大人気スパイアクション映画「007」シリーズ第5作!
ルイス・ギルバートが監督を務めた、1966年製作のイギリス・アメリカ合作の大人気スパイアクション映画『007は二度死ぬ』。
米ソ両国の有人ロケットが謎の宇宙船に捕らえられ、一発触発状態となった事件が発生。
「007」こと英国情報局秘密情報部「MI6」の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが日本を訪れて、友人ロケットの行方と、敵の正体とその目的について調査していく姿とは、具体的にどんな姿だったのでしょうか。
ショーン・コネリーが初代ジェームズ・ボンドを演じた最後の「007」シリーズ作品となる、映画『007は二度死ぬ』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『007は二度死ぬ』の作品情報
【公開】
1967年(イギリス・アメリカ映画)
【原作】
イアン・フレミングの小説『007は二度死ぬ』
【監督】
ルイス・ギルバート
【キャスト】
ショーン・コネリー、若林映子、浜美枝、丹波哲郎、ドナルド・プレザンス、バーナード・リー、ロイス・マクスウェル、デスモンド・リュウェリン、カリン・ドール、島田テル、チャールズ・グレイ、牧村純子、松岡きっこ、永積靖子、ツァイ・チン、ピーター・メイビア、バート・クウォーク、マイケル・チャウ、エド・ビショップ、アレクサンダー・ノックス、ロナルド・リッチ、デビッド・トグリ、佐田の山晋松、琴櫻傑將、富士錦猛光、2代式守伊三郎、松崎真
【作品概要】
『アルフィー』(1966)のルイス・ギルバートが監督を務めた、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品。
原作はイギリス人のスパイ小説・冒険小説家イアン・フレミングの小説『007は二度死ぬ』であり、「007」シリーズ第5作目です。
「007」シリーズで初代ジェームズ・ボンド薬でお馴染みのショーン・コネリーが主演を務め、またシリーズでMI6の部長であるM役でお馴染みのバーナード・リーや、『大脱走』(1963)のドナルド・プレザンスらが共演しています。
映画『007は二度死ぬ』のあらすじとネタバレ
米国の有人ロケット「ジュピター16号」が、突如現れた謎の宇宙船に捕らえられてしまったという怪事件が発生。
これを受け、米国政府は「ソ連が軍事目的のために、宇宙を支配しようと妨害工作を働いた」と捉え、米ソ間は一触即発状態となってしまいます。
「ジュピター16号を捕らえた謎の宇宙船は、日本あたりに着地した」と、シンガポールから報告を受けた英国政府は、ある人物に宇宙船の正体と目的を探って欲しいと依頼をしました。
その人物の名はジェームズ・ボンド、「007」こと英国情報局秘密情報部「MI6」の敏腕諜報員です。
しかしボンドは、派遣先である中国・香港にある売春宿で、リンという現地の女性が手引きした殺し屋たちに銃撃され殺されてしまいます。
頼みの綱が切れてしまったかと思いきや、実はMI6が英国海軍の協力のもと、敵の目を欺き隠密裏にボンドを日本へ派遣させるために仕組んだものでした。
そしてリンは、MI6が用意した女性だったのです。その翌日、香港にある湾や港「ヴィクトリア・ハーバー」内に停泊する英国海軍の軍艦「フリゲート」上で水葬されたボンドは、MI6の部長であるMとその秘書マネーペニーが乗艦する英国海軍の潜水艦に回収され、日本へ上陸。
捜査協力者である在日オーストラリア人の諜報員ディッコ・ヘンダーソンに会うため、東京にある両国国技館を訪れました。
しかし横綱の佐田の山の仲介を受け、ボンドが会ったのはヘンダーソンではなく、アキという謎の美女でした。
アキ曰く、ヘンダーソンは両国国技館に急遽来れなくなり、近くの旅館で待っていると言います。
アキに連れられ、その旅館を訪れたボンドはヘンダーソンと合流。彼から有力な情報を得ることが出来ました。
「まずは今夜、ここへ来る日本の公安警察のトップである田中(愛称:タイガー)と会って欲しい」
「宇宙船は日本から打ち上げられたものだが、ジュピター16号を捕らえた犯人はソ連でも日本でもない。どこかの大国をバックにつけた日本の大企業の仕業かもしれない」
しかしその直後、襖の向こうに潜む殺し屋によって、ヘンダーソンは殺害されてしまいます。すぐさま逃げる殺し屋の後を追いかけ、揉み合いの末にボンドは男を絞殺しました。
そしてボンドは、すぐ近くの道路に車が停まっているのを見て、その運転手の男は殺し屋の仲間だと推測し、殺し屋に成りすましてその車に乗り込みます。
ボンドを乗せた車が向かった先は、日本の大企業である「大里化学工業」の東京本社でした。
その社長室に到着後、正体が露見してしまったボンドでしたが、激闘の末に男を撃退。特殊な装置を使って社長室の金庫からある書類を盗み出し、脱出します。
その後、ボンドはアキを通じて田中と会い、彼に金庫から奪った書類を渡しました。その書類は、「バター500キロ、ロックス50ケース」と記された海軍の物資の注文書でした。
ロックスとはスモーク・サーモンのことですが、「液体酸素」という意味もある有人ロケットの燃料です。さらにボンドは、アキが田中の仲間であることを知りました。
次の日のこと。田中と協力関係を結んだボンドは、化学薬品を取り扱うビジネスマンを装い、再び大里化学工業の東京の本社へ赴いて、大物実業家でもある大里化学工業の大里社長とその秘書ヘルガ・ブラントと面会します。
その帰り道、ボンドは大里の手下たちに襲われてしまうも、アキと田中のおかげで危機を脱しました。そしてボンドは、田中から新たな手掛かりを得ます。
それは大里所有の貨物船「ニンポー」が、今日の夕方に兵庫・神戸の港で荷物を積み、上海へ向かうという情報でした。
その後、ボンドたちは神戸港へ向かい、ニンポーの積み荷が何か調べました。その結果、注文書にあった液体酸素を大量に積もうとしていることが判明。
するとそこへ、ボンドたちに気づいた大里が放った手下たちが襲来。ボンドはアキに田中への伝言を託し、彼女を先に逃がせてから逃げようとしました。
ですが結局、不意を突かれて気絶させられてしまったボンドは、大里たちに捕まってしまい、ブラントに尋問されてしまいます。
ブラントはボンドがスパイであることを知ると、彼と一緒にヘリに乗りました。そしてブラントは、自身が操縦するヘリが墜落するよう仕向けた上で、パラシュート降下によって逃走。
ボンドは両手を拘束されていましたが、何とか墜落直前にヘリから脱出。日本庭園が広がる田中の屋敷に帰還します。
するとそこへ、来日したMI6の特務装備開発課「Q課」の課長であるQが、新兵器を持って新兵器を持って登場。
その新兵器とは、2丁のマシンガンに2本のロケット弾、熱感知ミサイルなどを装備したオートジャイロ「リトル・ネリー」です。
ボンドは早速、リトル・ネリーに乗ってニンポーが撮影された場所、兵庫・上海間にある島の偵察を開始。偵察中、4機のヘリに乗った大里の手下たちに襲われ、空中戦を繰り広げていきます。
空中戦の末、ボンドはリトル・ネリーの後方に搭載された2丁の火炎銃と煙幕発生器、目標の上空で投下する空中投下機雷、マシンガンなど全装備をフル活用して4機のヘリ全てを撃退しました。
するとそこへ、田中から「ソ連が米国に対抗して有人ロケットを打ち上げた」との知らせが入ります。
ですがそのソ連の有人ロケットもまた、ジュピター16号の時と同じように、為す術なく宇宙船に捕らえられてしまいました。
これにより、米ソは有人ロケットと、それに乗っていた宇宙飛行士が正体不明の敵に奪われてしまいました。
映画『007は二度死ぬ』の感想と評価
有人ロケットの調査のために来日したボンド
謎の宇宙船に捕らえられてしまった米国の有人ロケットの行方と、敵の正体とその目的を探るべく、ボンドは宇宙船が着地したとされる日本へ来日しました。
これまでの「007」シリーズ作品では世界各地を飛び回っていたボンド。そんな彼が初めて訪れたであろう日本で、日本各地を飛び回って日本の魅力を堪能していく姿は、日本人はもちろん、日本が好きな海外のボンドファンも新鮮さに大興奮すること間違いなしです。
何よりボンド自身が、田中たちやヘンダーソンによって、日本の良さを知り、どんどんその良さに惹かれていきました。
そしてボンドは、来日したQが開発した新兵器「リトル・ネリー」を使って、兵庫・上海間にある島の上空で、大里の手下たちと空中戦を繰り広げていきます。
これまでヘリに乗った敵に襲われることはあっても、ボンドが敵と空中戦を繰り広げていく場面は描かれていません。
したがって、リトル・ネリーに搭載された全装備を使って、華麗に敵のヘリを撃墜していくアクション場面は、ショーン・コネリー演じる初代ジェームズ・ボンドの貴重な空中戦です。
本作を鑑賞する際は、日本人になりきろうとするボンドも、初の空中戦を繰り広げていくボンドの格好良い姿も、両方見逃さないようにしてください。
スペクターの秘密基地で繰り広げられる戦い
ボンドたちが有人ロケットを捕らえた宇宙船の調査をしていった結果、本当の敵はソ連でも日本の大企業「大里化学工業」でもなく、大里化学工業の裏で糸を引くスペクターであることが判明しました。
そして何と、スペクターは米ソ両国の捜索の目を欺くために、兵庫・上海間にある日本の島に秘密基地を設置していたのです。
それは米ソ両国を共倒れにする計画が失敗した場合、大里工業に全責任を押し付けるためでもあります。
そこまで計算された上で作られた秘密基地での、ボンドたちvsブロフェルドたちの激闘は、作中で一番ド派手なアクション場面でとても面白いです。
まとめ
「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、米ソの有人ロケットを捕らえた宇宙船が打ち上げられた場所である日本を舞台に、日本の大企業とスペクターのボスと激闘を繰り広げていく、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品でした。
作中ではこれまでの「007」シリーズ作品に登場していた、ボンドの宿敵スペクターのボス、ブロフェルドが初めて自分の素顔と本名を明かしています。
日本を堪能するボンドの姿も新鮮で魅力的ですが、これまで愛猫を愛でながら椅子に座っている、首から下の部分か後ろ姿しか描かれてこなかったブロフェルドのこの貴重な場面も、本作の見どころの1つです。
そしてイアン・フレミングの原作小説とかけ離れたストーリーが描かれている本作では、ボンドが偽装ではあるものの物語の冒頭で死んでおり、『007は二度死ぬ(You Only Live Twice、人生は二度しかない)』という本作のタイトルが、文字通りの意味となっています。
さらに、本作は物語の序盤にある香港での場面と、米ソの軍関係者が非難の応酬をするレーダー基地での場面を除き、物語の舞台となっている日本の各地でロケ撮影が行われました。
そのため当時のハリウッド映画としては、大がかりなロケ撮影が日本各地で行われていたという、この衝撃的な真実。日本のボンドファンにとってこれほど嬉しいことはありません。
ショーン・コネリーが初代ジェームズ・ボンドを演じた、最後の「007」シリーズ作品が観たい人にとてもオススメな作品です。