レオナルド・ディカプリオの率いるアピアンウェイがロビン・フッド映画を製作!
『フッド:ザ・ビギニング』は、国内でもヒットを記録している『ロケットマン』のプロモーションで13日に初来日したタロン・エジャトンが主演するアドヴェンチャー作品。
『Ray/レイ』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したジェイミー・フォックスが共演しています。
これまでのロビン・フッドとは異なり、現代社会の問題を取り上げた痛快時代劇。
製作を務めたのはレオナルド・ディカプリオです。
映画『フッド:ザ・ビギニング』の作品情報
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【原題】
Robin Hood
【監督】
オットー・バサースト
【キャスト】
タロン・エジャトン、ジェイミー・フォックス、イヴ・ヒューソン、ベン・メンデルソーン、ジェイミー・ドーナン、ティム・ミンチン、F・マーレイ・エイブラハム
【作品概要】
本作は、テレビドラマ『ブラックミラー』や『ピーキー・ブラインダーズ』を手掛けたオットー・バサーストの長編映画初監督作品。製作会社のライオンズゲートがバサーストを抜擢しました。
タロン・エジャトンの親しみやすさが主人公には必要だったと話すバサーストは、真実の為に立ち上がるヒーローは自分たちの中にあると説明。過去に描かれた物語に付随する歴史認識を排した意欲作。
映画『フッド:ザ・ビギニング』のあらすじとネタバレ
ロビンは恋人・マリアンと幸せな生活を送っていたある日、ノッティンガムの最高権力者である執行官から召集令状を受け取ります。
4年後、アラブ。十字軍の兵隊として敵地で戦闘下にあるロビン。ギズボーン率いる隊はリトル・ジョンが指揮する敵軍に待ち伏せされ危機に陥ります。
スピードと身体能力で上回るリトル・ジョンと一騎打ちになったロビンは大ピンチ。
しかし、駆けつけたギズボーンがリトル・ジョンの手首を切り落としてロビンを救出。リトル・ジョンを拘束します。
十字軍は情報を引きだそうと捕虜を激しく拷問。使えないと判断した捕虜の首を切断させる光景に、ロビンは不快感を抱きます。
怯える息子が次の拷問の対象になったのを観たリトル・ジョンは必死に抗議。ギズボーンが首をはねるよう命じたのを見たロビンは介入して取り押さえられます。
処刑は執行されますが、ロビンはリトル・ジョンの拘束を解き、他の捕虜も解放。怒ったギズボーンは、ロビンに帰国を命じます。
リトル・ジョンはロビンが乗船する船に忍び込みイギリスまで着いて行きます。
帰国したロビンは自分の屋敷に戻りますが、荒れ果てた家は差し押さえられており、自分の帰りを待つはずのマリアンはいません。
友人であるタック修道士を訪れたロビンは、2年前に自分が戦地で死亡したと執行官が伝えていたことを知ります。
炭鉱者が働く居住区へ来たロビンは、マリアンが政治家を目指すウィルと仲睦まじくしている様子を目撃してショックを受けます。
肩を落としたロビンの前に、ずっと後を着けていたリトル・ジョンが姿を現します。思わずひるむロビンに対し、長く十字軍と闘っていたが、敵軍にロビンのような考え方をする人間は居なかったと話します。
金持ちだけが得をする戦争を止めようとリトル・ジョンは協力を求めます。
そこへ、聴衆に対する執行官のスピーチが始まります。アラブを激しく批判する執行官は、ノッティンガムの市民を守る為に戦争を続行する必要があり、税金をあげると発表。
ウィルとマリアンは、戦費の為に全て差し出した市民の生活は困窮し、これ以上は無理だと抗議します。
タックが遅れて到着し、増税に対する投票には領主であるロビンの1票も含まれるべきだと述べ、マリアンは以前の恋人が生きていたことを初めて知ります。
投票は先延ばしになり、タウンミーティングは一端散会。群衆に混じって聞いていたロビンは闘う意義など無いと声を荒げ、こじつけで増税を求める政府に腹を立てます。
勝手にロビンの死亡宣告をして財産を没収した執行官は、教会と軍隊を背後に持つ権力者。
立ち向かう術が無いと言うロビンに対し、リトル・ジョンは、力の源は資金力だけだと強い眼差しを向けます。
「戦費を奪って執行官を弱体化させよう。お前は復讐を、俺は息子に対する正義を求めて闘う」リトル・ジョンに賛同したロビンは手を結びます。
その日から、ジョンの猛烈な特訓が始まります。ロビンは、スピードと身体能力、そして武器である弓の扱い方を徹底的に叩き込まれます。
ジョンは息子が使っていた布を渡し、ロビンは鼻から下を隠して見せ、「ところでいつ盗む?」とジョンに尋ねます。
映画『フッド:ザ・ビギニング』の感想と評価
これまで繰り返し描かれたロビン・フッドですが、本作は歴史の整合性を敢えて重要視していません。
監督を打診されたオットー・バサーストは、製作会社のライオンズゲートに現在の社会を反映できる内容にできるなら監督業を受ける条件を提示して了承されました。
劇中のアラブやノッティンガムの街はCGではなく、大掛かりなセットで建造。ロビン・フッドという時代物を意識しながらも、今世界を取り巻く政治問題を物語の骨格に据えています。
ハリウッド映画ですが、イギリスならではの民主主義を反映。「政府が腐敗しているなら、市民が変えるしかない」とバサーストは語ります。
敵対する国に資金を流して個人の権力拡大を画策…とまるでイラク戦争を想起させる内容で、実話を描いた『バクダッド・スキャンダル』(2018)を彷彿とさせる内容です。
また、枢機卿が街を訪れた祝賀会の場面では、出席した有力者たちの衣装がモダンなデザイン。
バサーストは、戦場で出会うロビンとリトル・ジョンのバディ物語を作品の駆動力とした為、多くの説明と登場人物が必要になる細かい史実を盛り込まなかったのです。
そして、主人公は義賊であり革命家のロビン・フッドですが、本作では頭の切れるジョンがロビンを導いていく設定。
ジェイミー・フォックスの観る者を引き込むカリスマ性が作品を引っ張り、執行官役のベン・メンデルソーンと枢機卿に扮したF・マーリー・エイブラハムの名演が要所を締めています。
主役は絶対タロン・エジャトンと決めたバサーストは、彼が他作品に出演していた為、クランクアップを待ってから本作の撮影を開始しています。
ロマンス、アクション、そしてコメディ全てをこなせる若手俳優ではエジャトンが群を抜いているとコメント。他の出演者の多くは、レオナルド・ディカプリオがプロデュースすると聞いて出演を決めてくれたと笑って話します。
現場に顔を出したりバサーストに意見を挟んだりすることは一切しなかったディカプリオ。しかし、逆に製作会社をプッシュする場合は頼んだとバサーストは話し、ハリウッドにおけるディカプリオの存在が大きいことを窺わせます。
まとめ
『フッド:ザ・ビギニング』の監督を務めたオットー・バサーストは、舞台を中世に据えつつ、ロビン・フッドが盟友リトル・ジョンと共に現社会の難問に挑む冒険物語として再映画化。
英雄は自分たちと同じ一般人と定義したバサーストが選んだタロン・エジャトン扮するロビン・フッドは、腐敗した政府を弓矢で制圧しながら貧困層へ富を分配していきます。
本作は、若手、中堅、ベテラン俳優全ての好演が見所となるエンターテイメント作品です。