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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』ネタバレ感想と評価。ラストまでのあらすじも

  • Writer :
  • もりのちこ

あるユダヤ系ギャングの数十年に渡る、友情と裏切り、栄光と挫折を描いた名作 ──

クリント・イーストウッド主演のマカロニ・ウエスタン3部作で世界的ヒットを飛ばした、西部劇の巨匠セルジオ・レオーネ監督の遺作にして超大作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』

厳しい境遇の中、一緒に育った幼なじみの仲間。ギャングになり共に栄光を目指します。

加速する危険な仕事に命を懸け挑んでいくギャング達。歯止めが利かなくなった彼らの終末とは。

アメリカ公開時には、映画の上映時間を短縮するために制作会社がフィルムをカットし上映したことで波紋を呼んだ問題作。のちにセルジオ・レオーネ監督自ら編集し3時間越えの完成版を作り上げました。

映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』ディレクターズ・カット版を紹介します。

映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の作品情報

【公開】
1984年(アメリカ映画)
*2019年デジタルリマスター版日本公開

【原作】
ハリー・グレイ

【監督】
セルジオ・レオーネ

【キャスト】
ロバート・デ・ニーロ、ジェームズ・ウッズ、エリザベス・マクガバン、トリート・ウィリアムズ、チューズデイ・ウェルド、バート・ヤング、ジョー・ペシ、ウィリアム・フォーサイス、James Hayden、Larry Rapp、ダーラン・フリューゲル

【作品概要】
マカロニ・ウエスタン創始者とも言える巨匠、セルジオ・レオーネ監督の遺作にして上映時間3時間を超える超大作。

幼なじみの仲間がギャングとなり、栄光を目指し駆け上がるも、友情と恋に悩み、裏切りという挫折に苦しむ姿が丁寧に描かれます。

20代から60代まで演じ分けた若かりし頃のロバート・デ・ニーロの演技力にも注目です。

午前十時の映画祭9にて『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』は、デジタル・リマスターのディレクターズ・カット版で上映。

映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』のあらすじとネタバレ

寝室に入ってくる女、イヴ。ベッドには人型に撃ち抜かれた拳銃の痕が残っています。

「男はどこにいる」待ち伏せしていた男たち。「知らないわ」と答えるも、女は撃たれてしまいます。

追われているのは、デイヴィッド・アーロンソン、通称ヌードルス。

ヌードルスは中国人の経営する怪しいサロンにいました。薬でラリっているヌードルスの手には新聞記事が握られています。

鳴り響く電話の音が合図かのように記憶に入り込むヌードルス。

3人の男の死体が浮かび上がります。死体に付けられた名札には、コックアイ、パッツィー、マックスと書かれています。マックスの死体は焼け焦げ、顔が判別できません。

鳴りやまない電話の音。電話をかけているのはヌードルス本人でした。仲間の窃盗を警察に通報する裏切りの電話でした。

目覚めたヌードルスは、住処の店ファット・モーへ戻ります。待ち伏せする男を殺し、モーを助けたヌードルスは、逃げるために駅のロッカーの金を受け取りに向かいます。

しかしトランクの中身は新聞紙に差し替えられていました。仲間は皆いなくなったのに、いったい誰が?

謎のまま、行先も決めずバスに乗り込むヌードルス。もうこの町に戻ることはないでしょう。

それから35年後。

60代となったヌードルスの姿が同じ駅にありました。ファット・モーの店に向かいます。

「35年間何をしていたんだ?」と聞くモーに、「早寝だよ」と答えるヌードルス。

町に戻った理由は、見覚えのないパーティーの招待状が届いたことでした。「どこに逃げてもムダだ」と脅され続ける人生に決着をつけるためかもしれません。

誰に呼ばれたのか?当時の金の行方は?幼かった頃の記憶が蘇ります。

モーの店のトイレには倉庫を覗く穴が開いていました。ヌードルスは、懐かしそうに穴を覗きます。

そこには、幼いころ恋焦がれていた相手、ヌーの妹デボラの踊る姿が見えました。

当時に思いを馳せるヌードルス。

ユダヤ移民の子であるヌードルスと幼なじみのドミニク、コックアイ、パッツィーの4人組は、厳しい境遇の中でも寄り添い懸命に生きていました。

いつものようにスリを企てる4人の前に邪魔をする人物が現れます。マックスです。

マックスとの出会いは最悪でしたが、次第に意気投合していきます。頭脳派のマックスと感情派のヌードルスは良いコンビです。

禁酒法施行の時代に酒の密輸法を生み出した5人は、大人相手に金儲けをしていきます。設けた金の一部は、マックスの提案で、駅のロッカーに共同基金とし常置してありました。スーツを着こなし、ハンチング帽をかぶり、いっちょ前のギャング気取りです。

そんな5人の前に、町のギャングのトップ、バグジーが現れます。バグジーは拳銃を振りかざし、命を狙ってきます。逃げ遅れたドミニクが撃たれました。

目の前で倒れたドミニクを胸にヌードルスは怒りを覚えます。持っていたナイフでバグジーに襲い掛かり、一心不乱に相手を刺すヌードルス。

ヌードルスは、警察に捕まり刑務所に送られます。手錠をかけられ車の背に乗り収容されるヌードルスを、マックス、コックアイ、パッツィー、モーが見送ります。

長い回想から現代に戻ります。

ヌードルスは墓地にいました。目の前に、コックアイ、パッツィー、マックスと記された墓があります。

自分の裏切りで殺してしまった3人に思いを馳せるヌードルス。そこにはロッカーの鍵が残されていました。

駅のロッカーを開けます。この町を離れる時、新聞紙に変えられていた中身が、現金に戻っていました。金を束ねた帯には「次の仕事の前金だ」と記されています。

追われるように金を持ち出し歩くヌードルスは、刑務所を出てからの記憶を辿ります。

刑期は6年でした。出所したヌードルスを出迎えたのはマックスです。2人とも青年になっていました。

懐かしいファット・モーの店。隣には、華やかな社交場が増設されていました。パーティーが繰り広げられる中、顔を出したヌードルスに、昔の仲間が集まります。感動の再会です。

幼少期、恋焦がれたデボラも美しい娘へと成長していました。彼女への愛が再び燃え上がるヌードルス。しかしハリウッド女優を目指す彼女は、相変わらず彼をかわし続けます。

ヌードルスがいない間、マックス、コックアイ、パッツィーの3人は大きな組織のボスや政界のドンからの依頼も受けるようになっていました。

少年時代、ボスの下で働くのは嫌だと言っていたマックスは、今ではすっかり飼い犬のようでした。

そんなマックスに意見を言うヌードルス。「一生チンピラでいるつもりか」とマックスも理想と現実との間で揺れていました。

意見の食い違いはあっても幼なじみの絆は強いものでした。再び楽しい悪ガキ4人組の結成です。

時代は変わりつつありました。禁酒法が撤去され、ヌードルスたちは次の仕事を探さなければなりません。

マッスクはヌードルスに夢を語ります。全米一の警備を誇る連邦準備銀行の襲撃です。

「お前と夢を叶えたい」と誘うマックスに「狂ってる」と返すヌードルス。2人の距離は離れるばかりです。

ヌードルスがいなくても実行するつもりのマックスは、コックアイ、パッツィーと準備を進めます。

危険な犯罪を止めたいヌードルスのもとに、「彼を止めて欲しい」とマックスの愛人キャサリンがやってきます。事前に捕まれば銀行を襲わずに済む。「殺されるよりは捕まった方がましよ」キャサリンも覚悟を決めていました。

ファット・モーの店では犯行前夜、パーティーが開かれていました。

記憶は冒頭のシーンに繋がります。

ヌードルスは、イヴにしばらく会えないと伝え、部屋の電話へと向かいます。受話器を取りダイヤルした場所は、警察でした。

以下、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』ネタバレ・結末の記載がございます。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
35年の時を経て、届いた招待状と、ロッカーの金と殺人依頼。

謎の正体を突き止めるためヌードルスは、招待されたベイリー財団を訪ねます。そこで発見したのは、財団のメンバーと共に写真に写っていたデボラの姿でした。

パーティー前夜、ヌードルスはデボラを訪ねます。デボラは今では女優として大成していました。

「なぜここに?」と質問するデボラにヌードルスは答えます。

理由は2つ。「ひとつ目は、自分より女優を選んだ結果が見たかった。君は正しかった。立派だよ」とデボラに敬意を払うヌードルス。

「ふたつ目は、ベイリー財団からパーティーの招待状をもらったんだ。君なら何か知っているはずだ」

動揺を隠せないデボラに、ヌードルスはさらに聞きます。「ベイリー長官は何者なんだ。君は愛人なんだろ」

デボラは「パーティーには出席しないで帰って」とお願いします。

扉を開け部屋を出たヌードルスは、青年時代のマックスにそっくりな男の子を見ます。

「私の子よ。デイヴィッド。あなたと同じ名前よ」デボラの告白に唖然とするヌードルス。

次の日ヌードルスは、デボラの願いも空しく、パーティー会場にやってきます。

そこで再会したのはマックスでした。

マックスは、35年前のヌードルスの裏切りにも気付いていました。そしてさらにヌードルスをだまし、金もデボラも奪い生きていたのでした。

ベイリー財団の理事長にまで上り詰めたマックスに、命の危険が迫っていました。

他人に殺されるぐらいなら、ヌードルスの手で死にたい。彼に仕事を依頼した目的でした。

「裏切者を撃ってくれ」と懇願するマックス。

蘇る少年時代の思い出。ヌードルスは、独り言のようにつぶやきます。「俺の昔話は単純だ。友達がいた。良い友情だった」

パーティー会場を後にするヌードルス。それを追うようにマックスの姿が見えます。

しかし、2人の間を清掃車が通り過ぎると、マックスの姿は消えていました。

清掃車の後ろでは、ゴミを粉砕する大きな刃が回転し続けていました。

はしゃぐ若者たちがオープンカーで通り過ぎます。ヌードルスたちの青年時代と姿が重なります。

35年前、警察に通報したあと、中国人の経営するサロンでラリッているヌードルス。不気味なほどの笑顔を浮かべるのでした。

映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の感想と評価

幼なじみの仲間がギャングとなり、成長していく数十年の歴史を追った大作映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』。

主役のヌードルスが、現在と過去の回想を行ったり来たりする展開で物語は進みます。

普通であれば今どの時代?と迷子になりそうな所を、違和感なく見られるのも、ロバート・デ・ニーロの演技力の成せる技と言えます。

20代から60代のヌードルスを演じきった、ロバート・デ・ニーロの演技力があったからこそ、実現できた手法だと感じます。

また、物語の前半は幼少期を描いているのですが、それぞれの子役が素晴らしいです。

中でもヌードルスの初恋の相手、デボラの幼少期を演じた、ジェニファー・コネリー。当時14歳だった彼女のダンスシーンはとても魅力的です。

シーンの間をたっぷり取り、静かな音楽で語られるシーンは、抒情的で詩的、どこか切なさが漂います。

幼い頃から強い絆で結ばれていた仲間同士が、裏切りによって向かえた結末のむごさに胸が痛みます。

そして、最後のシーンでの、ヌードルスの謎の笑み。推測でしか語ることは出来ませんが、意味深すぎるラストシーンにヌードルスのさらなる裏の顔が垣間見えたシーンとなっています。

マフィア・ギャング映画と言えば『ゴッドファーザー』シリーズや、セルジオ・レオーネ監督のファンでもあるタランティーノ作品『レザボア・ドッグス』、日本で言えば『仁義なき戦い』『アウトレイジ』などヤクザ映画と、いつの時代も人気のジャンルです。

アウトローな男たちの裏社会でしか生きられない生い立ちや時代背景、それでもプライドを持ち力強く生きていく姿に、誰もが魅力を感じるからなのでしょう。

まとめ

マカロニ・ウエスタン創始者とも言える巨匠、セルジオ・レオーネ監督の遺作にして上映時間3時間を超える超大作映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』を紹介しました。

アウトローな男たちのプライドをかけた戦い、仲間との絆、そして裏切りと、マフィア・ギャング映画の魅力がたっぷり詰まったの映画です。

男も惚れる男たちの痺れるギャング映画、名作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』おススメです。

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