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映画『灰とダイヤモンド』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • もりのちこ

今でも色褪せないモノクロ映画の世界。ポーランドのジェームズ・ディーンと謳われた、主演のZ・チブルスキーのワイルドさに惹かれます。

時は第二次世界大戦末期、ナチス・ドイツが敗北へと向かう中、ポーランドでは反ソビエトとして抵抗運動を続ける青年がいました。

彼は時代の波に翻弄され、悲しい結末へと導かれます。自分の幸せとは何か?何を願うのか?

映画『灰とダイヤモンド デジタルリマスター版』をご紹介します。

映画『灰とダイヤモンド デジタルリマスター版』の作品情報

【公開】
1959年(ポーランド映画)
2018年にデジタルリマスター版の日本公開

【原題】
Ashes and Diamonds Popiot I Diament

【監督】
アンジェイ・ワイダ

【キャスト】
ズビグニエフ・チブルスキー、エヴァ・クジイジェフスカ、Waclaw Zastrzynski、アダム・バウリコフシキー、ボグミール・コビェラ、Jan Ciecierski

【作品概要】
日本でも翻訳されたJ・アンジェウスキーの同名小説の映画化。

アンジェイ・ワンダ監督の「抵抗3部作」、「世代」「地下水道」に続く最終作とされています。

ドイツ降伏後のポーランドで、反ソビエトとして抵抗運動を続ける青年の、時代に翻弄される悲劇を描いています。

映画『灰とダイヤモンド デジタルリマスター版』のあらすじとネタバレ

時代は第二次世界大戦の最中、1945年5月7日、ドイツ軍が遂に降伏。物語の始まりは、5月8日のポーランドでのことでした。

反ソビエト派のテロリストとして活動しているマチェクとアンジェイは、ソビエトから帰国した共産党地区委員長シュツーカの暗殺を計画していました。

町はずれの礼拝堂で車が通るのを待ち伏せする二人。待つ間、少女に礼拝堂の扉を開けてくれと頼まれます。しかし、どうしたことか扉は開きません。

そこに車がやってきます。二人は車の前に飛び出し、銃撃します。逃げた男を礼拝堂の前まで追い詰め、一気に射殺。

開かなかった礼拝堂の扉がゆっくりと開いていきます。闇に浮かび上がるマリア像が、今後の青年の運命を象徴するかのように悲し気に佇んでいるのでした。

その後、ホテルでの戦勝祝賀会を訪れた二人は、なんと殺したはずのシュツーカを目撃。銃撃は人違いだったことを知ります。

もう自分には待っている人も、この世に未練もない。折衷はない。白か黒か。後先考えず、今この瞬間がすべて。マチェクは再び暗殺へと乗り出します。

暗殺の機会を待つマチェクは、ホテルで働く女性バーテンダーと出会います。この女性との出会いが、マチェクの人生を揺さぶり、真の幸せへと導いていくのです。

以下、『灰とダイヤモンド デジタルリマスター版』ネタバレ・結末の記載がございます。『灰とダイヤモンド デジタルリマスター版』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
暗殺の時が迫るなか、マチェクは女性バーテンダー・クリスティナを夜の散歩に連れ出します。さびれた教会に身を寄せる二人。

教会に残された石碑にはノルヴィトの詩が刻んでありました。

「残るはただ灰と嵐のごとく深淵におちてゆく混迷のみなるを 永遠の勝利の暁に、灰の底深く 燦然たるダイヤモンドの残らんことを」

逆さづりのキリスト像の前で、マチェクはクリスティナに最後の懺悔をするのでした。本当は生き方を変えたい。勉強して働いて、普通の生活がしたいだけなんだ。

人違いで人を殺してしまった罪、これから向かう暗殺の道。もう戻れないところまで来てしまったマチェクは、クリスティナと別れひとり、シュツーカの暗殺へと向かうのでした。

夜道でシュツーガに銃をむけるマチェク。シュツーガは、離れ離れになっていた息子に会うために出掛けた途中でした。暗闇に鳴り響く銃声。それをかき消すかのように、祝いの花火が夜空に打ちあがります。

暗殺されたシュツーガの息子の元には、一匹の蛾が卓上の明かりに寄ってきます。死んだ父が、息子に会いにやってきたかのように。

一方、暗殺が成功したマチェクは、相棒のアンジェイとの約束の場所へ向かっていました。もう自分の生きる道はここしかないのだ、愛を捨て正義を捨て、逃走します。

途中ぶつかってしまった保安隊に、マチェクは銃の所持を見つかり、追われ、遂に打たれてしまいます。

痛みにたえ、最後の力を振り絞り、歩き続けるマチェク。最後は、一面ゴミが散乱する中で、虫けらのように息絶えるのでした。遠くに乗るはずだった汽車の汽笛が鳴り響きます。

ホテルのバーでは、喪服を着た男女が無表情で踊り続けるのでした。何が平和か?戦争は本当に終わったのか?混沌とする世の中で皆もまた、迷子なのかもしれません。

映画『灰とダイヤモンド デジタルリマスター版』の感想と評価

モノクロ映画なのに、色が見えるような映画でした。鳥のさえずり、教会の鐘の音、バーの賑わい、コツコツと歩く足音、花火の音など、音がとにかく印象的でカラーの背景が浮かびあがってくるようです。

また、死を匂わせる象徴として、マリア像や逆さまのキリスト、雨の中の白馬、喪服のパーティー、明かりに寄ってくる蛾など詩的表現にぐっときます。

死んだ人が蛾になって会いたい人のところにやってくる描写は、森荘已池の『蛾と笹船』(1943年発表)のシーンと重なります。

昔の人は、身体は死んでも魂は他のものに宿り続けると考えたのでしょうか。

この映画は、正義感の強さゆえに、組織に利用され人生が狂っていく青年の姿が描かれていますが、昔だけではなく現在もなお、世界中に同じような青年がいることを忘れてはいけないと感じました。

まとめ

今回は映画『灰とダイヤモンド デジタルリマスター版』をご紹介しました。

デジタルリマスター版ということで、古いフィルムの汚れや傷、色の補正や音質の調整がデジタル化で綺麗になったものを見ることができます

リアルタイムでは見られなかった昔の映画が、現代に蘇り鑑賞することが出来るということは嬉しいことです。

また、2018年はポーランド独立回復100周年ということで、11月10日~23日には東京都写真美術館ホールで「ポーランド映画祭2018」が開催予定です。

今日ご紹介した『灰とダイヤモンド』の他にも、ポーランドの名作映画、『夜と昼』『戦場のピアニスト』『大理石の男』『リベリオンワルシャワ大攻防戦』『約束の土地』『ヴォウィン』の7作品の紹介があるようです。

ぜひ、この機会にポーランド映画に触れてみてはいかがでしょうか?

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