それぞれの想いと拳が交差(クロス)する大人気シリーズ第7弾
「EXILE」を結成し日本の音楽の一時代を築いたHIROが会長を務める芸能プロダクション「LDH」が全面的にバックアップを行い、HIRO自身がシリーズの企画プロデュースを務める「HiGH&LOW」シリーズ。
2015年から始まった「HiGH&LOW」シリーズはぶっ飛んだ設定と、人員と予算を惜しまない派手な演出によって「EXILE」ファン以外からの人気も集め始め、今では多くの映画好きがシリーズの最新作を楽しみにしています。
そして2022年、人気漫画「WORST」とコラボしたスピンオフ映画『HiGH&LOW THE WORST』(2019)の続編が登場。
今回は物語もアクションも更なる進化を遂げたシリーズ最新作『HiGH&LOW THE WORST X』(2022)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
CONTENTS
映画『HiGH&LOW THE WORST X』の作品情報
【公開】
2022年(日本映画)
【総監督】
二宮“NINO”大輔
【監督】
平沼紀久
【脚本】
増本庄一郎、渡辺啓、平沼紀久
【キャスト】
川村壱馬、吉野北人、佐藤流司、神尾楓珠、森崎ウィン、前田公輝、塩野瑛久、三山凌輝、中本悠太、志尊淳
【作品概要】
高橋ヒロシによる大人気不良漫画シリーズ「WORST」と「HiGH&LOW」シリーズの実写コラボレーション映画第2弾。
「鬼邪高校」の全日制の生徒を演じた前作キャストとドラマ『6 from HiGH&LOW THE WORST』でシリーズに参加した森崎ウィンが引き続き続投し、人気グループ「BE:FIRST」の三山凌輝と「NCT127」の中本悠太がメインヴィランとして本作に参加しました。
映画『HiGH&LOW THE WORST X』のあらすじとネタバレ
巨大財閥の御曹司である「瀬ノ門工業高校(以下瀬ノ門)」の天下井公平とその右腕・須嵜亮は「SWORD地区」で最強を誇る「鬼邪高校(以下鬼邪高)」を潰すため、同地区内の「鎌坂高校(以下カマ高)」と「江罵羅商業高校(以下バラ商)」と「連合」を結成し動き始めていました。
人を上か下かでしか区別せず、自分より下の人間を「駒」としか考えない天下井率いる「連合」は「SWORD地区」の高校を制覇しつつありました。
一方、「牙斗螺」との戦いで共闘した戸亜留市の「鳳仙学園(以下鳳仙)」の番長・上田佐智雄が敗北したとされる、「鈴蘭男子高校(以下鈴蘭)」のラオウに強く惹かれる「鬼邪高」全日制の番長・花岡楓士雄は1人で「鈴蘭」を訪れます。
複数の派閥が日々抗争を繰り返す「鈴蘭」で楓士雄が身分を明かしたことでラオウ一派のビンゾーを始めとした生徒たちとの大乱闘に発展しますが、ラオウ一派のマーシーによって制止され、ラオウへの挑戦者が後を絶たないことから「整理券」を受け取り列に並ぶようにと諭されます。
ラオウ一派の孫六からの鋭いキックを楓士雄が受け止めるとマーシーはそれが「整理券」だと言い、楓士雄を無事に「鈴蘭」から帰しました。
帰路の途中で「鳳仙」に立ち寄った楓士雄は佐智雄からの手紙を受け取ります。
手紙には佐智雄が家族の都合で海外におり、その間に「鳳仙」で問題が起きた場合には「鬼邪高」に協力をお願いしたいと書かれていました。
「鬼邪高」に戻り仲間に顛末を話す楓士雄は、情報通のジャム男からラオウの起こした暴力的な騒動の数々を聞き、ますますラオウへの興味を募らせます。
一方、楓士雄の相棒である高城司は「鬼邪高」の定時制の番長・村山良樹によって定時制と全日制が分断されて以降、「瀬ノ門」を始めとした近隣高校が全日制を狙い始めていることを感じていました。
ラオウの件を早々に片付けることを決めた司は仲間の轟洋介と「鳳仙」四天王の1人・小田島有剣の紹介でマーシーと会います。
その頃、「鳳仙」四天王のシダケンは「瀬ノ門」のサボテンに呼び出され「鳳仙」の「連合」入りを勧誘されていました。
金に困窮するシダケンは天下井の差し出す金を一旦は受け取りますが、「鳳仙」のプライドから金を投げ捨てると「連合」入りを拒否。
天下井はサボテンにシダケンへの制裁を命じると、「連合」の生徒に袋叩きにされたシダケンは意識不明の重傷を負わされました。
天下井の凶行を見つめる須嵜は無職の父親を天下井が運転手として雇った経緯があり、人を「駒」としか見ない天下井が幼馴染である自分でさえも「仲間」ではなく「駒」として見ていることを知っていました。
数日後、「連合」は天下井の指示のもと鬼邪地区への侵攻を開始。
マーシーからラオウの所在地を聞きだした司は楓士雄とジャム男を連れて孤児院を訪れると、ラオウが孤児院育ちであり彼の起こした騒動の全てが孤児院の少年少女を守るためのものだったと言う真実を聞かせます。
その話を聞いた楓士雄は、ラオウに駆け寄るとラオウに握手を求め「友達」になりたいと懇願し、困惑するラオウは楓士雄を受け入れました。
ある日の帰り道、楓士雄と司、ジャム男は「連合」に取り囲まれます。
司はジャム男を逃がし体制を立て直させるために楓士雄とは別方向に別れ相手を分散させることを決断。
楓士雄は「カマ高」の氷室零ニを倒し「鬼邪高」への退却に成功しますが、須嵜と対峙した司は敗北し天下井によって鉄パイプで滅多打ちにされます。
同時刻、「鬼邪高」の生徒は各地で襲撃を受け清史や中越、辻や芝マンが重傷を負わされます。
楓士雄や轟と言った主要人物を取り逃がしたことを察した天下井は瀕死の司を「瀬ノ門」へと拉致しました。
映画『HiGH&LOW THE WORST X』の感想と評価
定時制のキャラが登場しない新時代の物語
前作『HiGH&LOW THE WORST』にはドラマから登場し、シリーズを盛り上げてきた立役者でもある山田裕貴演じる村山良樹が、「大人側」の主人公として登場していました。
映画4作目となる『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』(2017)で「SWORD」としての物語が完結して以降、本シリーズは世代交代を意識した作品作りが行われており、前作は新たな道を見つけ次世代の成長を見届けた村山の「鬼邪高校」卒業と言う形で物語が終幕。
そんな前作から数ヶ月後を描いた『HiGH&LOW THE WORST X』では、最初から最後まで次世代によって物語が展開され、シリーズ初となる世代交代後のキャラクターだけで構成された映画作品となっています。
一度は完結した「HiGH&LOW」シリーズの再始動と、今後のさらなる展開の広がりを感じさせる「鬼邪高校」のスピンオフ映画でありながらも「HiGH&LOW」の志を強く引き継いだ作品でした。
それぞれの関係性が魅力的な人間ドラマ
本作は人との出会いによって各々が精神的に成長していく様子がはっきりと描かれている「人間ドラマ」が見どころです。
ドラマシーズン2から登場し「鬼邪高校」の中でもトップクラスの人気キャラクターである全日制の轟。
同じ全日制の生徒を同格として見ず独立独歩の姿勢を貫くがゆえに人望のない轟でしたが、前作での天真爛漫かつ決して仲間を見捨てない主人公・楓士雄との出会いを経て大きく変わっていきます。
今作では精神的な成長を遂げた轟が仲間のために憤慨し、仲間のために率先して打開のために行動しており、シリーズを通して描かれてきた「人との出会いによる変化」の1キャラの終着点を見せてくれました。
他にも本作のヴィランとして登場する、人を「駒」としてしか見ない天下井と彼に付き従う須嵜の謎だらけの関係性は終盤に本作最大の見どころとなり、終幕後にはこの2人をもっと観ていたいとさえ思わせてくれます。
シリーズファンには轟の成長が驚くほどに感じられ、シリーズ初鑑賞の方には天下井と須嵜の関係によって、本シリーズの持つ「成長」の魅力が伝わること間違いなしの作品となっていました。
まとめ
登場する各学校に異なるイメージカラーの存在する本作は、遠巻きに見てもキャラの所属が分かる「HiGH&LOW」シリーズ特有の戦闘シーンがしっかりと引き継がれています。
スピーディな殺陣とさまざまな色の制服が入り乱れる極彩色の乱戦、どの戦闘シーンを切り抜いても拘り抜かれた演出が光り、アクション映画としても邦画トップクラスの出来の本作。
シリーズファンに嬉しい要素を含みながらも、本作から鑑賞してもシリーズの楽しさを体感できる『HiGH&LOW THE WORST X』は不良映画の観たいものがすべて詰まったオススメの作品です。