映画『アーサー・クリスマスの大冒険』作品情報
【公開】
2011年(アメリカ/イギリス)
【原題】
ARTHUR CHRISTMAS
【監督】
バリー・クック/サラ・スミス
【声優】
ジェームス・マカヴォイ(アーサー)、ヒュー・ローリー(スティーヴ)、ビル・ナイ(祖父サンタ)、ジム・ブロードベント(父親サンタ)、イメルダ・スタウントン(サンタ夫人)
映画『アーサー・クリスマスの大冒険』あらすじとネタバレ
イギリスに住む少女・グウェンは、「ピンクの自転車がほしい」とサンタに手紙を書きます。そんな手紙に返事を書くのは、サンタの次男、アーサーの担当でした。
クリスマス。サンタと妖精たちが、世界中の子ども達にプレゼントを配ります。今やソリではなく、ハイテクを駆使した航空戦艦のようなS-1で堂々と出発です。
管制塔にいるのは、長男のスティーヴ。気弱なアーサーとは違い、合理的にプレゼント配りを処理する彼は、来年は自分が次のサンタになるだろうと期待しています。
サンタと妖精の特殊部隊が無事にプレゼントを配り終え、今年も任務終了。ところが一つだけ、配達されずに残っていたプレゼントを妖精が発見しました。
それは手紙をくれたグウェンの自転車です。サンタは寝てしまったため、アーサーはスティーヴに頼みますが、一つくらい仕方がないだろうと渋い顔をされます。
夜明けまであと2時間。そこで祖父のサンタが助け舟を出します。昔の古いソリとトナカイを出し、妖精も連れてイギリスのグウェンの家目指して空に舞い上がります。
アーサー達は世界中を駆け抜けます。アイダホでは看板を壊し、アフリカでは猛獣に追われ、レーダーで傍受した世界各国の政府はUFOの襲撃だと騒ぎ出します。
アーサーと祖父サンタがソリで出発したと聞いて、スティーヴはカンカンです。ソリから墜落したアーサー達は、キューバの浜辺に座り途方にくれてしまいます。
その頃、アーサーの部屋に入ったサンタは、壁に貼られた子ども達の手紙を見て、アーサーがどれほど子ども達のことを大切に思っているのかを知りました。
祖父サンタにあきらめるなと力づけられ、高い所が怖いにもかかわらず、魔法の粉を使って空に舞い上がるアーサー。空を旋回していたトナカイとソリを捕まえます。
サンタとスティーヴは、アーサーを助けに出発しますが、間違ったデータのせいでS-1はスペインへ。宇宙まで飛んで行ったソリは、UFOと間違われて追撃されます。
空が白み始めます。やっとグウェンの街についたアーサーは、プレゼントの自転車に乗ってグウェンの家までまっしぐら。モニターで見ていた妖精達も声援を上げます。
S-1も到着し、全員でグウェンの家に忍び込むと、アーサーが靴下の中に手紙を、そしてツリーの下にプレゼントを置きます。幸せそうなアーサー。サンタとスティーヴは、次のサンタに一番ふさわしいのが誰なのか、ようやく気づいたのでした。
『アーサー・クリスマスの大冒険』の感想と評価
全編、流れるようなスピード感。そしてディテールの細かい映像。アーサーがソリで飛び回る夢のような世界は、まばたきするのも惜しいほどでした。
サンタ一家がこれまた個性的です。過去の栄光にしがみつくおじいちゃんサンタ、ちょっとのんびり屋のお父さんサンタ、そしてなぜかミリタリー風なハイテク長男、心優しいオタク風の次男。そして、家族をまとめる肝っ玉母さんなサンタ夫人。
夜明けまでのタイムリミットを雪の中、子ども用自転車をキコキコキコキコキコキコとそりゃもう一生懸命にこぐアーサー。嗚呼、なんという健気さ。笑いました。いや、泣けました。
アーサーの活躍には胸が熱くなりますが、可愛い息子がここまで頑張っているというのに、忘れたプレゼントの配達をしぶる父親サンタ。引退寸前のご老体とはいえ、多少イラッときてしまいました。アーサーがいなければ、グウェンはぐれていたかもしれません。どうか子ども達の夢だけは壊さないでいただきたいものです。
まとめ
『ウォレスとグルミット』(2005)のアードマン・スタジオが、ソニー・ピクチャーズ アニメーションと組んだ、3Dコンピュータ・アニメーション映画です。
声の出演も、ジェームス・マカヴォイ、ヒュー・ローリー、ビル・ナイなど、シニカルなユーモアあふれるブリティッシュ俳優陣による贅沢な共演が楽しめます。
良く言えばモダン、悪く言えばとことん世俗的なサンタ一家。こんな家族、ご近所にもいそうです。あの両親、将来はアーサーの嫁選びでもめるんじゃないかしらと、老婆心すら起こります。
だからこそ、クリスマスにみんなでワイワイ楽しんで観るのにぴったりかもしれません。おもちゃ箱をひっくり返したような、キラキラした映像が最高です。