東京国際映画祭の顔ともいえるコンペティション部門に選出された阪本順治監督の話題作『半世界』。
40歳を目前に人生の折り返し地点を迎えた男たちの葛藤と友情、そして希望を描いたヒューマンドラマ。
阪本順治監督のオリジナルストーリーのもと、キャストの稲垣吾郎と長谷川博己が新たな境地で魅力を発揮します。
CONTENTS
映画『半世界』の作品情報
【公開】
2019年(日本映画)
【監督】
阪本順治
【脚本】
阪本順治
【キャスト】
稲垣吾郎、長谷川博己、池脇千鶴、渋川清彦、小野武彦、石橋蓮司
【作品概要】
『エルネスト』『人類資金』の阪本順治監督のオリジナルストーリーで、アイドルグループ元スマップの稲垣吾郎が主演を務めた人間ドラマ。
稲垣が主人公となる炭焼き職人の紘を演じるほか、長谷川博己、池脇千鶴、渋川清彦ら実力派キャストが共演しています。
仕事にも家族にも無関心だった男が、同級生との再会をきっかけに、人生と向き合っていく姿を丁寧に描きだします。
映画『半世界』のあらすじ
山中の炭焼き窯で備長炭の職人として生計を立てている紘(稲垣吾郎)の前に、かつての同級生であり元自衛官の瑛介(長谷川博己)が現れます。
突然故郷に帰ってきた瑛介は、紘の仕事を見て「こんなこと、ひとりでやってきたのか」と驚きます。
しかし紘自身は深い考えもなく単に父親の仕事を継ぎ、ただ毎日をやり過ごしてきたに過ぎませんでした。
紘はもう一人の同級生、光彦(渋川清彦)に、息子への無関心を指摘されます。
仕事の忙しさを言い訳にし、紘は息子の事も家庭の事も妻・初乃(池脇千鶴)に任せきりでした。
仕事のみならず、家族にすら無関心だった自分に気づかされる紘。
やがて、瑛介が抱える過去を知った紘は、仕事、そして家族と真剣に向き合う決意をしますが…。
阪本順治監督が満を持して作り上げた“世界”
参考作品:監督作品『エルネスト』(2017)
阪本順治監督はこれまで、日本アカデミー賞を受賞した『顔』(2001)、吉永小百合主演『北のカナリアたち』(2012)、英雄チェ・ゲバラと共闘した日系人の生涯を描いた『エルネスト』(2017)など、数多くの名作を送り出してきました。
『半世界』は阪本監督が以前から書き溜めていた異なる2本のあらすじを融合させ、換骨奪胎に臨んで作り上げた物語です。
人間を真摯な目線で描くことに定評のある阪本監督が描く「世界」。日常の閉塞感からの希望を感じさせる作品に仕上がっています。
東京国際映画祭「コンペティション部門」に選出の確かな映画力
東京国際映画祭「コンペティション部門」は、2018年1月以降に完成した長編映画を対象に、世界109の国・地域、応募作品1829本の中から、厳正な審査を経て、国内外の16本の作品が選出されます。
東京国際映画祭の期間の2018年10月25日(木)〜11月3日(土・祝) のプログラム内で上映されます。
阪本順治監督の『半世界』は、なんと114倍というとんでもない倍率の中から選出されました。
それだけでも阪本作品への期待値が上がりますね。本作『半世界』の一般公開は2019年となり、現在は公開される日時や劇場はまだ未定です。
いち早く『半世界』に浸りたいあなたは、ぜひ東京国際映画祭でご覧くださいね。
さらにプログラミング・ディレクター矢田部吉彦氏は、本作の“コンペティション部門”選出理由についてこう語っています。
「『半世界』は阪本順治監督のオリジナル脚本が素晴らしく、3人の友情物語を軸に、複数のエピソードを交えながらやがて命の通った夫婦のドラマとしても見事に結実していく。家族は少し面倒だなと思いつつ父から継いだ仕事に意地で向き合う主人公の姿には崇高なリアリティーが備わっている。自然な佇まいの稲垣吾郎は天性の映画俳優としての演技力をいかんなく発揮し、池脇千鶴が絶品の存在感で脇を固める」
『半世界』がいかに脚本、監督、出演者、全てのクオリティが高いか、矢田部ディレクターのコメントから伝わってきますね。
3人の友情物語を軸にしながらも、家族の面倒なことにも向き合う主人公の姿を、稲垣吾郎のリアリティある演技と評価しています。
また、演技派女優としてコンスタントに代表作のある池脇千鶴。本作でも存在感を遺憾無く発揮!楽しみですね。
俳優・稲垣吾郎の新境地
「稲垣吾郎」といえばどんな姿を思い浮かべますか。
トップアイドル?タレント?俳優?たくさんの顔を持っている稲垣吾郎。
アイドルやタレントとしては言うまでもありませんが、俳優としても稀有な存在感があります。
ドラマ『世にも奇妙な物語「僕は旅をする」』での姉の足跡を辿る弟、映画『十三人の刺客』での暴君、舞台『ぼっちゃま』での浮気性の道楽者etc…。
表現の場所は違えど、どこでも稲垣吾郎は観客を魅了してくれます。
その魅力は、多弁ではないが故に観客に想像の余地を与えてくれる瞳と佇まいにあります。
品の良さ、浮世離れしているようで確かなリアルさ、そしてそこはかとなく漂う寂寥感。“俳優・稲垣吾郎”は様々な想像を駆り立ててくれます。
都会的、お洒落、上品、そういったイメージの強い稲垣吾郎が、『半世界』では髭を生やし、煤まみれになって働く炭焼き職人紘を演じるんです。
新たな場所で活躍している稲垣吾郎と、自分の今いる場所を見つめ直す紘。
どんな化学反応を起こすのか、ぜひ、本作『半世界』にてお確かめ下さい!
背筋も芯も通った長谷川博己が日常をかき乱す
元巨大不明生物特設災害対策本部…、ではなく元自衛官の瑛介役を演じるのが長谷川博己。
2018年度後期放送のNHK連続テレビ小説『まんぷく』でヒロインの夫役、2020年放送のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』の主演など、今後の活躍が益々楽しみな俳優です。
文学座出身で数々の舞台に立ちながらメディアでも活動をし、確実にキャリアアップしている長谷川博己。
小声、早口でも正確に聞き取れる声と、まっすぐに伸びた背筋。それだけでも俳優としての努力を怠らない方だと分かります。
まっすぐに立つ、というのは簡単なようでいて実はとてもレベルの高い技術が必要です。
街ゆく人々を見てみると、猫背、ガニ股、反り腰…まっすぐに立って歩いている人はとても少ないです。
人間として美しく自然に歩き、そして存在できる長谷川博己は貴重な表現者です。
そんな長谷川博己が『半世界』にて演じるのはワケありの元自衛官瑛介。
全てに無関心だった紘の心を入れ替えるきっかけを作る大事な役どころ。
お互い変わってしまった旧友同士の再会。見逃せません!
東京国際映画祭レッドカーペットで激写!
10月25日に開幕した、第31回東京国際映画祭。
レッドカーペットイベントが、東京・六本木ヒルズアリーナにて開催されました。
激写した華やかな様子を写真でお届けします!
まとめ
稲垣吾郎が意外な役どころということでも話題の『半世界』。
東京国際映画祭“コンペティション部門”に選出されたこともあり、今後も更に注目度が上がりそうです。
Cinemarcheとしても、映画『きらきら眼鏡』のインタビューでお世話になりました、池脇千鶴さんが御出演されていることもあり、目が離せない1作です!
不惑目前の39歳…。
もうとっくに大人なのに、まだまだ迷ってばかり。
そんな登場人物たちと一緒に立ち止まって人生を見つめ直してみたら何か素敵な発見があるかもしれません。