“この街は、人間の血と、涙と、性液で、腐敗している”
映画『暗黒街』は、イタリア映画界最高の栄誉であるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞(イタリア・アカデミー賞)で5部門にノミネート。
監督を務めたステファノ・ソッリマの代表作の呼び声も高く、イタリアの裏社会をリアルなまでに描いた、“ネオレアリズモ・ノワール”と呼ぶべきアクション映画。
今回は映画『暗黒街』を主演の名俳優ピエルフランチェスコ・ファヴィーノとともにご紹介します。
「あんたの仕業か?」「この街(ローマ)の仕業さ!」
1.映画『暗黒街』の作品情報
【公開】
2017年(イタリア映画)
【原題】
SUBURRA
【監督】
ステファノ・ソッリマ
【キャスト】
ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、エリオ・ジェルマーノ、ジャン=ユーグ・アングラード、グレタ・スカーアーノ
【作品概要】
2.映画『暗黒街』のあらすじ
カジノ計画を含む、再開発法案の成立を目論む与党の大物議員フィリッポ・マルグラーディ、通称ピッポ。
その背後には裏社会を仕切る“サムライ”と呼ばれる伝説のマフィアを始め、利権にありつこうとする連中の影が蠢めいていました。
ある日の夜の、ピッポが関わった事件をきっかけに、利権争いは凶悪な悪党同士の血で血を洗う殺し合いへと発展を見せます。
やがてその争いはピッポら政治家、いくつもの犯罪組織、売春婦たち、更には教会をも巻き込みながら激化していく…。
3.映画『暗黒街』の見どころ
今作『暗黒街』は2011年11月当時、シルヴィオ・ベルルスコーニ首相の未成年者売春を始めとする、数々のスキャンダルに追われ辞職した政治的な混乱を背景にした作品です。
それらを舞台に描き込まれた骨太な物語の説得力、それでいて型破りなスケール感は、“ネオレアリズモ・ノワール”とでも呼ぶべき、暴力と過激な性描写で描かれた裏社会の闇を観客に見せつけます。
また、描かれるストーリー性にリアリティさを結実させたのは、何と言っても実力派俳優であるピエルフランチェスコ・ファヴィーノ。
御年48歳のピエルフランチェスコ!走る、走る、走る!
彼のようにイタリア映画のみならず、海外映画に出演する俳優を中心に多彩なキャストによるエモーショナルな演技と、多様なキャラクター設定で描くことで、国内外の新たな映画ファンを魅了させ、多くの人たちを熱狂させたのがこの作品です。
その結果、ついには今作『暗黒街』は、Netflixで全世界配信向けドラマシリーズとしてリメイクが決定。
さらには、演出の手腕を買われたステファノ・ソッリマ監督は、『ブレードランナー2019』や『メッセージ』で知られるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の大ヒットをした代表作『ボーダーライン』の続編の監督に大抜擢。
アメリカとメキシコの国境地帯で繰り広げられる薬物戦争の現実をリアルに描く続編『Soldado(原題)』でハリウッドに進出を果たします。
ここまで映画ファンを熱狂させる裏社会の闇の真相を、リアルなまでに描いた作品はかつて存在したことはなく、イタリア映画界最高の栄誉であるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で5部門にノミネートは納得といえるでしょう。
裏を返せばこれだけ評価の高い作品が惜しくも受賞は逃したのは、今作『暗黒街』がそれほどまでに魅惑的なまでに闇社会マフィアの実像に迫ったからかもしれません。
新たなイタリア映画が見せる、“ネオレアリズモ・ノワール”に注目です!
4.俳優ピエルフランチェスコ・ファヴィーノのプロフィール
Sette nomination ai Nastri d’Argento 2016 per #Suburra. Grazie a tutte il cast e agli operatori pic.twitter.com/UxcSAWwEPc
— Pierfrancesco Favino (@pfavino) 2016年5月31日
ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ(Pierfrancesco Favino)は、1969年8月24日にローマ生まれのイタリア俳優。
ローマの国立演劇アカデミー(シルヴィオ・ダミコ)卒業。
1991年にテレビ『個人的な問題(原題 Una questione privata)』にて俳優デビュー。
1995年に映画『ボクサー(原題 Pugili)』でスクリーンデビューを果たします。
リバノ役を軽妙に演じた『野良犬たちの掟』(2005)
2005年に『野良犬たちの掟(原題 Romanzo criminale)』にてリバノ役を見事に演じダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞を受賞。
2006年にはジュゼッペ・トルナトーレ監督の『題名のない子守唄』にて、ドナート・アダケル役で出演。
また同年にはハリウッド映画『ナイトミュージアム』でクリストファー・コロンブス役を演じています。
『題名のない子守唄』(2006)
2008年に『ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛』にはグローゼル役で出演。
さらには、スパイク・リー監督の『セントアンナの奇跡』ではペッピ・“ザ・グレート・バタフライ”・グロッタ役で出演しています。
『セントアンナの奇跡』(2008)
2009年にダヴィンチ・コードの続編となるトム・ハンクスと共演した『天使と悪魔』ではオリヴェッティ役で出演。
ご存知の続編!『天使と悪魔』(2009)
2010年にシルヴィオ・ソルディニ監督の『30日の不倫』にて、結婚生活に不満を抱き恋に走るドメニコ役を演じています。
結婚生活に不満を抱く夫役を演じた『30日の不倫』
2012年に『フォンターナ広場 イタリアの陰謀』では、重要な役柄のジョゼッペ・ピネッリ役で出演。
ピエルフランチェスコ・ファヴィーノの熱演は、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞とナストロ・ダルジェント賞を受賞することになります。
鉄道員のアナキスト役を好演!『フォンターナ広場 イタリアの陰謀』
そのほかにも、2013年の『ワールド・ウォーZ』ではWHOの男性研究員。
同年の『ラッシュ/プライドと友情』にはクレイ・レガツォーニ役で出演しています。
#chimhavisto dal 28/9 al #cinema con @BeppeFiorello #gallery https://t.co/B0ShKm7V0b pic.twitter.com/GH2dsCAEgi
— Pierfrancesco Favino (@pfavino) 2017年9月6日
今回ご紹介したことで、「ああ、観たことあった!」とか、思い出していただけたでしょうか。
イタリアのみならず、国内外で活躍する知る人ぞ知る実力派俳優。
それが、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノなのです!
まとめ
『暗黒街』は、特集上映「ワールド・エクストリーム・シネマ2017」内の目玉のひとつとして上映いたします。
特集上映の開催日程は、東京にあるヒューマントラストシネマ渋谷では10月14日(土)~11月3日(金)の内で上映。
大阪にあるシネ・リーブル梅田では11月4日(土)~11月17日(金)の内での上映です。
若者たちに負けじと俳優ピエルフランチェスコ・ファヴィーノのいぶし銀の熱い演技に注目です!
ぜひ、お見逃しなく!