旅のリポーターは猫?!1匹と1人の旅は、新たな飼い主探しの旅でした。
人気作家・有川浩が「一生に一本しか書けない物語」と言うほど、思い入れのある小説『旅猫リポート』の映画化です。
ある事情で猫を手放すことにした悟は、自分の大切な人たちにナナ(猫)を譲るため、お見合いの旅に出ます。それは、自分の人生を振り返る旅でもありました。
悟とナナの旅の結末は?強い絆で結ばれた1匹と1人の、心温まるファンタジー・ロードムービー『旅猫リポート』を紹介します。
映画『旅猫リポート』の作品情報
【公開】
2018年(日本映画)
【原作】
有川浩の同名小説
【監督】
三木康一郎
【キャスト】
福士蒼汰、高畑充希、広瀬アリス、大野拓朗、山本涼介、前野朋哉、田口翔大、二宮慶多、中村靖日、戸田菜穂、橋本じゅん、木村多江、田中壮太郎、苗木優子、竹内結子、沢城みゆき、前野智昭
【作品概要】
有川浩の同名小説を、三木康一郎監督が映画化。三木監督は、有川浩原作の『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』の映画化でも監督を務めており、有川作品2作目になります。
心優しい猫の飼い主・悟を演じるのは、笑顔から優しさが滲み出ている福井蒼汰。そして、しゃべる猫・ナナの声を担当しているのは、高畑充希です。
強い絆で結ばれた1匹と1人の、切なくも心温まる物語です。
映画『旅猫リポート』のあらすじとネタバレ
「吾輩は猫である。名前はまだない」有名な先輩猫のセリフを口にするナナ(猫)は、5年前までは野良猫でした。
野良猫時代のナナは、たまに餌をくれる悟とは餌だけの関係。常に、一線を置き馴れ合いはしないという、まさにツンデレ猫でした。
そんな野良猫ナナが悟の飼い猫になった理由は、5年前、猫集会に向かう途中に車に引かれケガをしたナナを悟が助けた事がきっかけでした。
それから、ナナと悟は常に一緒です。しかし、とある事情で悟はナナを手放さなくてはならなくなります。信頼できる人にナナを譲りたい悟は、ナナと一緒に、今までの人生で大切な人たちを訪ねる旅に出ます。
その旅は、ナナの新しい飼い主を探す目的と、また悟自身のこれまでの人生を振り返る旅になります。
最初に訪ねたのが、幼なじみの幸介(山田涼介)でした。
小学校の思い出を話す2人の会話を聞きながら、ナナは「ハチ」という猫の存在がいたことを知ります。自分の名前にイチを足した猫。面白くないナナは、ゲージから出ようともしません。
幼い頃の思い出はこうです。小学生の悟と幸介は、子猫を拾い「ハチ」と名付けます。ハチは人の心が分かる猫で、家族喧嘩をして泣いてしまった時も、嬉しい時も、悲しい時も側に寄り添い慰めてくれる存在でした。
そんなハチと悟の別れの時は、突然やってきます。
修学旅行の日、途中で連れ戻された悟は、両親が事故で亡くなったことを知ります。突然の両親の死。悟は行き場もないまま、母の妹・法子(竹内結子)に預けられ、ハチとも離れ離れになってしまいます。
当時、幼なじみの幸介は自分がハチを引き取りたいと両親に頼むも、厳しい父親に逆らうことが出来ず、そのことをずっと後悔していました。
今度こそは自分が猫を引き取るという思いの幸介。しかし、幸介には解決しなければならない自分の問題がありました。父との確執、出て行ったきりの嫁、すべては自分の弱さが原因でした。
「お前の問題を解決するのが先じゃろっ!」結局ナナは一歩もゲージから出ず、お見合いは不成立に。次の飼い主候補へ旅は続きます。
悟とナナを見送った幸介は、もう後悔はしたくないと行動にでます。新しい生活、新しい猫への挑戦です。
さて、次に悟とナナがやってきたのは、高校時代の友人夫婦・千佳子(広瀬アリス)と修介(大野拓朗)のペンションでした。
もともと動物好きの千佳子が経営するペンション「スギ」は、動物も一緒に泊まれて、犬や猫もたくさんいます。ナナは住人たちと仲良くやれるのでしょうか。
着いた早々、飼い犬の「とらまる」と喧嘩をおっぱじめるナナ。「悟に手だすとは、ゆるさねぇ」売られた喧嘩は買います。なにやら「とらまる」が悟に吠える理由がありそうです。
高校時代、悟は両親の死で離れ離れになった「ハチ」に会いに行くためにバイトをしていました。しかし、もうすこしで会いに行けるというタイミングで、ハチが交通事故で亡くなってしまいます。
両親に続きハチまでも。悟は家族全員を失くしたのです。
途方に暮れる悟に千佳子は「ちゃんと会いに行って、会いたかったと伝えてきなさい」と後押しします。そのおかげで、悟は前に踏みだすことができました。
悟は、そんな姉御肌で心優しい千佳子を好きになりますが、修介も好きなことを知り、身を引きます。
時は経ち、結婚した修介と千佳子ですが、修介は今でも2人の関係に不安を抱いています。そんな、飼い主の心を察した「とらまる」は、悟とナナに心を許しません。
またもや、ナナのお見合いは失敗に終わりました。
帰り際、悟は千佳子に高校時代の思いを告白します。昔の三角関係に終止符を打てたことで、修介の不安も消え、仲良し3人に戻ることができました。
その後も、新しい飼い主を探す旅へ出る悟とナナですが、中学の同級生にも断られ、仕方なく旅の終着地に向かいます。
映画『旅猫リポート』の感想と評価
猫が、しゃべる。一見ファンタジーのようでありながら、見ているうちに自然に、しゃべる猫を受け入れていることに気付きます。
それは、猫の性格と表情にぴったりハマった声が、原因です。高畑充希の透き通る声が違和感なく、猫のナナの表情にハマっているからです。
この映画の中では、動物は普通にしゃべり、家族のような存在として描かれています。
主人公の悟は、次々に襲いかかる不幸な出来事にも負けず、健気で優しい青年に成長します。それは、ハチ、ナナと猫が側にいたからではないでしょうか。すべてを受け入れ許し、今に生き、今に感謝する。猫を通して、人生の生き方を学んでいるようです。
悟はナナとの旅を通して、自分の人生を振り返ることになります。そしてその旅はまた、悟に関わってきた人たちの新しい門出にもなりました。猫との旅がもたらした奇跡です。
強い絆で結ばれた1匹と1人の物語に、誰もが感動の涙を流すことでしょう。
まとめ
有川浩原作の、猫と人の絆を描いた映画『旅猫リポート』をご紹介しました。
声を担当した高畑充希に「見どころはズバリ、しゃべらない時の猫ちゃんの顔!」と言わしめた、猫・ナナの、ツンとした表情と強いまなざしの名演技にも注目です。
映画『旅猫リポート』、ぜひ劇場で癒されてください。