連載コラム「邦画特撮大全」第53章
2019年7月6日から放送開始されたウルトラマンシリーズの最新作『ウルトラマンタイガ』。
令和最初のウルトラマンであるウルトラマンタイガは、人気ヒーロー・ウルトラマンタロウの実の息子という設定です。
今回の邦画特撮大全は『ウルトラマンタイガ』を特集します。
『タイガ』だけでなく『ウルトラマンタロウ』(1973~1974)についても併せて紹介します。
CONTENTS
ドラマ『ウルトラマンタイガ』の作品情報
【放送】
2019年7月6日から放送開始
【シリーズ構成】
林壮太郎、中野貴雄
【監督】
市野龍一、神谷誠、田口清隆、武居正能、辻本貴則
【キャスト】
井上祐貴、新山千春、諒太郎、吉永アユリ、七瀬公、寺島拓篤、日野聡、葉山翔太、内田雄馬、小野大輔
ドラマ『ウルトラマンタイガ』の作品概要
ウルトラマンタロウの息子・タイガの活躍を描く新シリーズ『ウルトラマンタイガ』。
メイン監督は『ウルトラマンガイア』(1998~1999)『ウルトラマンコスモス』(2001~2002)、『ウルトラマンオーブ』(2016)や前作『ウルトラマンR/B』(2018)に参加していた市野龍一監督。
シリーズ構成はウルトラシリーズの他、ドラマ『エコエコアザラク』(1997)や『牙狼-GARO-』(2005~2006)を手掛けてきた林壮太郎。『ウルトラマンギンガ』(2013)と『ウルトラマンジード』(2017)の2作を除いた全てのニュージェネレーション作品でシリーズ構成を担当して来た中野貴雄が今回もシリーズ構成に参加します。
主人公・工藤ヒロユキ役は、第42回(2017年)ホリプロスカウトキャラバンで審査員特別賞を受賞し芸能界入りした井上祐貴。
また特撮ファンには『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001)の主演で有名な新山千春もレギュラー出演します。
シリーズを通しての敵役として劇場版『ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』(2019)に登場したウルトラマントレギアが登場します。
ドラマ『ウルトラマンタイガ』のあらすじ
ニュージェネレーションヒーローズとウルトラマントレギアの戦いの最中、ウルトラマンタロウの息子・ウルトラマンタイガはトレギアから攻撃を受けて光となって消えてしまいます。
それから12年が経ちました。
宇宙人が密かに地球へ移住してきていますが、そのことは一般には知られていませんでした。
民間の警備組織「E.G.I.S.(イージス)」で働く工藤ヒロユキは任務中に宇宙人が絡んだ事件に巻き込まれてしまいました。
しかし実はヒロユキの体の中にはウルトラマンタイガの光の粒子が眠っていたのです…。
多彩な声優が演じる3人のウルトラマン
『タイガ』の主人公・工藤ヒロユキの体にはウルトラマンタイガのほかにウルトラマンタイタス、ウルトラマンフーマの2人のウルトラマンも宿っています。
基本形態であるタイガはバランス型、タイタスはその姿からわかるようにパワー型、フーマはスピード型です。
タイガはタロウの息子なのでM78星雲の出身ですが、ウルトラマンタイタスはアニメ『ザ☆ウルトラマン』(1979~1980)に登場したウルトラマンジョーニアスと同じU40の出身です。
一方、ウルトラマンフーマは『ウルトラマンオーブ』(2016)と同じ惑星O‐50の出身という設定になっています。
ウルトラマンタイガを『創聖のアクエリオン』や『うたの☆プリンスさま』シリーズなどで知られる寺島拓篤。ウルトラマンタイタスを『NARUTO疾風伝』や『ハイキュー!』などで知られる日野聡。
ウルトラマンフーマをアニメ『美男高校地球防衛部HAPPY KISS!』に出演していた葉山翔太。
3人の人気声優たちがウルトラマンたちの声を担当します。
ちなみにテレビシリーズ『ウルトラマンタロウ』では、タロウの声を主演である篠田三郎が担当していますが、映画『ウルトラマン物語』(1984)ではウルトラマンタロウの声をジャッキー・チェンの吹替でお馴染みの石丸博也が担当していました。
以降タロウの声は石丸博也の専任となり、本作でも石丸が担当しています。
本作の第1話のタイトルは「バディゴー!」。『ウルトラマンX』(2015)同様に主人公とウルトラマンの絆を描くものと思われます。
また1人の主人公に対して3体のウルトラマンが宿っているという設定は、ウルトラシリーズではなく仮面ライダーシリーズの人気作『仮面ライダー電王』(2007~2008)を彷彿とさせます。
タイガの父親・『ウルトラマンタロウ』
ドラマ『ウルトラマンタロウ』の作品情報
【放送期間】
1973年4月6日~1974年4月5日(全53話)
【脚本】
田口成光、上原正三、石堂淑朗、大原清秀、阿井文瓶、佐々木守
【特撮技術】
佐川和夫、山本正孝、川北紘一、大平隆、小林正夫、高野宏一、東條昭平、大木淳、矢島信男
【監督】
山際永三、筧正典、吉野安雄、岡村精、深沢清澄、真船禎、前田勲
【キャスト】
篠田三郎、名古屋章、東野英心、三ツ木清隆、木村豊幸、津村隆志、西島明彦、朝加真由美、小野恵子、三谷昇、ペギー葉山、瑳川哲朗(ナレーション)
ドラマ『ウルトラマンタロウ』の作品解説
タイガの父であるタロウが活躍するのが本作『ウルトラマンタロウ』です。
本作の一番の特徴はウルトラシリーズの中でも抜きんでた明るい作風。主人公の東光太郎/ウルトラマンタロウは真直ぐな性格の青年です。
生身で怪獣に挑むといった大胆な行動に出るなど、まるで劇画から抜け出て来たような人物なのです。
本作のコンセプトは『アラビアン・ナイト』のような“現代のおとぎ話”で、そのため名前も昔話の桃太郎や金太郎から取られて“タロウ”なのです。
タロウの名前だけでなく、敵怪獣にも民話やおとぎ話をモチーフにしたものも登場します。
閻魔大王がモチーフのエンマーゴや名前のままのオニバンバ、臼に手足が生えたモチロンなどが登場します。
『タロウ』の第1話にはオイルドリンカー、アストロモンスの2体の怪獣が登場します。
『タイガ』も第1話から怪獣が3体と複数登場しますし、主人公ヒロユキの行動も光太郎を思わせるものになっています。
まとめ
父親である『ウルトラマンタロウ』と、『ウルトラマンギンガ』(2013)から『ウルトラマンR/B』(2018)までのニュージェネレーションシリーズ。
これらの過去作の魅力を上手く引き継いだ上で、『ウルトラマンタイガ』がどのように独自の魅力を引き出していくのか見守っていきましょう。
次回の邦画特撮大全は…
次回の邦画特撮大全は『連合艦隊』(1981)を特集します。お楽しみに。