Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

SF映画

劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル|ネタバレ感想レビュー。湊兄弟の最後の戦いとトレギアの目的とは

  • Writer :
  • 薬師寺源次郎

映画『劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』

ルーゴサイトとの決戦から1年…。

綾香市に訪れるあらたな危機にウルトラマンロッソ、ブルにウルトラマンジードを加え立ち向かいます。

兄弟がウルトラマンに変身するという「ウルトラマン」シリーズと初の設定を試みた本作。

特撮テレビドラマとして、2018年7月から放送開始した『ウルトラマンR/B(ルーブ)』の劇場公開版である『劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』をご紹介いたします。

映画『劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』作品情報


(C)劇場版ウルトラマンR/B製作委員会

【公開】
2019年

【監督】
武居正能

【キャスト】
平田雄也、小池亮介、其原有沙、眞鍋かをり、山崎銀之丞、濱田龍臣
声の出演 内田雄馬、湯銭かえで、潘めぐみ

【作品概要】

2018年に放送されたテレビシリーズの劇場版。
監督にテレビシリーズのメイン監督も努めた武居正能が担当、脚本をこれまで多くのウルトラシリーズを担当した中野貴雄が務めます。

時空を操る謎のウルトラマン、トレギアにより綾香市を襲う新たな危難に湊一家と時空を越えてやってきた朝倉リクが立ち向かいます。

映画『劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』のあらすじ


(C)劇場版ウルトラマンR/B製作委員会

綾香市に怪獣が現れなくなって一年が過ぎ、湊家の人々はそれぞれの道を歩んでいました。

父ウシオはこれまで以上に自身の店、「クワトロM」の経営に精を出し、母ミオはアイゼンテック社の暫定的な社長となり、綾香市の復興に取り組み、長女あさひは看護師になるため進学を決意、次男イサミも大学での研究に励んでいました。

そんな中、長男カツミは自分が進むべき道が無いことに戸惑っていました。

そんな時、イサミにアメリカの大学から留学の誘いが来ていることを知ったカツミはイサミに誘いを受けるように促します。

イサミはウルトラマンである自分が綾香市を離れ、再び怪獣が現れたときのことを考え、返事をためらっていましたが、カツミは自分が何とかすると説得します。

夢に向かって歩む決意をしたイサミはカツミにも自分の夢を歩むようにいいます。

自分の夢とはなにか自問自答するカツミは「夢」と書かれた野球ボールを見つけます。それは高校卒業のときに友人の戸井から渡されたものでした。

ゲームクリエーターを目指していた戸井が夢を叶えたのか気になったカツミは戸井の家を訪ねます。

そこで目にしたのは、夢を諦め、自堕落な生活を送る戸井の姿でした。

もう一度、夢に向かって進むように励ますカツミですが、戸井はカツミ自身、大学に進学し、野球を続ける夢から逃げたと反論、カツミは何も言えず、戸井の元を後にします。

戸井の家を出た後、ウシオに呼び出されたカツミはイサミと共にあさひの後を追います。

あさひが見慣れない男と会っている姿を目撃した三人はその男があさひの恋人と勘違い、飛び出しますが、あさひは男とはさっき知り合ったばかりと説明、男は朝倉リクと名乗ります。

その時、突如、上空に黒い影が現れ、そこから二体の怪獣「宇宙怪獣べムスター」と「奇獣ガンQ」が現れます。

カツミはウルトラマンロッソ、イサミはウルトラマンブルにそれぞれ変身、怪獣に立ち向かおうとしますがとなりにもう一人のウルトラマン、リクが変身したウルトラマンジードの姿がありました。

お互い、予期せぬウルトラマンの出現に戸惑いながらも、協力してべムスターとガンQに挑みます。

その最中、リクはガンQの中に友人でペガッサ星人のぺガの姿を見つます。

カツミ、イサミと協力し、ぺガを救出しべムスター、ガンQを見事、撃退した三人は変身を解くと互いにウルトラマンであることを明かし、リクは空に現れた黒い影から伸びる手につかまれ、ぺガと共に、別世界の地球から連れてこられたことを説明します。

その頃、戸井はパソコンに向かい、怪獣のデザインをしていました。

すると、パソコンが突如フリーズし画面の中に「トレギア」と名乗る黒い影が現れ、戸井に「夢」を叶える力を与えると語りかけます。

その夜、リクとぺガは湊家に招かれます。

湊家で家族の団欒に触れ、「家族」を羨むリクにあさひは自身が湊家の本当の家族ではないことを明かし、血のつながりではなく、お互いを大切に思える「家族の絆」こそが大事であり、本当に強いと口にします。

そんな家族に守られ、救われたからこそ誰かを救いたいと思い、看護師を目指すことにしたと続けるあさひをカツミは見ていました。

翌日、改めて戸井の家を訪ねたカツミはもう一度、説得を試みますが自分自身、夢を諦めた経緯から戸井の気持ちを変えることが出来ません。

カツミは「夢」と書かれたボールを置き、戸井の家を後にします。

失意のカツミの前にトレギアが現れます。

トレギアはウルトラマンロッソの正体がカツミであると知っており、遠く離れた星の様子を見せます。

その星ではロボット怪獣「メカゴモラ」が暴れており、唯一の生命体である友好珍獣 ピグモンたちが危機に瀕していました。

「ウルトラマンなら見過ごせないだろう? 私ならこの星に君を送ることが出来る」、そう語るトレギアの手をカツミは取ります。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』ネタバレ・結末の記載がございます。『劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)劇場版ウルトラマンR/B製作委員会

その頃、湊家では姿の見えない勝美を心配し、湊家とリクの五人はカツミを探し始めます。

トレギアに転送されたカツミはウルトラマンロッソに変身、見事メカゴモラを撃破し、元の姿に戻ります。

不意に投げかけられたボールを掴むカツミ、そのボールは戸井に渡したはずのサインボールでした。

「お前がウルトラマンだったんだな」そういって姿を見せた戸井は、怪獣スネークダークネスに変貌、戸惑いながらもカツミは再びロッソに変身、対峙しますが、圧倒的な強さのスネークダークネスに敗北します。

変身が解けたカツミの前に姿を見せたトレギアは、すべてカツミを地球から引き離す策略だったと明かし、スネークダークネスと共に地球に向かいます。

突如現れたスネークダークネスに混乱する綾香市の人々、そこにイサミとリクが駆けつけ、ウルトラマンブル、ウルトラマンジードに変身しスネークダークネスに立ち向かいますが劣勢を強いられます。

後から駆けつけたあさひもグルジオレギーナに変身、加勢しますが三人は敗れてしまいます。

その後も暴れ続けるスネークダークネスを倒すため、カツミの力が必要と考えた一同はカツミの捜索を続けますが見つかりません。

ミオはカツミが地球以外の星にいる可能性を考え、ぺガが出入りする亜空間と量子ハドロン加速器を用い、全宇宙に通信を試み、カツミと通信がつながります。

その後、ミオはカツミの位置を特定、地球に転送することに成功します。

カツミ、イサミ、リク、あさひは再びスネークダークネスに挑みます。

カツミとイサミは共に変身するウルトラマンルーブへ、リクはウルトラマンたちの王、ウルトラマンキングの力を纏った姿、ウルトラマンジード ロイヤルメガマスターに変身、グルジオレギーナを加えた三人で立ち向かいます。

しかし、トレギアの出現により形勢が悪化、ルーブはロッソとブルに分離、ジードもロイヤルメガマスターの変身が解けてしまいます。

カツミとイサミはせめて女の子であるあさひだけでも逃げるように言いますがあさひは拒否、「大切な人を守りたい気持ちに性別は関係ありません!」そう叫ぶとグルジオレギーナの中からウルトラウーマングリージョが現れます。

グリージョによってパワーを取り戻したロッソ、ブル、ジードは再び立ち上がり、戦闘を再開しますが、そこに一人の女性が紛れ込みます。

その女性は戸井の母親であり、行方不明になった戸井を探し続けていました。

スネークダークネスの中で母親の声を聞いた戸井は戦意を無くしますが、トレギアに操られ、母親に向かい熱線を吐いてしまいます。

そこにジードが割って入り、何とか母親を助けますがジードは変身が解けてしまいます。

その間にロッソ、ブル、グリージョはたちまち追い詰められ、あさひは「もう駄目かも」と諦めかけます。

「家族の絆は何よりも強いんだろ!?」そう叫び再び立ち上がろうとするリクに反応するように、ロッソ、ブル、グリージョは融合し、ウルトラマングルーブへと変身、リクもウルトラマンジード ウルティメイトファイナルへと変身します。

グルーブとジードは圧倒的強さを見せ、トレギアとスネークダークネスを翻弄、撃破します。

スネークダークネスの爆発の中から、助け出された戸井の元にカツミが駆け寄ります。

「これはお前がもっていろ」、そう言いボールを渡します。その後、リクとぺガはミオの手により、元の世界に戻っていきます。

カツミはデザイナーになることを決意、ウシオにデザインの勉強がしたいと明かします。

ウシオはミラノにいる知人の下で修行出来るよう計らうのでした。そしてカツミは、ミラノへデザインの修行、イサミはアメリカへ留学、それぞれ新たな道を歩き始めます。

宇宙では倒されたはずのトレギアが地球を見下ろしています。

「またいつか来ることになる…」そういい残すと、トレギアは宇宙の彼方に飛び立っていくのでした。

映画『劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』感想と評価


(C)劇場版ウルトラマンR/B製作委員会

本作はテレビシリーズ『ウルトラマンR/B』のの続編であり、完結編となりました。

近年の特撮作品は。VFXなどの視覚効果が発展したことにより、迫力のある映像が表現されています。

この作品も従来の特撮技術と掛け合わせることで、より迫力のある映像が表現されていました。

とくにウルトラマングルーブとトレギアの街を駆け、空に飛び立ち戦う場面では、グルーブたちと追走するような視点で描かれ、これまでのウルトラシリーズとは一線を画する迫力のあるシーンとなっており、シリーズの進化が感じられました

また、この作品では「夢」が大きなテーマとして描かれており、主人公カツミが夢を見つけられずとも兄弟の、友人の夢を応援しようとしながらも自身の夢や将来に思い悩む姿は「ウルトラマン」としてではなく、一人の人物「湊カツミ」としての葛藤、生き様が表現されていました。

それだけに、皆で支えあう湊家の「絆」が強く感じられ、どんな困難にも支えてくれる人たちと乗り越えられるというメッセージが強く感じられました。

まとめ


(C)劇場版ウルトラマンR/B製作委員会

本劇場版を含めた『ウルトラマンR/B』は、ウルトラシリーズにおいて「平成」と言う時代の終わりに一つの区切りとなる作品になりました

「ウルトラマン」は昭和、平成と数多くの強敵、困難に立ち向かい、その戦いは多くの少年達に夢と希望を与え続けてきました

本作のラストでトレギアは宇宙の彼方に飛び去り、いずれ再び地球に現れる事になるでしょう。

その時、新しい時代の新たな光の巨人が私達の前に姿を見せ、トレギアの前に立ちはだかり、夢と希望を与えてくれるはずです

関連記事

SF映画

映画『スパイダーマンホームカミング』動画無料視聴方法【U-NEXT】

3度目の映画化となる新たな『スパイダーマン ホームカミング』は、主人公スパイダーマン(ピーター・パーカー役)に、「インポッシブル」のトム・ホランドを抜てき! マーベルコミック原作の作品同士で世界観を共 …

SF映画

映画『亜人』綾野剛(佐藤役)の演技評価 とキャスト感想!

桜井画門の大ヒットコミック『亜人』を映画『新宿スワン』シリーズや『そこのみにて光輝く』の綾野剛が好敵手である“亜人の佐藤”を演じています。 演出は『踊る大捜査線』シリーズの本広克行監督が務めた実写映画 …

SF映画

映画『メッセージ』あらすじネタバレと感想!ラスト結末【考察はヘプタポッド文字の考察と宇宙人の名付けについて】

突如出現した未知なる飛行体―。“彼ら”は人類に〈何〉を伝えようとしているのか? ドゥニ・ヴィルヌーヴが贈るすべての人の胸を打つ感動のSFドラマ『メッセージ』をご紹介します。 CONTENTS1.映画『 …

SF映画

ジュラシックワールド 炎の王国|ネタバレあらすじ感想とラスト結末の解説。大胆な最後を続編でいかするのか⁈

恐竜映画の金字塔!メガヒットシリーズ『ジュラシックワールド 炎の王国』。 2018年の夏必見の映画は、「ジュラシック」シリーズ14年ぶりの2015年に公開された『ジュラシック・ワールド』の続編です。 …

SF映画

SF映画『タイムネット』ネタバレあらすじ感想とラスト結末の評価。 タイムループから脱出アドベンチャーを試みた“父子愛”

過去を変えようと奔走する青年の姿を描いたSFアドベンチャー チーノ・ソレンティーノが監督を務め、タイムループにハマった青年の運命を描いた、2020年製作のイタリアのSFアドベンチャー映画『T-NET/ …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学