Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

アニメーション

【最終話ネタバレ/忘却バッテリー】アニメ感想評価。野球天才の“裏努力と挫折”を漫画家みかわ絵子が描きたい“圭の本心”

  • Writer :
  • 谷川裕美子

逆転のチャンスに打席に立った圭が勝負に挑む第12話

「少年ジャンプ+」にて連載中の、みかわ絵子による大人気高校野球漫画をテレビアニメ化した『忘却バッテリー』。

完全無欠の豪腕投手の清峰葉流火と、記憶喪失となった元・切れ者キャッチャーの要圭を主人公に、ひたむきな若者たちの姿を熱く描きます。

アホに戻った圭に、最後の勝負を託す千早。豪速球を投げる敵ピッチャー・巻田に、圭は真っ向勝負を挑みます。第1期の最終回となる第12話をご紹介します。

アニメ『忘却バッテリー』の作品情報

【放送】
2024年(日本アニメ)

【原作】
みかわ絵子

【監督】
中園真登

【制作】
MAPPA

【キャスト】
増田俊樹、宮野真守、阿座上洋平、島﨑信長、梶裕貴、山谷祥生、大塚剛央、石井マーク、河西健吾

【作品概要】
みかわ絵子・原作の大人気高校野球漫画をテレビアニメ化。

中学時代に名を馳せた豪腕投手の清峰葉流火と、記憶喪失となった元・切れ者キャッチャーの要圭を主人公に、なぜか野球無名校である都立高校に進学したふたりが、同じく野球から遠ざかっていた天才たちとともに、再び野球に向き合っていく姿を熱く描きます。

主人公を増田俊樹、宮野真守が演じるほか、阿座上洋平、島﨑信長、梶裕貴らがメインキャストを担当。


アニメ『忘却バッテリー』第12話のあらすじとネタバレ

九回表、ツーアウト一・二塁。逆転の望みは圭に託されましたが、元智将は氷河高校・巻田の剛速球にテンパってしまいます。

「普段、誰の球捕ってるんだ」という葉流火のひと言で何かに気づいた圭は、巻田との勝負に真っ向から挑みました。

葉流火とトレーニングを重ねて来た圭は、見事なタイムリーを放ち、俊足の千早をホームに帰します。その後、気落ちした巻田から葉流火がホームランを打ち、九回裏の氷河は反撃ならず。小手指高校は初勝利をあげました。

勝利打点をあげた圭はヒーローとなります。試合に勝つ喜びを知った圭。

巻田は負けを認め、次は負けないと宣言します。巻田は千早に、もうやめるなと声をかけ、千早も「もうやめません」と答えました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアにはアニメ『忘却バッテリー』第12話ネタバレ・結末の記載がございます。アニメ『忘却バッテリー』第12話をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

その晩、圭の脳裏には、これまで倒してきた敵の歪んだ顔が次々に浮かび、寝付くことができませんでした。「もしひとつだけ何かを忘れられるとしたら」と圭は考え込みます。

翌日、昼休みにも練習を始めるアホ圭を見て、驚くナイン。彼なりにやる気を出していることに気づきます。

練習を終えた帰り道、葉流火は圭をキャッチボールに誘いました。公園で二人きりになった葉流火は聞きました。

「圭はいやだったか? 野球。シニアの時、ずっと俺とやるの」

圭は、覚えていないけど、今は野球楽しいと笑顔で答えます。

「昔のことは覚えてないけど、楽しかったんじゃないかな。1回勝っただけで最高の気分だったし。もっとうまくなりたい。打倒、智将・要圭だ!俺は俺を超えてみせる!」

その言葉を聞いた葉流火は、笑顔になりました。

夜、葉流火と遊んだ幼い頃の夢を見て目を覚ました圭。あとあとわかるんだけど、俺は何度野球を忘れても同じ事を繰り返すんだろう。

あの日、記憶を失って初めて、彼は野球を楽しいと思ってしまったことを認めます。

「気づいてしまった。もう、逃げられない」

アニメ『忘却バッテリー』第12話の感想と評価

第1期の最終回とうとう初勝利をあげた小手指ナインタイムリーヒットを打った圭は、初勝利の喜びに浸ります

しかし、今回は謎多き展開となりました。仲間たちの前では、アホ圭のままなのですが、自宅に帰って眠ろうとする圭は智将モードになっているのです。

葉流火は、幼い頃は圭はアホだったが、野球を始めてから変わったと仲間たちに話します。野球にどこまでもストイックに取り組んでいた圭は、トレーニングを欠かさず、添加物の多い菓子類も口にしていなかったようです。

彼は苦しみの中で我が身を磨き、キャッチャーミットを構えながら数々の敵の顔を間近に見てきました。悔しさに歪み、挫折して消えていった敵の顔をいやでも思い出してしまっていた圭は、それらを忘れてしまいたかったのに違いありません

そして、最強バッテリーと呼ばれていた時代、圭は野球を楽しいとは感じていなかった記憶喪失になったのは、実はそのあたりに理由がありそうだということがぼんやりと浮かび上がります。

ラストで「気づいてしまった。もう逃げられない」と呟いたのは、その時間を回想して思い起こしている未来の圭のようです。記憶喪失になったことで圭は生まれ変わったのでしょう。

そして、何度生まれ変わったとしても、自分は野球に魅せられ続けるに違いないという事実に気づいたのに違いありません。

バッテリーを組んでいた葉流火には、圭の深層心理が伝わっていました。だからこそ「いやだったか? 俺とずっとやるの」という言葉につながったのです。

「打倒、智将・要圭だ!俺は俺を超えてみせる!」という圭の決意宣言を聞いて笑顔になる葉流火ふたりが新たにスタートを切る清々しい最終回となりました。

まとめ

記憶喪失後の圭が、新たな自分を作り上げていく決意を宣言する爽やかな最終回を迎えました。

今後の葉流火と圭のバッテリーはどのような形になっていくのでしょうか。小手指ナインの成長と絆をもっと見守りたい思いでいっぱいです。

残念ながら、まだ、第2期製作は発表されていませんが、圭たちに再び会える日を楽しみに待ちましょう。





関連記事

アニメーション

【ネタバレ】HUMAN LOST人間失格|感想と内容解説。人間らしさについて進歩した社会から描く

太宰治を原作に大胆解釈された新しい『人間失格』がSFダークヒーロー作品に生まれ変わった、映画『HUMAN LOST 人間失格』。 豪華スタッフと声優陣が贈る、太宰治『人間失格』とアニメーションの融合。 …

アニメーション

ハウルの動く城|あらすじネタバレと感想。ラスト結末も【宮崎駿代表作おすすめアニメ】

人気アニメーション作家・宮崎駿監督の2004年作品『ハウルの動く城』 宮崎駿監督が作り出した不朽の名作、映画『ハウルの動く城』。 (C)2004 二馬力・TGNDDDT イギリスのファンタジー作家ダイ …

アニメーション

ヒロアカ映画ワールド ヒーローズ ミッション|ネタバレ結末感想。僕のヒーローアカデミアTHE MOVIE ワールド ヒーローズミッションで緑谷・爆豪・轟の奮闘を描く!

全世界を舞台に描いた、劇場版「僕のヒーローアカデミア」シリーズ第3弾。 長崎健司が監督を務めた、2021年製作の日本のヒーローアクションアニメ映画、『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワール …

アニメーション

【8話ネタバレ】怪獣8号|感想/考察/解説。保科とカフカ対決!正体がバレる危機の結末×新たな怪獣の脅威は

カフカ=怪獣8号と保科副隊長の戦いの火蓋が切られる第8話 怪獣が人々の生活をおびやかす世界で、謎の小型怪獣を飲み込んだことで「怪獣に変身する力」を身につけてしまった主人公の奮闘を描く、少年ジャンプ+の …

アニメーション

映画『岬のマヨイガ』ネタバレあらすじ感想と結末考察の解説。アニメ監督 川面真也が描く“震災の痛みと人間の強さ”

岩手県を舞台に震災と伝承を組み合わせたアニメ映画 2011年3月11日、宮城県牡鹿半島沖で発生した最大震度7の地震は多くの犠牲者を出し、日本だけでなく世界を悲しみに包みました。 10年が経過してもなお …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学