディズニー製作映画の吹替版の多くは、キャラクターと吹替声優のベストマッチさが良く話題となりますが、本作も完璧な人選であり没入感が削がれることが一切ありません。
俳優の佐藤二朗とお笑いコンビミキの亜生が担当したプンバァとティモンのゆるゆるとした雰囲気が、絶望的な物語の最中に登場する癒しのキャラクターとして最適で、2人の歌う「ハクナ・マタタ」は亜生の驚きの歌唱力も加わりホッとする時間を提供してくれます。
卑屈かつ非道なスカーを演じる江口洋介のねっとりとした演技も絶妙で、彼の抱える闇を上手く表現していました。
さらに本作は4DXでの映像体験も素晴らしく、水飲み場での水の演出や様々な草木の香りによって映画館はサバンナへと変貌します。
直線的な動きの多いプンバァは疾走感を重点とした小刻みな座席の揺れで表現され、シンバやナラのように立体的な動きのライオンは座席が大きく上下するなど、メインとなる動物ごとに細かく動きの変わる繊細な4DX表現。
人間が登場しない本作だからこそ各動物の動きに注力した座席の駆動により、さながらライオンになったかのような雰囲気を味わうことが出来ました。
都会や先進的な生き方に疲れを感じる現代社会にぴったりな映像体験です。
まとめ
この世に生きる全ての命はまるで輪のように繋がっている。
過ぎたことを気にせず、前だけを向いて生きていく。
どこまでも続く自然の中で人生を生きる上で大事なことを見出せる言葉の詰まった『ライオン・キング』。
これから人生を歩み始める夏休みの子供にも、残りの人生を考え始める大人世代の人にも、まるでサバンナにいるかのような感覚を味わえる4DXでの鑑賞で新しい人生のきっかけを体験して欲しい作品です。