映画『僕たちのラストステージ』は、2019年4月19日(金)新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー。
『僕たちのラストステージ』は、1930年代に人気を博した実在のコメディアン・デュオ「ローレル&ハーディ」を描いた伝記映画です。
1953年にイギリス各地とアイルランドへ巡業に訪れた2人に寄り添い物語は進みます。
スタン・ローレルを『あなたを抱きしめる日まで』のスティーヴ・クーガン、オリヴァー・ハーディを『シカゴ』のジョン・C・ライリーが演じ、2人の秘話が明かされる感動のコメディ作品です。
映画『僕たちのラストステージ』の作品情報
【公開】
2018年12月28日(イギリス・カナダ・アメリカ合作映画)
2019年4月19日 *日本公開
【原題】
Stan & Ollie
【監督】
ジョン・S・ベアード
【キャスト】
ジョン・C・ライリー、スティーヴ・クーガン、ニーナ・アリアンダ、シャーリー・ヘンダーソン、ダニー・ヒューストン、ルーファス・ジョーンズ
【作品概要】
幼少の時からローレル&ハーディのファンだった『フィルス』のジョン・S・ベアードは、脚本を読み監督業を即決。脚本を執筆したジェフ・ポープと話し合い、一番の適役としてスティーヴ・クーガンとジョン・C・ライリーをキャスト。
オリヴァー・ハーディを演じたライリーは、2019年度ゴールデン・グローブ賞主演男優賞にノミネートされています。
映画『僕たちのラストステージ』のあらすじとネタバレ
-スタン・ローレルとオリヴァー・ハーディは1937年に全盛期を迎え、コンビの映画は様々な言語に吹き替えられ何百万の人が観賞-
カリフォルニア州カルヴァーシティ。スタンとオリヴァーは、コメディ映画『ウェイ・アウト・ウェスト』の撮影でハル・ローチスタジオを訪れます。
昇給を望んでいたスタンは、オリヴァーが時期尚早と考えていたものの、ハルに給料を上げて欲しいと切り出します。
高圧的な態度を取るハル対し、昇給が無ければコンビは独立するとスタンも憤慨。口論になった所で監督が割って入り、映画の撮影開始。
1937年に公開された『ウェイ・アウト・ウェスト』は大ヒットし、特に2人のダンスは見所の1つとなりました。
1957年、イギリス、ニューキャッスル。巡業で訪れたスタンとオリヴァーは、マネージャーのデルフォントが予約した安宿にチャックイン。スーツケースをたくさん抱えたスタンはドタバタしながら受付カウンターへ。
部屋で1人になったスタンは、16年前ハルのスタジオからFoxへ移籍しようとした時の記憶が蘇ります。
オリヴァーが後から来ると思っていたスタンですが、オリヴァーはハルが選んだ別の相方と映画撮影をしていました。
イギリスのツアーは、新作映画の宣伝を兼ねているため、2人はスタンが考案したロビン・フッドのパロディのネタ合わせを開始します。
空席の目立つ客席を前に舞台を終え、次の舞台が行われるスコットランドへ移動。
スタンは、映画プロデューサーのミフィンに連絡を入れますが、毎回会議で繋がりません。
その晩舞台に立ちますが、またしても空席だらけ。デルフォントに客入りの悪さを伝えると、宣伝が必要だと言われます。
ギャラは無いと聞いた2人ですが仕方なく承諾。その後、デルフォントの精力的な宣伝が功を奏し、舞台のチケットは完売が続出するようになります。
スタンとオリヴァーは、移動の際も映画について話し合い、ネタに磨きをかけて行きます。
舞台は好評でツアーの日程が延長されロンドンへ到着したある日、業を煮やしたスタンがミフィンの事務所を訪問。ミフィンの側近は、マーケットのニーズに合わないため映画製作が見送りになったと告げます。
ショックを受けたスタンが事務所を出た時、売出し中の若いコンビのポスターが目に留まりました。オリヴァーをがっかりさせたくないスタンは、このことを言い出せません。
そんな時、2人の妻、ルシルとイーダがアメリカから到着。チケットの売れ行きが良いため、滞在先は高級ホテルのサヴォイです。
4人はホテルのレストランで夕食を取ることに。膝を痛めたオリヴァーを妻のルシルが心配すると、スタンの妻・イーダが過去に自分がダンサーだった時の話を始めます。
呆れ顔のルシルを気にも留めないイーダは、自分が膝を痛めた時は、敢えて高くジャンプし早くステップを踏んだと捲し立て、痛みは頭で管理するものとオリヴァーに忠告。ルシルが間髪入れず、痛いのは頭じゃなくて膝だと切り返します。
名門ライシーアム劇場のオープニングを終えたスタンとオリー。舞台は大盛況でパーティーが開かれます。しかし、ルシルとイーダの口論から発展し、スタンとオリヴァーは16年前のことで大喧嘩。
自分以外の相手と映画撮影したオリヴァーを責めたスタンに対し、オリヴァーは契約に縛られお金も必要だったと声を荒げます。スタンは友情を裏切られたと怒り心頭。
オリヴァーは、スタンが愛していたのはコンビ関係であり、長年組んだのは観客に求められたからだと言い返します。スタンは、売れたのは自分のお蔭だと厳しい口調。すると、コントだと勘違いしたパーティーの参加客から拍手が沸き起こります。
映画『僕たちのラストステージ』の感想と評価
ローレル&ハーディを知らない人でも2人がどれだけ愛されたコメディアンだったか良く分かる作品です。
ショービジネスの世界は成功すること自体が難しく、頂点を極めてもいつかは終わりを迎えます。
多くの観客の心を掴んだローレル&ハーディもその例外では無く、映画を作る夢は断たれます。
しかし、その現実を受け止め立ったラストステージで、長い間楽しかったと笑顔で相方に感謝できる人生は、誰もが経験できることではありません。
英国映画協会が本作のプレミアをロンドンで開催した日、スタン・ローレルのひ孫・キャシディ・クックさんが訪れました。
2人の「ラブストーリー」や「親交」がそのまま描かれていると嬉しそうにコメントしています。
圧巻の演技を見せるスタン・ローレル役のスティーヴ・クーガンとオリヴァー・ハーディ役のジョン・C・ライリー。監督のジョン・S・ベアードは敢えて撮影期間を削って3週間のリハーサル時間を設けました。
この間にステップやコントを徹底的に磨いた2人は、ローレル&ハーディが実際に本番でミスした細かな振り付けまで劇中で真似ています。
また、クーガンとライリーに加え、ベアードはコメディの要素に妻のルシルとイーダをもう1組のお笑いコンビとして描写しています。
ルシルに扮した『ハリー・ポッター』のシャーリー・ヘンダーソンとイーダを演じた『マダム・ローレンス!夢見る二人』のニーナ・アリアンダは、部屋を借りて一緒に生活を送って交流を深め、その結果見事な掛け合いを劇中見せています。
特に、イーダの歯に衣を着せぬ物言いは、アリアンダのタイミングやテンポが絶妙。トニー賞主演女優賞を獲得した舞台俳優の技に感服です。
まとめ
表とは異なり裏では仲が悪いコンビの話は残念ながらよく耳にします。
しかし、ローレル&ハーディは友情を築きました。大好きという感情は、観ている人に伝わるもの。
その愛情をお笑いの中で感じ取ったベアードやポープ、そしてクーガンとライリーが現代に名コンビの伝説を蘇らせます。
コメディに全てを懸けて一緒に年を重ね、お互いが一番だと認め合いながら舞台を降りた2人の男性を物語る『僕たちのラストステージ』。
実力派俳優陣の演技力を堪能できる良作です。
映画『僕たちのラストステージ』は、2019年4月19日(金)新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー。