イタリア映画祭2018で好評を博した『Emma 彼女の見た風景』は、邦題を『エマの瞳』にあらため、2019年3月23日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー。
イタリアが誇る名匠シルヴィオ・ソルディーニ監督。
同じくイタリアの名女優ヴァレリア・ゴリノ主演に迎え、「みること」と「みえること」の真意を問う野心作『エマの瞳』です。
映画『エマの瞳』とは
世界三大映画祭のひとつ、ヴェネチア国際映画祭でワールドプレミア上映された、イタリアの名匠シルヴィオ・ソル ディーニ監督の映画『エマの瞳』。
イタリアのローマを舞台に、盲目で視覚が「みえない」が自立して生きる主人公エマ。
そして内面を「みつめる」ことに臆病な広告マンでプレイボーイのテオが出逢い、傷つけ合いながらも変化していく本作は、大人の恋の行方を描くラブ・ストーリーです。
映画『エマの瞳』の作品情報
【公開】
2019年3月23日(イタリア映画)
【原題】
Il colore nascosto delle cose
【原案・脚本・監督】
シルヴィオ・ソルディーニ
【キャスト】
ヴァレリア・ゴリノ、アドリアーノ・ジャンニーニ
映画『エマの瞳』のあらすじ
イタリアの首都ローマ。
広告代理店に勤務するテオは典型的なプレイボーイ。
彼は恋人や愛人、また家族とは適度な距離を置いて向き合わないままに、仕事漬けの毎日を過ごしていました。
ある日、テオは暗闇の中を白杖で進むダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)のワークショップに参加します。
その会場でアテンドスタッフとして働いていた盲目の女性の声に魅せられるテオ。
思春期に視力を失ったエマは、フランス人の夫と離婚したのち、オステオパシー(理学療法士)の施術者として自立して生きていました。
テオは急速にエマに惹かれていきます。
ふたりは関係を深めていくが、テオは恋人グレタと向き合えないままでした。
やがて、テオとエマがスーパーマーケットで一緒に買い物の最中に、グレタが鉢合わせしてしまいます。
テオがグレタに「ボランティアをしている」と言い訳していたことを知り、深く傷ついたエマは…。
映画『エマの瞳』の感想と評価
本作の主人公エマ役で熱演を見せたのは、ヴェネチア国際映画祭で2度の主演女優賞に輝いたイタリアを代表する演技派女優ヴァレリア・ゴリノ。
テオを演じるのは、名優ジャン フランコ・ジャンニーニの息子アドリアーノ・ジャンニーニ。
魅力的な主人公のエマは、シルヴィオ・ソルディーニ監督が前作のドキュメンタリー映画『多様な目』で取材した、チェロ弾きの学生や企業家、彫刻家など、様々な分野で生きる目の見えない人たちに触発されたキャラクターになっています。
盲目でありながらも毅然と生きる彼を見つめてきたシルヴィオ監督が、虚構のみで人物造形したものではないことから、物語の中で活き活きしたリアルな魅力が溢れているのです。
また、大人の恋愛と盲目の人々のリアリティ溢れるエピソードを織り交ぜた本作は、本国イタリアでもスマッシュヒットを記録しました。
その後、実績あるスタッフやキャストが作り上げた野心作は、2018年4月に日本で開催された、イタリア映画祭2018年で『Emma 彼女の見た風景』のタイトルで上映された際にも好評を博しました。
解禁となった予告編では、ダイアログ・イン・ザ・ダークと呼ばれる暗闇の空間で、視覚以外の感覚を使って体感するワークショップから始まります。
盲目のエマとプレイボーイのテオが出逢い、互いが求め合いながらもテオがエマを傷つけたこから、ストーリーは進んでいき、この後の2人の恋の行方が気になる予告に仕上がっています。
また、予告に登場する「でも見えると難しいのよ。見えたままが全てだから」と告げるエマの台詞は、観客の心に突き刺さり、「みること」「みえること」の意味にある差異を考えるきっかけを与えてくれるのではないでしょうか。
劇中で描かれる「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」とは
主人公エマがアテンドスタッフとして働いている「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」。
日常生活のさまざまな事柄を、暗闇の空間で、聴覚や触覚など、視覚以外の感覚を使って体験するエンターテインメント形式のワークショップです。
これまで世界41カ国以上で開催され、800万人を超える人々が体験。日本でも20万人以上が体験しています。
そのような場所で出逢った自立して生きる盲目の女性エマと、典型的なプレイボーイ・テオ。
テオが暗闇の空間で行われるワークショップに参加し、まるで心眼の感覚を研ぎ澄ましたなかで聞いたエマの声。
ワークショップの見えない時だからこそ、出逢った相反する2人が織りなすヒューマン・ラブストーリーに注目です。
まとめ
本作『エマの瞳』は、世界的に行われる“視覚について改めて体感するワークショップ”である、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を映画に取り入れた作品です。
また、2000年に公開された『ベニスで恋して』で知られるシルヴィオ・ソルディーニ監督は、自ら監督を務めた前作のドキュメンタリー作品『多様な目』で知り得た視覚障がい者の生きる姿活かし、本作に登場する主人公エマを現実味のあるキャラクターに色付けしました。
この魅力ある盲目の女性エマを演じたのは、『レインマン』や『はじまりの街』に出演したヴァレリア・ゴリノ。
その相手役でありプレーボーイのテオには、『スウェプト・アウェイ』に出演したアドリアーノ・ジャンニーニを起用しました。
2人の名優が織りなす大人のラブストーリーとともに、「視覚」という映画的なモチーフである「みること」と「みえること」の真意を問う、シルヴィオ・ソルディーニ監督の野心作です。
映画『エマの瞳』にあらため、2019年3月23日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー。
ぜひ、お見逃しなく!