7月8日より東京・ヒューマントラスト渋谷ほかで上映中のホラー映画『バイバイマン』。
その謎の存在の名を知るだけで呪われると言う異色ホラーは全米公開初登場第2位獲得!バイバイマンとは一体何者なのか?
考えるな、言うなの『バイバイマン』の感想を言っちゃいます!きゃ〜〜〜〜っ!
1.映画『バイバイマン』の作品情報
【公開】
2017年(アメリカ)
【監督】
ステイシー・タイトル
【キャスト】
ダグラス・スミス、ルシアン・ラビスカウント、クレシダ・ボナス、ダグ・ジョーンズ、キャリー=アン・モス、フェイ・ダナウェイ、リー・ワネルラリー
【作品概要】
その名を知るだけで呪われると言われる謎の存在「バイバイマン」をテーマに描いたホラー。バイバイマンを演じるのは「ヘルボーイ」「パンズ・ラビリンス」などギレルモ・デル・トロ作品への出演で知られるダグ・ジョーンズ。監督は「ギャング・オブ・ホラー」のステイシー・タイトル。製作陣には「オキュラス 怨霊鏡」のトレバー・メイシーほか。
2.映画『バイバイマン』のあらすじとネタバレ
1969年…、穏やかな住宅街で多くの命が奪われた奇怪な事件が発生。
犯人は地域の住民たちに向かって、「誰かに名前を教えたのか?」「それを考えるな、それを言うな」と叫びながら銃を乱射し続けたというものでした…。
それから月日は流れて現在のウィスコンシン州。
大学生のエリオット、サーシャ、ジョンの3人は大学の学生寮を出て、都会から離れた場所にある屋敷に引っ越してきました。
初めは薄気味悪いと言っていたエリオットの彼女であるサーシャも屋敷の立派さや備え付けアンティーク家具に納得。
また、エリオットの幼馴染みのジョンはこれでこれまで以上に派手な女性関係が出来ると上機嫌でした。
そんな3人は大学の友人たちやエリオットの叔父の家族を呼んで引っ越しパーティを開きます。
その最中にサーシャは、霊感の強い友人キムにも来てもらい屋敷の除霊を行なってもらいました。そんな様子が気に入らないエリオットはキムの存在に気分を害しています。
一方で大人たちの開いたパーティが楽しくないエリオットの姪アリスは屋敷の部屋を独り散策。
エリオットの部屋でコインの落ちる音を聞きます。
アリスは見つけた古いコインを手にして持ち帰ろうとしますが、ふと罪悪感を覚えたのかベッド脇のサイドテーブルに置いて、パーティ会場に戻りました。
その後、今度はエリオットが部屋に入ってきて、サイドテーブルの下に落ちていた古いコインを見つけます。
彼はそのコインを引き出しを開けて中にしまいます。しかし、なぜかコインは床に落ち現れてしまうのです。
不思議に思ったエリオットは引き出しを開け中を確認すると、その引き出しに「それを考えるな、それを言うな、それを考えるな、それを言うな…(don’t think it, don’t say it, don’t think it…)」の文字がびっしりと書かれていました。
エリオットは引き出しの底を調べていると「バイバイマン」という名前を見つけます。
やがて、パーティ終了後、エリオット、サーシャ、ジョン、キムの4人は降霊会を開きます。
すると、キムはエリオットの暗い過去の出来事や、彼がキムの霊感を疑い試した事実を言い当て的中させます。
エリオットはジョンが教えたのだろうとか言い出し、キムを一向に信じようとはしませんでした。
キムはエリオットの中にある「それを考えるな、それを言うな」と思い浮かんだ言葉を口にすると、エリオットはその場で「バイバイマン」の名前を口にしてしまいます。
やがて、それぞれ2組に分かれて部屋で就寝につきますが、エリオットは奇妙な殺気を感じて起きてしまいます。
一緒のベットにいる眠ったサーシャにお休みを告げると、寝ぼけたのかサーシャは「ジョン愛している」と告げ、エリオットは冗談だろうと困惑します。
その直後から奇妙な現象がエリオット、サーシャ、ジョンの周辺で発生するようになっていきます。
サーシャは風邪のように咳き込むようになり、発熱もして病状は悪化。一方でジョンとエリオットは幻覚を見るようになっていきます。
そんな状況にエリオットは、大学の図書館でパソコンを使い「バイバイマン」の検索をかけますがヒットをしませんでした。
次に「それを考えるな、それを言うな」を検索にかけると一件の記事が見つかり、図書館司書に申請して資料を閲覧させてもらいます。
司書の女性は、かつてあったこの事件は、青年が自分の家族を全員の命を奪った容疑で逮捕されたと言い出し、青年から直接聞かされたたラリーも事件を起こしたが、バイバイマンの名前を知る人の命を奪った後、自死したことを教えてくれました。
エリオットはバイバイマンに仕向けられたんだと口走ってしまいます。
やがて、その資料の中に「バイバイマン」の名前を見つけたエリオットは、バイバイマンが現れて徐々に近づいて来る幻覚を見ます。
錯乱して身の危険を感じたエリオットは図書館から走り去ります。
エリオットは彼女のサーシャの元に向かいますが、親友ジョンが自分を裏切ってサーシャと恋仲である現場を目撃します。
エリオットは自分を騙しているのではないかと、サーシャとジョンに強い嫉妬の疑いを持つようになります。しかし、それもまた、バイバイマンの仕向けた幻覚なのです。
すでに、エリオットとサーシャ、またジョンの3人は、現実と幻覚に悩まされ何が真実なのかを見失っているようになっていました。
バイバイマンの存在に怯えたエリオットは、キムの家に向かい彼女の心霊術で助けてほしいとお願いに上がります。
キムは二つ返事でエリオットの要望を承諾。エリオットの車に乗り込んで3人の住む屋敷に向かいます。
そんな折、線路の踏切で交通事故を起こした自動車を発見。
キムはエリオットの運転する車を停止させて事故現場の救助に向かいます。エリオットはキムの行動を制止しようとしますが、キムは聞きません。
キムの乗った助手席にあったカバンの中に血だらけのハンマーを見つけたエリオット。
彼はそれを手にしたままキムを追いかけ、幻覚だと叫びますが、キムは走ってきた列車に惹かれて命を落としてしまいます。
やがて、キムと列車の事故現場には警察が駆けつけ現場検証を行います。
しかし、キムが列車に轢かれて亡くなった事故は、列車の運転手の目撃によって、エリオットがハンマー持ち、キムを追いかけた暴力から逃げて発生した事件だと容疑をかけられたエリオット。
同じく現場にいたサーシャやジョンに一方的に強く「バイバイマン」の名前を誰にも言うな、また言っていないを問い詰めます。
女警部ショウはエリオットをいっそう疑い、容疑者として連行。親友キムの不慮の事故死に疲労困憊したサーシャを連れてジョンは帰っていきます。
その後、新たな証拠となる遺書がキムの家で見つかります。彼女はルームメイトの命を奪い、その後エリオットたち3人の命も奪う計画を立てていたことで、エリオットは釈放。
エリオットの叔父は心配して警察署までエリオットの様子を見に来てくれましたが、その言葉も振り切り、エリオットは自分の屋敷に車で向かい、サーシャを助けに向かいます。
屋敷に戻ったエリオットは、ジョンの部屋でサーシャとジョンが性行為を交わしている現場を目撃、部屋の隅にあったバットでジョンの頭を殴打します。
しかし、それはジョンとサーシャの行為は幻覚でした。エリオットはジョンを手足を縛り、地下室に放り込み隔離します。
また、エリオットはサーシャの手に握られたラリー・レドモン記者の妻の住所のメモを見つけ、その場所に向かいます。
図書館にあった報告者の亡きラリーの妻であるレドモン婦人の家を訪れたエリオット。
レドモン婦人はエリオットに、「あの呪いは人間を幻覚で恐怖に陥れ、やがては死に至らしめる。呪いを免れる道は名前を言わない。名前について考えないことしかない」と言います。
エリオットはレドモン婦人だけは、なぜ生き残っているのかを問い詰めます。すると彼女は「私はその名前を知らない」と言います。
さらに、レドモン婦人はラリーは名前を知ってしまったから意志を持って私に言わず命を絶たったと言うのです。
解決策の手立てがないことを知ったエリオットですが、バイバイマンと対峙する決意して、あの屋敷に戻ります。
車を運転しながらも幻覚を見てしまうエリオット。その道を塞ぐようにジョンが立っています。
しかし、これは幻覚だとばかりにジョンがいる場所に車を走らせますが、やはり、ジョンの存在は幻覚。
だが、その直後に道に立ち塞がっていた図書館司書がいて、彼女を車で跳ねてしまうとエリオットの運転する自動車は横転してしまいます。
エリオットは車を捨てて、走って屋敷に向かいます。
屋敷についたエリオット。するとジョンがサーシャに跨がりハサミで切りつけ刺そうとしていました。
床に押さえつけられたサーシャを助けようと銃でジョンを撃ち殺します。
するとそれは幻覚。馬乗りで跨って弾丸を受けたのは逆のサーシャの方でした。
床に横たわってハサミで切りつけられていたのはジョンの方でした。
エリオットは泣きながらわりサーシャを抱きしめ詫びますが、時すでに遅しサーシャは絶命します。
その後、いよいよ、バイバイマンはエリオットに襲って来ます。
すると屋敷の玄関先にはエリオットの叔父と姪アリスがやって来ます。
屋敷の外からエリオットにドアを開けろと叔父は言いますが、エリオットは開けないように必死です。
絶体絶命のエリオットに近づいて来るバイバイマン。
バイバイマンはエリオットの頭に指を当て、彼の考えていることを探ります。
その瞬間、エリオットは叔父の家族のことを考えてしまいます。彼は叔父の家族を守るために手にしていた銃で自死。
銃声とともに屋敷の2階の部屋から火の手が上がり燃え盛る建物。
ことの次第は分からない叔父であったが、銃声とエリオットの告げた「バイバイ」という言葉だけが聞こえ、事態の終焉を察知します。
叔父は見当たらなくなったアリスを探し、車に乗せて帰宅。
惨事のあった屋敷に女警部ショウがやって来て、救急車に乗せられる瀕死状態のジョンから何があったか訊き出します。
するとジョンは微かに動く口元は何かを女警部ショウに語ったように見えました。あの呪いの男の名前なのでしょうか…。
2.映画『バイバイマン』の感想と評価
この作品はアメリカのホラー作家ロバート・デイモン・シュネックの『大統領の吸血鬼』のなかの短編『ボディ・アイランドへの橋』を原作としているため、実話を映画化した作品ではありません。
都市伝説のような話をモチーフにしていることで、実話という噂やふれ込みで話題になった作品です。
また、“バイバイマン”という引きの良い映画タイトルと、新たなキャラクターの存在に怖いもの見たさもあって、東京にあるヒューマントラスト渋谷で鑑賞した回は、ほぼ大入り状態。
観客席の7割から8割以上の観客が視聴して埋まっていました。
お客さんの層もあらゆる世代がいたことに、改めてホラー映画ファンの『バイバイマン』への期待値の高さを感じました。
また、今作は『ソウ』や『死霊館』で知られるジェームス・ワン監督が、「近年、最も怖くて、面白いホラー映画!この監督に嫉妬する」とコメントを寄せたことで、ホラーファンの期待は大きかったのでしょう。
しかし、そのコメントにギャップを感じた観客が映画館に多かったような印象を覚えましたのは気のせいではないでしょう。
さらには、映画批評集積サイトの「Rotten Tomatoes」の評論家レビューには、「考えるな、言うな、見るな、バイバイ」と言った批評家の酷評もありました。
さて、では、『バイバイマン』は観なくても良い映画なのか?
それは、あえてNOと言いましょう。
答えは少し乱暴ですが、この作品はあくまで「序章」として制作された作品とホラー映画ファンなら温かく見守りましょう。
もしくは、間違ってはじめにスピンオフ作品を作ってしまったのだと、納得をするのも最良の手です。
『バイバイマン』は、ホラー映画から種々の要素を取り入れ、混ぜ合わせた作品ですが、すべて散らかしっぱなしのストーリー。
ステイシー・タイトル監督は『バイバイマン2』をお作りになって、“列車の意味”や“バイバイマンの狙い(恐怖)”、または、“バイバイマンの番犬のキャラ”など、謎を解き明かしてもらいたいものですね。
また、エリオットは「バイバイマン」をネット検索する際に、普通にGoogle検索しないことや、手軽なスマホ検索せずに優等生だからといって大学の図書館で調べるなど意味不明な展開も多かったのはステイシー監督の愛嬌なのかしら?
観客を満足させられるだけのホラー要素がありながら、散らかしっぱなしで一貫性が欠落しているということが、『バイバイマン』の1番の恐怖?なのかもしれません。
ここまで言っても観てくれるあなたは、真のホラー映画ファンと言えるでしょう。
久々にB級ホラー映画を観る楽しみが味わて、その後の呑み会が盛り上がること間違いなし!ぜひ、あなたもご覧ください。
バイバイマン観る理由を考えるな、そして、バイバイマンにツベコベ言うな、考えるな、言うな、考えるな、言うなと念じて観る作品ですよ。
まとめ
ステイシー・タイトル監督の『バイバイマン』。
もしも、万が一!『バイバイマン2』が制作されたら、きっと観なかったことを後悔するので、今のうちに劇場で『バイバイマン』を観ておきましょう。
7月8日より東京・ヒューマントラスト渋谷ほかで上映中の『バイバイマン』。お見逃しなく!