2017年10月7日(土)よりテアトル新宿やテアトル梅田などで全国公開される、映画『月と雷』はの予告編が解禁となりました。
映画の原作は直木賞作家の角田光代の同名小説。キャストに初音映莉子、高良健吾、草刈民代など出演で映画化。
“普通”に人間関係を築けない大人たちが苦しみながらもその意味を探す物語とは?
1.映画『月と雷』の作品情報
【公開】
2017年(日本映画)
【監督】
安藤尋
【キャスト】
初音映莉子、高良健吾、藤井武美、黒田大輔、市川由衣/村上 淳、木場勝己、草刈民代
【作品概要】
直木賞作家の角田光代の同名小説を、映画『海を感じる時』で知られる安藤尋監督による映画化。
泰子役を初音映莉子、智役を高良健吾、智の母親で泰子の父親の愛人だった直子役を草刈民代たちが演じ、それぞれが今作では演技の新境地に挑んでいます。
2.『月と雷』原作者角田光代のプロフィール
スペイン語版、町の本屋さんにあった!(本当は棚差しされていたのを平積み風にしました、、そして小心だから写真を撮ったあと棚に戻しました、、) pic.twitter.com/muUVJI1hUe
— kakuta mitsuyo (@Kakutamitsuyo) 2016年10月30日
角田光代のちょっとお茶目なtwitterですね、、
さて、角田光代は1967年に神奈川県横浜市出身、早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。大学では学生劇団『てあとろ50’』に所属もしていました。
彼女は大学在学中の1988年に、彩河杏という名前で執筆した「お子様ランチ・ロックソース」で、上期コバルト・ノベル大賞受賞。
大学を卒業した1年後の1990年に『幸福な遊戯』で第9回海燕新人文学賞を受賞して、角田光代としてデビューします。
やがて、1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、2005年『対岸の彼女』で直木賞、2007年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、2011年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞、2012年には『かなたの子』で泉鏡花文学賞及び『紙の月』で柴田錬三郎賞を、2014年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞を受賞など、
数多くの文学賞を受賞し、また多くの文学ファンから人気のある作家です。
四日間の出張に出ていたわたしをねこが許した瞬間 pic.twitter.com/8vTGHOSQNc
— kakuta mitsuyo (@Kakutamitsuyo) 2017年5月27日
ちなみに、角田光代の愛猫の名前はトトといい、2010年1月6日に漫画家の西原理恵子さんの自宅で生まれたそうです。
トトの好物はササミ。角田光代の好きな食べ物は豚肉。彼女はとてもトトを可愛がっているようですよ。
3.映画『月と雷』のあらすじ
子どもの頃に母が家出をしてしまったことで、“普通”の家庭を知らぬまま育ち大人になった泰子。
彼女はスーパーマーケットのレジ打ちの仕事に勤務しながら、毎日、自宅と職場を往復する日々を過ごしていました。
泰子は婚約者もでき、亡き父親が残してくれた持ち家で暮らすという、特に大きな喜びは無いものの、“幸せ”で穏やかな生活でした。
しかし、泰子は幼い頃に半年だけ家で一緒に暮らしていた見知らぬ母子を忘れてはいませんでした。
泰子にとって真っ当とは言い難い女性と息子とのあの日々…。
やがて、泰子の静かで“幸せ”な日々は、過去の父親との愛人と息子が再び現れて、大きく揺らいでしまう…。
4.原作『月と雷』を読んだ読者の感想は?
文庫本『月と雷』表紙
角田光代の原作『月と雷』を読んだ一般読者の感想を調べてみました。
amazonのカスタマーレビューで星5つ満点のうち、単行本の平均評価星4つ、文庫本の平均評価4.2と概ね好評のようですね。
次に読者感想をいくつかまとめてみましたので、ご紹介していきましょう。
普通じゃない人達(智、泰子、直子)、厭世的な内容で共感できる
人減はいないけれどなぜか印象に残る一冊である、それぞれの
生き方、それぞれの心の動きが巧みに描写されており一気に読める
作品である。
団塊のシニア amazonトップカスタマーレビュー
主人公は、放蕩癖のある母親とその息子、その母親と過去に一緒に住んだ男の娘。
父親に逃げられ一家団欒など、一般的な幸せな家族の風景とは無縁の家族の姿はインパクトがあり、序盤から惹き込まれた。
世間からみれば超下流な親子ながら、悲惨さがない不思議さがあり、作品終盤のアルコールにより半ば呆けた母親の言葉に実に多くの事を考えさせられるなど、不思議な感動があった。
この著者の作品はそれほど読んだ記憶はないが、他の作品もぜひ読んでみたくなった。
たか amazonトップカスタマーレビュー
単行本『月と雷』表紙
最近お気に入りの作家、角田光代さんの新刊です。
この小説にはいわゆる世間一般の「ふつう」とはかけ離れた登場人物が3人登場します。母・直子、その息子の智、そして幼い頃、智と一緒に住んでいて後に智の妻となる泰子
自分の身近にもいませんし、ここまで気ままな人々もそういないと思います。
現実離れした生活を送る人達、読んでいて決して心地よい気持ちにはなれませんが
何故か先が気になって読み続けてしまう魅力があります。それぞれの登場人物の設定がしっかりしていてその心理描写も巧みで脳内映像で絶えず動いていました。
感動出来る類の小説ではないけれど人間模様の面白さを感じました。
four-leaf clover amazonトップカスタマーレビュー
あまり共感出来る内容ではないけれども、縁や出会いによる変化は大なり小なりあるだろう。
固定化された「普通」からはみ出してしまう、その感情の流れの描き方は巧いなぁと思ってしまう。
それが強さなのか弱さなのか、不幸なのか幸福なのかは、本人にもわからないかもしれない。
しかし“女”の持つの本能的な強さを感じた。
それが歪んでいたとしても。
一般的な、献身的な母性や男女の愛とは違うが、読後、それを否定する気にはなれなくなっていた。
すがやん amazonトップカスタマーレビュー
あまり厚みのある本ではないけれど、濃い内容で読ませました。
落ち着くところに落ち着きそうになると自分からそこを逃げ出してしまう、ここまで極端な生い立ちでないにしても、ちょっと気持ちがわかる人は案外多いのではないだろうか・・・。
いい加減だが、人をだますことは出来ない智、だらしない母親・直子の戦後混乱期の恵まれない幼少期の風景をのぞかせたり、
著者の、社会的に「弱き者」を視る冷静な視点と、応援する愛情を感じて、そこが好きです。
はじまったらあとはどんなふうにしてもそこを切り抜けらなきゃなんないってこと、そしてね、あんた、どんなふうにしたって切り抜けられるもんなんだよ、なんとでもなるもんなんだよ。
だらしない直子が一度だけ、しゃっきりと泰子に言った言葉。
シングルの母親から子ども、男から連れ子への虐待場面がないのはほっとした。
タイトルを現す場面が、少しだけ出てきますが、秀逸だとおもいました。
ふわりん amazonトップカスタマーレビュー
多くの読者が“普通”ではない、ある種の特殊な登場人物に違和感を感じながらも惹かれていく感想を持たれていますね。
その読者を魅了する共感とは何か。ぜひ、あなたも本を手にして、ご一読してみるのはいかがでしょうか。
5.まとめ
直木賞作家の角田光代原作の映画化『月と雷』は、2017年10月7日(土)より、テアトル新宿やテアトル梅田などで全国公開されます。
角田文学をどのように、初音映莉子、高良健吾、草刈民代など演じたのか、ぜひ見たいところです。
また、角田光代は映画化にあたり、次のように述べています。
映画では、登場する人物のひとりひとりが、みんな、断然、小説よりもすてきな人だ。
それは生身の人が演じているからかもしれない。俳優さんと女優さんが、登場人物たちの不器用な時間を、ていねいに真摯に生ききってくれているからかもしれない。
書いていて大嫌いだった泰子も智も直子も、映画で見たらみんな好きだ。みんないとしい。
『月と雷』のHPから
“普通”に人間関係を築けない大人たち、まずは小説から読むか?映画を見てから読むか?
どちらにしても、角田光代が執筆した活字で堪能してみるのはいかがでしょうか。