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映画『TAXI NY』ネタバレあらすじと感想レビュー。ニューヨーク版の女優は美人モデル出身のジゼル・ブンチェン

  • Writer :
  • 薬師寺源次郎

ティム・ストーリー監督が手掛ける『TAXi』のリメイク版『TAXI NY』

ティム・ストーリーが監督をつとめた『TAXI NY』。フランスで製作された『TAXi』(1998)をアメリカを舞台にリメイク。凄腕タクシードライバーとマヌケな刑事のでこぼこコンビが、ニューヨークを騒がせる強盗団を追いかけます。

『シカゴ』のクイーン・ラティファ、コメディアンのジミー・ファロンが出演。爆走タクシーが強盗団を追って、ニューヨークの街を駆け抜けます。

映画『TAXI NY』作品情報

(c)2004 Twentieth Century Fox

【日本公開】
2004年(アメリカ映画)

【原題】
Taxi

【監督】
ティム・ストーリー

【キャスト】
クイーン・ラティファ、ジミー・ファロン、ジゼル・ブンチェン

【作品概要】
『TAXI NY』は、フランスで製作され世界中で大ヒットした『TAXi』(1998)をアメリカを舞台にリメイク、製作をオリジナル版同様にリュック・ベッソンが担当。数多くのアーティストのMVを手掛けてきたティム・ストーリーが監督を務めます。

また、『シカゴ』(2002)でアカデミー賞にノミネートされたクイーン・ラティファ、コメディアンのジミー・ファロンが出演しています。

凄腕タクシードライバーとマヌケな刑事のでこぼこコンビが、ニューヨークを騒がせる強盗団を追う様子を描いており、オリジナル版、第1作のストーリーを周到しつつも斬新に生まれ変わっています。

映画『TAXI NY』のあらすじとネタバレ

(c)2004 Twentieth Century Fox

ニューヨークの街中を1人のバイクメッセンジャーがマウンテンバイクで疾走しています。

メッセンジャーは車や通行人の間を縫うように走り、地下鉄の駅やデパートの中を突き抜け、バイクメッセンジャーの詰め所に辿り着きました。

仲間に迎えられたメッセンジャー、ベル・ウィリアムズは配達時間の新記録を達成した事を仲間に伝えられます。

この日でメッセンジャーから、夢だったタクシー運転手に転職するベルを仲間達は惜しみながらも華やかに送り出します。

そこにべルの恋人、ジェシーがやって来て、大事な話があると言い、2人が暮らすガレージでその夜待っている事を告げます。

ベルはタクシー営業許可証を受け取りに陸運局事務所に向かいますが、受付は長蛇の列ができていましたので、ベルがガレージに帰りついたときには深夜になり、ジェシーは既に眠っていました。

ベルは罪悪感を感じながらも、愛車、フォード・クラウンビクトリアに営業許可書を取り付け、夜明けと共に街へ出かけます。

客待ちをするベルのタクシーに1人の男が乗り込んできました。

空港へ15分以内で着けたら100ドル払うという男の頼みを、ベルは不敵な笑みを浮かべながら引き受けます。

ベルは運転席に隠されたコンソールパネルを開き、スイッチを操作し始めます。

すると、ベルのタクシーはウイングが飛び出し、ボンネットからスーパーチャージャーがせり出し、仕舞いには、エアロが出てきて、まるで、レーシングカーのような出で立ちに変化しました。

そして、ベルがアクセルを踏み込むとタクシーはたちまち加速し、通行する車を次々と追い抜いて行きます。

途中、警察の白バイに見つかり、追跡されますが、空港に到着したタクシーは元の姿に戻り、白バイの目を欺きます。

一方、乗客の男は空港に到着するなり、タクシーから飛び出し、ゴミ箱へしがみつき嘔吐。その様子を満足そうに見届けるベルはニューヨークの街へ帰って行きます。

その頃、ニューヨーク市警の刑事、アンディ・ウォッシュバーンは偽装クレジットカードの闇取引の現場を押さえるべく、偽装犯に接触します。

しかし、アンディの下手な芝居で警察官であることを見破られてしまいます。

逃走する犯人を追うべく、車に乗り込んだアンディですが、シフトレバーのDとRを間違え、商店に突っ込み、店を半壊させ、犯人にも逃げられてしまいます。

署に戻ったアンディは上司のマータ・ロビンスに呼び出されます。多大な損害を出してしまったアンディにマータは運転免許停止を言い渡し、パトロールに降格させました。

途方に暮れるアンディは帰路の途中で銀行強盗発生の無線を聞きます。

偶然、現場に近く、手柄を上げれば刑事に戻れると考えたアンディは近くにいたベルのタクシーに飛び乗り、銀行に向かうように言います。

銀行に着いたアンディはBMWにに乗り込む犯人と思しき4人組を発見、逃走する犯人を追うようにベルに言います。

厄介ごとはごめんと言わんばかりにアンディの頼みを断ろうとするベルですが、アンディの「信号も速度制限も無視していい」と言う言葉に抗えず、強盗犯のBMWを追います。

激しいカーチェイスの末、ベルとアンディはBMWを路地の行き止まりに追い詰めます。しかし、反転したBMWはタクシーに向かって突進、ベルは慌てて後退します。

そのとき、横に並んだBMWの犯人達と顔を合わせます。ベルは犯人たちは皆、女である事に驚き、また、英語ではない言葉を話していることに気がつきます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『TAXI NY』ネタバレ・結末の記載がございます。『TAXI NY』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

(c)2004 Twentieth Century Fox

BMWは後方を塞ぐトラックの間をすり抜け、逃走、ベルとアンディは犯人達を逃がしてしまいます。

その後、警察に連行されたベルはタクシーを接収されてしまいます。

アンディはマータからこっぴどくどやされますが、強盗団を捕まえる事を諦めておらず、車に詳しいベルに捜査の協力を持ちかけます。

上手くいけばタクシーを返すと言うアンディに嫌々ながら協力することにしたベルは、BMWが逃走する際、アンディが発砲した銃弾がタイヤに命中したにもかかわらず、走行を続けていたことから、ランフラットタイヤを装備していることに気がつきます。

また、それを扱うガレージが近辺で一軒しかないことを知っていたベルはアンディと共にその店へ向かいます。

2人が張り込みを始め、しばらくすると、赤いBMWが現れます。ガレージの中に消えていく車を確認したアンディは犯人を確保すべく、ガレージに忍び込もうとします。

しかし、アンディは即座に捕まってしまい、ベルもまた時を置かずに捕まります。

車の中にいた女強盗たちはベルたちを殺そうとしますが、アンディが一瞬の隙を突き、拳銃を奪うと、銃撃戦の末、女強盗たちは逃走します。

帰宅しようとするベルは帰るのが遅くなり、怒っているであろうジェシーに状況を説明してもらうため、アンディをつれて帰宅。しかし、ジェシーは弁解も聞き入れず、ベルを追い出してしまいます。

行き場の無いベルをアンディは実家に案内し、アンディの母親に食事を振舞って貰い、自分の家へベルを泊めます。

翌朝、ベルは女強盗がポルトガル語を話していたことに気がつき、「あと2回」といっていたことを思い出します。

「あと2回」は銀行を襲う回数だと推理したアンディはマータの元へ急ぎますが、早朝にもかかわらず、既に女強盗たちは銀行を襲っていました。

今まさに銀行を襲っていると聞き、アンディはこっそり、ベルのタクシーを証拠品保管倉庫から持ち出し、ベルと共に犯行現場に向かいます。

現場に向かう2人は女強盗が逃走を開始したことを知ります。

ベルは、強盗たちの逃走経路を推理、先回り、BMWとの激しいカーチェイスを再び繰り広げます。

しかし、ベルは道を渡る歩行者を避け、消火栓に激突、タクシーは走行不能になり、またしても女強盗団を逃がしてしまいます。

逃げおおせた女強盗団は路地裏に車を止めると、来ていた服を着替えると、車のボディからフィルムのようなものを剥ぎ取り、紺色のボディが見え始めます。

実は赤い塗装はマーキングフィルムであり、女強盗団は車の色を偽装していました。

その後、パトロールの警官に職務質問されますが、車の色が違うという事と持ち物の中に盗んだ金がなかったことから、そのまま女強盗団を行かせてしまいます。

ベルとアンディは再び署に連れて行かれ、そこでアンディはマータから解雇を言い渡され、ベルはこの件に関わらないことを強く言い渡されます。

意気消沈するアンディをベルは励まそうと、車の運転をレクチャーします。

ハンドルを握ると、とたんに硬くなるアンディに力を抜き自然体で臨むようアドバイス。

ラジオから流れるナタリー・コールの「This Will Be」を歌いながら運転するように促すと、不思議なことに、アンディはスムーズに運転することができました。

ベルとアンディは前日と同じように、アンディの母親に食事を食べさせてもらおうと、母親の家に向かいます。そこには、ジェシーがおり、ベルとアンディは驚きます。

理由はベルが忘れていった携帯電話にジェシーが電話をかけ、アンディの母親が電話を取り、一連の事情を説明、事情を知ったジェシーはベルを許し、会いに来ていました。

ジェシーと和解したベルとアンディは食事を食べた後、派手な車に乗っているはずの女強盗団になぜ毎回逃げられるのか考えます。

ジェシーがふと、なぜ毎回銀行の前に車を止められるのか疑問を口にすると、ベルは、強盗団のBMWを追う際にごみ収集車が走っていたことを思い出します。

ベルはごみ収集の日は早朝、ごみ収集車専用のスペースが設けられるため、そこに強盗団は車を止めていたのではと推理します。

そして、アンディは前回紺のBMWに職務質問をかけていたことを思い出し、金はごみ収集業者が回収、強盗団が目の引く赤いBMWを使っているのは犯行後、何らかの方法で車の色を変えている為だと気がつきます。

ベルとジェシーはその推理を確かめるため、市の衛生局へ向かいます。

衛生局のパソコンでごみ収集車のルート調べる中で、不自然にも翌日を最後に長期休暇に入る担当者を見つけます。
その担当者のルートに市内で最も大きな銀行が含まれていました。

強盗団が翌日、その銀行を襲うことが分かった2人は翌朝、銀行前で待ち伏せ。予想通り赤いBMWで現れた強盗団を確認したアンディはマータに応援を頼みます。

銀行から金を奪って逃げようとする強盗団ですが、マータ率いる警官隊に包囲されます。

しかし、強盗団は通行人の少年を人質に取ります。

マータは少年の変わりに自分が人質になると言い、強盗団に同行、警官隊は包囲を解くことを余儀なくされます。

逃げようとする強盗団の足取りを追うべく、ベルはかつてのメッセンジャー仲間に連絡を取り、BMWの情報を集めます。

強盗団が立ち去った銀行前から、警官隊は撤収しますが、ベルとアンディは残り、やってきたごみ収集車に駈け寄ります。収集車から降りてきた担当者は妻を人質に取られ、強盗団に金の回収を強要されていました。

担当者の案内で、金の回収場所に向かうベルとアンディはそこでこれまで奪った金を見つけます。

折よく、BMWの位置を見つけたメッセンジャー仲間に携帯電話を渡してもらうと、強盗団のリーダーにベルは金を手に入れたことを伝えると取引を持ちかけます。

(c)2004 Twentieth Century Fox

ベルたちが手にした金と、マータの身柄を交換することで話をつけた二人は取引場所に向かいます。

取引場所にシルバーのBMW・M3、2台に分乗して現れた強盗団は警察の罠を恐れ、走行しながら金とマータの引渡すと言い出します。

強盗団は、追って来たクラウンビクトリアを両側からM3で挟み、金とマータの同時に引渡しをしようとします。

どうにかして強盗団を捕まえたいアンディはベルに時間稼ぎをさせながら、地図を睨みます。アンディは走行しながらも引渡ししやすいという理由で脇道に強盗団を誘導します。

周囲に車がいなくなった道で、金とマータを交換したベルはアンディの指示で急ブレーキをかけます。引渡しに気を取られていた強盗団は途切れた道に気がつかず、十数mの空間を飛び越えます。

そこは建造途中の橋の真ん中で、前後の道が無く逃げることができません。

強盗団を閉じ込めることに成功したベルとアンディは喜びますが、強盗団のリーダーは往生際悪く、手にした拳銃をベルたちに向かって発砲します。

慌てて、車の陰に隠れるベルたちですが、ベルは右胸を撃たれてしまいます。アンディとマータはすぐにベルを病院に連れて行こうとします。

しかし、マータは運転席に向かうアンディを制止しますが、そんなことにかまわず、アンディは「This Will Be」を熱唱しながら、華麗なハンドル捌きで病院へ向かいます。

こうして、無事、病院に到着しベルは一命を取りとめました。

事件が解決し、しばらく経ったある日、ベルはNASCARが開かれるサーキットにレーサーとして参加していました。

強盗事件解決の立役者であるベルに、ニューヨークの多くの銀行がスポンサーになり、NASCARに参加できたのです。

観戦しに来たアンディとマータの応援を背に、出走しようとするベル宛てに電光掲示板にメッセージが表示されます。

メッセージはジェシーからのプロポーズでした。

「答えは表彰台で聞かせてくれ」と結ばれたメッセージを目にし俄然、気合の入るベルの前に、NASCARの人気ドライバー、ジェフ・ゴードンが現れます。

ベルに祝辞を述べながらも、表彰台には立たせないと言うジェフと視線で火花を交わすベル。そのままマシンを動かし、ピットへ飛び出していきます。

映画『TAXI NY』の感想と評価

(c)2004 Twentieth Century Fox

フランス発の映画『TAXi』をハリウッドでリメイクした『TAXI NY』は、フランス版に勝るとも劣らないアクション・コメディ映画になっています。

『TAXi』といえば、レーシングカーに変貌するタクシーによる迫力のカーアクションと、個性的なキャラクターによる軽快なコメディが売りの作品ですが、『TAXI NY』でもバッチリ表現されているどころか『NY』のタイトルにふさわしい、アメリカンテイストに生まれ変わっているのです。

まず注目すべきは、本作のベルの愛車・フォード・クラウンビクトリア。オリジナル版との決定的な違いはボンネットにせり出した、スーパーチャージャーです。

マッスルカーの聖地アメリカにおいて、パワーの象徴であるスーパーチャージャーはまさに、アメリカらしさを表現していました。

そのクラウンビクトリアがニューヨークの街を疾走するわけで、通行する自動車の間を縫うように強盗団のBMWとチェイスする様子は迫力満点です。

これはオリジナル版の舞台、マルセイユと交通量が格段に多いニューヨークの環境を逆手に取っての演出とアクションの本場、アメリカならでは演出ではないでしょうか。

コメディにおいては、アメリカ的なギャグセンスがあちらこちらに隠されています。

たとえば、アンディの行き過ぎたマザコン具合はアメリカ映画における、マヌケキャラの典型とか。

また、オリジナル版のダニエルとエミリアンのコンビと、本作でのベルとアンディのコンビは様子が異なっています。

オリジナル版ではエミリアンの天然ボケをダニエルが冷静に指摘したり、突っ込んだりします。ところが、今回の『TAXI NY』のベルとアンディは、まったくかみ合っていない、でこぼこコンビなのです。

すぐに口論を始めるところなどに、アメリカのコメディ映画の影響が強く見受けられます。

その上、ベルが意気消沈するアンディに運転を教え、絆を育んでいく様子は、オリジナル版には無い心温まる場面であり、「友情」や「絆」を描くことの多いアメリカ映画らしさを演出しています。

まとめ

オリジナルシリーズで製作を務めたリュック・ベッソンが本作『TAXI NY』でも製作に携わっている訳ですが、本作の成功はやはり、彼の手腕によるものでしょう。

本作は第1作『TAXi』のストーリーをなぞっていましたが、舞台をアメリカに移す上でオリジナル版をアメリカに置き換えて製作するという単純なものではなく、アメリカの自動車事情、警察や犯罪事情や国民の心情などを考慮したうえで練りこまれた作品となっています。

こんな演出はこの時、すでにアメリカでも成功を収めていたリュック・ベッソンだからできたのではないでしょうか。

そんなリュック・ベッソンが今後も様々なジャンルで世界中の観客を沸かせ続ける活躍をすることに期待します。

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