トランスフォーマーシリーズ始まりの物語!
映画『バンブルビー』は、「トランスフォーマー」シリーズの人気キャラ・バンブルビーが、最初に地球に来た時の冒険譚。
シリーズ最高傑作との呼び声も高い注目作です。
今回は『バンブルビー』のあらすじと感想と、4DX鑑賞で体感したリポートを共に紹介します。
映画『バンブルビー』の作品情報
【日本公開】
2019年(アメリカ映画)
【原題】
Bumblebee
【監督】
トラヴィス・ナイト
【キャスト】
ヘイリー・スタインフェルド、ジョン・シナ、ジョージ・レンディボーグ・Jr、ジョン・オーティス、ジェイソン・ドラッカー、パメラ・アドロン、ステファン・シュナイダー、ケネス・チョイ、グレイシー・ドジーニー
【作品概要】
2007年から続いてきた映画版「トランスフォーマー」シリーズの最新作にして初のスピンオフ作品。
ずっと監督を務めてきたマイケル・ベイは製作に回り、ストップモーションアニメ映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(2016)で高い評価を受けたトラヴィス・ナイトが監督。
主演は『トゥルー・グリット』(2010)『スウィート17モンスター』(2016)や現在公開中の『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)のヒロインの声でもその演技力を絶賛された若手女優ヘイリー・スタインフェルド。
主人公たちを追う軍人バーンズ役にWWEのスーパースターで俳優としても活躍しているジョン・シナ。
日本語吹替版のキャストは土屋太鳳、志尊淳、玄田哲章など。
映画『バンブルビー』のあらすじとネタバレ
機械生命体の暮らす星サイバトロンでは大規模な戦争が起こっていました。
サイバトロンを支配しようとしている反乱軍ディセプティコンと、彼らに追い詰められたオートボットのリーダー、オプティマス・プライムは部下たちに地球という星に向けて脱出するように指示。
オプティマスの右腕だったB-127は脱出ポッドで地球へ飛び立ちます。
1987年の地球では、アメリカで軍事訓練をしていたバーンズ大尉が墜落してきたB-127を発見し、隊を率いてB-127を追いかけます。
そこにディセプティコンの追手も現れ、米兵ごと攻撃してきました。
B-127は追手と戦いを繰り広げた結果、発声機能と記憶データを失ってしまいます。
ぼろぼろになった彼は倒れこむ寸前に、近くにあったフォルクスワーゲン社の黄色いビートルに擬態しました。
墜落地の近くのサンフランシスコに住む高校生の少女チャーリー・ワトソンは数年前に父を失い、打ち込んでいた飛び込み競技も辞めてしまっていました。
母はロンという男性と再婚。小学生の弟のオーティスは彼に懐いていましたが、チャーリーはどうしても馴染めません。
彼女は翌日に誕生日を控えており、母に車が欲しいとねだっていましたが、断られてしまいました。
かつて父とよく車イジリをしていたチャーリーは父の形見の車を修理しようとしますが、歯が立ちません。
彼女は近所の遊園地の売店でアルバイトをしており、隣の売店の高校生のメモという青年に行為を寄せられていました。
アルバイト先で高校のイケてる同級生の車を見たチャーリーは諦められず、町の修理工場に材料を買いに行きます。
彼女はそこでB-127が擬態した古びたビートルを発見し、エンジンをかけてみますが起動せず代わりにカーラジオがつきました。
その時、オプティマスの行方を追っていたディセプティコンの戦士シャッターとドロップキックは、B-217が発信したラジオの電波を傍受し、地球に向かって飛んでいきます。
翌日18歳の誕生日を迎えたチャーリーは修理工場の店主と交渉し、ビートルを譲ってもらいました。
修理も成功し意気揚々と家のガレージに戻ってきましたが、その夜にB-217が目を覚まし、彼女の目の前で機械生命体の姿に戻ってしまいます。
巨大ロボットの姿になった愛車を見てチャーリーは驚きますが、記憶のないB-127は彼女とすぐ仲良くなります。
発声システムの故障した音と黄色いボディがマルハナバチに似ているということで、チャーリーはB-127を「バンブルビー」と呼ぶようになりました。
同じ夜、シャッターとドロップキックはアメリカに飛来し、信号があった西海岸に向かって走り出します。
翌日、彼女はバンブルビーに自分以外の人の前では絶対に本来の姿を見せないようにと訓練します。
バンブルビーがあちこちに傷があるのに気づいたチャーリーは修理をしてあげようとしますが、胸の部分を押した瞬間、ホログラムで現れたオプティマスが、自分が来るまで地球を守れと指示しました。
バンブルビーは記憶を一部取り戻します。
その頃、飛来した生物を探知していたバーンズら米軍は移動中のシャッターたちと接触。
シャッターはこの星に自分達の母星の犯罪者がいると言って、発見のために地球の衛星を使わせて欲しいと要求してきます。
バーンズは反対しますが、軍の研究者パウエルはこの異星人たちを利用すべきだと主張し、米軍の閣議決定でシャッターたちに衛星をはじめとする通信システムを使用させることになってしまいます。
その夜、チャーリーがバンブルビーのカーラジオを直してあげました。
彼女はラジオに入れるカセットテープを探すうちに父親が好きだったレコードを発見。
その曲をかけながら、自分の高飛び込みの試合後に父が心臓発作で亡くなってしまったことを打ち明けるチャーリーを、バンブルビーは優しく抱きしめます。
と、そこにメモがチャーリーにデートを申し込もうとやってきて、バンブルビーを目撃してしまいます。
彼は絶対に公言しないと約束し、翌日2人はバンブルビーに乗ってドライブに出かけました。
バンブルビーはラジオで流れている放送や曲の歌詞を使って自分の意思をつたえてくるようになります。
途中で同級生たちに馬鹿にされたチャーリーたちは、同級生の家の車にいたずらをしに行きますが、バンブルビーがはしゃぎ過ぎたためパトカーに追われてしまいます。
バンブルビーの変身能力を使って逃げ切ったものの、翌日チャーリーはバンブルビーに隠れてじっとしているよう言いつけ、アルバイトに行ってしまいました。
しかしバンブルビーはガレージから家に入り、室内を滅茶苦茶にしてしまいます。
そしてコンセントに興味本位で指を突っ込んだ結果、電気の通信網によってシャッターたちに彼がサンフランシスコにいることがバレてしまいました。
帰ってきたチャーリーは家の大惨事に怒る母親と口論になり、メモと一緒にバンブルビーに乗って出て行ってしまいます。
しかしそこにバーンズの隊とシャッターたちが現れ、バンブルビーは捕獲されてしまいました。
『バンブルビー』の感想と評価
マイケル・ベイ以外の監督初のトランフォーマシリーズ作品。
シリーズの人気キャラ・バンブルビーが初めて地球に来た時の物語です。
トランスフォーマーはもともと80年代に作られた子ども向けのおもちゃで、シンプルに「車がロボットに変身してくれた!」という夢が詰まっていたことが人気の根本にありました。
マイケル・ベイ版では彼の異常な作り込みとカットの速さのおかげで、変身シーンがガチャガチャと見づらく、どの部分のパーツが変形してロボットになっているのかはっきりしないのが難点でした。
一方、本作『バンブルビー』はデザインがシンプルになり、ゆっくり丁寧にビートルがバンブルビーに変身し、スポーツカーが戦闘ロボになってそこから戦闘機になる描写を見せてくれるので、トランスフォーマーの最も肝心な部分がしっかりと伝わってきます。
監督は『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』が高い評価を受けた、ストップモーションアニメの第一人者トラヴィス・ナイト。
ストップモーションアニメは一コマ一コマ緻密に画面を作り動作を明確にして行くことで、一連の映像になったときの躍動感をもたらします。
そのジャンルを作ってきた丁寧さがトランフォーマーという作品にがっちりハマりました。
戦闘シーンでもド派手にすることだけを重視せず、見やすさを意識してくれています。
確かに動きは速いのですが、敵は2体ですし、戦う舞台も山や港近くの広場とシンプルになっているので、マイケル・ベイ版にあった「何が起きているか分かり辛いな」という感覚になることはありません。
4DXとの相性抜群!
さっそく、4DXで本作を鑑賞しました。
『バンブルビー』の4DXは4DXエクストリームというモーションチェアの動きの1~9の強度の段階がMAXの9まで上げられた、最もライディングアクションに適しているシステムが導入されています。
このシステムが適応されるのは選りすぐりの作品のみなので、本作にこのシステムが導入されているというだけでも、娯楽映画としてとても優れている証拠になりますね。
戦闘描写は場面としても、序盤のサイバトロンでの戦いから地球で追手とバンブルビーが戦う部分と、終盤のバーンズの部隊やディセプティコンと戦う場面に集約されて絞られているので、ずっと戦いっぱなしで疲れることもなく、ほど良いバランスで楽しめます。
単に動きに合わせて座席が揺れるだけでなく、シーンに合わせて水が噴き出したり、森が出てきたら土の匂いがしたり、爆発が起きたら座席が少し暖かくなったりと映画の中で再現してくれるのでものすごい臨場感です。
4DXで座席がグワングワン揺れて字幕が読めないため吹き替え版しかありませんが、チャーリー役の土屋太鳳や、メモ役の志尊淳の吹き替えも非常にクオリティが高く違和感なく楽しめました。
バンブルビーと孤独な少女の友情
戦闘シーンも素晴らしいですが、本作の一番の見所は孤独な少女と記憶を失ったバンブルビーの友情物語と成長です。
地球外生命体やロボットとの交流といえば『E.T.』(1982)や『アイアン・ジャイアント』(1999)などの名作も多い映画の王道ジャンルです。
腕のある監督の演出と、主演のヘイリー・スタインフェルドの高い演技力が合わさり、王道だからこそ胸を打ちます。
ヘイリー・スタインフェルドは実際の撮影では棒にテニスボールが刺さっただけの物相手にやり取りしていたと言いますが、とてもそうは見えない繊細な演技です。
特殊効果技術だけでなく、彼女の演技がバンブルビーの実在感に寄与していると言えるでしょう。
『E.T.』、『アイアン・ジャイアント』との共通点で言えば、チャーリーが父親を亡くしているという点が重要なポイントです。
いずれの作品も父親がいない家庭の子供のところに、まるでその代わりのように異星人がやってきます。
そして彼らとの交流を通して子供たちは成長し、彼らとの別れを通して父的存在からの自立を経験し、子供時代にも別れを告げます。
バンブルビーとの冒険を通してチャーリーは父の死を受け入れ、トラウマを克服し、家族とも和解します。
映画ラストで、ずっと直せなかった父の車を修理し自分の物にするのも、彼女が大人になった証でしょう。
まとめ
トランスフォーマーファンにはたまらない熱い変形バトルに、泣ける人間ドラマが詰まった一級の娯楽作品です。
4DXで臨場感タップリに楽しむことをオススメします。
またバンブルビーのカーラジオから80’sを彩った名曲の数々が流れるので音楽好きや懐かしい気分に浸りたい人にも是非見ていただきたいです。