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Entry 2018/12/07
Update

映画『おとなの恋は、まわり道』あらすじと感想レビュー。キアヌ・リーブス&ウィノナ・ライダー大熱演の恋愛コメディ

  • Writer :
  • 20231113

映画『おとなの恋は、まわり道』

『ドラキュラ』『スキャナー・ダークリー』『50歳の恋愛白書』に続き、4度目の共演となるキアヌ・リーブスとウィノナ・ライダー。

その作品となるのが映画『おとなの恋は、まわり道』ですが、本作のプロモーション・インタビューの席で、2人は26年前に結婚していた事を告白したのです!

実は2人は初共演作、フランシス・フォード・コッポラ監督作品『ドラキュラ』の劇中において結婚しているのですが、このシーンの神父は本物のルーマニア人神父だったそうです。

という事は2人は神聖なる誓いを交わしていた訳で…というオチがつく告白だったのです。

そんな映画の中以外でも息の合った、そして歳月と経験を重ねた2人の演じた大人の為の恋愛映画が『おとなの恋は、まわり道』なのです。

映画『おとなの恋は、まわり道』の作品情報

映画『おとなの恋は、まわり道』ポスター

【公開】
2018年(アメリカ映画)

【原題】
DESTINATION WEDDING

【監督】
ヴィクター・レヴィン

【キャスト】
ウィノナ・ライダー、キアヌ・リーブス

【作品概要】

メインキャストのキアヌ・リーブスとウィノナ・ライダーは本作が4度目の共演で、脚本と演出は『5時から7時の恋人カンケイ』で知られるビクター・レビン監督。

絶縁したはずの、自分の家族の結婚式に出席するハメになったフランク。そして自分を捨てた元婚約者の結婚式に出席するリンジー。

式場に向かう空港で偶然出会った2人は、お互いの性格から口論を繰り返してしまう。やがて互いが同じ結婚式に向かっていることを知るのだった。

やむなく行動を共にする事となる2人だが、会話を重ねるうちにその関係に変化が現れてくる。共に一癖あるリンジーとフランクの関係は、はたしてどの様な結末を迎えるのだろうか。

映画『おとなの恋は、まわり道』のあらすじ


ある朝、目覚めたフランク(キアヌ・リーブス)はそれが日課なのか癖なのか、喉からヘンな音(痰が絡んでいる?)を出しています。

同じ朝、リンジーは自室の鉢植えに食事(二酸化炭素)を与えているつもりなのか、息を吹きかけていました。

そんな別々の場所で暮らす接点の無い、何やらクセありそうな2人の男女が荷物をまとめ空港に向かいます。

こうして物語は始まります。

1人空港で搭乗を待つリンジーに声をかけるフランク。和やかな雰囲気で始まった会話は、フランクが列の割り込みをした、していないとの大人げない口論に発展します。

そんな気まずい事があった後に乗り込んだ飛行機(席が8席しかない小型旅客機)で、2人は一番後ろのロングシートに並んで座る事になりました。

相変らず気まずいままの2人ですが、実は共に同じリゾート地での結婚式に向かっている事を知ります。

さらに会話を進めると新郎はフランクと異父兄弟、リンジーはその新郎の元婚約者であった事も判明しました。

家族と疎遠なフランクは母の指示でやむなく、リンジーは元彼との関係にケジメを付ける為に、同じ結婚式へと向かっていました。

口を開けば衝突する2人ですが、飛行機が到着した後も送迎の車は同じ。目的のリゾート地のホテルでは隣の部屋をあてがわれる始末。

しかもこの2部屋はドアの鍵を開錠すれば互いに出入りできる部屋だったのです。

その夜の、結婚式前夜の「最悪のリハーサル・ディナー」に参加した2人は、パートナーがいない為かここでも相席にされてしまいます。

皆が和やかに歓談する中でフランクとリンジーは、参列者を話のタネにして辛辣な会話で盛り上がります。

こんな状況なら自分達がいなくなっても誰も気づくまいと、2人はディナーを切り上げて、早々に自室に戻って行きました。

自室に戻っても何か行う事がある訳でもないフランクとリンジー、共に何となく部屋をつなぐドアの前に立つのですが、隣室に声をかける事もなくそこを立ち去ります。


翌朝、並んで足のマッサージをされている2人。

リンジーに何故マッサージを受けているのか尋ねられると、30ドル分のサービスを逃すのは惜しいというのがフランクの返事です。

そんな自分をケチを自認しているフランクが、ホテルの備品は持ち帰ると語ればそれに喰いつき意見するリンジー。

そんな会話も話題は互いの恋愛観にも移るのですが、そこでも理屈っぽい意見を交わす事になります。

せっかく見学に訪れたワイナリーでも、皆そろってのレクリエーションの場でも2人は他の人々から離れ、リゾート地での結婚は傲慢だ、などと結婚式について皮肉たっぷりに語り合います。

いよいよ結婚式本番。大自然に囲まれた野外の式場までは、車を降りてからは歩道が無くハイヒールでは向かう事が出来ないリンジーは、フランクの助けを借りて会場へと向かいます。

ここでも参列者を話のネタに、辛辣な会話を交わす2人は式場を抜け出して周囲を散策します。

さらに会話を交わしていた2人の前に、突然クーガー(それとも山ライオン?)が現れたのです。

パニックとなった2人ですがフランクが例の行動、喉からヘンな音を出してみると何故かクーガーが怯みます。

この隙に逃げ出す事に成功しますが、慌てるあまり2人は丘から転げ落ちてしまいます。

この思わぬ経験の後、フランクとリンジーは互いに想像もしなかった急接近をするのですが…。

映画『おとなの恋は、まわり道』の感想と評価


不器用な大人のための、恋愛映画

“ヘリクツ女”・リンジーを演じるウィノナ・ライダー、“ヘンクツ男”・フランクを演じるキアヌ・リーブズ。

この恋愛に踏み出せない臆病な2人の男女の、恋のてん末を描いた映画が『おとなの恋は、まわり道』です。

決して恋愛経験が無い訳でも関心が無い訳でも無いのに、傷付く事を恐れて本当の関係を持つ事に中々踏み切れない2人の姿には、男性・女性問わず共感を覚えるのではないでしょうか。

一線を越えた関係を築いても、それを「スーパーの試食のサラミ」に例えるフランク。

つまり素晴らしい味わいであっても、決して購入して持ち帰るものではない、との意味で例えてしまうのです。

不器用だけどこんな会話が出来る、皮肉と機知に富んだ主人公をウィノナとキアヌが演じる事で可笑しくも温かい視点で、残念な事に色々とこじらせてしまった大人の男女の恋を描いた映画になっているのです。

映画『おとなの恋は、まわり道』の見どころ


本作のキャストの紹介にウィノナ・ライダー、キアヌ・リーブスの名しかない事を、不思議に思う方もいるのではないでしょうか?

結婚式が舞台のこの映画、当然ながら多数の人物が登場します。しかし会話を交わすのはウィノナとキアヌだけ。他の人物と声を交わす事はありません。

交わすシーンがあっても音声はなく、2人以外の人物の声は背景として聞こえるだけなのです。

その代わりにウィノナとキアヌは実によく喋ります。喋り通しで自然な、そして他愛なくも奇妙に理屈っぽい、おかしな会話を続けるのです。

互いを責めたてるにも、共通の話題で盛り上がるにも、はたまた互いの魅力を褒める際にも2人は様々な言葉を並べてみせます。

これはウディ・アレンのコメディ映画の、ウィットに富んだ主人公にならったものと思われます。

もっとも彼の映画は周囲の人物にも語らせ群像劇として描かれますが、本作は主人公2人にフィーチャーした構造となっています。

また美しいカリフォルニア南部のリゾート地サンルイスオビスポという、ワイナリーも登場する本作の舞台となる地に、アレクサンダー・ペイン監督の『サイドウェイ』を思い浮かべる方もいるかもしれません。

ウッディ・アレン作品の登場人物も『サイドウェイ』の登場人物も、相当こじらせてしまった大人の男女。どちらかと言えばさえない男女が登場して活躍する映画です。

そんな役柄の人物を、本作ではウィノナ・ライダーとキアヌ・リーブスが演じているです。

どうですか、『おとなの恋は、まわり道』で2人がどんな演技を披露しているのか、気になりませんか?

ここまでやるの!ウィノナとキアヌの大熱演


実はR15+指定の映画である、『おとなの恋は、まわり道』

あらすじの紹介ではあえて控えたのですが、クーガーに出会ったあとの2人には素晴らしい?、実に年齢と経験を重ねた大人の男女らしい、爆笑モノのラブシーンが用意されています。

この場面は、間違いなく本作一番の注目シーンでしょう。

冒頭に紹介した2人は26年前に結婚していたとの告白ネタも、このシーンを念頭においた、プロモーションの場での発言だったのでしょう。

また2人が一歩進んだ関係となった時、ウィノナ演じるリンジーが「美しいカミカミ」なる姿=幸せな状態を、何か美味なモノを食しているかの様な姿で表現するシーンがあります。

彼女に勧められキアヌ演じるフランクまで、「美しいカミカミ」な姿を見せるのです。

この「美しいカミカミ」は男女の友情、そして恋愛を描いたロブ・ライナー監督の名作映画『恋人たちの予感』で、主演のメグ・ライアンとビリー・クリスタルが演じた、レストランでの名シーンへのオマージュと思われます。

『おとなの恋は、まわり道』をご覧頂ければ、もはやベテランの域に達しているウィノナ・ライダーとキアヌ・リーブスが、時に赤裸々に時に余裕を持って演じている映画である事が伝わってくるでしょう。

まとめ

大人の男女の関係を、深く掘り下げて描いた映画である『おとなの恋は、まわり道』。ウィノナ・ライダーとキアヌ・リーブスが主演だけに、上品な恋愛映画を思い浮かべている方も多いかもしれません。

しかし本作は、実は様々な経験を経た男女の本音を赤裸々に、そして大胆かつ滑稽な下ネタをも交えて描いた映画なのです。

女性同士で観ても、また男女で鑑賞しても楽しめる、大人のための上質な恋愛映画といえる作品なのです。

理屈っぽい男と女が、多くの会話を重ね一歩進んだ体験を経ても、なおも本当の関係に進める事にはどうしても躊躇してしまう。

そんな2人が最後はどういった決断を下すのか。心地良いラストがある映画だと、自信を持ってお約束させて頂きます。

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