Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

サスペンス映画

映画『潜入者』あらすじとキャスト!ブライアンクランストン演技評価も

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

アメリカの「麻薬戦争」史上最も大胆にして最も成果を上げた潜入捜査作戦!

そのロバート・メイザー本人による原作の回顧録を映画化した映画『潜入者』。

およそ5年間に及んだ危険な潜入捜査の実態を演じた名優ブライアン・クランストンのプロフィールとともにご紹介します。

1.映画『潜入者』の作品情報

【公開】
2017年(イギリス映画)

【監督・製作】
ブラッド・ファーマン

【キャスト】
ブライアン・クランストン、ダイアン・クルーガー、ジョン・レグイザモ、エイミー・ライアン、オリンピア・デュカキス、ベンジャミン・ブラット、ユール・バスケス、エレナ・アナヤグロ

【作品概要】
アメリカの麻薬捜査史上、もっとも大胆で、かつ成果を上げたと言われる潜入捜査に参加したロバート・メイザーが、作戦の実態を事細かに描いた回顧録を映画化。

主演はテレビシリーズ「ブレイキング・バッド」で知られ、「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」でアカデミー主演男優賞にノミネートされたブライアン・クランストン。

2.映画『潜入者』のあらすじ


(C)2016 Infiltrator Films Limited

1980年代、史上最大とも言われる犯罪帝国を築きあげた、コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバル。

当時アメリカに流通するドラッグのほとんどが、彼の組織を経由したものだと言われていました。

その事態を重く捉えたアメリカ政府は、エスコバルの犯罪帝国を根絶やしにするため、息の根を止めるため、ベテラン捜査官のロバート・メイザーらによる作戦を実行させます。

架空の大富豪に仕立てあげたメイザーを組織に侵入させ、内部から組織崩壊させるという、あまりにも大胆不敵な潜入捜査だった…。

3.映画『潜入者』の原作と脚本にみられる類似映画

ブライアン・クランストンの類似な印象持った映画①
『カンバセーション…盗聴…』(1974)

この映画の原作はロバート・メイザーの回顧録。

史上最も大胆にして最も成果を上げたと言われる、「アメリカの麻薬戦争」に潜入捜査作戦に参加した実体験を基にしたものです。

それを脚本家のエレン・ブラウン・ファーマンが映画ようにシナリオを書き上げました。

主演を務めるブライアン・クランストンはシナリオを読んだ印象について、「名作を読んでいるような感じがした。『カンバセーション…盗聴…』、『フレンチ・コネクション』、はたまた『大統領の陰謀』のような感性がある。サスペンスの要素もあり、危険な要素もあり、そして発見もある」とコメントを寄せました。

ブライアン・クランストンの類似な印象持った映画②
『フレンチコネクション』(1971)

また、クランストンは実在した潜入捜査官メイザーのキャラクターが驚異的と語りながら、「英雄的な男なんだよ。それに、正しいことをやろうと尽力したひとりの男がいた、というアイディアそのものが好きだ。彼の国を、そして社会を良くしよう、と。そしてそれをするために、彼は悪人たちと近づき仲良くならなければならなかった」とその魅力を語りました。

ブライアン・クランストンの類似な印象持った映画③
『大統領の陰謀』(1976)

ブライアン・クランストンが『潜入者』との類似をあげた過去作の3作品の1つである映画『カンバセーション…盗聴…』は、1974年製作のアメリカ映画。フランシス・フォード・コッポラ監督が、製作と脚本も兼任した作品。

主演はジーン・ハックマン主演で殺人計画に巻き込まれる盗聴プロフェッショナルの心理的な恐怖を描いた秀作。サスペンス映画として高く評価されています。

また、2つ目の1971年制作のアメリカ映画『フレンチコネクション』も主演は同じくジーン・ハックマン。監督はウィリアム・フリードキンが務め、原作はロビン・ムーアによる同名のノンフィクション小説。

第44回米国アカデミー賞に8部門でノミネートされ、作品賞、 監督賞、 主演男優賞、 脚色賞、編集賞の5部門を受賞した70年代アメリカ映画の名作です。

さらに、3つ目の『大統領の陰謀』は、1976年制作のアメリカ映画で、アラン・J・パラク監督がダスティン・ホフマンとロバート・レッドフォード出演で、ウォーターゲート事件を調査したワシントン・ポストの2人のジャーナリストの手記を元に描いた映画。

この作品は第49回米国アカデミー賞では8つのノミネーションを受け、脚色賞、録音賞、美術賞、また、助演男優賞ジェイソン・ロバーズが受賞の4部門で受賞した作品です。

このように過去作にも劣らないロバート・メイザー本人の体験を、リアルに余すことなく書き記した実話の映画化だからこそ、極限的な緊張感を演じきった名優ブライアン・クランストンの男の生き様も過去の名作同様に見られる作品です。

4.ロバート・メイザーが評価したブライアン・クランストン


(C)2016 Infiltrator Films Limited

主人公ロバート・メイザー本人を演じたのは、大人気テレビドラマ『ブレイキング・バッド』にて、4度のエミー賞に輝いた実力派のブライアン・クランストン。

2016年に『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』ではアカデミー主演男優賞にノミネートされるなど、遅咲きの大ブレイクを果たした名優です。

クランストンは役作りのために実際にメイザー本人と面会をしました。

メイザーは、クランストンについて、「ブライアンは天才だよ。僕の役がブライアン・クランストンになるとは思わなかったけど、最初に言葉を交わした時から、彼がいろいろなレベルで物事を考えているのは明らかだった。俳優としてだけじゃなく、全体を見るんだ。彼は俳優であり、脚本家であり、監督であり、このプロジェクトに関わったすべての人にとってカリスマ的な存在だった」とクランストンについて絶賛しています。

5.名優ブライアン・クランストンの演技力の秘密


(C)2016 Infiltrator Films Limited

ブライアン・クランストン(Bryan Cranston)は、1956年3月7日にアメリカ・カリフォルニア州ハリウッドで生まれの俳優、声優、演出家

カノガ・パーク高校卒業した後、警察官になりたいと志しを持つが、短大在学中に俳優志望に転向。グラナダ劇場の舞台でデビューします。

父はジョー・クランストンも俳優でしたが、アルコール依存症のクランストンと母、兄カイル・エドワード・クランストン(俳優)、妹を捨て、家を出て行ってしまいました。

その時の嫉妬や怒りなどの苦境こそがクランストンの演技力の原石であると、自身で自伝の中で語っています。

また、そのような父親ジョー・クランストンでしたが、クランストンに宛てた手紙には最も幸せだったのは息子たちがいたことだったようです。

2008年から2013まで続いた人気のテレビドラマ『ブレイキング・バッド』について、BBC放送のニュースでインタビューを受けた際に、ベットで娘の死を前にする演技についてこのように述べています。

感情移入するために役柄や演じている女優ではなく、実際の娘のテイラー・デアデン(俳優)を亡くなってしまうことを思い感情を入れたこと語りました。

クランストンは自身の人生経験や家族を大切に思いなことを俳優として活かすことこそ、自己役割だと考えているようです。

そんな彼ですから、『潜入者』の実在するメイザーを演じる際にも本人と話して観察し、また、自己経験お引き出しからも何を持ち出して演じたに違いありませんね。

まとめ


(C)2016 Infiltrator Films Limited

『潜入者』で監督を務めたのは新鋭ブラッド・ファーマン。彼はマシュー・マコノヒー主演の『リンカーン弁護士』にて、その手腕を高く評価された俊英の監督。

公開は2017年5月13日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開されます。

ぜひ、犯罪実録物を熱く演じる名優ブライアン・クランストンを劇場にて、お見逃しなく!

関連記事

サスペンス映画

映画『残された者 北の極致』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。ミケルセンの大ファンだった男は破格でホッキョクグマを貸してくれた

映画『残された者 北の極致』は、北極に取り残された男性の壮絶なサバイバルを描いた物語。 主演を務めたのは、マッツ・ミケルセン。『偽りなき者』(2013)でカンヌ映画祭男優賞を受賞し、テレビドラマ『ハン …

サスペンス映画

映画『15ミニッツ』ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。ロバート・デ・ニーロ演じる刑事が凶悪連続殺人犯に立ち向かう

サイコパスコンビvs有名刑事と若手放火調査官の戦いを描いたサスペンスアクション! ジョン・ハーツフェルドが脚本・製作・監督を務めた、2001年製作のアメリカのサスペンスアクション映画『15ミニッツ』。 …

サスペンス映画

【ネタバレ】スイートマイホーム|映画あらすじ考察感想と結末の評価解説。怖い小説原作との違いと意味ד覗き見る少女”が暴く“他人の不幸”の中を生きる者

映画『スイート・マイホーム』は2023年9月1日(金)より全国公開! 作家・神津凛子のデビュー作である同名小説を、俳優として活躍しながら映像制作活動も行い、初の長編監督作『blank13』(2018) …

サスペンス映画

映画『十二人の死にたい子どもたち』4番リョウコ役は橋本環奈。演技力とプロフィール紹介

『天地明察』で知られるベストセラー作家の冲方丁(うぶかた・とう)の小説を原作とした映画『十二人の死にたい子どもたち』が2019年1月25日に公開されます。 メガホンをとるのは、『イニシエーション・ラブ …

サスペンス映画

イザベルユペール映画『エヴァ』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

ハドリー・チェイスの小説『悪女イヴ』を映画化した映画『エヴァ』は2018年7月7日から全国公開されました。 娼婦エヴァに出会った事で、破滅の道を辿るようになる若き作家の悲劇を描いた、映画『エヴァ』をご …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学